『男の中の女』(7)

527 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 13:46:49.93 166noDWK0
あれから俺のもやもやした気持ちをいっそう強めながら数日がたち・・ついにあいつの家庭教師の日がやってきた。結局勝負はドローだったので家庭教師の条件を取り消せることができず、俺は絶望した。まぁ、内藤たちからも各自それなりのエールをもらった。

「ま、頑張れお。」

「これがきっかけでうまくいくんじゃね?」

「でも、あんた意識してるってことは楽しみにしてたのよね。ま、頑張りなさい。」

各自俺の気持ちも知らずに好き勝手なことを言いやがって・・ま、現実は仕方なく進んでいくので俺は逃げ出すこともなくあいつを待っていた。だけど、条件反射で襲われてはたまらんから何か武器を用意しなくては・・

俺がいろいろな準備をしているとついに運命のチャイムの音が鳴った。

528 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 13:54:46.28 166noDWK0

「あ・・意外に早かったな。ま、あがれ。2階に俺の部屋があるから・・」

「あ、ああ・・」

そういって俺は速やかにあいつを自分の部屋に連れ込んだ。もしこの光景が母親にでもばれてしまったら説教どころでは済まされない。むしろ婚約届けを勝手に提出かもしれん・・俺が女になってから妙にハイになった母親・・本気で女の子がほしかったみたいだな。

俺は飲み物を用意するとあいつが待っている部屋へと運んだ。

「ほらよ。・・言っとくけどな勉強だぞ。教えてもらうのは保健体育じゃないからな!!」

「・・バカの相手をすると疲れる。下らんこと言ってないではじめるぞ。まずは数学だ・・」

そういってあいつはもていた手提げから数学の教科書を出してきた。どうやらあの手提げには教科書類しか入っていないらしいな。俺は安心すると数学からじっくりと教えてもらった・・

531 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 14:03:14.28 166noDWK0

「んで、ここの計算はこの方程式を使って・・ってお前違ってるぞ!!よくこの学校は入れたな!!」

「うるせぇな!!!それとこれとは関係ないだろ!!!」

ものの数分で早くも言い争いになってしまった。第一数学なんて社会にでてから役に立つことといえば足し算と割り算と引き算と掛け算ぐらいだろ?

「はぁ・・お前基礎からやり直しだ。俺が教えてやるから諦めんなよ。」

「へいへい・・」

そういってあいつは教科書を別のページを開くと再び俺に数学を教え始めた。さすがに完璧超人の異名を持つこいつは教えかたもうまく、俺は何とかさまになってきたようだ。まぁ、ほとんどわからんが・・

「ダァーッ!!!もうわかんねぇ!!!!!次だ次!!」

「・・まぁ、さっきよりかはマシになってきたな。んじゃ、次ぎ行くぞ。」

そういってあいつは英語の教科書を取り出した。俺は見たくもないタイトルを見てしまった・・

534 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 14:18:30.86 166noDWK0

「それじゃ次に英語だ。英語はな・・」

「俺は日本人だ!!!英語なんて必要ないね。」

全くもってそうだ。ここは日本だ。日本語さえマスターしとけば支障はない。それに英語は昔からチンプンカンプンだった。たとえ外人に出くわしてもその場で逃げればよいのだ!!つかまったものは脚力がなかった奴なのだ!!!!

「・・少なからずとも単語ぐらいは日常生活にでるものだろ。それに運悪く外人に出くわしたときどうやって対応するんだ?」

「ハンッ!!!そういう場合は拳と拳でぶつかり合うんだ!!拳と拳でいえば言葉よりも早く伝わる!!!元来男はそうやって・・」

「・・お前アニメの見すぎだ。例えばIs this a pen?・・これはあなたのペンですか?って言われたとき対応もせずに殴りかかるのか?それはひどくないか?」

「そんなの負けたやつが悪いんだ!!!」

俺は高々とあいつを見下しながら言った。・・あいつは冷静になりながらやれやれといった表情で俺に英語を教えてきた。

535 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 14:21:21.40 166noDWK0

「・・バカなこと言ってないでさっさとはじめるぞ。いいか英語ってのは見た目は複雑だが意味合いさえわかっていれば単純なもんなんだよ。いいか・・」

あいつは例文を書きながら1つ1つずつ英語のしくみを教えてくれた。

「なるほど・・まぁ、単純といえば単純だな。」

「ハァ・・ここから教えるなんてな。お前は英語と数学が最大の課題だな。」

ため息をつきながらもあいつはゆっくりと丁寧に教えてくれた。そのおかげか俺は何とか英語が頭に入っていった。

それから理科、国語などいろいろな教科を時間をかけてだが丁寧に教えてくれた。まぁ、途中言い争いが多々あったが、それでも俺は自分も珍しくノートに書き込んだ。

536 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 14:30:40.98 166noDWK0 静かな環境の中、しばらく無音の空間が続く中。俺は必死にノートに書き込みしていた。

