投稿日:2006/09/29(金) 18:59:04.25 pa3b0YtW0
翌日・・俺はやけにうるさい両親(特に母親)を必死に抑えながら学校へと向かっていった。怪我をした左腕には一応包帯を巻いている。俺は教室の中に入ると自分の席に座った。すると、俺の存在を確認したのかツンがこちらの方向へと向かってきてくれた。どうやらツンとは一緒のクラスだったようだな。ま、授業はほとんどサボってたからクラスの顔なんて覚えていないがな・・
「おはよ・・ってどうしたのその腕?」
「ん?ああ・・ちょっとな。それよりも隣をチラッと見たが内藤たちは遅いな。」
「ブーンたちは遅刻の常連よ。・・それにしてもあんたちょっとはサボってばかりで授業を受けなさいよ。」
「るせえな・・授業なんざ興味がわかん。」
そりゃそうだ。第一進学さえも考えていないのに・・働くキャリアウーマンてか?それは勘弁してもらいたいね。
投稿日:2006/09/29(金) 19:05:08.84 pa3b0YtW0
「全くもう・・そういえば今日、転校生が来るのよ。知ってた?」
「転校生・・だと?」
「そう、何でも前の学校でやんちゃしたんだって。・・あ、先生が着たわ。」
予鈴が鳴り、全員が席に戻り担任が教室へと入ってきた。それにしても転校生ね・・まぁ、誰であろうと俺には関係ないのだが・・担任が適当に転校生予告をすると転校生が教室の中に入ってきた。
寝かけた俺は転校生を見上げると・・驚きよりも体の中で妙な電気信号が発せられた。
「転校生の中野翔君だ。見んな仲良くしてくれ。」
なんであいつが・・ここにいるんだよ!!しかも同じクラスか!!
「・・中野です。よろしく。」
あいつは転校生に決まってありきたりな自己紹介をするとあろうことか俺の隣の席へと座りやがった。中野はさっきのような「よろしく」ではなく憎たらしく俺に話しかけてきた。
「よぉ・・まさかお前がいるとはな、驚きだぜ。」
(なんでこいつと同じクラスで隣なんだよ!!)
俺は妙なときめき・・ではなくもやもやしたイライラ感を抱えながら朝のHRを過ごしていった・・
203 名前:
◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/09/30(土) 22:46:54.82 8DiZCaym0
「全く!!あいつはいったい何なんだ!!!」
「落ち着け、あんま、ここで暴れるなよ相良・・」
「うるせぇ!!」
長い長い3時間がすぎてようやく全校生徒が待ちに待ったお昼休み・・俺の周りにはドクオ、ツン、内藤が席を囲んでいた。以前の俺だったら全くありえない光景であった。ま、俺も成長したもんだな。
「それにしても、あんた転校生と知り合いだったの?」
「・・ああ、嫌ほど知ってる。中学の頃からな・・」
俺はみんなに昔の中野について話すことにした。あの殺戮の天使と呼ばれた中野はそれはそれは有名だった。
「へぇ・・相良君と互角だったのかお?」
「まぁな・・認めたくはないが、それに奴はおまけに頭もいい。バカな俺とは大違いだ。」
頭脳明晰、容姿端麗・・おまけに実家は金持ちであろうことか俺と互角に喧嘩が強いとなれば女など腐るほど寄ってくるだろうな。まさに漫画に出てくるようなキャラだぜ・・それにどこぞやの完璧超人も真っ青なほど奴はかなり恵まれていた・・
205 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/09/30(土) 22:49:09.66 8DiZCaym0
ああ・・ムカつく。そういえば内藤のお弁当箱・・ツンが持ってたやつだな。ッてことはこいつらはもしかして・・
「な、なぁ、内藤・・お前もしかしてツンと付き合っているのか・・」
「そうだお・・ゲフッ!!」
「な、何言ってるの!!あ、あたしはただね・・その、ブーンがお昼ないから偶然持っていたお弁当箱を分けたのよ!!け、決して事前に知ってたんじゃないんだからね!!!」
何だよその反応・・まるっきり付き合ってるじゃねーか!!ハァ、どうりで内藤が男のままでいると思ったぜ。
「内藤・・何も言わずに一発殴らせろ!!!」
「ちょ、ちょっと困るお!!!」
「さ、相良!!あんた私のブーンに何するのよ!!!」
なんだかんだで今日も平和にお昼休みが過ぎていった・・そう、このときは平和だった・・
そういえばドクオは童貞そうなのになんで男のままなんだ?調べる必要ありだな。
206 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/09/30(土) 22:56:46.17 8DiZCaym0 お昼休みが終わり、授業が再開されると中野がポツリと姿を消していた。
おかしいな、前の授業のときはちゃんといたんだが?ツンに悪いと思いつつも俺もこっそりと授業を抜け出して中野を探索し始めた。
