53 : ◆CI4mK6Hv9k :2007/01/17(水) 14:39:00.60 ID:l0wUCirr0
ここはまだ開発の進まない、のどかな村。まだアスファルトの道なんてほとんどない田舎。
海には面しているし、田園風景も多く残っている。
ただ、若者向けの仕事や娯楽施設がないせいか、村は過疎の一途をたどっている。
この村には学校が1つしかない。といっても、生徒は58人しかいないし先生も少ない。
この間新しい先生が赴任されてきたようだけど、多分この学校もそんなに長くはもたないだろう。
僕は浅井 穂咲。
3日前に女体化を迎えて、その身体にもようやく馴染んで来たというところだ。
会う人それぞれ口を揃えて「可愛くなった」というけど、実は僕も少しはそう思ったりしている。
元がつまらない顔だった、と自分でも思えるような顔だったからかもしれない。
~3日前・浅井家~
穂「ふあぁあぁ~・・・あぁ~・・・寒ぃ・・・」
僕は寒さで目が覚めた。今はもう11月の終わり。もうすぐ雪が降ろうという季節でもある。
んんっ!と、喉を鳴らす。なんだか変な感じがして、風邪でもひいたかな?と思っていた。
家は親父が単身赴任で、母さんも漁業組合のパートに出ているから朝は大体一人だ。
部屋を出て簡単な朝ご飯を作る。あまり朝は食欲がないので、トーストと目玉焼き。
台所に違和感を感じながらも、更に学校へ持って行く弁当を作る。
・・・なんかフライパンもやけに重く感じる。本格的にどっか悪いのかなぁとか考える。
弁当箱にご飯を詰め、冷ますために放置している間に熱を計ろうと寝巻きのパーカーを脱いだ時だった。
上半身に見慣れない二つの山。バッババッと見た事もない速さでその二つの山と股間を確認する。
あぁ、母さん。ごめんなさい。一人息子が・・・娘になってしまいました・・・。
54 : ◆CI4mK6Hv9k :2007/01/17(水) 14:39:28.13 ID:l0wUCirr0
母「あら穂咲、やっと起きたの?」
目を覚ますと母さんが帰ってきていた。意識が鮮明になりだすと、僕は時計を確認する。
どうやら僕は女体化の事実にショックを受けて気絶していたらしい。
あちゃ~、やっちゃった。ちこくかぁ~・・・そういったまずそうな顔をすると、母さんが笑った。
母「大丈夫よ、学校には連絡しておいたわ。・・・ついでに登録情報の変更もね」
自分の状態を見て、ため息を吐く。学校でも保健体育の授業で習ったけど、まさか自分がなるなんて・・・
母「ねぇ、童貞君。あんたも彼女とかいなかったの?」
母からの言葉に、追い討ちを掛けられる。もうちょっと言葉は選んでほしかった・・・
そう思いながら振り返り、悪態をつく。自分でやっておきながら、自虐的だなぁと感じる。
穂「みてわかるでしょ?そりゃどうせ童貞ですよーだ。そんなに馬鹿にする事ないだろ?」
母「あら、馬鹿にしてなんかないわよ?私もそうだったし」
穂「・・・ナ、ナンダッテー(AAry」
母「父さんに聞いてない?ま、あの人も照れ屋だからね」
クスクスと思い出し笑いも混ぜつつ笑っているみたいだ。・・・母さんも男の子だったんだ・・・。
でも僕の母さんである事には変わりはないわけで、折角だから色々聞いてみることにした。
女体化したときどう思ったのか?どんな事に戸惑ったのか?父さんとの馴れ初めは?
・・・とか質問攻めしていると、母さんは困ったように笑いながら少しずつ話してくれた。
55 : ◆CI4mK6Hv9k :2007/01/17(水) 14:39:56.71 ID:l0wUCirr0
母「そうねぇ・・・私が女体化したときは、ちょうど15の誕生日の夜だったの。
まだ今ほど女体化が広まっていなかったから、お爺ちゃん腰抜かしてたわ。
でもお婆ちゃんが素早く対応してくれてね・・・あの時は頼もしかったなぁ・・・
あ、それで、大変なのはおトイレと生理と服かな?ブラジャーとか・・・
慣れるまで時間かかるかもね。特に生理は気をつけなさい?歳が歳だから、すぐよ?
それと、お父さんなんだけど・・・私と父さんは、物心ついたときからの親友だったの。
私が先に女体化して、それからも父さんは変わらず一緒に居てくれて・・・嬉しかった。
意識し出してからどんどん好きになって・・・父さんが女体化する前に・・・って私から・・・ね///」
へぇぇ~、とつい聞き惚れてしまった。親友と・・・って事は僕も修と?いやいや、まさか・・・
っていうか大事なのはそこじゃない。今は、これからどうするかって事だ。先ずは・・・服?