「なぁ・・」

「んだよ?」

「考えてみたら普通は逆だよな。同級生なら普通は頭のいい女ができの悪い男に教えるものだよな?」

ムカつくな・・はいはいどうせ俺はできの悪い頭ですよ。俺は勉強以外のことはシカトを貫きながら必死にノートに問題を解いていた。

「おい、疲れたろ。少し休憩を入れるぞ。」

「・・別に疲れてなんていない。」

俺は少し疲れていたのだが頭ごなしに否定すると問題を書き写しながら問題を解いていた。しかし、一度休んでしまったのか筆が思うように進まなかった。

「ほら、疲れてんだろ?休め。」

「わかったよ。・・変なことしたら速攻殺すからな!!!」

俺は手を休めるとそのまま休息を味わった。ついでにあいつが飲み物を淹れてきてやるといってたが俺は断固お断りした。飲み物に睡眠薬とかを入れられたらたまったもんじゃない。それにあいつが部屋に出られて母親に見つかったらたまったもんじゃない。余計心労がたまってしまう・・

539 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 14:46:23.17 166noDWK0 「なぁ・・お前男のときはこういう部屋だったのか?」

「いんや、ベッドとサンドバック以外はみんな捨てちまった。今の俺には邪魔だからな。」

まぁ、女の部屋にサンドバックがあるのは俺ぐらいなものだろう。サンドバックとベッド以外はほとんど男専用のものだったので捨ててしまっていたのだ。もちろん、ビデオやら本やら女になってから全く要らないのでゴミ箱行きだ。

そして休憩の間・・俺の体にはとある変化が起きていた。

540 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 14:47:05.95 166noDWK0

(なんで・・男連れ込んだぐらいでドキドキするんだよ!!!・・しかもあろうことか相手はあいつだ!!)

そう、さっきまでは何にもなかった俺の心音だが、休憩を入れたとたん急にドキドキと音を立てるようになった。俺は突然のことでわからなかったが、原因は容易にわかった。

(あいつのせいだ・・)

「おい、どうした?顔が赤いぞ。」

「ひ、ひゃッ!!・・な、なんでもない。」

あの野郎・・いきなり近づいて俺の髪をなでるとはどういう了見だ!!余計心音が高くなったじゃないか!!これじゃ、さっきのように集中できねぇじゃねぇか!!!全くどうしてくれるんだ!!

「・・い、いきなり触んなよ。お、俺はいたって平気だ。」

よし、これで多分なったぞ!!ふぅ・・どうにか振り切ったか・・あいつにばれてしまったら勢いでベッドに無理矢理押し倒されてそして・・ウワ~、考えるだけでもおぞましいし吐き気がするぜ。絶対、それは阻止しなければ!!!・・でも、少しはよかったな。

あいつは顎に手をかけると微笑しながら

「・・そうかい、なら休憩はお終いだな。大丈夫なんだろ?」

あんの野郎ォ、俺の心を弄びやがって!!!・・機会があったら絶対金属バットで殴り倒してやる!!!そう決意しながら俺は高鳴る胸を抑えながら勉強を再開した。

559 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 15:51:31.63 166noDWK0 あれから数時間経ち・・ようやく空が暗くなってきた。周りの家ではちらほらと明かりがつき始めた。

「・・よし、今日はここまでだ。続きは明日な。」

「えッ!!続きって・・明日もするのかよ!!!今日1日だけじゃなかったのかよ!!」

まさかこれを持続させられるなんて・・もう嫌だ。ああ・・いずれこの勢いに飲まれ俺の貞操も・・

「当たり前だ。お前の成績を伸ばすって言っただろ。お前の学力じゃどう考えたって最低2週間程度やらなきゃ無理だ。・・安心しろ。必ずお前の成績を並にしてやる。

んじゃ、明日学校でな。」

そういってあいつは好き放題言いながら帰っていった。 2週間・・俺の頭に重くのしかかった。あの胸の高まりと一緒にすごさなきゃいけないのか。

それにあのクーとかいった女になんて言われるか、ああ言ってしまったからな。

俺は重くのしかかる頭を抱えながら今後をどう生きていくか考えていた。

562 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 16:00:57.70 166noDWK0 「まぁ、それはともかく。確かに大変ね。」

「な、な、そうだろ!!・・俺どうすりゃいいんだ。」

翌日・・俺はこの悩みをツンに打ち明けていた。まぁ、ツンも最初はからかい気味であったが、伊達に俺よりか女はやってない。俺の切なる悩みを聞いてくてくれた。

「はぁ~・・このまま行くと俺はどうなるのやら・・」

「まぁ、確かにクーさんは難敵ね。あんた女の免疫がなさすぎるもん。まずは安心して勉強できる場所を確保しなきゃ。図書室は前もって無理ね・・」

そう言いながらツンは場所を考えてくれた。しかし、考えれば考えるほどなかなか好条件の場所が見つからなかった。

「あの女から隠れながら、なおかつ安全な場所か・・そんな場所あったかね?」

「そうね・・あ!!あったわひとつだけ。」

「本当か!!」

俺はわらをもすがる思いでツンの言葉に耳を立てた。

「それはね・・保健室よ。」

俺は唖然となった。

567 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 16:12:41.60 166noDWK0 “保健室ならクーさんの目星もつかないだろうしちょうどいい空間よ。・・だけど問題はうまく先生を味方につけれるか。そこがポイントよ。”

