5/20以来の恵輔視点
…まだか？
さっき(メール打ってから)５分と経っていない
相も変わらず性急な性分に嫌気がさす
電車がホームに滑り込んで来るのと同時にケータイが鳴る
｢今着いた。何処にいる？｣
｢ベンチに座ってる｣
来て欲しいばかりが先に立ち、何処にいるか伝えてなかった事に今頃気付かされる。
それでも『来て欲しい』という思いは変わらなかった…
直後、辺りを見回している翔也が目に入った
｢翔也………｣
始めて発した新しい声は細く高かった…
翔也は俺の方へ向き直り、歩みを進めて…
｢…恵輔……？｣
俺だと判断してくれた。
一目見ただけで判断してくれた。
それが嬉しかった…
｢…なっちまったか…｣
悔しそうな声…
居た堪れなくなり、ごめんと謝る
｢しゃーねーよ｣
｢なっ…そんな簡単に片付けられる問題かっ！｣
翔也は何も悪くないのに…
｢もう前みたいには行かないんだぞ！前みたいには…
これから先だって…｣
自分勝手に不平不満をぶつける俺に嫌気がさす…
｢今までみたくは無理かもしれんけど、お前はお前だろ？｣
クサいけど頼もしい科白
｢翔也…｣
｢って、おま、なに泣いて…｣
言われて頬が濡れている事に始めて気が付く
｢泣く、かよ……うっ……｣
泣きたくなんかないのに…
｢落ち着けよ、な？｣
｢ごめん…｣
｢いいから…｣
最終更新：2008年08月02日 04:03
