安価『リボルバー』

「じゃあな、相棒…」
そう呟いて俺はそいつを投げ捨てた。幾度となく共に死線を掻い潜った戦友であるそいつは、
茜色の夕日を受けてキラキラと輝き、そして呆気なく水面へと姿を消した。
M19コンバットマグナム4インチシルバーモデル。それが俺の相棒だった。
始末屋と言う職業柄手放すことのなかったそいつは、今の俺には無用の長物に成り下がった。
何故なら、体のあちこちで筋力の落ちたこの身体では、もう始末屋稼業を続けることは出来ないからだ。
こうなってしまっては仕方がない。…今更もう未練もない。どこか違う土地に移って静かに暮らそう。
そう思って荷造りをしていたときだった。

気付いたときには俺は自らの血溜まりに突っ伏していた。
よくもまあ、こんな姿になっても気付いてくれたものだ。
俺は女になっていたと言うのに。乾いた笑いが漏れ出す。
最後に頭に浮かんだ言葉は、『組織を離れるものには死を』そんな陳腐な言葉だった。

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最終更新:2008年06月11日 23:12
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