「明日、久しぶりに勇気のお部屋見せてよ」お姉ちゃんの、突然のお願いだった。
お姉ちゃんが最後に僕の部屋に入ったのは、小学生の頃。お姉ちゃんとして好きだった頃。まだ大人な事は何も知らなかった頃。
好きな人を自分の部屋に入れる。期待と恥ずかしさで、僕はやんわりと断ろうとする。
「今僕の部屋汚いから…また今度ね」本当は、そこまで汚くはないんだけど。
僕の部屋は、造り付けのクローゼット込みで6畳。まぁ、普通の部屋だ。
健全な男子中高生の、ごく一般的な部屋。勿論、あるものはあるから、突然来られるとちょっと困る。
「え?じゃあ掃除しに行く♪」お姉ちゃんは、目を輝かせながら言った。コレはマズい。
僕は、出来る限りの脳細胞を駆使して回避策を考える。そして、一つの結論に達する。
「愛ちゃん、僕部屋に来られたら何をするか―――」言葉は、指で遮られた。
お姉ちゃんは、モジモジと朱くなりながらそっと指を離す。
そして僕にこう言った。僕の大好きな照れ屋さんの、精一杯のお誘いの言葉。
「バカッ!…俺に恥をかかせるな…な?」僕には、元から選択肢はなかったんだ。
その日の帰りに、お姉ちゃんは小さな紙袋を僕に渡した。
「何コレ?小さな箱が入ってるみたいだけど…」僕がそう聞くと、お姉ちゃんは僕に背を向けて小さく言った。
「明日まで開けずに持ってられたら、ソレ、やるよ」僕は、訳がわからず、お姉ちゃんを追った。
「あ、そういえば」そう言ってお姉ちゃんは立ち止まった。もう家は目と鼻の先だ。お姉ちゃんは続ける。
「えっちな本とかは、隠さないようにな」そう言って、悪戯な笑みを浮かべながら、お姉ちゃんは家に入っていった。
追うことも出来ずに、僕は2、3度後頭部を掻いて家に入った。下手な小細工は通用しそうにもないな…
結局僕は夜の内に、本棚や小物の整理とゴミ捨てをするだけに留まった。
お姉ちゃんからのプレゼントは、僕の机の上…僕は、寝る前に一度袋に手を掛けた。
「コレ、何がはいってるんだ?」カサカサと袋をいじってみても、中の箱の形しか解らなかった。
不思議と、開けては駄目だと言われるほど中身は気になって仕方が無い。
開けたい衝動に駆られるが、その度お姉ちゃんの言葉が脳裏を過ぎった。
とても軽い、小さな箱。明日お姉ちゃんが来たら僕のものになる、箱。
僕は、開けたい欲望を無理矢理抑え込んで、部屋の電気を消した。
外は曇り空。何だか雲行きが怪しく、今にも雨が降ってきそうだ。
そんな澱んだ空を見て、ふっと視線を下に送ると、お姉ちゃんがブンブンと両手を振り回してた。
僕は窓を開けて、愛しい人に手を振る。それに気付いたお姉ちゃんは、満面の笑み。
「開いてるよ。どうぞ」そう言って手招きをすると、お姉ちゃんは親指を立てて拳を前に突き出した。
直後、「お邪魔しまーす!」と元気な声と共に、お姉ちゃんは家に入ってきた。
トン、トン、トン…と階段を昇る音。僕が部屋のドアを開けて迎え入れると、お姉ちゃんは少し照れたように中に入った。
「へへ…ひさしぶりぃ~!」お姉ちゃんは、古いイルカのクッションに抱きつく。
コレは元々お姉ちゃんの物。昔グズっていた僕に、お姉ちゃんがくれた物。
何だか一々そんな素振りが可愛くて、僕はお姉ちゃんから目が離せなかった。
「…へぇ~、勇気は巨乳好きかぁ…」お茶を淹れて戻ってきた僕の目の前には、雑誌に囲まれるお姉ちゃん。
「ちょっ…何見てるの!」慌ててトレイをテーブルに置いて、雑誌を回収する僕。
一人息を荒げる僕は、何だかかっこ悪い。そして背中に刺さる、視線…
「勇気君?何を慌てる必要が?」ジト目で僕を見るお姉ちゃん。不満が駄々漏れの予感。
「勇気だって男の子なんだし?まぁ俺にも経験あるし怒らないよ」あれ?そう言ってる割に、言葉に棘が。
そんな事言える訳も無く、なぜか正座して話を聞く僕。うん、情けない。
とても気まずい雰囲気の中(僕だけ?)、お姉ちゃんは「手」と言い放った。
「手、前に出せ」そう言って僕の前に座る。僕が言われるがままに手を出すと、お姉ちゃんに手首を掴まれた。
