「…………緊張するなぁ」
教室のドアの前で立ち尽くす僕は思わず一人ごちた。
女体化を期に男子校から女子校へ転校した僕は今日が初めての登校で、先生に呼ばれるのを今か今かと待っている。
新しい環境は僕を受け入れてくれるだろうか。以前の学校は中高一貫で、
あまり女性と接したことのない僕にとって、女子高生と言うのは未確認生物にも近いものがある。
未確認生物と言えば……
「氏原、入れ」
思考が変なところに移ったところでお呼びが掛かった。それじゃ、行こうか。
不思議と緊張は融けていた。そりゃ、まぁ、これだけの格好をしていれば覚悟決めるしかないんだけどさ。
ドアに手をかけ、開ける。と同時に黄色い悲鳴が上がる。
うん、念のためサラシ袴ポニテで来てよかった。掴みはOKだ。
私服校だったことと、小道具を用意してくれた兄貴に感謝だ。
念のため言っておくけど別に剣道とか弓道とかはしない。ただのコスプレだね。
数ヵ月後。
僕の女性に対する幻想は粉々に打ち砕かれていた。
スカートは平気でバタバタするし、部室なんかは汚さの極みだったりするし、
なんか会話もだらしない。ヤったのヤらないのなんて話も大声でする。
そこで僕は風紀委員に立候補し、全校の改革に……
「という夢を見た」
「ほとんど同じじゃないですか、生徒会長」
「え?まぁ、うん…」
最終更新:2008年06月11日 23:36