安価『ゲーム』

252 :紫蘇 ◆OJMjCiynlc :2007/09/22(土) 04:40:45.37 (p)ID:CGlHfZMa0(18)
「もうすぐ俺らも誕生日になるんだが……」
 俺こと千春は幼馴染である敏哉にそう声をかけた。
 16歳の誕生日まで童貞だと女体化してしまうからな、それに関しての話だ。
「そうだなぁ…」
 と、敏哉が相槌を打った。
 今、俺たちは俺の部屋で対戦ゲーム『いただき電鉄』を耐久モードでやってる。『いただき電鉄』は日本を電車で駆け回り、都市を強奪したりして行く陣取りゲームみたいなものだ。
 そして耐久モードとは10時間はかかるモードであり、日曜日の今日だからこそやっていられる。
「んでさ、敏哉、まだ童貞だろ?」
「相手いないしそうに決まってるだろ?っていうか千春もだろ」
「まあな」
 幼馴染に童貞かどうか確認するのも愚問だった。まぁ、念の為という事で。
「それで、だ。ひとつ提案がある」
「ん、なんだ?」
「俺は正直誰かとセックスしたいんだ。お前もそうだろ?」
「相手がいりゃな」
 そうだろうそうだろう。
「そこでどっちかが女になりゃ、セックスしまくれるんじゃね?」
「お前天才!!」
 ああ、俺も会心の閃きだと思ったぜ。
「んで、俺は男でいたい。敏哉はどうだ?」
「俺も男のがいいな」
 まぁ、普通はそうだろうな。だからこそ、今までどっちかが女になってどうこうって発想がなかったのかもしれん。
「今やってる『いただき電鉄』の敗者が女になるって事でどうよ?」」
「いいぜ、ぼこぼこにしてやんよ」
 敏哉の奴も乗り気だ。
 ちなみに現在の戦況は五分五分。ゲームでそんな大事な事決めるなって気もするが、つい勢いでそんな流れにしちまった。若気の至りって怖いね。



253 :紫蘇 ◆OJMjCiynlc :2007/09/22(土) 04:41:16.85 (p)ID:CGlHfZMa0(18)
「アンビリーバブルカッター!!」
「うそん」
 ゲームも終盤に俺の溜め込んでいた切り札を炸裂させる。これで敏哉の支配する東京の被害は甚大だ。俺の勝利も近い。この勝負負けるわけにいかないしな。
「しょうがねぇ…俺はこれに全てを賭ける!エターナルフォースブリザード!!」
 説明しよう!エターナルフォースブリザードは広範囲のエリアの大気ごと凍結させる切り札で食らった都市の機能が死ぬ。欠点はエリアがランダムって事だ。敏哉の奴、イチかバチかできやがった。
 関東死ね!関東死ね!!
 そんな俺の願いは虚しく、俺の支配する大阪、京都、神戸が一瞬にして凍りつき機能停止してしまった……
「俺の勝ちだな」
 くっそぅ…敏哉の勝利宣言を聞くハメに……。でもまぁ仕方ない、勝負は勝負だ。
「ああ、わかったよ!俺が女になりゃいいんだろう」

 数日後。
 自分で言うのもなんだがそこそこ美女になった俺は、敏哉とベッドでプロレスごっこしたあと、そのまま添い寝していた。
 そして、けだるげな敏哉が呟く。
「そういえば、今気づいたんだけどさ…お前の方が誕生日先だから女になるのがお前だったからよかったけど、俺が負けてたらどうしたんだ?」
 確かに、俺が男でいるのなら誕生日が後の敏哉が女になるまで待ってられないものな。
 そして、俺はこう答えた。
「そりゃあ…俺がお前の尻に……」

―終―


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最終更新:2008年08月02日 12:00
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