562 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 14:54:10.98 ID:rkRq+vwlO
俺は会長に弱味を握られ、
放課後に巫女装束で過ごしてるわけだ。
「香山、お茶はまだか。」
「はいはい、今持ってくよ。」
立場は会長専属の巫女らしい
要するにこまづかいだな。
まぁ、俺も黙ってやられっぱなしってのは趣味じゃない。
「どうぞ、お茶です。」
死ね。雑巾の絞り汁茶だ。
「ありがとう。
だが君が飲んでくれ。」
「え?
何をいってるんすか?」
「いやいや、急にいらなくなってね。
捨てるのももったいないから
君がのんでくれ。」
気づきやがった。
こいつ、やけに勘がいいな。
つか、飲まねえよこんなの。
「おや、どうしたのかな。
まさか、飲めないものでも入れてたのかな?」
くそっ、なんだそのにやけ顔。
ここで飲まなかったら絶対に何かされるじゃないか。
563 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 14:54:52.72 ID:rkRq+vwlO
意を決して
俺はそのお茶を一気に飲み干した。
「うげぇ・・・う・・気持ち悪っ。」
「真面目にやればこんな事にならなかったのにな。」
腹が立つ。こいつ兎に角むかつく。
「香山?大丈夫か?」
「ん?吉田か。
大丈夫だ、ちょっと気持ち悪いだけ。」
こいつは、吉田。
俺と同学年だ。
吉田は会長と違い優しい奴だ、
欠点があるとすれば、
それが、俺が巫女装束を着ている時限定。
という事だ。
565 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 14:55:28.14 ID:rkRq+vwlO
俺が制服を着てる時はとくに興味も無いらしく、
話しかけてこない。
「そうか、よかったな。
あれっ、もうこんな時間か。
真咲が待ってるんで帰ります。
会長、香山、さようならー!」
あと、吉田はいつも、すぐ帰る。
彼女ためだそうだ、
会長に聞いたのだが、吉田の彼女も、女体化した元男らしく、
女になってから、親に半強制的に巫女をやらされてるらしい。
なんか親近感がわいてきた。
女体化とか無理矢理巫女にさせられたとか
どこか他人のような気がしない。
566 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 14:56:15.75 ID:rkRq+vwlO
一度会ってみたいな。
「じゃあ、会ってみるか?」
あれ?今、俺の心の声に反応したのか?
「君が考えてる事ぐらい、
手にとるようにわかるさ、
今日の活動は、神崎真咲の神社見学だ。
すぐに行くぞ。」
「わかったよ。
ちょっと待ってろ。
今着替えてくるから。」
「なに言ってる。
そのままの格好で行くぞ。」
「いや、まて、こんな格好で外なんて死んでもイヤだ。
絶対にこの格好では行かないからな。」
567 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 14:56:41.16 ID:rkRq+vwlO
「そうだな。
まだ"裸"を見られたほうがましかもな。」
「ぐっ・・・わかった。」
会長に握られた弱味とは、
俺の裸を記録したデータ。
俺は奴のいいなりになるしか無いのだ。
俺は巫女装束で外に出た。
周りからの視線が痛い。皆が俺を見ている。
「ほぅ、皆、君を見てるぞ。
余程似合ってるんだな。」
だから、なんだそのニヤケ顔は!
こんな、格好してたら似合う似合わない関係なく
注目されるに決まってるだろが!
「まぁ怒るな。もうすぐつくぞ。」
568 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 14:57:01.36 ID:rkRq+vwlO
「くそっ・・・なんで考えてることがわかるんだよ。」
そんな事をしてるうちに神社についた。
「ここ本当に神社なのか・・・」
そこには、気持ちの悪いオタク共の群れがあった。
「ああ、ここの神主が中々話のわかる人でね。
ここは、巫女萌えの聖地となっている。」
そんな、話をしていると
何人かのオタクが近寄ってきた。
「おわっ、見ない娘がいるぞ。」
「本当だ、しかも凄く可愛いくないか?」
「そうだな。よし、俺は握手してもらう。」
569 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 14:57:22.75 ID:rkRq+vwlO
「何言ってるんだ、肌にふれたら駄目だろ。」
「・・・」
俺はオタクが嫌いだ。
生理的に受け付けない。
会長や吉田はオタクって感じがしなかったから良かったが
いかにもオタク、しかも大勢が俺の間近にいる。
俺は動けなくなっていた。
ヤバイ、怖い・・・
「まってくれ。」
会長の声だった。
「彼女は私専属の巫女だ。
それに、
あまり近くに寄らないでくれないか。
彼女は男性恐怖症なんだ。」
それを聞いたオタク共は謝りながら散っていった。
570 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 14:57:49.71 ID:rkRq+vwlO
中には「男嫌いキャラ萌えー!」なんて叫んでる奴もいたが・・・
男性恐怖症なんてもちろん嘘だ。
多分俺を助けてくれたんだろう。
意外といいとこ・・・
ってなに考えてるんだ!
