安価『こたつ』

寒さ厳しくなる師走の頃。
色々と忙しくなってくるこの季節は、何かと余計なことが起きる季節でもある。

俺の友人である秋津は、16歳の誕生日を目の前にして女体化した。
ほとんどの人が誕生日の前後1、2日くらい女体化してしまうのだが、彼の場合、3週間も早くその「時」が来てしまった。
「彼女いない俺達二人だけで、寂しく盛大にクリスマスパーティー開こうぜ!」と言っていたが、どうやらその約束は果たせそうにない。

というか、まさか秋津が童貞だったなんてなぁ・・・



「なあ、秋津。」
「うん、どうした?」
学校の帰り道、俺達はいつものように二人仲よく並んで帰宅の途につく。
秋津が女体化したからといって、別段俺達の仲が変わるというわけでもなかった。
「お似合いカップル」とからかう奴もいるが、「俺」は全くと言っていいほど、以前と変わらぬ態度で秋津に接している。

「クリスマスなんだけど、どうするんだ?」
「ああ、パーティーをやるかやらないかってことね。」
「俺はやっても構わないんだけど?」
「俺も別に構わないよ。どうせ互いに彼氏彼女なんていないんだからね。」
俺はぽりぽりと頭を掻きながら苦笑い。男時代に言われた時は「うるせぇ」と小突いて終わっていたが、今はなんだか微妙な気持。
例え相手が幼稚園からの幼馴染であったとしても、外見は全く見知らぬ「女性」の姿をしている。

そうこう雑談しているうちに、俺の自宅付近の交差点に差し掛かる。
ここから別の道を通るので、この交差点でいつも秋津とは別れている。

「とりあえず、イブまでにやるかやらないか決めとけよ。」
「分かった。お前も決めとけよ。」
あいよ、と気のない返事をし、俺は自宅へ向かっていった。







「うん・・・分かった・・・」
「やる方向で。OK?」
「OK、把握した。」
「それじゃ、クリスマス楽しみにしてるぜ。」
クリスマスの1週間前。18日の夜に、秋津は俺の携帯に連絡をしてきた。
彼女のことだから、早く決めるのかと思っていたら、結構時間が掛っていた。
いつもだったら、即決で「やろうよ、やろうよ!」と言うはず。これほど時間を掛けて返事をしてきたのは初めてだ。
最近、学校で話しかけても微妙な反応しかしていない秋津。
俺のことを避けているというか、何と言うか・・・。

ただ、男の時と比べると間違いなく何かが変である。
ここ数日は一緒に学校に来たり帰ったりしていないし、弁当も一緒に食べない。


もしかして、俺に惚れちゃってるんじゃないのかな、ってね。


「まあ、そんなことはないだろうけどね。」
ぼそっと呟き、コタツの中にぬくぬくと体を埋める。

寒い季節には温かいコタツに入り、みずみずしい真ん丸ミカンを頬張る。
コタツで奪われた水分を、甘い汁滴るミカンで補給していく。

うん、最高に幸せな気分になれるね!

俺はテレビを見ながらミカンを頬張る。
コタツの設定温度が高く、頭が少しぼおっとしてくる。

・・そういえば、俺も誕生日・・・来月だったよな・・・
まだ・・・童貞だから・・・俺もどうにかしな・・いと・・・秋津みたい・・・になっちゃう・・・なぁ・・・







どれくらいの時間が経っただろう。
こたつにもぐって、頭がぼおっとして・・・

そこからどうしたんだっけ?
まあ、いいか・・・

「キャア!!!」
俺はその叫び声で目覚める。
母親らしき声であるように感じる。
ゴキブリか変ものでも見たのだろう。

「お前・・・童貞だったのかい・・・」
とても残念そうな表情で俺のことを見ている。
額に手を当てながら、溜息をついていた。

なんで俺のことを見て溜息をつくのだろう。
まあ、いつも俺を見るとこんな感じなのだが、今日は少し様子が違う。

体をこたつから出し、思いっきり背伸びをする。

ぷるぅん。

・・・ん?

なんかおかしいな。

母親も「大きいわねぇ」と感心しながら見ている。

まったく何がどうなっているのかわからない状況。
俺は違和感を感じる胸の辺りに目を向ける。






   _  ∩
( ゚∀゚)彡
 ⊂彡

ああ、せっかく●●の予約済ませておいたのに・・・
誕生日前にって楽しみにしていたのに・・・

俺もごく稀な確率に当たっちゃったってことなんだね・・・

この確率に当たるというのは、喜ぶべきなのか、喜ばないべきなのか。

異様に大きい胸を見つめながら、俺は軽くため息をついた。



みんなも、こたつに入ったまんまで眠らないようにね。
風邪ひいちゃうからね。

〆が意味不明です。本当にあr(ry


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最終更新:2008年08月02日 15:48
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