そういって俺は保健室のドアの前へと立っていた。俺はドアを開けて入ろうとすると誰もいなかった。

「あれ・・いない。留守かな?」

俺は辺りを見回すと確かに隠れながら勉強できるスペースはあった。さらに俺は見回してみると突然、背後から人の声が聞こえた。

「誰?」

「へ?あ、あの・・」

俺の背後に立っていたのは保健室の先生だった。俺も初めて見たのだが、とても若く綺麗な先生であった。しかし、その外見とは裏腹に冷たそうな性格であった。

「あ、あの俺・・」

「ああ、あなた・・元男ね。どうしたの、体の悩み?」

なんで俺が男だってわかったんだ・・この人超能力者か?はたまた宇宙から地球人を調査しに来た宇宙人か?ならこの保健室が・・UFOだったりしてな。

俺が飛んでもない発想に行き着いている中、先生が現実へと戻してくれた。

573 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 16:22:51.35 166noDWK0

「私は礼子。ここの保健室の先生よ。・・あなたあの相良さんね。入学早々、3年生の集団をあっという間に倒した。・・外見性格ともに“漢”にふさわしいあなたが、まさかあなたがこんなかわいい女性になるなんてね・・世も末ね。」

「え、ええ・・自分でも驚いています。」

なに俺は世間話に耽っているんだ!ここに来たのは頼みがあってきたんだろ!!

「あの・・先生?ちょっとお願いが・・」

「何?」

俺は礼子先生に今までのいきさつを放課後の保健室の使用許可について話をした。

574 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 16:24:25.76 166noDWK0

「・・つまり、あなたはそのファンクラブリーダーの目を盗んでこの保健室でイケメンの彼と一緒にお勉強したいと。」

「彼は余計じゃ!!・・そ、その、約束ですので。男たるもの約束を守らなければ・・」

俺はこのときばかりは神の存在を信じた。この一大事・・了承してくれなかったら近所の神社を片っ端から打ち壊してやる!!俺は運を天に任せた。・・普通なら問答無用で断られそうだが。

「・・いいわよ。ただし、私も同伴させてもらうわ。ただえさへ、若い男と女・・2人きりでそれもベットつきの部屋でいたら・・・ね?」

「あ、ありがとうございます!!」

よっしゃぁ!!この先生が同伴してくれれば胸の高まりは何とか抑えることができる!!俺は先生にお礼を言うと足早とその場から立ち去った。

「・・俺ね。昔の私みたいだわ・・」

俺は廊下をルンルン気分で走っていた。

575 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 16:37:49.79 166noDWK0 そして保健室の使用許可をもらって数時間後・・戸惑い姿のあいつを無理矢理、保健室の中に入れて勉強を開始した。

「おい、なんでここでやるんだ?図書室で間に合うだろ。」

「諸事情だよ。諸・事・情!!男なら細かいことを気にすんな!!」

「はいはい、さっさとやってちょうだい。」

そして俺は礼子先生が見守る中、あいつと一緒に勉強をした。・・のだが数分も経たんうちに

「そこ違うぞ!ここは、昨日教えた式で・・」

「ああもーッ!!わかねーよ!!!」

こういった風にいい争いが続けられていた。まぁ、ほとんど俺が輪からないのが原因だが・・すると見かねた礼子先生が俺らを引き止めた。

流石の中野でさえも、礼子先生の言葉には従った・・なんでだ?

577 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 16:39:31.94 166noDWK0

「はいはい、まず相良さんはなんでわからないの?」

「だってよ、ここの式が・・」

「昨日教えただろ・・」

「2人とも、落ち着きなさい。いい、まずこの式はこう解くの。あなたは一気にやろうとするからわかならなくなるのよ。ゆっくり丁寧にやれば数学はできるわ。」

そう言いながら礼子先生は俺に数学の手ほどきをしてくれた。まぁ、ところどころにあいつも教えてくれたのだが断然礼子先生のほうが丁寧だった。しかし、礼子先生といると思うのだが・・この威圧感は女では感じられなかった。あの中野でさえも従った・・もしや、今の視線は男が下のものを威圧する存在感・・まさか、礼子先生は元男?

