『男の中の女』(5)

374 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/05(木) 21:39:54.67 2IMDuWU00

「うるせぇ・・よ・・」

俺は教室を飛び出した後、屋上へと駆け上がっていた。俺は・・泣いていた。自分でもバカらしくなったが・・なぜか、泣いていた。

「グスッ・・俺もこんな女々しいことをするなんて・・女になったってことか。」

俺はこぼれる涙を振り払うと屋上に広がる空を見ていた・・

「・・・俺、これからどうしようかな?」

俺は考え目を閉じていると背後から複数の人影を感じた。人影を感じた俺は振り返ると以前内藤たちをいじめていたDQN2名が数名のお友達をつれて立っていた。集団のリーダー格の男がこういった復讐にお決まりな台詞を吐いた。

「こいつらをずいぶんとかわいがってもらったらしいな。そのお礼はしてもらわなきゃ。」

「ハンッ!!こいつらがただ弱かっただけの話だろ。・・まぁいいか、憂さ晴らしに付き合ってもらうぜ。」

ハァ、負けた奴はなんでこう執念深いのかね。ま、俺も人のことを言えた義理ではないが・・

377 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/05(木) 21:56:03.66 2IMDuWU00

「さて・・来な。」

「・・この餓鬼が!!」

そういってDQN集団は俺に向けてやってきた。俺は1人1人的確に攻撃をさばきながら返す刃で瞬く間にDQN集団を壊滅した。残ったのはあのリーダー格の男だけだ。

「・・なんだ、たいしたことなかったな。」

「―――ッ!!相変わらず強いぜ。だがなこっちだって、ただでやられるわけには行かないからな。

とある人を連れてきた。長岡さん、お願いします。」

そういってリーダー格は頭を深々と下げるととある男が現れた。男は2mはあろうかという身長であった。

「ん?そこの女子、見事なおっぱいではないか!!ぜひ私に・・フベラッ!!」

俺はデカブツの顔面に思いっきり拳をぶつけた。

379 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/05(木) 21:58:19.28 2IMDuWU00

「・・さて、自慢の用心棒はこれで終わりか?」

俺は横たわっているデカブツを尻目にリーダー格に詰め寄った。全く、あの身長は単なるハッタリだったか。さっさとこいつを倒して・・

「おっぱい!おっぱい!!」

「・・・マジかよ。」

何ッ!!顔面モロ直撃したのにあっさりと立ちやがった

前言撤回、こいつはかなりタフな奴だ。・・まるで昔の俺だな。っとこんなことを言っている場合ではなかった。どうやらさっきのあれは俺の体力を削るようだったみたいだな・・

「その立派なおっぱいを生で見せてもらおう・・」

「やってみろよ。・・セクハラ野郎!!」

そういって長岡と呼ばれた男はこちらへと向かってきた。

381 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/05(木) 22:09:38.53 2IMDuWU00

「おっぱいの神よ!!どうこの私に力を・・」

そういって長岡はわけのわからない言葉を言いながら俺を壁際に追い詰めながら攻撃を仕掛けていった。俺はとっさの反射神経でかわしたが俺がいた壁はひびが入っていた。

「なんて力だ・・腕力に差がありすぎる。」

俺はひび割れた壁を見ながらその差に歴然としていた。明らかに今の俺はタフさ腕力ともに長岡には到底及ばない。あいつが手加減して放った一撃も今の俺の体にとっては大打撃だ。まず立てない。

「おっぱいまでもう少しwww」

「調子に乗るんじゃねぇ!!」

俺は何とか起死回生の一手で攻撃に転じようとしたが長岡の余りのタフさに攻撃しようにもなかった。おそらく、先ほどの顔面の一撃も大して効いていないだろうな・・

382 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/05(木) 22:10:53.13 2IMDuWU00 「ハハハハ!!流石のお前でも長岡さんには勝てないようだな!ひょっとすると男のままでも勝てなかったかもな!!」

