「さて、今日も部活に精を出すか・・・」
いつものように気だるい朝。
小学校の時から続けている野球も、かれこれ7年も続いている。
なかなかひとつの物事を続けるという事ができない自分が、これほどまで長く続けられるということは、すごいことだ。
我ながら褒めたいと思うことが多々ある。
いつも朝の目覚めの時は、体がだるいのだが、今日に限って物凄くだるい。
体重が増えたというか、体の一部に何かくっついたような感じがする。
髪を洗う必要のない五厘刈りだったのだが、頭に妙なボリューム感がある。
不思議に思った俺は、便所に立ち寄るついでに洗面所に向かった。
「朝連だるいなぁ・・・あぁ!?」
鏡を見た瞬間、思わず声が上ずってしまった。
今まで伸ばした事のないくらい髪が伸びており、胸のところには申し訳なさそうな膨らみがふたつ。
そして顔。 くりくりとした可愛らしい目に、すっきりとした顔立ち。 全くの別人と化している。
「ああ・・・ あの時亀戸とヤッてればなぁ・・・」
両手で思い切り髪を掻きあげ、その場にしゃがみ込む。 今更後悔しても、時既に遅し。
ふわっ
俺はもう一つ、何か違和感を感じる。
ちょっと尻の辺りに力を入れてみる。
ふわっ
もう一度力を入れてみる。
ふわふわっ
それが何なのか、ゆっくりと確認する。
それは紛れもなく、猫や犬には必ずついているモノ、「尻尾」であった。
長さといい、尻尾の感じといい、それは猫のものと全く同じである。 何故尻尾が生えてきたのかは分からない。
多分、ではあるが、女体化したついでにということで生えてきたんだと思う。 というか、それ以外に考えようがない。
前々から成長し続けて、今日になって「こんにちは」と急激に成長したなんてこともあり得る。 いやいや、あり得ないって。
兎にも角にも、女体化した俺には、「猫の尻尾」というものが一緒にくっついてきてしまった。
隠そうにも、隠せない。
無理矢理隠そうとしても、隠し切れない。
スカートの中で何かがもぞもぞしているので、傍目から見たらバ○ブが入っているんじゃないかと思いっきり勘違いされる可能性がある。
俺は隠すという手段を諦め、覚悟を決める事にした。
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それからというもの、俺は学校一の人気者と化す。
最初のうちは、様々な人から怪奇の目で見られ、すごくやり辛い空気が流れていた。
だが、そんなものも数日経てば慣れるもので、今となっては「生えてきて良かった」と思えるほどになっている。
猫の尻尾があるということなのだろうか、口調が自然と「~だにゃ!」みたいな感じになってきた。
終いには、女子生徒がネコ耳を買ってきて俺につける始末。 でも悪くないかもと感じてしまう俺がここにいる。
最初のうちは休み時間だけつけていたのだが、今では四六時中つけている。
家だろうが学校の授業中だろうが休日だろうが、いつでもどこでもネコ耳標準装備となっている。
「これからも、鉄オタと俺をよろしくニャ!」
最終更新:2008年08月02日 15:50