『男の中の女』(1)

754 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/21(木) 23:52:53.33 ID:XhPB7zlN0

「ヒヒヒ・・流石のお前も袋にされちゃかなわんだろwwwww」

俺の名前は、相良 聖・・今ちょっとした厄介なことに巻き込まれている。まぁ、たいしたことじゃないが俺たち男はすぐこうして喧嘩になる。1人1人はこの俺の力にかかればたいしたことはないが、集団で集まってくると厄介なものだ。ま、こういうことは中学校の頃から体験済みだが・・

「行くぜ・・今日こそその生意気な口をへし折ってやる!!!」

「・・やってみなよ。」

そしてゴングが鳴らされた。試合開始だ。こうなれば誰だろと俺は容赦はしない。こいつらに教えないとな・・

俺の恐ろしさを・・・

759 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/22(金) 00:04:08.76 ID:vmrnrQZC0

「ハァハァ・・後はてめぇ1人だけだな。」

「アワワワ・・」

俺は20人はいるだろうか・・あっという間に周りを掃除して残るは一人だ。こいつが首謀者だということはわかりきっていたので俺はあえて残したのだ。俺はじわりじわりと追い詰めることにした。

角材で殴られたところはヒリヒリするが・・

「さぁって・・わかってるよなぁ。」

「た、頼む!!も、もう手出しはしないから・・・アベラッ!!」

俺はこいつの意見を一切無視して殴り飛ばしてやった。殴られた奴はきれいにすっ飛んで地面へとダイブした。

「う・・ガクッ!」

760 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/22(金) 00:05:08.21 ID:vmrnrQZC0

「ケッ・・男なら命乞いするな。」

このときの俺は輝いていた。そう・・中学時代から名を馳せたこの俺に逆らうものなど微塵もなかったのだ。生まれついた腕力とタフさ・・まさに無敵だった。中学時代の頃は数々の相手に喧嘩を買っては相手を叩き潰していた。まさに俺にとって男とは力であった。

    • そう、このときまでは確かに俺は無敵だった。突如としてやってきた“あれ”がなければ!!!

「フフフ・・俺は無敵だ!!!!」

俺は周りを見回し満足しながら最期の男の日を謳歌していた・・

763 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/22(金) 00:16:45.29 ID:vmrnrQZC0

翌朝・・俺はすがすがしい朝を迎えていた。しかし、体が重い・・なんでだ?昨日は角材で殴られたがすぐに痛みは引いてきたのだが・・それに肩にかかっているのはなんだ?俺はよく見ているとやけにさらさらしていた。

「これは髪・・俺は短髪にしていたのだが、なんで・・」

それに、やけに部屋が大きく感じる。やたら服がぶかぶかだしいつもは小さいベッドが大きく感じる。俺はかなりの違和感を抱えたまま洗面所に向かった。

765 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/22(金) 00:20:53.04 ID:vmrnrQZC0

俺は洗面所に向かうと一呼吸おいた。

「・・なんじゃこりゃ!!!おおおおおお、俺が・・女になっている・・」

俺は鏡を見てみるとすらりと整った顔立ち、さらさらのロングヘアー、透き通るような肌・・それに豊満な胸にキュートなお尻・・これは夢だ。そうに決まっている!!!第一、俺がこんなかわいい女なわけがない!!そうだ、これは漫画か何かの世界に入り込んだんだ。そうに違いない。ならさっさと俺を元の世界に返してほしい!!こんなふざけたことがあってたまるか!!!

「イデデデッ・・・痛い、夢じゃない・・ってことは・・」

俺は肌をつねってみると痛みが生じた。どうやら俺は・・本当に女になったらしい。俺はそれを確認するとサーっと血の気が引いた。漫画だと顔に線がいくつも立っている状態だ。

「俺が・・女・・ハハハハハ・・」

俺は放心状態になり、乾いた笑いをしながら親の元へと歩いた。

  774 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/22(金) 00:28:57.05 ID:vmrnrQZC0

俺は放心状態で自我を失いそうになるも・・両親のものへと向かった。

「おはよう・・」

「おや、聖にしては声が高いな?」

「聖、朝からふざけないで・・」

俺は両親のいる台所へ向かうと一応挨拶をしたのだが・・母親が振り向き俺を凝視すると、この空間は無音空間となり朝のすがすがしい音が響いていた・・

  775 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/22(金) 00:29:32.80 ID:vmrnrQZC0