「クッ・・」

確かに今の俺にはこの長岡に対抗できる力がない。合気道で機動を生かした攻撃を加えてもこの男はケロッとしてやがる。

男のときなら負けはしないのに。

俺が考え込んでいると長岡の拳がいきなり飛んできた。俺は即座にかわした。もう少しで俺は長岡に一撃をもらうところであった。くわばらくわばら・・

「うおっ!!・・・危ねッ!もう少しで一撃をもらうところだったぜ。」

だけど俺の体力が尽きるのももはや時間の問題であった。

384 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/05(木) 22:22:45.50 2IMDuWU00 数時間もすると俺の体力は限界を迎えようとしていた。

「ハァハァ・・」

「さすがに疲れたようだな・・では!!」

突然俺は長岡に胸倉をつかまれた。あまりにも突然の出来事だったので俺は反応が遅れてしまった。

「―――ッ!しまった!!」

「ではそのおっぱいを拝見させてもらおうかなwww」

くそッ!!油断したぜ。長岡はそのいやらしい手つきで俺の胸を触り始めた。

「その形、大きさ・・まさにベリーグッドだよ君!!」

「・・こんの野郎ォ!!さっさとその汚い手を離しやがれ!!!」

俺は抵抗を続けたが体力が落ちていたため抵抗しようにも全く力が入らなかった。長岡は俺も胸を揉み終えると俺の服に手をつけようとしていた。

393 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/05(木) 22:32:16.01 2IMDuWU00

「・・や、やめろ。」

「さぁ、今度は生で・・ウゲッ!!」

長岡が俺の服に手をつけて破こうとすると・・突然背後から長岡の頭に誰かが蹴りを入れた。長岡は慌てて振り返ると顔面に強烈な一撃をもらった。長岡は顔面を押さえながら相手のほうに顔を向けた。

こんな芸当ができるのはあいつしかいない。

「イテテテ・・お、お前は!!」

「さてと、ウドの大木でも掃除するかな。」

俺を救った人物・・そう、中野であった。俺は2度も中野に助けられてしまったのか・・

「・・なんでお前がここに」

「ああ、お前のいそうな場所っていえばここぐらいしかないからな。・・さっきはすまなかったな。」

「えっ・・今なんて・」

俺は中野がぽつりと言った声を確認しようとしたそのとき、中野の背後に長岡が蹴りを入れようとしたのだが、中野は瞬時に長岡の背後に回り、背中を滅多打ちにした。

さすがの長岡もこれにはきつく苦痛の表情をしていた。

400 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/05(木) 22:39:01.21 2IMDuWU00

「いくらお前がタフだといっても、ここやられちゃたまったもんじゃないだろう。」

「イテテテテテ!!!なんて力だ!!やめてくれぇぇぇぇ!!!!」

中野はその圧倒的な力で長岡を瞬殺した。長岡が倒れた後、リーダー格はおびえてその場で腰が抜けて動けないでいた。

「アワワワ・・」

「さてと、残るはてめぇだけだな。・・どうするよ?」

「もちろん・・二度と俺にたてつかないようにボコボコにしてやる!!!」

「ヒイイイ・・」

俺は怯えるリーダー格を滅多打ちにした。

414 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/05(木) 22:59:59.89 IC4M8UvaO 「・・まさかお前に2度も助けられてしまうとはな」

正直言って意外だった。本来中野は俺を助ける義理などないかと思ってた。なぜこいつは中学時代喧嘩をしあっていた敵をわざわざ助けるのだろう・・相変わらずこいつの真意はわからない。

「相良・・さっきは悪かった。それだけを言いに来た。」

「あ、ああ・・なぁ、どうしてお前は目の敵である俺を助けるんだ?」

俺は思い切ってこいつに真意を聞いてみた。

規制喰らってしまったので携帯からです。今日はこれで終いです。見てくれてありがとう

670 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/06(金) 20:31:05.01 pfahviGf0 俺が真意を聞いてみると中野にしては珍しくずいぶんと戸惑っていた。

「そ、それは・・」

(お、珍しくこいつにしちゃぁ戸惑っていやがるな。)