んなわけないよな。・・しかし、ドクオが童貞じゃない理由も含めて調べてみたいな。

「おい、ボーっとすんな。」

「はいはい・・」

とまぁ・・こんな感じで勉強会は進んでいた。

673 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 21:57:43.31 166noDWK0

あれから保健室での勉強会と道場通いが続く中、成果は順調(?)に進み最終期限の2週間たった後、最後に俺は試しの小テストをさせられた。俺はいつもなく真剣にテストに答えていた。

「・・終わりだ。」

「はぁ~・・で、どうだ?」

「まぁ、待て。今採点してるから・・」

そういってあいつは俺のテストに赤ペンをつけながら俺のテストを採点していった。

そして数分後、すべてのテストの採点が終わったようだ。

「平均は・・10点満点中6点だ。まぁ、お前にしてはよくやったほうだ。」

「ハンッ!!この俺が本気を出せばこんなもんだ。」

「ま、2人ともよく頑張ったわね。それにしても2週間でここまでいけるなんてたいしたもんね。 2人の愛の力かしら?」

「なわけねぇだろ!!!この俺の実力だ!!」

俺はからかい半分の礼子先生に突っ込みながらテストを見返してみた。やはり俺はやればできるのだ!!何せ喧嘩でも数々の修羅場を抜けてきたこの俺に勝るものなどないからな!!

674 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 21:58:33.98 166noDWK0

「・・じゃ、これで俺の役目は終いだな。」

ん?こいつにしてはどこか珍しく寂しそうだな?ま、俺は2週間にも及ぶ缶詰生活から開放されてうれしいのだがwwww俺たちは礼子先生にお礼を言うと俺は真っ先に内藤たちと一緒に帰っていこうとしたのだが・・まぁ、一応こいつには世話になったのでお礼を言うことにした。

「ま、2週間ありがとな。・・俺、頑張ってみるぜ。」

「バーカ、まだお前は基礎中の基礎をやったにすぎねぇよ。・・んじゃな。」

そういってあいつは夕焼けが差し込む方向へと消えていった・・どことなく、あいつの寂しそうな背中を見るとなぜかこっちも虚しくなってきた・・

(・・なんだかなぁ。)

結局俺はいっそう強くなったうやむや感を抱えて1人学校へと帰っていった。

675 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 22:06:18.54 166noDWK0 夕焼けが濃くなる中・・また俺は誰かに尾けられていた。

(ハァ~・・またかよ、なんだか最近女になってから尾けられるような気がしてきたな。

全く、モテる女は辛いぜ。)

俺は歩きながらも背後に尾けている人数を勘定していた。どうも相手は少人数だが、あまり油断はできなかった。極力戦闘は避けたかったが、この周りは逃げれる場所がなくどうすることもできなかった。

結局俺は相手を迎え入れるために人気のないところへと移動した。

679 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/09(月) 22:11:49.49 166noDWK0

「さて・・女相手にどういう了見かな?」

俺は振りかえると案の定、少人数だが実力の立つやつらばかりがいた。そして黒服の奴のリーダーが俺に話しかけてきた。

「お嬢様の命令だ。中野に近づかなければここは見逃そう。」

「嫌だといった場合は?」

「・・女性だろうが痛い目を見ていただく。」

どうやらあいつ・・とんでもないところとツルんでいたようだな。まぁ、そうでなくても俺の答えは決まっていたが。

「さぁ、来な・・」

俺は構えると黒服のおじさんたちも構え始めた。

682 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/09(月) 22:19:22.95 166noDWK0

「こいつら・・できるな。」

俺は隙を見せずに構え始めると、どこから攻撃しようか迷っていた。はっきり言ってこのおじさんたちは何らかのライセンスの有段者だ。とても、素人とは思えない構えであった。俺は目を瞑り隙をなくすと・・1人のおじさんのほうへと向かった。

「こ、このッ!!」

「まずは一人目ッ!!!」

俺はたちまち1人のおじさんのパンチをすべてかわすと隙を見て鳩尾に一発思いっきりいれてやった。このおじさん、小技が多かったから多分ボクシングの有段者だろう。俺は瞬時に1人倒すとほかのおじさんたちもこちらへと向かってきた。

「この野郎・・油断できんぜ。」

「おい、ジジィども!!小娘相手に様ないな!!!」

俺は相手の冷静さを奪うため随時挑発をかけることを忘れなかった。案の定、俺の挑発に乗らされたおじさんたちは本来の技を使うこともなく喧嘩戦法でこちらへと向かってきた。

684 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/09(月) 22:29:46.39 166noDWK0

挑発をかけて技を封じた俺にとって周りのおじさんたちは少し強いだけのただのジジィに過ぎなかった。もはやライセンスとかで得た得意技は使わずに冷静さを欠いてこちらの誘いに乗り喧嘩戦法で行っていた。もはやこうなると俺の独壇場であった。俺は1人また1人と冷静さを欠きながら挑発を繰り返していき、ついに最後の1人に到達した。

「さぁ、てめぇで最後だ。」

「挑発をしながら相手の冷静さを欠きその隙に攻撃を加える。・・それにその動き合気道だな。」

「へぇ~、よく知ってるな。」

こいつはちょっと厄介な相手だが・・俺は負けねぇ!!