そう考えて母さんのほうを向くと、封筒を渡された。表面には『女体化貯金』???
どうやら、母さんは僕がこうなることを予想していたらしい。結構な額が入っている。
ついでにメガネも新しいのにして、制服も注文して来なさいと言うので、甘えることにした。
自分のジーンズが緩くて穿けず、母さんの衣服と靴を借りた。
さて・・・と、母さんは今日は親戚の家に行くって言ってたし、誰に同行願おうかな?やっぱ修?
そう考えていると、母さんから、誰かと一緒に行くなら女の子の方がいいわよ、と助言を受けた。
さすが、経験者はだてじゃない!っつーか考えてることそのまま言われると怖いんだよ、母さん。
とは思ったけど、そういうのに付き合ってくれそうな子なんて、この村には数えるほど居なかった。
穂「亜季か、琴音ちゃん・・・かぁ・・・とりあえず亜季からか」
僕は携帯を手に取ると、亜季にメールを送った。
『件名:依頼』『本文:僕を下着屋に連れてって』
・・・まだ、学校だというのを忘れて、送信しました。
56 : ◆CI4mK6Hv9k :2007/01/17(水) 14:40:59.68 ID:l0wUCirr0
学校だと言うのに、返事が返ってくるのが早すぎる。
・・・ちゃんと授業受けてんのか?といつもなら思うんだけど、今日はありがたかった。
亜季『なんであたしがあんたなんかとそんなトコ行かなきゃなんないのよ?』
まぁ、想定の範囲内かな。再び返信する。今度は、大事な情報を書いた。
『本文:ちょっと女体化しちゃって・・・一人じゃ行きにくくてさぁ』
やっぱこの季節のコタツでミカンはガチだな。なんて思っていると、また返事が来た。
『本文:そっか・・・今日はそれで休んだんだ。仕方ないわねぇ。・・・何かおごりなさいよ?
じゃ、学校終わって着替えたら連絡するから』
あいつがこの台詞を発するところがモロに想像出来て、なんだか笑ってしまった。
もうちょっと素直に世話焼いてくれれば可愛いんだけどなぁ、まぁあいつらしくて好きだけど、ね。
今は2時・・・学校が終わるまであと2時間くらいかな。さて・・・ケーキでも焼いて待つか。
僕の趣味はお菓子作りだ。これは父さんが大きく影響している。
・・・というのも、実は父さんはとあるホテルのパティシエをしている。
なにやらオーナーに恩とやらがあるらしく、家族一緒に暮らせていないのだ。
下準備を済ませ、材料を見る。オーソドックスにショートかな・・・でもイチゴはない。
仕方ないなぁ・・・そう思いながらも、手際よく作業を進めた。
暫くしてスポンジ部分をオーブンに入れる。生クリームをある程度泡立て、2種類のボールに移す。
そして2種類の固さにする・・・と。さて、そろそろかな、とオーブンをみると、いい具合に焼き上がった。
カップからはずし、半分に切って生クリームとフルーツを・・・よし、OK。後は連絡を・・・~♪
・・・いいタイミングだ。ウチによるように、それと勝手に上がってきてくれと伝えると電話を切り、仕上げをする。
固く立てたクリームをこう・・・あとはココアパウダーを篩って・・・・・・よし・・・できた。
57 : ◆CI4mK6Hv9k :2007/01/17(水) 14:41:33.12 ID:l0wUCirr0
これから来るのは加藤亜季という、女の子だ。家も近い僕の幼馴染。
いつも憎まれ口ばかり叩いているけど、ふとした瞬間、誰よりも優しい顔をする。
なんだかんだと言いながらも、面倒を見てくれたりするいいヤツだ。
出来上がったケーキを持って居間に行くと、10分もしないうちに亜季が到着した。
・・・なんで固まってるんだ?寒いだろ?コタツにでも入っててよ、と言うと、ハッとして動き出す。
そのまま簡単な片付けを済ませると、熱い紅茶を持って居間に向かう。亜季は無言のままだ。
穂「・・・どした?ほら、モンブラン風ショート、今日はこれで勘弁して」
そう言って紅茶とフォークを差し出すと、亜季はケーキをとり、ゆっくりと口へ運ぶ。
一口、また一口と進み、僕はその食べっぷりに満足し、紅茶を一口飲んだ。
亜「・・・穂咲の・・・味・・・だ・・・」
何言ってんだよ、作ったの僕なんだから当たり前だろう?と思ったりはしたけど、まぁ無理もないのかな。
最期の一口を終え、フォークを置いた亜季は俯いたまま動かなかった。何か・・・あったのかな?