中野は珍しく戸惑いを見せながらこう答えた。

「そ、それは・・」

「おい、相良大丈夫か?」

中野が戸惑って言おうとした瞬間、珍しくドクオがこちらに向かってきた。よくみてみると内藤とツンがいた。

671 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/06(金) 20:32:05.08 pfahviGf0

「ドクオ・・なんでここに?」

「いや、たまたま屋上に着てみたらお前がやられていてな。それでブーンと一緒にツンに知らせたらそこにいた中野がすっ飛んで屋上に向かってな・・」

はーん・・なるほどそういうことかい。俺は事情を把握すると中野に向かった。中野は少し戸惑いながら俺を見つめていた。

「・・お前に2度も助けられたことは感謝している。だけど、昔のことを忘れている俺じゃない。だから俺から・・」

「離れろって言うんだろ。・・そんなのは俺の勝手だね。俺はただ、お前がむざむざやられているのをみて反吐が出たから助けてやったまでだ。もう、弱ぇのに喧嘩するなよ。ちょっとは女らしくしな。じゃあな。」

中野はムカつく台詞をはきながら屋上から立ち去った。

673 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/06(金) 20:41:31.05 pfahviGf0

「あんの野郎ォ・・」

「お、おい・・相良。」

俺は怒り最高潮のままでこの場に佇んでいた。再び震える拳を握り締めながら俺は自分への虚しさと怒りに打ち震えていた。

「・・ふざけるんじゃねえぞ!!余計なお世話なんだよ!!あの野郎はァァァ!!!」

俺は怒り最高潮のままこの場から立ち去ろうと思ったとき、内藤が俺に進言した。

「俺は中野の言うことが正しいと思うお。確かに男のままある日突然女になってしまうのはとてもついらいと思うお。・・でも、もう女になった以上、必ず限界が見えてくる。揉め事は控えたほうがいいと思うお・・俺は友達が傷ついてしまうのは悲しいお。」

内藤の言っていることは尤もだった。確かにあの件でわかったことはいくら武道でカバーしても腕力の差は決して埋まらない。だけど、このままみすみすやられる俺じゃないってことは誰でも知っている。・・そうあいつも

「・・・俺帰る。」

俺はやり場のない気持ちを抱えながら学校を立ち去った。

675 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/06(金) 20:51:35.92 pfahviGf0

「・・・ちくしょう」

俺は街という街を彷徨いながら歩いていた。いろいろな声が聞こえてくるが俺はただ単に街を歩いていた。歩き疲れた俺は途中あった公園のベンチに腰掛けた。

「・・ハァ、俺はどうすればいいんだ。このままやりきれない気持ちのまま女として過ごさなきゃいけないのか。」

俺はベンチに腰掛けたまま公園の様子を見ていた。・・元気に遊ぶ子供、何の変哲もないカップル、ただ散歩している老人・・何の変わりもなく日にちは過ぎていた。俺はポーッとしていると喉が渇いたので自販機に向けてベンチから立とうとすると横から飲み物を差し出された。俺はそのまま受け取ると差し出したのは・・・中野であった。

「・・なんだよ。」

「たまたま、ここに着てみたらお前がいてな。それで・・」

俺は怒る気にもなれずにそのまま中野を無視してベンチへと腰掛けた。中野は横からいろいろなことを話しているが何も思い浮かばない俺はそのままベンチに座りぱなしだった。

677 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/06(金) 21:02:44.74 pfahviGf0

「・・こうしてお前と面と向かうのは初めてだったか。覚えてるか?俺たちがであったときのことを・・」

「・・ああ。」

中学時代、各地の学校に乗り込んで喧嘩をして名の知られた俺はついに殺戮の天使であるこいつとやりあうことになった。仲間のいない俺は1人で対するこいつは数人の人数で俺を迎え撃った。だが、俺はこいつの取巻きを返り討ちにしてこいつとタイマンでやりあった。