「ど、どこのお嬢さんですか!!まさか!!聖が誘拐!!!」

「か、母さん落ち着くんだ。聖は確かにツッパッていて悪相応だが誘拐なんてしてないじゃないか。・・聖を信じよう。」

こいつら・・俺は徐々に怒りのオーラを高めながら机を大きく叩いた。

「てめぇら!!!何勝手なことをほざいているんだ!!!俺はあんたらの息子の聖だ!!! 朝起きたらこんな体になっていたんだよ!!!!」

「「・・へっ?」」

両親は俺の声に圧倒されてしばらく固まっていた。

  778 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/22(金) 00:35:11.57 ID:vmrnrQZC0

俺は何とか元の表情に戻った両親に今までの経緯を説明した。

「・・というわけだ。俺は朝起きたらなぜか女になっていたわけだ。」

俺は説明をし終えると母さんのほうが俺に真剣な顔つきで話しかけてきた。

「・・・聖、親の私たちからこんなことを聞かれるのは嫌でしょうけどはっきり答えなさい。

      • あなたは童貞なの?」

俺の頭の中では脳みそが真っ二つに割れていた。突然のことで俺もわからなかったのだが、珍しく真剣な表情の母親に押されてついつい怒りを忘れて答えてしまった。

「・・ああ、そうだよ。」

俺のマジの告白に母親はさらに詳しいことを説明してくれた。

  784 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/22(金) 00:41:46.50 ID:vmrnrQZC0

どうやら、男性にはいきなり女体化してしまう病気があるらしい。通称、女体化シンドロームというらしいがこれに該当するのは俺みたいな童貞野郎で15か16歳の誕生日を迎えてしまうと体の細胞が変化して急に女になるらしい。俺は日にちを確認してみると奇しくも今日は16の誕生日だった。・・なんとも酷い話だ。そういえば前、学校でなんか話してたな・・まぁ、授業はいつもサボっていたから知ったこっちゃないが・・

それにしても・・俺はこれから女として生きていくしかないのか・・

「・・残念だけど、女体化シンドロームは難病で未だに治療法がないのよ。」

「マジかよ・・じゃあ、俺は一生女として生きろってか・・」

母さんは黙って首を縦に振った。俺は・・頭を抱えて今の現状を受け入れざるを得なかった。

  350 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/23(土) 20:55:02.33 ID:b4XJfRWw0

「で、でも・・あんた結構いい美少女に変身したんだしね・・」

「そうだぞ。父さんだって今の聖の姿には正直・・」

「うるせぇ!!!俺は・・俺は今まで男だったのに・・チクショォォォォ!!!!」

俺は空しく部屋へと駆け込むことになった。今まで、自分の部屋に駆け込んだのは初めてだった。部屋に入った俺は重大なことを忘れていた。そう、男と女の最大と違いといえば・・“力”だ。俺が女になった今、がくんと力ががた落ちしているはずだ。そうなってしまえば今後、喧嘩をするときかなりの支障になってしまう。俺は拳をぎゅっと握り締め部屋にあったサンドバックを力いっぱい殴った。

  354 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/23(土) 21:12:04.51 ID:b4XJfRWw0

「・・まずいな。」

俺は力いっぱい自分の力を試した。サンドバックは勢いよく飛んだが、前ほど飛びはしなかった。

「力はそこらの男よりは強い程度か・・チッ、これだとやられるのは時間の問題だな。」

しかし、女になると体力が落ちる代わりにスピードが上がっていた。おかげで小技はそこそこ決まるのだが、大技ができなくなってしまった。俺は頭を抱えながらこの状況を打破するために考え始めた・・

「クソ・・野郎と本気でやるとなるとこっちが先にくたばってしまうし・・どうすれば」

俺はしばらく考えるとある方法を思いついた。・・だが、それは俺にとって余りいいものではなかった。

「チッ・・気に食わんがあそこへ行くか。」

俺は覚悟を決めるとあそこへと行くことにした。

  374 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/23(土) 22:06:34.14 ID:b4XJfRWw0

