安価『RPG風味』

5年ほど前の事である。
この世界の中心と呼ばれていた場所に、すべてを吸い込むかのような、巨大な穴が出来たのだ。
それが出来てからである。15、6歳位の童貞が女体化し始めたのは。
女体化と穴は、何らかの関係があるとされ、何度も調査隊が送られたが、誰一人として帰って来るものはいなかった。
そして、私は今回調査隊として志願したのだ。
これ以上女体化する者が増えてしまうと、人類が滅亡するという危機に瀕している。
私はそれを止める事ができるなら、と思い志願したのである。
今回の調査目的は、穴内部の調査、発生の原因、そして今までの調査隊の消息である。
我々は、A、B、Cの3班に分けられており、私はB班の班長ということになっている。
そろそろ入口に着く頃なので、ここまでにしておく
(調査員の手記より)


俺は今回調査隊に志願した訳だが、別に人類の未来とかを心配して志願したわけじゃない。
ただ報酬の金額がとてつもなかったからだった。
もし魔物が出て来たとしても、逃げれば何とかなるだろうし。
そうしてB班の俺達は、薄暗い穴へと入ってたのだった。

「早く調査終わんねーかな…まったく」
そう呟くと、隣りの明らかに魔導師っぽい格好をした奴が返してきた。
「早く終わる訳がないじゃないですか。穴に入ってからもう3時間も歩いていってるのに何も見つかったりしてないんですよ?」
こいつは女体化したらしいが、口うるさい反面凄く綺麗な容姿をしている。
流れるような銀髪。何もかもが見通せるような眼をしている。
「うるせーなー。別にお前に言ってるんじゃねーよ。」
「…?あれ見て下さいよ!」
そう言って魔導師が指さした先にはうっすらと光るものがあった。

「何だあれ?」
「取りあえず班長よんでみますね!班長!班長!」
そう大声でよんでも答えは返ってこなかった。
「あっれー?……おかしいですね…さっきまで班長はいたはずなのに…」
12人で行動しているはずだったのに、班長どころか、誰からも返事が返ってこない。

「仕方ないので光のあるところまで行ってみましょうか?」
「ああ…そうするか…」
そう言って二人は光に向かって歩き出した。
もしかしたらこの先に班長がいるかもしれない。

「班長たち、僕たちを放って行くなんて酷いですよ………ひぁっ!」
魔導師は何かにつまずいたように転んだ。
「いてて…」
「全く…どんくさい奴だな…。ほら」
俺は手を差し延べる。
だが魔導師は何かを見て震えているようだった。
「どうしたんだ?」
「あ…し、死体が…」
そう言って魔導師は地面を指差す。

そこに転がっていたのは、首のない、死体だった。
よく見ると回りにはそれが何体もある。
「おい…何だっていうんだよ…」
俺はまだ死にたくない。ましてやこんなところで。

そう考えたときには俺はすでに走り出そうとしていた。
「まっ、待って!」
魔導師は俺の足に必死にしがみついていた。
「足に何かがからまってるんだよぅっ!」
魔導師の足を見ると、何かの塊が、無数の触手を出して彼女を取り込もうとしているように見えた。
「や、やめろ!放せ!」
そう言って俺は、魔導師の、俺の足にしがみついている腕を蹴り飛ばして逃げた。

あいつには悪いが、俺はこんなところで死のうなんて考えてないんでね。
すると、叫び声が聞こえた。きっと彼女の断末魔か何かだろう。

全力で走った。すべての力を走る事のみに使った。


前が光ったようだった。

ドシュ


「え…?」

俺の首が、刎ねられた。
これは彼女を見捨ててきた罰なのだろう。
ここはきてはいけない場所だったのだろう。

おわじ


主人公最低END。


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最終更新:2008年09月06日 23:52
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