「フッ・・お前は俺に立ち向かっていたな。かなり体力は消耗してたのに・・」

「勢いって奴だ。あんときの俺は何も考えずにお前に向かっていった。」

互いに殴り殴りあって、両者互角のまま決着がつかず仕舞いであった。あれから何度もやりあう機会があったがそのときも互角で決着はつかなかった。最後の喧嘩から決着がつかないまま俺たちは中学を卒業した。

「んで、俺は男のままに・・童貞のお前は女になったわけだ。」

「ならやれよ。お前だったら今の俺は簡単に倒せるだろう。」

俺は中野からもらった飲み物を飲みえ終えると缶を潰しながら中野に向かった。

「やってみろよ・・だけど俺だって簡単にやられないぞ!!」

680 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/06(金) 21:16:52.52 pfahviGf0 俺は圧倒的な気迫のまま中野に詰め寄ったが・・中野はその体制を維持したまま鼻で笑っていた。俺はますます中野の態度が気に食わなかった。

「お前、俺が女だからってなめてるだろ!!どうせお前は女相手にグーも出ない奴だったのか!!」

俺が挑発的な態度をとると中野は旧に俺の目の前に立ち上がった。

「な、なんだ・・」

俺は突然のことだったが構えながら中野の出方を伺った。拳を出すのかあるいは蹴りなのか・・俺は注意深く中野の動作を伺うと急に中野は手をだして来て俺の顔に・・デコピンした。余りにもの突然のことで俺は唖然としたがすぐに怒りがこみ上げてきた。

684 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/06(金) 21:19:36.07 pfahviGf0

「・・てめぇ」

「それがお前と俺の差だ。・・それに俺はもうお前との決着をつける気にもならんな。」

「だからそれが何だって・・・」

俺はますます怒りが込みあがって中野の顔面に向けてパンチ一発を放ったが、俺の拳はあっけなく中野に抑えられた。俺の拳を押さえたまま中野は意外な行動をとった。

「こうなったらお前はどうする?」

「う、うわっ!!」

突然中野は俺の拳を押さえたまま俺に抱きついてきた。突然のことで俺の思考は回路を閉じた。

「や、やめ・・」

「こんな体制のまま・・お前はどうするんだ?」

正直言って俺は体に力が入らなかった。それどころか体が熱を帯びたように熱く・・火照っていた。俺は火照った体のまま力が抜けた。

688 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/06(金) 21:36:40.47 pfahviGf0

「・・・もう、好きにしろよ。」

俺はやむを得ず中野に抱きつかれたまま降伏宣言した。すると中野は微笑しながら俺を離した。

「フッ・・かわいいな。男の頃とは思えない対応だったぜ。」

「・・・」

余りにも突然のことだったので俺は怒る気にもなれずにしばらく呆然としていた。この体になって男に抱きつけられたのは初めてだった。

「おい、大丈夫か?」

「ハッ・・お前なんで俺を離したんだ?好きにしてもいいと言った筈だぞ・・」

中野はやれやれといいながら俺を抱え始めた。再び俺の体は熱くなった。

「別にお前なんて興味はねぇよ。・・あれはただ、少しからかっただけだ。」

「・・そうか。」

なぜか俺の心は安心感で満たされていた。

689 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/06(金) 21:38:13.93 pfahviGf0

「お前って女になってから軽いな。男のときはごつかったのにな」

「・・ば、バカヤロー」

このときの俺は男としての感情が出ずに別の感情を出していた。そして俺は中野に抱えられたまま家へと送られた。

「ここだな・・お前はもう女なんだ。お前も少しは女を自覚しろ。このまま行くと女の限界を最悪の形で目の当たりにするぞ。ほんじゃな。」

帰ろうとする中野を俺は引きとめた。

「・・おい」

「ん?」

「今日はその・・ありがとな」

「フッ・・無理すんなよ。」

俺は中野にお礼を言いながら自宅へと戻った。俺は脳裏から帰り際の中野の光景が頭から離れなかった。あのときの中野は・・少し照れていた。

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最終更新:2008年09月10日 00:58
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