688 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/09(月) 22:40:24.08 166noDWK0 俺は最後のおじさんと対峙すると両方とも構え始めた。

「ハァァァ!!」

先手必勝!俺はいきなりおじさんの顔に蹴りを放ったが遭えなく腕でガードされてしまった。俺はさらに人体の急所に攻撃をしたがおじさんのほうはビクともしなかった。

「なかなか筋のいい攻撃だが・・力が足りんな。」

この親父・・ただもんじゃないな。こりゃ、俺よりも長く合気道をしているな。俺がふと考え事をしていると急におじさんの鉄拳が胸めがけて飛んできた。俺はとっさのことで驚いたが両手を使いガードした。

「やるな・・小娘。」

(―――ッ!!なんて力だ。やばいなこりゃ・・)

とっさに腕でガードしたもののあれを胸に喰らっていたらとんでもなく痛かっただろうな。それに腕が少しジンジンしてきやがったぜ。おじさんは好機と見たのか、その攻撃をきっかけに俺に立て続けに攻撃を仕掛けてきた。力こそ大きいものの隙があったので何とかかわすことには成功した。・・だけど、このまま行ってもジリ貧だった。

「どうしたどうした。かわすだけでは何もできんぞ。」

(クソッ!!どうすりゃいいんだ・・)

俺はいい考えが思い浮かばずついに後方へと追い詰められた。

690 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/09(月) 22:54:00.80 166noDWK0

「さて・・どうするかな?」

俺はついに後方へと追い詰められてしまった。逃げ場を探すにもおじさん自身、隙がなかったから逃げ出せれなかった。何とか相手の隙を作らなければ・・

(クソッ・・隙がねぇ。どうやったら・・こうなったら一か八かだがあれしかないか。)

このままではまずいと思った俺は意を決して意地を捨てた。こうなったらとことんやってやるぜ!!この世には勝てば官軍という言葉があるぐらいだしな!!

691 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/09(月) 22:54:56.71 166noDWK0

「どうした、もう終わりか・・」

「ぐすっ、ぐすっ・・お、お腹が・・」

俺は突然、大の男相手に膝待ついてしまった。さぁ・・これに引っ掛かるか?

「どうしたんだ?」

よし、隙ができた。喰らえ!!タマ金蹴り!!!!

「なッ!!ぐおおぉぉぉぉぉ!!!!」

俺は隙ができたおじさんの隙を突いて男なら誰でも痛いタマ金を思いっきり力をこめながら蹴り上げた。案の定・・おじさんはあそこを抑えながらもがき苦しんでいた。流石にいくら鍛えてようとそこまでは鍛えられなかったようだ。

まぁ、ちょっぴり良心は痛んだが・・

692 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/09(月) 22:57:32.84 166noDWK0

「涙は女の武器・・とはよく言ったものだ。さて、首謀者の名前を教えてもらおうか?」

こうなれば形勢逆転で俺はもがき苦しむおじさんを説き伏せながら尋問した。

「グッ・・卑怯な・・」

「どうした!!また、蹴り上げられたいのか!!」

「・・わ、わかった。首謀者は・・ク・・ガハッ。」

「お、おい!!!」

チッ、肝心なところで気絶しやがった。よほど鍛えるのを疎かにしていたんだろうな・・いや、待て・・タマ金蹴り上げたぐらいで気絶するか普通?

じゃあなんで気絶したんだ?

結局俺は首謀者が誰かもわからぬまま家路へ向かうことにした。

867 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/10(火) 16:40:03.58 iFshTIWP0 あの事件から翌日、俺はあの首謀者のことを考えながら教室にいた。

「結局誰だったんだろうな・・」

まず考えてあのおじさんたちはれっきとしたプロだ。この俺でも太刀打ちするのは苦労した。それに・・絶対あいつが関わっているのは間違いなかった。でなきゃ俺まで襲うことはない。俺は深々と考えるとツンが慌てて俺の席へと駆け込んだ。

「ちょっと、昨日、中野が・・病院に運ばれたみたいよ!!」

「な、何だって!!」

なんであいつが病院送りに・・この俺が言うのもなんだがあいつは唯一俺と互角に戦える奴だ。そんな軽くやられるタマじゃない。この俺が一応保障する。

俺は周りと確認するとあいつはいつも来る時間帯になっても来なかった・・

872 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/10(火) 16:48:13.07 iFshTIWP0 「おい、聞いたぜ。中野がやられたんだってな・・」