もとはと言えばコイツに連れてこられたんじゃないか。
「大丈夫か?」
575 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:02:06.57 ID:rkRq+vwlO
「大丈夫に決まってんだろがボケ。」
「私に嘘をつくな。
震えてるだろ。」
そう、俺は震えていた。
確にオタク共は散ったが周りに沢山いるには変わらないのだ。
結構辛い。
精神的ストレスとはこうゆうものだろうか・・・
手を握られた。
それは会長の手だった。
「おいっ!何してんだ!」
「君の震えが止まるかと思ってね。」
「んなわけ・・・」
俺の震えは止まっていた。
「いいから離せっ」
手をふりほどく。
あっ・・・
また、恐怖や不安感が襲ってきた。
576 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:02:32.19 ID:rkRq+vwlO
それらに、押し潰されそうになる。
苦しい、怖い、辛い。色々な感情がごっ茶になっている。
そんな俺を見て会長は・・・
ニヤケながら手を差し出している。
「うっ・・・くそっ・・」
俺はその手を握った。
周りからの視線が何やら生暖かい。
暖かいといえば、会長は意外と暖かい手をしてるな。
もっと冷たいとおもってたんだが。
それに柔らかいな。
なんだか・・・
うわぁー!
なに考えてる俺は。
畜生!さっきの不安のせいで会長が頼もしく見える。
577 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:02:52.15 ID:rkRq+vwlO
もとをただせば、ここに連れてきたコイツのせいなのに。
もしかして、ここまで考えてやったのか?
有り得そうで困る。
「違う。」
だから、なんでわかるんだよ。
「君がオタク嫌いなのは知ってたが、
ここまでだとは思わなかった。
すまないと思ってる。」
な、こいつが謝るなんて。
「君が神崎真咲に会いたいとわかったから
連れてきたのだが・・・
配慮に欠けていた。学校で会わせるべきだったな。
本当にすまない。」
それなのに俺は。
578 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:03:15.44 ID:rkRq+vwlO
コイツの事を誤解してたみたいだ。
意外といい奴だ。
俺は何かわからない感情が生まれたのを感じた。
「等と言ったら私に惚れるかな?」
「もちろん、君が極度のオタク嫌いなのは知ってたさ。
だから、あえてここに連れてきた。」
なんだと・・・
前言撤回だ。
コイツはとんでもないくそ野郎だ。
死ねばいい。純粋にそう思う。
だが・・・オタクの集団に囲まれたのは初めてだ
自分でもここまで怖がるとは思わなかったが。
会長は本当にそれを知ってたのだろうか?
まぁいいか。
579 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:03:40.37 ID:rkRq+vwlO
どっち道、くそ野郎には変わりない。
そんなこんなで境内のまえにきた。
そこには、吉田と
まさしく巫女という感じの女の子がいた。
「吉田。」
「あれ?会長。どうしたんですか。」
「いやな、香山が君の彼女に会いたいらしくてな。」
「そうだったんですか。
ところで、会長と香山ってそういう関係だったんですね。」
そういう関係?
「は!?吉田、どういう意味だ?」
「だって、手を・・・」
あっ!
俺は今、会長と手を繋いでいた。
急いで離す。
「香山っ、不味いぞ!」
580 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:04:04.69 ID:rkRq+vwlO
会長が珍しく焦った声を出した。
ここは境内前。人が最も集まるところ。
つまり、周りは・・・
俺は意識を失った。
目が覚めると布団の上にいた。
「あ、目が覚めたみたいだね。」
目の前にはさっきの巫女の娘がいた。
先程の会話からして神崎真咲だろう。
「あんたが神崎真咲、さん?」
「同い年なんだから、さんは無しでいいよ。」
「わかった。俺は」
「知ってる、香山唯だろ。
祐作から聞いてるよ。
ちなみにここは俺の部屋だ。安心してくれ。」
「そうか、俺倒れたんだな。」
581 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:04:26.28 ID:rkRq+vwlO
「会長さんから大体聞いたよ。
だから、神社から運んできたんだ。」
どうやら会長は俺のオタク嫌いを話したらしい。
「くそっあの会長。
俺をこんな目にあわせやがって。
あいつ知っててやったんだぜ。」
「それは違うと思う。」
えっ?