「…お、お姉ちゃん!?」僕の手が導かれたのは、お姉ちゃんの、胸。夢にまで見た温度と感触。
お姉ちゃんは顔を真っ赤にしながら、しっかり掴んだ僕の腕を、離そうとはしなかった。
「…もっと、大きい方がいいのか?…」拗ねるように聞いてくるお姉ちゃんに、何だか笑ってしまった。
お姉ちゃんは笑っている僕に気付くと、口を尖らせながら怒り出した。
「なっ…!笑うな!」お姉ちゃん、顔真っ赤なままだよ?そうは言い出せなくて、僕はお姉ちゃんを抱き止める。
「は…はなっ「嫉妬しちゃった?」…!」あ、図星みたいだ。僕は、そのまま包み込むようにお姉ちゃんを抱き締めた。
「ばかだなぁ…」お姉ちゃんに反論は、できなかった。僕が唇を塞いだから。
お姉ちゃんは、抵抗はしなかった。「んっ、んっ…」甘い息が、僕にかかる。
唇を割って入る僕の舌は、お姉ちゃんに吸われ、絡められ、頭の中にピチャピチャといやらしい液体音が響く。
ハァ…一つ大きな吐息と共に離れる口を伝う唾液の糸は、離れて切れて、僕のズボンに落ちた。
潤んだ目付きのお姉ちゃんが、僕の腕を解き、昨日の紙袋を手にとる。
「本当に開けなかったんだ…偉いな、勇気」そう言って、もう一度僕に口づけた。今度は、羽根が落ちるように。
お姉ちゃんはそのまま僕のベッドに座ると、あの潤んだ瞳で、目を丸くした僕に話しかけた。
「俺に、勇気を、くれよ」僕は理性は、そんな事を言われるだけで弾けて飛んだ。
気が付くとお姉ちゃんを押し倒していた。
いつも自分の寝ているベッドに広がるお姉ちゃんの髪。
この力無くベッドに横になっている人は、小さくて、愛しくて―――僕は乱暴に、貪欲に、何度も唇を貪った。
耳にキスをしてそのまま首筋を伝っていくと、あることに気付いた。お姉ちゃん―――ふるえてる?
布団を硬く握りながら体を強張らせてふるえるお姉ちゃん。
「愛ちゃん…かわいいよ」僕は優しくキスをして、お姉ちゃんの服に手を掛けた。
ピクッと反応したお姉ちゃんは、僕の手を取って、言った。
「いい…自分で脱ぐ…」お姉ちゃんは半身を起こして、ゆっくりと服を脱ぎ始める。
お姉ちゃんの下着姿が露わになる頃には、僕のアソコがはちきれんばかりに膨張していた。
夕暮れ時、振り向いたお姉ちゃんは、「お前ばっかり…ずるいぞ」そう言って赤くなった。
僕はいそいそと、服を脱ぎ始めた。見とれてた。あんまり綺麗なものだから―――
カーテンを閉め切った薄暗い部屋で、僕たちは二人、ベッドの上。
お姉ちゃんの腕をはずして、露わになった胸。僕は優しく、揉みしだく。
「おっきくなくて、悪かったな」―――まだ、そんな事考えてたんだ?
僕は両手で乳首を抓みながら、意地悪に言ってみる。「確かに、大きくは無いね」お姉ちゃんの、手が振りあがる。
「でも―――」お姉ちゃんの、手を取りながら。「愛ちゃんの胸が、一番綺麗だよ」
僕がお姉ちゃんの耳に、胸に、太腿にキスをする度、切なく響く喘ぎ声。
その一つ一つが僕を昂らせていく。頭の先から痺れていく感じ。
「愛ちゃん、脚、ひらいて」少し遅れて、反応は返って来た。
ゆっくりと開かれる、脚。僕はついにお姉ちゃんのソコにたどり着いた。
「ひゃっ!あっ!」ベッドを軋ませながら、お姉ちゃんは身体をくねらせた。
鼻先に薄い茂みを感じながら、僕は舌先でお姉ちゃんのソコを弄ぶ。
「ゆ…うき…こわ…い…」お姉ちゃんは僕の頭を押さえ込みながら、ふるえる。
少しずつ濡れ始めるアソコに、指先で愛撫を重ねながら、僕はお姉ちゃんを力強く抱きしめた。
不安を追い出すように、お姉ちゃんを一人にしないように。
お姉ちゃんも、僕を力強く抱いた。でもそれも、いつしか緩んで―――
「…きて…」僕は、先端をお姉ちゃんの入り口に添わせた。
「いくよ…」一瞬…そう、一瞬だった。何かに当たる感触と、その何かを突き破る感触。そして僕の背中の痛み―――
僕の息子は、温かくて、そして痛いくらいに締め上げられて、今までに無い、快感を味わっていた。