「いったい誰がそんなことをしたんだお・・」

お昼休み・・弁当を囲んだ俺たちは病院送りになったあいつの話題で持ちきりだ。

「何だ、お前たちも知っているのか?」

「ツンから聞いたお。・・お見舞いには行かないのかお?」

「そんなもん誰が行くか!!!・・それにあいつだって、それ相応の恨みぐらいはたくさん買われてるだろ。何せ、殺戮の天使だからな・・」

考えればあいつに恨みを買う奴はかなりいるはずだ。不意に誰かに襲われたって不思議じゃない。それにあいつはほかの奴の復讐ごときに簡単にはやられないはずだ。

「・・それにまたケロッとして来るさ。」

しかし、俺は何か別の予感を感じていた。・・それも嫌なほうであいつ・・平気かな?・・ってなんであいつのことを心配せにゃならんのだ!!!確かにあいつには借りはあるが・・別に心配ないと思う。・・多分

俺は・・胸が締め付けられるようなそんな感じがした。

874 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/10(火) 16:57:19.10 iFshTIWP0

「お見舞いに行ってみれば?」

「・・そんなものどうせ行ったって野暮だ。」

あいつのお見舞いなんて誰が行くかよ!!俺は断固拒否を貫いていると突然、俺たちの背後から誰か現れた。

「話は聞かせてもらったわ。」

「う、うわっ!!」

俺たちの背後に現れた人物・・それは礼子先生だった。この人は超能力者か!!礼子先生は俺に向かい、あの目で語気を強くしたまま俺にこう言ってきた。

「あなた・・このままでいいの?」

「な、何だよ・・べ、別に行かなくたっていいだろ。」

何なんだこの人は・・

「・・あなた、本当は行きたいんでしょ?・・これ、中野君の病室よ。お見舞いに行くか行かないかはあなたの自由・・でも、ちゃんとしないと後で後悔することになるわよ。」

そういって礼子先生は病室に書いてある紙を俺に渡すと去っていった。俺は今にもこの紙を破り捨てようかと思ったのだが・・どうしても思い踏みとどまった。

875 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/10(火) 17:04:53.51 iFshTIWP0

そして俺はうやむやしたまま放課後を迎えてしまった。

「それにしてもあれが例の保健室の先生か。・・結構きれいだな。」

「そうだおねwwwww・・ってツン、そんな目で睨むなお!!!」

内藤たちがバカやってる中、俺は行こうか行くまいか悩んでいた。

ただ平然と家に帰ればいいだけなのに俺は悩んでいた。

「んもう・・で、あんたは結局どうするの?行くの?それとも行かないの?」

「・・行かねぇよ。」

俺は結局紙を握り締めたまま、そのまま内藤たちと帰り際に別れた。俺は家へと帰ろうと思ったのだが、頭の中で礼子先生の言葉がふとよぎった。

“・・でも、ちゃんとしないと後で後悔することになるわよ。”

「後悔・・っか。」

俺は帰ろうと思ったのだが、その想いとは裏腹になぜか体は勝手にあいつの入院している病院の方向へと歩き出した。

877 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/10(火) 17:12:56.97 iFshTIWP0 結局、俺は花屋で菊・・ではなく、お見舞い用の花を買い、ついでにスーパーでリンゴを買いあいつの入院している病院へと来てしまった。まぁ、こうなったら仕方ないな。俺は看護婦さんに病室の場所を聞くとあいつの病室の前へとたどり着いた。

(・・花はこれでいいかね。流石に金持ちとあって病室は個室だな。)

俺は意を決して病室に入るとそこにはベッドの上でのんびりと読書をしていたあいつがいた。あいつは俺の姿を確認すると意外にも出迎えてくれた。まぁ、ギプスをしていないところをみると骨は折れていないようだな。どうやら全身打撲といった感じだな。

「よぉ、まさか来るとは思わんかったぜ。」

「・・それだけ元気ならもういいな。帰る」

「お、おい、待てよ・・見舞いに来たんだろ。まぁ、ゆっくりしてけよ。」

「俺に襲い掛かったら怪我人だろうが容赦せんぞ・・」

結局俺はあいつの勧めであいつの病室へと留まることにした。

879 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/10(火) 17:24:41.59 iFshTIWP0

「で、誰にやられたんだ?お前がやられるなんて滅多にないことだからな・・」

俺はリンゴをむきながらこいつの怪我の原因を聞いてみた。しっかしこのリンゴ・・皮が剥きづらいな。不良品か?あのスーパーのジジィ俺に安物売りつけやがって!!!俺が本題と別にリンゴと格闘しているとあいつが俺からリンゴをひょいと取り上げた。

「お前意外に不器用なんだな。・・ちゃんと料理してるのか?」

「病人の分際でうるせぇな!!!・・んで、その怪我・・誰にやられたんだ?」

あいつはリンゴを器用に剥きながら怪我の原因を話してくれた。

「ああ・・昨日お前と別れたとき、変なおじさんたちに尾けられてな。・・んで、人気のないところに来たら突然お前と二度と近づくなって言われてな。ムカついたから殴ってやった。」