「おい、ジジィはいるか?」

俺が立っているのはとある道場の前・・この道場は俺の家からすぐ近くにあってガキの頃から度々ちょっかいをかけていた。まぁ、この道場は合気道を使うらしく楽には勝てなかった。だけど、全員返り討ちにしてやった。そのときにこの道場の主であるジジィがえらい俺を気に入ってかしつこいぐらいの勧誘を仕掛けてきた。

    • まぁ、俺流に丁重にお断りしたが。

そんなわけで俺は無理矢理道場を案内してもらうと案の定ジジィがいた。

「誰じゃ?宅急便ならそこに・・」

「師範・・その、相良・・聖です。」

「聖じゃと!!す、すぐ通せ!!・・これで後継者に悩まんで済むわい。」

俺は道場に入ると周りの男たちから「オーッ!!」とか「マジ可愛い・・」とかの声を聞いたので気分が悪くなった。ムカついた俺は周りの男共にキリッとガンをつけると周りは水を打ったように静かになった。どうやら女になってもこの手は使えるらしい。気持ち悪い周りを黙らせると早速ジジィと一対一となった。

375 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/23(土) 22:07:17.79 ID:b4XJfRWw0

「え、ええ・・ゴホン。娘さんが私に何の用かな・・」

「て、テッメー、人が・・じゃなかった。俺は相良だ。・・話せば長くなるが」

俺は嫌をも承知でジジィに今までのことを話した。話を聞いてようやくジジィは俺の話を飲み込めたようだ。

「・・なるほど。それで武道を学びたいと。」

「ああ、空手だと隙があるし、効率のいい合気道を学びたいと思ってな。

    • 頼む。俺に武道を教えてくれ!」

ジジィは顎で手をかけながら考え込んだ。

「いいじゃろう。・・形はどうであれお主の口からそれが聞けてうれしいわい!!」

「本当か!!じゃあ、早速頼むぜ。」

俺は男のときの力の代償である武道を学ぶことになった。

380 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/23(土) 22:22:14.54 ID:b4XJfRWw0

あれから数日経ち、俺は学校そっちのけで道場篭りの日々は続いた。ものの3週間程度で俺の最終試験が行われた。

最終試験はジジィとのタイマンだった。このジジィを倒せば俺も晴れてこの道場から卒業だ。俺はいっそう気合を高めて構えた。

「すごいぞ・・やはりお主はわしの見立てとおりじゃ!!」

「何でもいいからさっさとしやがれ!!」

「では・・行くぞ!!」

じじぃがいきなり攻撃を加えてきた。しかも・・反撃する隙すらなかった。だけど俺は必要最小限な動きでジジィの攻撃を捌いた。さすが、道場の主であって相手が女だろうと容赦はしない。俄然、俺は気合を入れて構えなおした。

「フッ・・流石、様子見は無用だな。」

「これでも道場の主じゃからの・・」

「その減らず口・・叩きなおしてやるぜ!!!」

今度は俺がジジィに向かって攻撃を加え始めた。

390 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:2006/09/23(土) 22:38:34.04 ID:b4XJfRWw0 俺はジジィに突っ込み効率よく攻撃を加えた。以前に試合で俺は我武者羅に攻撃した結果、体力が尽きて負けてしまった。そこでジジィは以前のようなタフさを生かしてくれた攻撃ではなく、スピードを利用した攻撃を教えてもらった。以前まではなかなか体に慣れなかったがこの直前、ようやく体になじんできたようだ。

俺はジジィの防御を掻い潜り、的確に効率よく隙を突きながらジジィにダメージを与えていった。

「やりおるの。攻撃もさることながら、先ほどの防御・・まさに体になじんでる。よくここまでの短期間で成長したのぅ・・やはり、お主はわしが思っていた以上じゃ!!女になっても変わりはない。」

「ヘッ、そりゃどうも・・じゃ、行くぜ!」

それからも俺は自分のペースを貫き、ジジィに的確に攻撃を加えていった。

「ま、参った・・本当に容赦のない奴だ。・・免許皆伝だ。」

「本当か!!・・よっしゃ!!これで野郎と揉めたときに何とかなるぜ!!ありがとな!!」

ジジィの敗北宣言と免許皆伝を聞いた瞬間、俺はうれしくて旋風のように外へと走っていった。

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最終更新:2008年09月10日 00:53
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