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安価『帰省ラッシュ』

昨年の夏、父親の実家で俺は誕生日を迎えた。
生まれてこの方、女性との性交渉が無かった俺は、例外なく女体化した。

朝起こしに来たばあちゃんは俺の姿に思いっきり腰を抜かし、今では杖がないと歩けない。
姉貴は「童貞だったんだね」と半笑いで言ってきた。
母親は「こんな息子に育てた覚えは・・・」とがっくりとうなだれた。
親父は「俺がお前の頃はなぁ・・・」と高校時代の女性遍歴を語った。



寒い冬が終わり、桜も散り、じめっとした梅雨が終わる。
そんなことがあってから、ちょうど一年が経った。
今年も帰省の季節となった。
夏の風物詩である甲子園が始まり、蝉達の大合唱が鳴り響く毎日。
俺は部活に入っていなかったので、ダラダラと毎日を過ごしていた。

夕飯を食べ終え、何をしようか迷う。
俺の部屋にはエアコンがないので、とりあえず涼しいリビングに向かった。

「薫、明後日からばあちゃんの家行くぞ」
風呂上りの親父がビールを飲みながら言う。
テレビにはナイター中継が映し出されており、俺はぼーっと眺めていた。

「薫、聞いてるのか?」
「あぁ、聞いてるよ・・・」
「お前そんなだらだらしてると、学校始まるとばてちまうぞ。」
「うるせぇな・・・」
「全く・・・女になったんだから、少しは女らしくしろよな・・・」
俺は腹を掻きながら、分かりましたよと軽く手を振る。
その姿を見ると、親父は顔に手をあて大きく溜め息をついた。







「・・・すまん。」
「もう一度言ってくれない?あなた?」
リビングで親父と母親が何か話し合っている。
帰省二日前。親父がとても重々しい口調で謝る。
テレビを見ているふりをし、俺は会話に聞き耳を立てる。

「その・・・えっと・・・」
「ちゃんと言ってよ。」
「切符を・・・無くしちゃって・・・」
「どこに?」
「全く分からん・・・」
「それじゃあ、どうやってあなたの母方の家に帰るのよ?」
「今更新幹線取れるわけないだろうし・・・車だろうな・・・」
「く、車・・・はぁ・・・」
車と聞いて頭を抱える母親。
会話を全て聞いていた俺。
俺も母親と同様に、頭を抱えたくなった。
どうせならばあちゃん家行かないで、どこか旅行行こうかと提案したくなった。
車でばあちゃん家行くとなると、半日以上かかってしまう。
電車を使って行くだけでも一苦労なのに、車で行くとなると相当疲れる。
俺は渋い顔をしながらテレビを見続けた。


「それじゃ、明後日は車で行くから。早く起きろよ。」
夕飯の時、親父が改めて言う。
姉貴はしかめっ面で「親父の馬鹿」と一言。
母親は黙々とご飯を食べ続ける。
俺も黙々とご飯を食べ続ける。

この時の気まずさは、俺が女体化した時以来だ。







それから二日後の午前3時。
俺は日付が変わる辺りまで起きていたので、思いっきり眠い。
重い瞼をこすりながら、ばあちゃん家に持っていく荷物を確認する。
PSPにDS・・・あ、ミルキー入れとかないと・・・

「薫!早くしろ!」
一階から親父の大きな声が聞こえる。
そんな大きな声で言わなくたって聞こえるってのに。
こんな朝早くに怒鳴り散らすとか、近所迷惑もいいとこだろう・・・。

「うるせぇな!今行くよ!」
「早くしろよ!馬鹿!」
「んなてめぇが切符無くさなけりゃこんなことになんなかっただろ・・・ブツブツ・・・」
ぶつくさと文句を言いながら、階段を駆け下りる。
既に車にはエンジンが掛けられており、いつでも出て行ける状態となっていた。

「よし、荷物トランクに積んで。さっさと行くぞ。」
「そういや姉貴は・・・?」
「・・・」

それから一時間後の午前4時ごろに、ようやく家を出る事ができた。
出だしからこんな様子なのだから、今後どうなるかは少し予想がついた。

俺達を乗せた車は、一路東北自動車道へと向かう。







「・・・やっぱ遅かったか・・・」
「親父ぃ、後どれくらいでサービスエリアつくの?」
「分からん・・・」

ずらりと並ぶ車の列。
それはまるで自動車の見本市でもやっているかのような雰囲気だ。

案の定、渋滞にはまる。
朝方8時くらいまではよかったのだが、とある所から全く動かなくなってしまった。
高速の渋滞情報が延々と流れ続ける。
俺達のいる所は、50キロ近く渋滞しているとのこと。

