安価『 勝負下着 』

どこからともなく焼き魚の匂いが漂ってくる夕方の住宅街。
子供の無邪気な声が響き、カラスの鳴く声が哀愁感を漂わせる。

住宅街の一角に、申し訳なさそうに小さな公園がある。
ふたつのブランコと小さな砂場があり、日中は子供を連れた母親達がよく来る。
この時間ともなると、この公園は元より、複雑に入り組んだ道路も人影はまばらだ。

「俺、明日誕生日なんだ・・・」
「そう・・・」

錆付いたブランコに、二人の男女が座っていた。
明日誕生日と悩んでいるのは、検見川貴志。15歳の高校1年生。
そしてその隣に座っているのは、検見川の隣の家に住んでいる小岩奈緒子。18歳の高校3年生。
この二人、幼い頃から幼馴染、かつ家がお隣さんということで、かなり仲がよい。
窓を開ければ互いを確認しあうことの出来る、エロゲ的には素晴らしい設定のお二人だ。

なぜ、検見川が悩んでいるのかというと、未だに童貞だということ。
16歳までに童貞を卒業しなくては、女体化してしまうこの世界。
このままでは、検見川も例外なく女の子になってしまう。
彼はとてつもなく悩んでいた。

「俺、女の子になりたくない・・・」
「気持ちは分かるよ・・・」
「嘘だ・・・」

幼馴染の優しい言葉にも、あまり耳を傾ける気はない。
それだけ切羽詰っているということなのだろうか。彼の手は少しだけ震えていた。
明日には「自分」がいなくなっている。そういうことを考えると体が震えてしまっても致し方ない。
小岩は彼のことをずっと見つめていた。
私に出来ることはないか、ということを考えながら・・・。








家に帰り、検見川は悩んだ。親に頼んで金を借り、風俗でも行って童貞脱出するか本気で悩んでいた。
でもそんなこと口が裂けても言えない。恥ずかしいったりゃありゃしない。
検見川はベッドに寝転がり、天井を見続けた。
明日には来るであろう自分の姿を想像しながら・・・

そんなことを考えながらウトウトしていると突然、部屋の窓が開く。
外からやってきたのは、奈緒子だった。
屋根を伝ってくれば互いの部屋を行き来することができる。
彼女は抜き足差し足、検見川に気付かれないよう歩いてきた。

「どうして俺の部屋に来たの?」
「そりゃモチロン、あんたの童貞を食べにきたのよ!」
「mjd?」

目を見開かせながら、検見川は言う。
何度か彼女を想像しながら夜のオカズにしたことはあったが、こういう性行為を望んだことはなかった。
彼にとって奈緒子の存在は、恋人以上の存在であった。
また彼女もしかり、彼と同様の考え方を持っていた。

「今日は奈緒子お姉さんが、あなたを男にしてあげるねッ。」

検見川の頬に軽く口付けをし、ウインクしながら言う。
彼の顔は見る見るうちに紅潮していき、湯気でも出てきそうなくらい赤くなった。
そこからは彼女のペース。されるがままにベッドに押し倒され、検見川が奈緒子に跨られる格好になった。
彼女が先に服を脱ぐ。なんだか派手派手な下着を装着している。

「何でそんなに派手なの?」
「こういうときの為の・・・勝負下着よ・・・」

その夜、検見川は真の男になった。


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最終更新:2008年08月02日 15:33
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