「う…ご…くな…!」お姉ちゃんが歯を食いしばりながら、痛みに必死で堪えながら、やっと紡いだ言葉。
僕は快楽を求めながらも、そっとお姉ちゃんを抱いた。目に浮かぶ涙を、指で掃いながら。
暫くすると、痛みが引いて来たのか、お姉ちゃんが僕の耳元で呟いた。
「よし…ゆっくり…な?」僕は半分くらい入ったままの息子を、ゆっくりと突き出した。
「ん…っ、全部…はいったよ」まだ大分痛むのだろう。顔を歪ませながら、お姉ちゃんは頷く。
僕が心配そうに顔色を伺っていたのが分かると、「こいよ…」そう言って、僕の首を放した。
僕は、少しずつゆっくりと前後に動く。お姉ちゃんの事もある。でも自分ももう、限界だった。
ズルッ、ズポッという愛液と空気が混じる音と、ピタッ、パシッという互いの太腿が当たる音が響く。
僕の呼吸は、動く度に調子が変わり、次第に荒くなっていく。
僕はお姉ちゃんの手を取った。もう長くはもたない。自分でも悟っていた。
快楽の波は次第に高くなっていく。重ねた唇、触れ合う肌。全てを飲み込んで、大きくなる。
「い…くよ…っ」一際強く抱きしめられる感覚に、僕は我慢を止めた。お姉ちゃんの中に、全てを吐き出していく。
「あ…っ…!?」最後の瞬間、お姉ちゃんは耳元で鳴いた。
僕らは抱き合っていた。ゆっくりと息子を引き抜くと、ビクッとお姉ちゃんがふるえた。
「…痛かったか?ごめんな…」お姉ちゃんは、僕の背中の爪の傷痕を擦る。僕の、何倍も痛かった筈なのに。
「ありがとう…愛ちゃん…」僕は、お姉ちゃんを抱き寄せた。
そのまま二人で僅かな睡眠をとると、お姉ちゃんは先に起きて服を着ていた。
「「…よっ(やっ)」」ピタリと重なる挨拶に、元から赤かった僕らの頬は更に赤みを増した。
僕が着替えていると、お姉ちゃんのパンツが置いてあった。
訝しげに摘み上げると、お姉ちゃんはそれを取り返して顔を真っ赤にした。
「まだ…垂れてきちゃうから…」それを聞いた僕は、自分の血の気がひいていくのがわかった。
中出し…それがまだ、リスクの大きなモノだって、気付いた時には遅かった。
「ご、ゴメン!ぼ、僕、何にも考えなしで…」僕はすごい勢いで謝っていた。
でも、そんな焦った僕を見下ろしていたのは、目を丸くしたお姉ちゃんだった。
「ん?あぁ、ピル飲んでたし、そんなに危なくない日だし、大丈夫だろ。そんなに心配すんな」
やっぱり、勝てないなぁ、と改めて思った。「…それに―――」お姉ちゃんは、照れるように続けた。
「最初は、ちゃんと感じて欲しかった…」そこまで言って、お姉ちゃんはソファーで寝息を立て始めた。
僕はお姉ちゃんの肩に毛布を掛けて、頬にキスをした。
―――――次の日――――――
お姉ちゃんは、結局ウチに泊まっていた。
なんでも『明日は午後からだから泊まるぅ~』だそうだ。
大学生って気楽でいいなぁ…そう思いながらも、この寝顔が見れるだけでも僕は十分幸せだ。
僕が書置きを残して部屋を出ようとしていると、お姉ちゃんは急に起き上がった。
寝ぼけ眼のお姉ちゃん。「学校…行くのか…?」と言いながら僕に擦り寄ってきた。
いつものハキハキしてるお姉ちゃんを見慣れてる僕には、たまらなく新鮮で、可愛かった。
「うん、行ってくるね」そう言って引き剥がそうとするけど、お姉ちゃんは離れようとしない。
僕が困っていると、お姉ちゃんが唇を突き出してきた。あぁ、そうか。
「いってきます」そう言って唇を重ねて、開放された僕は家を出る。
きっとまた寝たんだろうなぁ…
きっと憶えてないんだろうなぁ…
苦笑いをしながら、僕は学校への道を急ぐ。
僕は女体化の心配は無くなって、空は青くて―――
僕とお姉ちゃんは、変わらない、少し変わった関係になった。
でもまた、お姉ちゃんは気まぐれに言い出すんだ。
『勇気のお部屋がいい!』って―――
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最終更新:2008年07月21日 21:04