「会長さん、君が倒れて、かなり慌ててた
ここに連れてくる時も
君を会長さんが抱えてきたんだ。」
「・・・」
じゃあ、会長が言ってたアレは嘘じゃなかったのか。
会長は本当に俺の事を考えて・・・
「そうだと思う。」
「え!?何でわかるんだ?」
582 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:05:13.29 ID:rkRq+vwlO
「うーん、なんとなくしか、わからないんだけどな。
しいていえば体質だと思う。
こんな家系だから、だと思うが。」
「すごいな、人付き合いとかも良くなるんじゃないか。」
「いや、俺が、わかるのは上部だけ。
心の深いところはわからない。
しかも正確さも低い。
今だって会長さんの事を考えてる位しかわからなかったし。
動作や表情の変化、前後の会話
から読み取ってるだけなんだ。
結構いるよ、
こうゆう特技もってる人。
俺なんかより、もっと凄い人もいるしね。」
583 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:07:57.50 ID:rkRq+vwlO
そういえば、会長も俺の考えてることわかってたな。
「今も会長さんの事を考えてるな。
何かはわからないけど。」
「怖いなその能力・・・」
「そうはいっても、常にわかるわけじゃない。
頭のなかで必死に情報を整理するんだ。
俺のじゃ、日常的には使い物にならない。」
ガチャッ
会長がはいってきた。
「じゃあな、俺は祐作のところにいってくる。」
神崎は部屋を出ていった。
さっきの話が本当なら。
「ああ、わかるさ。」
「やっぱりか・・・」
584 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:08:20.56 ID:rkRq+vwlO
「神崎のように生まれつきじゃないがな。
彼女は代々巫女の家系のようだからな。」
「関係あるのか?」
「ああ、巫女、まぁ、ここでは巫(かんなぎ)といっておこうか。
それらは、神の声を聞ける、
神を自分におろせる、等という能力があったとされ
大昔は人々を指揮してきたんだ。
だが私はそんな能力はないとおもう。」
「どうゆうことだ?」
586 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:08:44.44 ID:rkRq+vwlO
「彼女等は、情報収集能力、
それを解析する能力が人並み外れていたんだろう。
だからこそ、神の声等と言われるほどに崇められたのだと思う。」
「じゃあ、お前は、なんなんだよ。」
「私のは訓練で身に付けたものだ。
人よりは多少才能もあると思うが
誰でも身に付けれる能力だ。」
「そうか・・・
じゃあお前には隠し事は無理だな。」
「君がわかりやすいのもあるが、
まぁそうだな。
大体はわかる。」
「じゃあ全部言う。
594 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:43:36.87 ID:rkRq+vwlO
ありがとう。助けてくれて。
かなり慌ててたそうじゃないか。
本当に心配してくれたんだな。」
会長の表情は微動だにしなかった。
「ふん、何を言うかと思ったら。
全部演技さ。」
「は?」
「君はかなり惚れっぽいらしいな。
もう私の事が大好きだろう。」
「な、ななな・・・」
コイツは確実にくそ野郎だという事を確信した。
「ほら、元気ならもう帰るぞ。」
パサッ
ん?なんだ?
595 名前:かんなぎ[] 投稿日:2007/09/24(月) 15:47:01.79 ID:rkRq+vwlO
ここから学校までは結構近いが。
俺が寝てた時間じゃ、かなり急いで行かないと戻ってこれないはずだ。
よく会長をみると、拭いたようだが、Yシャツが所々汗でくっついている。
「さっさと、着替えろ。
タクシーは呼んであるんだ急いでこいよ。」
どうやら、俺の事を心配してるねは本当らしい。
嘘だか本当だかわかりにくく、してるつもりだろうか。
どうやら会長は、本当に、とんでもない、くそ野郎らしい。
そう、とても意地っ張りで素直になれない。
とんでもないクソ野郎だ。
最終更新:2008年09月07日 21:08