177 :安価:霧の中での出来事
コゲ丸 ◆CI4mK6Hv9k :2008/03/14(金) 17:55:01.46 ID:jkEm2QetO
ムム、なかなかにこゆい霧の中に迷い込んだ。
右も左も分からなくなりそうな感覚に、思わず立ちすくむ。
「・・・ッ、腹減った・・・」
というよりも、むしろ腹が減ってた。
「ん? お前そんなトコで何してんだ?」
誰かに呼ばれて顔を上げると、先程とは打って変わって青空が広がっていた。
声の主である美少女は、心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。
「美少女発見に伴い捕獲行動に移る! 皆のもの、つづけぇえええええ?」
低い姿勢からのタックルでそのまま美少女をお持ち帰りしようとしたら、世界が回った。
どうやら俺は投げられたらしい。
「ったく人が心配してやってんのに何だテメェ?」
「みなしごです」
即答したら目を丸くされた。
「頭がかわいそうなヤツだったか・・・声掛けてすまん」
その言い方もどういったものか。
「ほぅ・・・気がついたらここにいた、と?」
説明の甲斐あってどうやら信じてくれたみたいだ。
「オオムネ合ってる。 オオムネと言っても巨乳だとかそういう意味じゃ・・・ごめんなさい」
場を和ませようとして言ったのに●されそうな勢いで睨まれた。おしっこちびりそう。
「まぁそういうことなら力になってやんぜ。 ついてきな」
「俺は彼女について行くことにした。真横に立つと良くわかるその女性らしい肢体に思わず見とれていると、思わず手を出したくなってしまう」
「おい、なんかダダ漏れだぜ?」
思ったことをすぐ口にするのは俺の悪い癖です。
178 :安価:霧の中での出来事 コゲ丸 ◆CI4mK6Hv9k :2008/03/14(金) 17:55:52.08 ID:jkEm2QetO
相良。 というのが彼女の姓らしい。
いたって普通の家に入ると、あまり普通じゃない女の子の部屋だった。
「・・・このサンドバッグは・・・」
「まぁ、ちょっとそこらへん黙って座ってまってろ」
「あーい」
と返事をしたものの、この部屋男性向け18禁本とかあるんだが。
懐かしさに読みふけっていると、戻ってきた彼女に殴られた。
「ったくちったぁ静かにしてろ。 ・・・ホレ、食え」
彼女が持ってきたお盆の上には、少し焦げ付いたグラタンが乗っている。
「すごく・・・おいしそうです・・・」
「そ、そうか!? ま、まぁツン直伝だからな。 熱いから気をつけろ!」
いつか自分もこんな顔で笑えるのだろうか。 そう思った。
多分、この子も俺と同じ境遇で、でも同じくマイペースで。
―――ふと、眠気に襲われた。 瞼に錘を付けられたように、意識が泥の中へ沈んでいく。
「おっ、おい! どうした!?」
彼女の声が聴こえた。 でも俺はもう口を動かすことすら出来なかった。
「・・・はっ!? 俺のグラタン! そしておっぱいはどこどぅほっ!?」
「人に心配掛けといてアンタ何の夢見てんのよ!」
「・・・ぐむぅ・・・お、おっぱいとグラタン・・・」
今痛めつけられたばかりのところをこう、グリグリされるのは拷問に近いです。
「アンタにはこの位しないと・・・ッ!」
「戻ってこれてよかった・・・」
「・・・・・・まったく、もぉ・・・(////」
灯の胸を借りて、夢の中の名前も知らない少女にお礼を言うのでした。
終わり
最終更新:2008年07月21日 22:01