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『濃厚エロな厨二病STG』6

「ほら、こうやって…ゆっくり丁寧に洗うの」
晩飯を済ませた俺達は、風呂に入っていた。
聖による、女の子の身体の洗い方講座。といった所だろうか。
「く、くすぐったいって…ちょ…わひゃっ」
わざとやってるんだろうか…それとも俺の肌が敏感すぎるのか?
自分で触った時はそうでもなかったというのに、他人に触られるとくすぐったくて仕方が無い。
「こ、こら!暴れないでっ……んもぅ、暴れる奴は…こうだっ!」
そう言うと、俺の特に弱い部分を重点的にくすぐってきた。
おそらくは、洗ってる最中の反応で判ったのだろう。
「ちょ…やめっ…くくっ…くぅっ…も、もうだめ…ッ!あは、ははは!あはははははは!」
なんとか笑わないように我慢していたが、我慢しきれず決壊してしまった。
「ほらほらっ、参ったって言いなさいっ」
「ま、参った参った!ギブギブ!」
俺がギブアップすると、聖はすぐにくすぐりから開放してくれた。
いやはや、まさかここまで敏感だとはなぁ…。
「さ、それじゃ続きいくわよー」
今度は我慢して動かないようにしてよう…くすぐられるのは勘弁だしなぁ。

身体を洗うのを終えて、二人で湯船に入った。
相変わらず、聖を直視出来ない俺にとっては湯船の中の方が多少落ち着くというものだ。
「なぁ、ちょっと聞いても良いか?」
俺の真剣な表情に、聖は一瞬だけ戸惑ったようだが、すぐに質問の内容に感づいたようだ。
きっと、近いうちにその質問が来る。ということが判っていたんだろう。
「……それは、『蒼条』に?それとも、『聖』に?」
「――蒼条だ」
蒼条の家について教えてもらった時からあった違和感。
――昔とは違って、自滅する者は少なくなった。
そう、『昔とは違って』という所だ。
昔とは違うということは、少なくとも昔は自滅する者が居たということだ。
ならば何故、今も尚蒼条家は退魔として途絶えていないのか。
そこに、俺の力を解放するためのヒントが隠されている。
そう思えてならない。


蒼条家。
退魔の家系として長い歴史を持つ。
通常時の力は高いとは言えないが、その力の特性――相乗――によって、自己のみならず、他者の力をも増幅させる事が出来る。
例えると、自分の放出した二つの光を一つにすると、通常は1+1=2という事になる。
しかし、相乗させる事によって2が3に、果ては4になったりもする。
単純な足し算や掛け算とは違う法則を持つソレは、人の身で扱うには少々荷が重いのだろう、
制御する為に強い精神力が必要とされ、増幅する力が強ければ強いほど、その数が多ければ多いほど…
過ぎた力の代償として、理性が薄れていく。
代償と反動。
これは全ての退魔士に言える事だが、力の限界と言うものは必ず存在する。
しかし、通常は限界を超える前に理性がストップをかける。
これは退魔に限らず、人の身体に元々備わっているものだ。
退魔の力。というものは、人の精神と密接に関わっていると言われている。
また、精神を具現化した物が退魔の力だ。という見解もあるそうだ。
ならば、極限状態などで理性のストップを無視し、限界を突破するとどうなるのか。
それは、人格や記憶など、精神――あるいは心――に依存する物を磨耗していき、磨耗した精神では力の制御が出来ず自滅…という事になる。
といっても、これは限界を無視し力を行使した場合に過ぎない。
力の反動…といっても、人も身体を動かせば疲労するし、身体を動かした分エネルギーとして脂肪などを燃焼させる。
退魔の力という物も、基本は同じ。
力を使えば、その根底となる精神に負荷をかけることになる。
簡単に言ってしまえば、限界を超えない限りは、力を使えば使うほど、精神的に疲れる。ということ。
蒼条の家というのは、その特性上精神への負担が強い…というだけの話。




閑話休題



「…まぁ、大体検討は付くけど、聞いてあげる」
単刀直入に言ってしまおう。
「俺の、力の解放は出来ないか?」
希望半分、不安半分で聖に聞いてみた。
「…開放して、どうするの?」
……そんなもの、決まっている。
「……仇討ち、かな」
仇討ちなんていう綺麗な物じゃない、俺がやりたいのは復讐だ。
もうどこかの退魔士に倒されているかもしれない。
それでも俺は、アイツを探し出して、絶対にこの手で殺す。
俺の存在する理由、望みはそれだけだ。
「復讐で力を使えば、簡単に限界を超えちゃうし、そんな人の力を解放する事なんて私には出来ない。
それに、私が開放出来るのは同じ系譜の人間だけなの…ごめんね」
やっぱり、だめか…。
最初から、判ってはいた。
蒼条が力の解放を全ての人間に対して使えるのなら、真っ先に俺の力を解放しにきていただろう。
真藤の力の系譜がどれほど強いのか、それを父さんから聞いた事は無いが、
退魔協会としては、退魔士が一人でも多く欲しいはずだ。
「そっか、だめか…ごめん、変な事聞いて」
がっくりとうなだれる俺を、聖がそっと抱きしめてきた。
「そんな顔しないの…あなたは、退魔士になっちゃだめ。明るい、日向の上を歩いていきなさい」
――嗚呼、人はこんなに…暖かかったんだなぁ…。
涙が、止まらない。
裸で抱きしめられているなんていう恥かしさは無く、胸に宿るのは、ずっと忘れていた人の暖かさへの嬉しさ。
いつもは冷たい涙も、ほら…今はこんなに暖かい。
心の底に積もった、悔しさや怒りも、今は…忘れられる。


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最終更新:2008年08月02日 03:47
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