安価『ニーモーター』

「なあ、これはなんだ?」
それは珍妙な兵器だった。筒にT字型の棒が取り付けられているだけで、なんともシンプルな印象を受ける。
「向こうさんの武器だってさ。なんでも、遮蔽物越しに何度となくコイツを撃ち込まれて大変だったらしい」
「ほぉ、そいつはすごい」
こんな筒がねぇ。やはり物は見掛けでは計れないんだな。
「で?どうやって撃つんだ?」
「さぁな。まだ誰も撃ってないんだ。なんならお前が試射してみないか?」
「それはいい。是非試させてくれ」
そしてそれを受けとると、軽く構えてみた。
「こう…で、いいのか?」
片膝立になり、もう片方の足を開く。そしてその太股にストックとおぼしき棒を添える。
「多分そうじゃないか?さあ、撃ってみてくれ」
「ああ」
――俺は大腿を骨折した。更に療養中に女になった。まさに降れば土砂降りってヤツだろう。
女になったことで戦線に復帰できなくなった俺にとって、あの謎の武器はいつまでも謎のままだ。

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最終更新:2008年06月11日 23:30
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