『純斗と春紀』5

俺は約束の時間の15分前に着いたのだが、すでに春はベンチに座って本を読みふけっている。
俺はこっそりと音も無く背後に回り、春の肩に手を置く。

純:お待たせ。
春:遅い。15分も待ったぞ。

春は本をパタンと閉じると、俺の手を払いのける。
いかなる状況であれど、春は決して動揺しないのでからかいがいがない。
 ・・・俺がからかわれることはしょっちゅうある話だが。

春:でー・・・どこなんだ?
純:ここから歩いて20分ほどの所だ。
春:ほう・・・。とりあえず行くとするか。
純:了解。

春は立ち上がり、俺は歩き始めた。





純:・・・・なぁ
春:ん
純:お前歩くのはえーよ・・・俺でも急ぎ足じゃないと追いつけねーし・・・。
春:なら急ぎ足で歩けばいいじゃない
純:まぁそうなんだけどさ・・・・なんで急に女言葉になったんだ?

よし、言えた!

春:あぁ、お母様に一日漬けでたたき込まれた。まだ癖はあるけどね。
純:十分女っぽいだろ。服もさ・・・・

今日春の着てきている服はいかにも女の子らしい服だ。
正直、かなりかわいい。

春:よせ・・・照れるじゃない。
純:あ、お前でも照れるのか?
春:うるさい・・・・。





あれこれ話して歩いているとあっという間に着いてしまった。

純:着いたぞ。まだオープンしてないけど。
春:もう着いたか。・・・にしても人多いな。

本日オープンなだけあってかなりの人がいる。
親子連れやらカップルやら多彩な人々が来ている。

純:あぁ・・・。どんな虫が来てもお前を守ってやんよ
春:本気で言ってるのか?私が男だった時に一度も勝ったことない癖に・・・
純:その前に俺が手を貸さなくてもお前一人でシメちまうか(笑
春:だろうね。

こいつは過去、男だった時から喧嘩を申し込まれて負けた試しがない。
なんせ、俺と春の出会いは高校初日にぼこぼこにされてからだ、友人と呼び合えるようになったのは・・・。
喧嘩を売られたにもかかわらず、負かした後に手を貸すようなのはこいつだけだ。
変わってる・・・。しかし、こいつとなら楽しめる。
そう踏んで俺と春は友達になった。





春:お~い・・・また考え事か?
純:・・・あっ・・・。あぁ。お前ほんと鋭さはそのまんまだな。
春:これはお母様譲りだ。だからお母様には隠せる物がない。で、何を考えていたんだ?
純:実はな・・・


時は今から実に数ヶ月前だった。

純:お前か。中学生にして無敗の王子、風名春紀君。俺の名前はは名木沢純斗だ。
春:ご丁寧に挨拶どうも。で、何なのですか。
純:放課後、駅の近くの公園に来い。話はそれからだ。
春:まためんどくさいのに絡まれたな・・・。まぁ覚えてたら行ってやるよ。
純:貴様っ・・・覚えてたらとはなんだ!

俺は春の胸ぐらを掴む。

春:乱暴な真似は後にしてくださいよ。仮にも今日は初日なのですよ?
純:・・・ったく、わかったよ。来なかったら明日この場で潰すからな。
春:出来るといいですね。フフフフ・・・





放課後になり、言いつけた公園に着くと、すでに春本を読んでは待っていた。

春:遅いですよ。もう10分も待ちました。
純:うるせー・・・HRが長引いたんだよ。
春:それはそうですか。では、お先にどうぞ。

春は本を鞄にしまうなど、無防備な姿で俺の攻撃を待っている。

純:全く・・・俺をなめちゃ痛い目見るぜ!!

ご期待通り、思いっきり殴りかかる。
 ・・・が、当たらない。

春:どうしました?これにてこちらも戦闘準備完了となりました。
純:・・・なめた真似しやがって・・・

俺は春のスカした態度に苛立ちを覚える。





そこからしばらくの間、俺と春は睨み合いになる。

春:どうしたんです?かかってくるならかかってきてくれればいいのに。
純:うるせー・・・じゃあお前こそかかって来いよ。
春:いいんですか?・・・行きますよ。

次の瞬間、春が消えた・・・?

純:ぐふっ・・・・
春:かわいらしい鳴き声ですこと。

 ・・・!
一瞬にして春は俺の視界から消えて、鳩尾にストレートをぶちかましてきた。

純:この野郎・・・・
春:これじゃたいしたことありませんね。時間の無駄です。
純:黙れ糞・・・勝負はここからだっ・・





俺は春に殴りかかるが、5発撃っても一発も当たらない。

純:ちくしょー・・・
春:勝負はここからと言われましても・・・これじゃーねぇ・・・
純:ぐっ・・・

次は腹に蹴りを入れてくる。

春:おしまいですか?それでしたら帰りますよ。
純:冗談じゃ・・・ねぇ!!

渾身の力を込めて春を殴る。
 ・・・やっと手応えありだ。

春:不意打ちでも・・・食らってしまいました。

春は悔しさの混じった声ではあるが、顔は微笑している。
 ・・・どこまで余裕のあるやつなんだ。



アァ、ダメダ、睡魔ガーッ!




春:それでは、本気で行きますよ。どうなっても知りませんから。

そう言うと、春は目を閉じる。

純:目を瞑るとか・・・・正気か?お前
春:いいえ、正気ではありません。本気です。

 ・・・・スカしやがって!!
俺は春の背後から思いっきり殴ろうとする。
すると、俺は腕を捕まれる。

純:な・・・

俺は勢いだけで春に投げられる。

春:今から1分いないに降参すれば間に合います。
  ・・・・しないのであれば、命を落とす可能性も考えていてください。

 ・・・こいつ、本気だ。




スイマセン、ネテキマス。
起きたら続き投下

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最終更新:2008年06月11日 22:57
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