これって昨日の俺と同じだな・・俺は昨日の行動とダブらせながらリンゴを剥いているあいつの話を聞いていた。

「んでな、そのおじさんたちが強いのなんのって・・まぁ、何発か喰らったが全員返り討ちにして首謀者の名前を聞いてみたわけよ。・・んだけど肝心なところで気絶しちまったな。ほらよ、剥けたぜ。」

俺はリンゴを受け取ると昨日のことをもういっぺん整理してみた。

やはり、あれは誰かが意図的に起こしやがったんだな。そして俺はリンゴに噛り付きながら昨日あったことを話した。

882 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/10(火) 17:31:43.35 iFshTIWP0

「・・なるほど、どうやらこれは俺たちに恨みのある奴のやったことだな。」

「ああ・・それもかなり深いのな。でなきゃ、プロなんて雇わんだろ。」

俺たちにしては珍しく共同で犯人を推理した。どうもああいた奴には直に一発お見舞いしてぇ。

考えていることは同じなようだ。

「ま、考えたって仕方ないだろ。・・とにかくお前は気をつけろよな。」

「バカ、てめぇに心配されるほど俺は弱かねぇよ!!」

「・・そうだったな。・・今日は来てくれてありがとな。」

な、何言い出すんだ急に!!こいつは怪我してから頭でも打ったのか?いや、変な薬に手をだしたに違いない!!何せここは病院だ。・・それにこいつのことだ、看護婦に色目を使って薬をせびりだしているに違いない!!

「な、何言い出すんだよ・・早く治せよな。」

そういって俺は慌てながら病室を後にした。

945 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 本日のレス 投稿日:2006/10/10(火) 21:03:13.24 iFshTIWP0

「さて、久々にジジィのところへと顔を出すか・・」

病室を立ち去った俺は久々道場へと顔を出すことにした。言っておくが断じて日々の稽古は怠っていない。むしろ毎日運動はしている。・・そんなこんだで俺は再び道場の門をたたいた。

「おい、ジジィ!!いつもどうりに稽古つけてくれ。」

「おお、来たか。稽古はつけるがちょっと面倒を見てくれんかな?お主、すでに免許皆伝者だからそれぐらいできるじゃろ?」

「何だよ、新参か?ったく・・」

俺はジジィの命令でその新参者とやらを鍛えることにした。俺は新参の顔を見てみるとなんとドクオと内藤であった。・・なんでこいつらがいるんだ?

「お前ら・・」

「いやぁ、最近からだが鈍ってな。」

「俺は一応、男になるためにきたお。」

意外な珍客だが・・ま、ここに来たからにはたっぷりしごいてやりますか・・

947 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/10(火) 21:15:49.25 iFshTIWP0

「ま、ここに来た限りは生半可ではいかないからそのつもりなのだが・・」

「お、おう・・」

「緊張するお・・」

俺はかなりガチガチのこいつらをどう鍛えるか悩んでいた。とはいっても俺は人に教えることなど皆無であったため意外にどうしようか悩んだ。そういえばジジィが新参用に用意してたもんがあったな。えっとたしか・・

俺は何かを思い出すと道場の物置をあさってみた。すると新参用の指導マニアルをみつけた。

「あ、あったあった。これだ、お前たちには2週間程度このメニューをこなしてもらう。まずはそれからだ。」

「え、えええマジかよ・・」

「こ、これはきついお。」

新参用の指導・・それは、まずスクワットを60回にそれから5キロのランニングをしてそれから精神統一を2時間だな。まぁ、俺も入った頃はよくやらされたので懐かしいな。

まぁ、ほとんど完璧にこなしたが、俺の場合は元がよかったんだろうな。

「ま、頑張ってな。新参君。・・さて、俺はこいつらを除くこの道場のやつらと片っ端から組手でもするか。」

そういって俺は道場のやつらを集めていつもどうりの組み手をはじめた。

950 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/10(火) 21:28:37.57 iFshTIWP0 「ふぅ~・・後、90人ドンと来い!!」

俺は1人1人確実に倒していった。残りは90人・・実力は知り尽くしても俺は油断は決してしなかった。

「いきますよ!!」

「とりゃぁぁぁ!!!」

向かってくる野郎どもを俺は片っ端から相手にした。

「23・・ハァハァ・・しかし、相良はすげぇな。並みの奴より強いぜ。」

「・・そうだおね。24」

俺は稽古のさなか、無駄口をたたいているドクオたちに渇を入れた。

「おいてめぇら!!無駄口たたいてる暇あったらちゃんとしろ!!途中飛ばしてたらやり直しだからな!!・・・ハッ!!あと、60人だな。」

俺は渇入れている隙を着いたやつらを一蹴すると残りの数を数えていた。

953 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/10(火) 21:39:11.47 iFshTIWP0 数時間後・・ようやく俺はすべての奴らを倒した。