(さてと・・天使さんはどこにいるのかな?珍しくやられたりしてたりなwwww)
俺はそんなこと考えながら天使探索を続けた。
「なんスか?俺次の授業があるんスけど・・」
「ゲヘヘヘ・・なぁに、天使様に記念の贈り物をね・・」
「・・ホー、それはそれは謹んでご遠慮させていただきますよ。」
お、いたいた。どうやら先輩たちにシメられるらしいな。先輩たちの人数はざっと20人程度か・・俺も入学当初はやられたな。まぁ、全員返り討ちにしてやったがwwww
俺は昔の記憶に浸っている中、中野たちは既に戦闘開始していた。
211 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/09/30(土) 23:07:09.16 8DiZCaym0 「うぉりゃ!!どうした、転校生相手にここまで苦労するとはね・・」
「クッ・・この・・」
(お、もう始まってるな・・さすが中野、あっという間にほとんどのしてるよ。しかも一撃で・・カーッ!!うらやましいな。俺も男のままだったらこうなってたかもしれんのに・・)
俺の様子をよそに中野は先輩方を確実に倒していっていた。
212 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/09/30(土) 23:07:40.51 8DiZCaym0
そして数分後・・先輩方は一人残らずダウンしていた。俺はこのまま帰ろうかな・・っと思っていた頃、中野がこちらに視線を送っていた。
「さてと・・おい、いるんだろ?・・子犬ちゃん。」
「誰が子犬だ!!!!」
しまった・・つい、出てしまった。それにしてもどこでバレたんだろ・・
「・・てめぇの行動は全部バレバレなんだよ。それとも、あの時の続きをやるか?」
「ヘッ、上等。・・後悔すんなよ。」
「なぁに、あれは軽いウォーミングアップさ。」
相変わらず減らず口の変わらん野郎だ。俺は構えると一方の中野は余裕しゃくしゃくで構えもしていなかった。
ムカツク野郎だ!!!こうなったことを絶対に後悔させてやる!!!!!
215 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/09/30(土) 23:21:04.91 8DiZCaym0
「どうした・・構えてるなら来いよ?」
「てめぇのその面ァ!!・・ひん剥いてやる!!!」
俺は中野に向かおうとしたその時、予鈴のチャイムが鳴ってしまった。
「・・残念。俺はこれから授業があるんでね。それに、怪我治してから来い。
あまりサボってると単位落とすぞ。じゃあな。」
「うるせぇ!!余計なお世話だ!!」
畜生・・またかよ!!相手が女だからってあいつ舐めてるのか!!!
今度舐めやがったら整形手術が必要なくらいに顔面をボコボコにしてやる!!!
予鈴に阻まれた俺は仕方なく教室へと帰ることにした。
216 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/09/30(土) 23:22:58.10 8DiZCaym0
「アーッ!!ムカツク!!!」
「・・どうしたのよ?今日はやけに荒れてるわね。」
「触らぬ神に祟りなしだお・・」
帰り道・・いつもの面々と帰っていると俺はあの時の中野の面を思い出した。俺は思い出したとたん、めちゃくちゃムカついた。
「だってよー・・」
「でも、それに昨日その人に助けてもらったんだろ?」
「うるせぇ!!それとこれとは事情が違うんだよ!!」
あ・・余計ムカツク!!・・確かに昨日、俺はあいつには助けてもらったが、あれは自分の不注意による結果だ。たまたまあいつがいただけなんだよ。
それに、不覚にもあいつなんかにときめいてしまった。
「アーッ!!もやもやする!!・・今日は帰りに道場によるか。」
俺はみんなと別れた後、道場へと向かうことにした。
425 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 20:41:11.32 Ar+4R9510
「さっさと次こい!!」
「は、はい!!」
俺はむしゃくしゃした自分の感情を抑えるために日ごろの鍛錬も兼ねて道場へと足を運んだ。相変わらず道場に入ったら男の視線が痛いが俺はいつもどうりに周りの男にガンをつけると早速、100人と手合いをすることにした。すでに殆ど倒しており残るは10人程度だった。
「面倒だな・・おい、てめぇら10にまとめて来い!!俺に勝つことができたらデートでも何でもしてやる!!」
「ま、マジですか!!」
「やったー!!パパ頑張っちゃうぞー!!」
やれやれ・・俺は目を閉じ空気の流れを確認するとそのまま構えた。