母親は編み物をしている。
渋滞なんて全く気にしている様子は無く、むしろ楽しんでいるようにも思えた。

姉貴はずっと携帯をいじくっている。
アプリでもやっているのか、それとも彼氏とメールでもしているのだろうか。
でもそろそろ充電が切れるだろう。
朝からぶっ通しで使っているのだから、バックライトを消していてもそろそろ危ない。

あ、切れた。



俺はというと・・・むずむず・・・
家を出るときに・・・行っておけばよかったな・・・

激しく襲い掛かる尿意と戦っていた。

近くのサービスエリアまで、後5キロ・・・







股間に手を当てもぞもぞと動く。
少しでもそれが出る場所を押さえているだけでも、気分的にも少し楽になる。
栓をしているつもりなのだろうが、いつダムが崩壊してもおかしくはない。
俺の視点は定まらずに、目が思いっきり泳いでいる。

携帯を放り投げて景色を見ている姉貴が、俺の異変に気が付く。

「薫・・・もしかして・・・」
「う・・・うん・・・ちょっとやばい・・・」
かすれた声で言う。ちょっと涙目になっている。

「うっ・・・!」
一回目の波が襲ってきた。
ぎゅっと股間を強く押さえ、必死に耐える。
歯を食いしばり、腹筋に最大限の力を入れる。

すると、姉貴は俺の脇や腹をくすぐってきた。
俺がくすぐりに弱いという事を知ってか知らずか、にやにやとしながらいやらしい手つきでくすぐる。
ぞくぞくぞくっと全身が震え、一瞬体全体の筋肉が緩んだ気がした。

「あっ・・・」

チョロッ・・・

(ふんもっふ!)

再び全身に力を入れる。
どうにかしてダムの決壊は免れたが、少量の尿が俺のショーツに染み渡る。
ズボン越しからでも濡れているというのが少し分かる。
俺は鋭い目つきで姉貴のことを睨んだ。







「く、くそ姉貴がっ!」
「HAHAHA!It’s joke!」
「『いっつじょーく』じゃねーよ!この野郎!」
俺は顔を真っ赤にしながら食って掛かる。
すると姉貴は、俺の股間に目をやる。
少しばかり滲んだ部分を見つけると、にやっとしながらこう言った。

「あれ?漏らした?漏らしたの?」

「・・・!」
「あ、図星だな?その年になってまでお漏らし・・・プププ」
「う、うるせぇ・・・うるせぇ・・よ・・・」
姉貴一辺倒のペース。
俺は涙目になりながら言い返すものの、姉貴に勝てる気がしない。
ただ股間に手をあて、サービスエリアへの到着を待つばかりであった。

(サービスエリアに着いたら・・・とりあえず姉貴をぶん殴ろう・・・)

そう思いながら、車が動くのをただひたすら待った。


―――――――――――――――――――――――――

『○○IC付近で十数台による玉突き事故により、東北自動車道の○○ICから○○ICの間で依然通行止めとなっております。繰り返します・・・』

「・・・だってよ。」
親父が溜め息をつきながら言う。
ちょうど俺らのいる場所が通行止めとなっており、30分前から車が動く気配が一切無い。

そんな時に、最大の波が襲ってきたのである。







「むぐぅっ・・・!」
唇を思いっきりかみ締める。
ぎゅうっと股の所を強く押さえ、前かがみになる。
再び姉貴にくすぐられないように、二の腕の部分で脇腹を押さえる。
目を思いっきり瞑り、無心の状態にする。
(羊が一匹・・・羊が二匹・・・羊が三匹・・・)
何故か羊を延々と数える俺。
だがこういうときは、羊を数えると何故か集中できるのだ。

相当早いペースで羊を数え、いつの間にか1500匹を超えていた。
俺の頭の中には大量のメリーさんの羊が住んでいる。

(・・・そう言えば、メリーさんって誰なんだ・・・?)

ふとした疑問が思い浮かぶ。
そう思ったが最後、俺の集中力は途端に途切れた。

「あっ!ああぁぁ・・・」

全身の力が抜けると共に、弱弱しい声が車中に響く。
しょわしょわしょわと、清流のような音を響かせながら、後部座席を濡らしていく。
異変に気づいた父親が俺の方を見ると、うおっ!と驚いていた。
編み物をしていた母親も、傍らに置いてあったタオルを手に取り俺の方に投げる。
姉貴は「私のせいじゃないのよ」と言わんばかりの態度で俺のことを見つめている。

膀胱に溜まった小水を出し終えた俺は、全身を震わせながら少しばかりの快感を得ていた。
(おしっこ漏らすのって・・・結構気持ちがいいんだな・・・)
涙を流しながらも、今までにない快楽を得る。

それから俺がお漏らしが快感であるという事に気づいたのは、それほど遠い日のことではなかったことを言っておく。


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最終更新:2008年08月02日 15:43
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