安価『三つ子』

「ふあぁぁぁ」
毎朝6時に起きるのが俺の日課だ。今日は食事当番だったはずだ、はやく支度しないと。
そう思ってベッドから降りようとすると
「う、うわぁあ!」
ベッドから転落してしまった。パジャマの裾が引っ掛かったのだ。
「あれ、パジャマが伸び・・・」
「ねー夏樹~ぃ、どーしたのー?」
音を聞いて駆けつけたのか、冬亜が入ってきた。コラ、ノックしろと言ってるだろう!
「あれれ?どちら様?夏樹は?」
「何言ってるんだ冬亜、夏樹は俺だ。」
ん、声が変だ、風邪でも引いたか?
「だってだって、夏樹は男の子だよ?」
「何を・・・」
自分の体を確認すr
「え?うわぁ!」
今日二度目の悲鳴だ。

俺の名前は麻宮夏樹(アサハラナツキ)。
三つ子の妹の秋乃(アキノ)、冬亜(トウア)といっしょに、星城学園の寮で暮らしている。
今までは秋乃と冬亜、それに友人たちとそれなりに充実した生活を送っていたのだが・・・

ぺたぺたと体を触ってみる。胸がある。結構大きい。冬亜はともかく、秋乃より大きいかもしれん。男性の象徴は・・・きれいさっぱりなくなってる。
髪も伸びてさらさらストレート、身長もやはり縮んでいるようだ。



それにしてもなんで今?誕生日はまだ1ヶ月先のはずなのに。
絶望に打ちひしがれていると、秋乃がやってきた。
「冬亜、夏樹、どうしたの?」
「秋乃~、夏樹が女の子になっちゃったよ~?」
「えと・・・夏樹?」
「ああ・・・」
「夏樹可愛くなったねー!これで一緒にお風呂入れるね!」
冬亜はこの歳になってもまだ一緒に風呂に入りたがる。寮だから男女別だというのに、女風呂まで引っ張っていこうとするのだ。
「そんなことより夏樹どうするの?今日は学校休むんでしょ?」
「そうなる・・・よな」
「じゃあ学校に電話してくるから待っててね。あ、今日のご飯当番は夏樹だっけ。ちゃんと作っておいてね」
いつもはおっとりしてる秋乃だが、こういうときになると途端に行動的になる。
「夏樹、先生が今日休んでいいって。私たちと一緒に色々準備して来るように、って言ってたよ」
「準備・・・そうか、役所とか制服とか、かな」
「それもそうだけど、ほら、下着とか洋服とか、ね?」
「冬亜の貸してあげるよー!」
「だめだめ、冬亜ぺったんこだもん。夏樹は・・・私より大きいし・・・」
「ほ~ぉ、どれどれ~?」
わっ、揉むな!
「だからそういうのも全部新調しなきゃ!」
だから揉むなって!
「夏樹聞いてる?もう、自分のことなんだからね!」
「あ、ああ、わかったよ」



そんなわけで服を買いに着たんだが・・・
「夏樹!これ似合うから着てみて!」
「待ってよ冬亜、まずは下着から決めないと。こっちよ」
いつもは冬亜に振り回されるだけだが、妙に行動的になっている秋乃にも引っ張られて疲れはいつもの2倍だ。
店の人に剥かれてサイズを測られるという羞恥プレイのあと、下着(冬亜の好みだとクマさんプリントが入っているので却下だ)を買い、洋服売り場に向かった。
ちなみに79B。お店の人には形がいいと言われたのだが、まんざらでもなかった。女になって気持ちの変化も出てきたのかな。
「うわー、たくさんあるねー!」
「こら冬亜、あんまりはしゃぐな」
冬亜の首筋をつかんで引き止める。これはいつものことでもう慣れっこだ。
「夏樹、こっちこっち」
冬亜を引きずり秋乃のもとへ向かう。
俺はそういうセンスはあまりないので、秋乃が言った服を片っ端から試着していった。
秋乃は結構、こういうセンスがあるのだ。冬亜は問題外だがな。ファンシーすぎる。
「これなんてどう?」
渡されたワンピースを着てみた。鏡で見ると自分でもよく似合ってるのが分かる。
「おーっ、よく似合ってるよ夏樹~」
冬亜もそう思ったらしい。
「よし、コレを着ていこう」
秋乃も俺が自分で選んだのが嬉しいのか、とてもいい笑顔だ。



そんなこんなでもう夕方になったようだ。学校は1週間の休みを貰ったので、役所や制服注文は明日に回せばいいだろう。
クラスメイトたちの反応もそんなに否定的なものではないだろうと思えるし、帰宅部だったのでそれほど支障も無いだろう。
こんな生活でもよかったのかな、と思い、これからもこの身体ですごしていくことを決心したのであった。


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最終更新:2008年09月06日 22:11
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