はてさて、どういうことだろうか。今俺の目の前には一人の制服姿の(俺と同じ学校の制服だ)女の子がいるんだけど、彼女の様子がどうもおかしい。
俺からしてみればどう考えても初対面なのだが、彼女は俺を知っている風に話してくるんだ。
まあ、これだけのことなら単に俺が忘れてしまっていたということですみそうなものなのだが、彼女のおかしなところはそんなところにあるんじゃないんだ。
「旦那様、早く用意をしないと学校に遅れてしまいますよ」
これだ、なぜか彼女は俺のことを旦那様なんて呼んで来るんだ。容姿も可愛いものだからこっちとしてはとても戸惑ってしまう。当然、学生の俺にこんな若妻がいるはずがないし、だいたい何で俺の奥さんが朝一に家のインターホンを鳴らすんだよ。
別居中か? そんなわけの分からん関係なら記憶に残らないはずがないだろうよ。
「ほら旦那様。早く用意をなさってください。手伝ってさしあげますから。ほら、こちらへどうぞ」
「まってくれ、本当に覚えがないんだ。君は誰なんだ? 何か理由があってそう呼ぶならちゃんと教えてほしい。時間がかかるようなら学校は休んだっていいから」
「……そうですか、本当に記憶がないんですね。私たちがあんなにも愛し合っていた…………前世の記憶がッッ!!」
なんだ、電波か。
俺としたことがこんなイカレポンチを家ん中にに入れてしまうとは、容姿にやられたかな。
「お願いです。思い出してください。あの楽しかった季節の記憶を、二人過ごした季節を。どうしても思い出せないというのなら私が語りますから、どうか思い出してください」
「残念なことにな、俺はいかれた野郎に対する対応をひとつしか知らないんだ。その可愛い顔を傷つけるのは可哀想だとは思うが……行くぞっっ!」
「えっ?」
「集中っ集中っ集中っっ」
「やっ、ちょっっ、まってくれ」
「右腕の稼動限界解除。両足の加速限界解除。思考の停止。思考回路を眼前敵の完全征圧に設定。正常に完了。……制圧開始」
「ちがっっ俺だ俺っっ。女体化したもんだからからかってやろうと思って変なこと言っただけなんだって。だからやめてくれお願いだから。ていうかお前何もんなんだよおおおおおおおお」
「かああああああああああっっ! わが腕は能力の限界を超えっっ!! 赤く燃え上がるっっ!!」
「うわ、うわ、うわ」
「一撃、撃滅!!」
「ああああ……」
「ファイナル ブリッドオオオオ!!!!!!!」
「うわああああああああああああああああああああああああああああ」」
最終更新:2008年08月02日 12:20