426 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 20:53:08.28 Ar+4R9510
静かだ・・音で相手の動きがわかる。男のときとはあり得ない光景だ。相手の腕、それに足の動きに至る音がすべてわかる。俺は男の体を縫うようにして目を閉じたまま1人ずつ的確に攻撃を加えていった。
それから数分してかジジィの「やめい!!」の声が発する間もなく俺は目を開けると先ほどの男たちが転がっていた。
「ふぅ~・・スッキリした。」
「お主・・最近隙がないのぅ。目覚しい進歩じゃ。」
どうやらジジィ曰く、目を閉じたときの俺はこれといって全く隙がないらしい。俺は男の子との戦法を比べてみると明らかに違っていた。昔の俺は中野みたいに我武者羅に攻撃を加えて相手を気絶させていた。それに最近は拳ではなく主に蹴りを多用していた。
「・・まぁな。でも女になってから明らかに戦い方が変わった。今までの俺はどちらかというと腕力に頼った攻撃をしてきたのだが、女になってからは相手の力を利用したものになったな。」
「それだけお主の体が女らしくなったということじゃな。」
認めたくはないが・・そういうことらしいな。元の男に戻る方法も現在の医学では不可能らしいし・・女になってどうすっかな・・
俺は道場を後にすると再びこみ上げてきたやり場のない考えを抱えながら家へと帰った。
427 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 21:01:20.03 Ar+4R9510
「女か・・」
家に戻った俺はシャワーを浴びながら改めて女としての自分を見回していた。どこぞのモデルでもないみるものを圧倒する総合的なスタイル・・これまで街に出たときに怪しげなスカウトも受けたな。
だけど俺は女になんかなりたくなかった。ずっと男のままでいたかったのに・・
「これのおかげでダチできてきたけど・・やはり男のほうがよかったぜ。」
確かに女となってからは内藤やドクオ、ツンと言ったいわゆる友達ができてきたのだが俺のことはどう思っているのかね・・あのまま男のままだと確実に孤独街道まっしぐらだったな。
「ま、女として生きていくしか仕方ないか・・」
俺は浴槽から上がり髪を乾かすとふと中野のことが頭に浮かんだ。
432 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 21:26:39.15 Ar+4R9510
(って・・なんで昨日は中野が思い浮かんだんだ!!)
俺は昨日のことが未だに頭に残りながら教室へと入っていった。
「おはよう。・・どうしたの?」
「・・別に、なんでもない。」
俺はツンとの他愛のない会話をしていると中野が入ってきた。中野は俺をチラッと見てきたが俺はそのままシカトしたままツンと会話を続けた。
「ねぇ、どうしたの?」
「別にあんな奴と会話する必要ないだろ。」
「昔のことがあるからってね・・そういえば中野君、ファンクラブができてるみたいよ。」
ま、あいつなら容姿端麗だしそんなものすぐにできるだろ。百歩譲ってもあんなのに恋をするなら死んでもいいね。
「ま、男にときめくことがあっても恋することなんてないけどなwwww」
俺はそういっているのとと同時にそのまま予鈴のチャイムがなった。
371 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/05(木) 21:24:24.25 2IMDuWU00
担任の適当なHRが終わると俺は授業の準備をした。すると横にいたあいつが話しかけてきた。俺は適当に話しを聞き流す体制に入っていた。
「・・おい、シカトすんなよ。」
「お前と話す義務はない。・・それに忘れたのか?俺たちは昔・・」
「決着だろ。・・昔の」
俺はピタリと手を止めた。こいつ・・
「・・俺だってあのときの勝負をあきらめたわけじゃない。むしろもう一度、再戦をしてみたいぐらいだ。だけどな、もうてめぇは女だ。俺は・・俺は女と勝負はしない。」
俺は震える拳を力いっぱい握り締めながら中野のほうを捉えた。
「ふ、ふざけるな!!!俺は確かに女だ!・・だけど、お前に負ける気なんて一切ないね!!!」
ざわめく教室の中、俺の拳は中野の頬を確実に捉えて中野の顔面を殴っていた。周りがおろおろとする中、こいつは俺の拳を払いのけると頬をさすりながらこう言った。
「・・とにかくお前が女になった以上、俺はもうお前ともタイマンを張る気もないしそんな気はもうしない。・・それにお前はもう完全な女だ。いいかげん現実を見てみたらどうだ?」
「・・るせぇ・・・うるせぇよ!!!!!!お前に・・お前になんか言われたくねぇよ!!!!!!」
俺は逃げるようにして教室を飛び出した。
最終更新:2008年09月10日 00:58