今日は家具や生活用品を買いに来ています。今いるのは少し大きめの家具やさんです。
あ、挨拶が遅れました。紺野マモルです。
母「誰と話してるの?ほら、置いて行くわよ?」
マ「あ、はーい!」
地元を離れ、皆と別れた僕は北海道の借家に住んでいます。
新しい僕の部屋はフローリングということで、お布団ではなくベッドを買う予定です。
・・・とは言っても、長年使ってきた布団に未練がないかといったらそれはあるわけで・・・
まぁ、少しばかり複雑な気分ではあるわけです。
店員「こちらの商品は現在人気の・・・」
母さんは飽きもせずに店員の話を次から次へと聞いています。
マ「母さん、僕ちょっと色々見てくるね」
そう言って僕は店内を歩き始めました。
ソファ、座椅子、テーブル・・・カラフルな家具が所狭しと並べられています。
ふと割引コーナーにあるベッドに気がつきました。
艶を抑えた薄い茶色の木目調で、大人っぽい印象を受けるものです。
腰掛けてみると、スプリングの固さも丁度好きな感じで、しっくりきました。
―――――――私は今、店内をキョロキョロしながら歩いています。
息子・・・いや、今となっては娘ですが、息子とは違って優しい子です。
さっき店内を見て回ると言って傍を離れて行ったきり、1時間以上も音沙汰ありません。
携帯に連絡してみるも、さっぱりつながる気配はありません。
暫く店内を歩き回って、誰かに誘拐でもされたのかしら?と本気で心配し始めた頃でした。
物陰で何かが動く影がありました。
マ「ゴロン・・・Zzz・・・んみゅぅ~・・・」
母「・・・・・・マモル・・・orz」ゴインッ!
マ「フギャッ!?・・・んむぅ~・・・」
僕は母さんの鉄拳で目を覚ましました。鈍い痛みが離れません。
マ「・・・ったぁ~・・・」
母「・・・まったく、商品の上で寝てる子なんていないわよ!」
母さんは顔を真っ赤にして怒っています。
マ「母さんゴメン・・・」
母「もういいわ・・・ハァー・・・で、いいベッドは見つかった?」
マ「うん、コレがいい」
母「ちょっ、コレって・・・」
マ「だって寝心地良いんだもん・・・だめ?」
母「ダメじゃないけど・・・もぅ、仕方ないわねぇ・・・」
マ「やた!」
その後、購入時にサキちゃん直伝の上目遣いを試してみました。
3割引が半額というお値段に下がりました。
・・・どうやら女の子の武器は涙だけではないようです。
――――――fin――――
最終更新:2008年07月21日 22:16