「ハァハァ・・これで全員だな。」

俺は荒く呼吸すると辺りを見回し、ようやくすべてが終わった。あたりはすべて野郎の屍で一杯であった。まぁ、こいつらも十分な実戦に向けての鍛錬となっただろう。前にジジィから合気道の大会に出てくれとせがまれたが俺は断固断った。

「見事じゃな。」

「ジジィ・・てめぇ今まで何してたんだ!!」

「いや、おぬしの成長振りを見ておった。日に日に成長していくな。どうじゃ、その才能を活かすためにこの道場の看板も・・」

「・・悪いが俺はあくまで護身術程度だからな。ほかの奴に言ってくるれ。」

「そうか・・」

ま、ジジィには悪いが俺は女だから道場主にはむかんだろう。そういえばドクオたちもそろそろランニングから帰ってくる頃だろ。俺は2人に教えるため精神統一の準備をした。

955 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/10(火) 21:46:58.94 iFshTIWP0 お、噂をすれば何とやらだな。内藤たちが戻ってきた。

「おめぇら、ちゃんと走っただろうな?」

「ハァハァ・・ちゃんと帰ってきたぞ。」

「ハァハァ・・つ、疲れたお。」

まぁ、この表情を見るとちゃんと走ってきたみたいだな。俺は感心すると2人に精神統一の仕方を教えた。

「いいか、精神統一は雑念を振り払う・・現代風に言えばイメージトレーニングだ。余計なことを考えずに冷静になりきることが大切だ。」

「わかった。」

「わかったお。」

俺は姿勢やら仕方を教えると、俺自身も精神統一をすることにした。最近、いろいろなことがありすぎたから気持ちを落ち着かせたい。・・それにあいつに対する気持ちや今の自分自身についても自問自答することにした。

道場内ではさっきとはうって変わって、静けさがこの場を支配した。

963 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/10(火) 21:57:57.07 iFshTIWP0

(女になってから、今までの世界観や人の見方も変わっていった。・・俺はいったいどっちなんだろ?

     男か・・

           女か・・

         俺ノ心ハイッタイドッチニ染マッテイッタノダロウ・・)

入り混じる気持ちの中であいつに対する気持ちも整理してみた。今まではライバル意識や執念、決着などに支配されていた。事実、女になる以前は機会があればあいつの首を引っこ抜いてやろうとも思った。互いに殴り殴り合い・・拳という拳で俺はたちはぶつかり合えた。力を振るうことで俺は存在意義を確立していた。

だが、女になってから俺の中が一変した。このまま一生孤独一線と思った俺は気がつけば友達ができている。バカし合って俺は笑っていた。そして、あいつとの再会・・正直わからなかったが俺はあいつを“異性”としてみていたのかも知れない。初めてあいつに助けられたとき・・どうしようもない気持ちだった。そして・・抱きつかれたあの時、俺は正直何もできなかった。ただ・・あいつに身を任せていた。

空気が流れる中、夜になるまで俺の精神統一は続いた。

969 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/10(火) 22:11:18.22 iFshTIWP0 夜になり、道場を出た俺は内藤とドクオと帰り道をともにした。

「毎日あれするのか・・大変だぜ。」

「俺・・ツンを守ってみせるお。」

「お前らな、ちゃんと続けられるか?・・そういえば内藤はそれが目的だったのか。」

そういえばドクオはともかく内藤がこの道場へ来た目的がいまいちつかめなかったが、そういうことだったのか。

そういえば、内藤は付き合っているみたいだな。

「内藤、お前ツンと付き合ってたのか?」

「そうだお。」

「こいつらは互いの相性がいいんだよ。長年友人をやっている俺が保障するぜ。」

そういえば・・こいつらは俺よりも長い付き合いなんだよな。確か小学時代からって言ってたな。

絆って深ければ深いほどいろんなんがわかるんだよな。

「そういえば小学生の頃、ブーンがツンの勝手にケーキ食べてお前必死に謝ってたよなwwww」

「昔のこと言うなおwww」

俺はなんでか妙にはしゃいでるドクオたちが羨ましかった。男のときはそんなことちっとも思い浮かばなかったのに・・女になってみるとなんだか羨ましく感じた。

976 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日:2006/10/10(火) 22:24:58.39 iFshTIWP0

自宅に帰り俺はベッドに横になっていた。俺はさっきの精神統一のことと思い浮かべていた。

「はぁ、結局あいつのことはわからずじまいか・・自分の中のあいつが見えてこなかった。俺は・・俺自身あいつの事をどう見てどう想ってるんだろう・・」

結局、精神統一の中でも答えというか・・その“何か”は見つからなかった。

(俺は、俺はあいつの何を想って何を求めてるんだ・・)

自問自答しても答えなど見つかるはずもなく俺はこの現実から・・想いから逃れるために睡魔へと飛び込んだ。

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最終更新:2008年09月10日 01:03
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