穂「美味かった?ほら、僕の分もやるから元気出してよ・・・」
そう言って亜季の顔を覗き込むと、いきなり両手で頭を捕まれた。
顔をジロジロと見られ、ホッペをプニプニされたり、耳を引っ張られたりする。
穂「ちょっとあひ?はにひへんほ?(なにしてんの?)」
亜「(睫毛長ぁーぃ・・・お肌綺麗ね・・・何この柔かい髪?)うぅ~・・・」
穂「ハァ・・・んぁっ!?・・・んぅ・・・あ・・・やめ・・・」
亜「(うー、結構ある・・・ウェスト細いわね・・・よし)穂咲、いくわよ!」
いつもの覇気ある顔に戻った亜季は、僕の手を引っ張り出した。
全身くまなく触られた僕は、ぐったりしながらもそれに従った。
58 : ◆CI4mK6Hv9k :2007/01/17(水) 14:42:46.93 ID:l0wUCirr0
穂「あのー・・・亜季・・・」
亜「何?ほら、早く行くわよ」
僕らは隣町のデパートに来ていた。さすがに年末年始は忙しいらしく、人が多い。
ここまでくる途中、かなり背が低いことに気付いた。亜季の口元くらいまで目線が下がっている。
以前の身長が173cmで・・・あれ?亜季ってどのくらいなんだろう?そう思って聞いてみた。
穂「ねぇ、身長どのくらいあるの?」
亜「え?・・・あー、あんたかなり縮んだからね。164cmだったから・・・あんた今150台ねw」
穂「あぅぅ・・・笑い事じゃないよぅ・・・」
なんてことだろう。つまり20cmくらいは縮んでるって事か?
一人うなだれていると、僕はあることに気付いて少し焦り出した。・・・トイレ行きたい。
亜季の手を取り、無理やり引っ張る。そのまま早歩きでトイレへと向かう。
亜「ちょっと、痛いってば!何よ、急に!?」
穂「・・・おしっこ・・・したい・・・」
亜「―――!・・・ハァ・・・行って来なさい。前で待ってるから」
穂「うん、絶対だよ?」
亜「はいはい、ほら、行きなさい」
僕はそのままトイレへと駆け込み、用を足した。
これから毎回パンツ脱がなきゃなんないのかぁ・・・何か我慢できる時間も短いっぽいしなぁ・・・
そう考えながらアソコを拭こうとすると、あることに気付いた。・・・怪我無い?
59 : ◆CI4mK6Hv9k :2007/01/17(水) 14:43:30.98 ID:l0wUCirr0
そういう人も居るんだって事は知っていたんだ。ただ、自分がなるとは思ってなかった。
まだ・・・まだこれからなんだ!そう自分に無理やり納得させ、個室を出た。
あ、そういえば僕今日、初めて鏡を見るんだ。朝は台所で顔を洗っちゃったっけ・・・
普通鏡を見て知らない人が目の前にいたりしたら、驚いて飛び退いてしまうだろう。
でも僕はそんなことは無かった。むしろ、母さんに言われて期待してしまっていた。
そんな事もあって、『鏡の中の少女』が僕だとすんなり受け入れる事ができた。
黒くて腰まである長い髪はとても柔らかで、パッチリと大きな目、小さい鼻、ぷるっとした口元・・・
なぜか馴染む事ができた。目元の泣き黒子と口元には面影が残っている。
しかし・・・結構可愛いかも。というか、男の時よりも母さんに似ているような気がする。
トイレを出て、亜季に声を掛ける。
穂「亜季ありがと!おまたせ」
亜「遅かったわね。私行かなくても大丈夫だった?」
穂「うん、まぁ色々驚いたりもしたけど大丈夫だったよ」
亜「そ、ならよかったわね。で、今日は下着と何を買うの?」
穂「母さんには必要なものを揃えろって言われたけど・・・下着と、服と、靴、眼鏡・・・あと他には何が必要?」
亜「え?あとは・・・化粧品とか・・・あ(///」
穂「んぅ?なぁに?」
亜「ほら、その・・・女の子の日の物とか・・・」ボソボソ
穂「あぁ、そういや母さんも言ってた。うん、じゃまず下着からお願いします」
亜「はいはい。ほら、行くわよ」
亜季について、ランジェリーショップ【DIO】に入った。立ち入った事の無い世界に、腰が引ける。
ちょっと待ってて、と言って亜季は店員さんのところに行った。何やら楽しげに喋っている。
僕は、待っている間に色々見て回った。・・・と言ってもわからないから眺めていただけだけど。
ただ、こうしてみるとあんまりえっちな感じはしないなぁとは思った。
最終更新:2008年07月21日 22:15