459 :
◆.XYXloEOlQ :2007/12/01(土) 01:23:30.75 ID:88kDNK3XO
まどろみつつ携帯でケータイ小説(笑)書いてみよう
―「嗚呼、すごく腹減ったなぁ…ジャンクフード食おうぜジャンクフード」―
高校生四人グループの中で、俺は空腹を訴えてみる。
イケてる面相、略してイケメンの和泉圭(いずみ・けい)と俺、吉野朔太郎(よしの・さくたろう)、『エロ紳士』の異名をとる染井悠(そめい・ゆう)、圭はともかく、俺と悠がいるようなグループには似つかわしくない紅一点の真木絢乃(まき・あやの)。
そんないつものメンツで下校中、さきほどの俺の提案は見事採用され道化師で有名なファーストフード店Mへ行くことに。
『男子は16歳の誕生日までに童貞を喪失しなければ女体化する』
そんな常識がいつごろ生まれたのかは定かではないが、とにかくこれは世界の常識である。
現に絢乃は女体化した者のひとりだ。
いきなり美少女になった絢乃だが、小中高とずっと一緒の四人だ、一人女体化したくらいで揺らぐような友情ではない。
…たぶん。
「しっかしお前ら、浮いた話のひとつも無いのな」
ハンバーガー片手に圭が放った一言に、俺と悠はギクリと反応する。
圭は俺たちの中で最も早く女体化を免れた、言わば選ばれし者。
「うるへー、文句あっかコンニャロー!イケメン!人でなし!」
俺は悠の発言にそうだそうだと乗っかった。
悠…こいつは国営の風俗で女体化から免れた、生粋のエロキモカワイクナイボーイ。
「でもさ、朔は本当にマズいんじゃないの?『まだ』でしょ?」
478 : ◆.XYXloEOlQ :2007/12/01(土) 01:49:06.91 ID:88kDNK3XO
「………」
絢乃の一言に、場が凍り付く。
「…だ、大丈夫だろ。もう二年だぜ?ダイジョウブ、ダイジョウブ…」
…たぶん。
俺は16歳の誕生日なんてとうに過ぎてる
元々、女体化しない体質なんだろう。
「俺としては朔には女体化してほしいんだがな~」
エロ紳士が胸を揉む真似をする。殺そう。
俺の殺意に反して圭と絢乃は吹き出した。なんでだ…
まぁ、和やかな空気が戻ったから良しとしよう。
寿命が延びて良かったなエロ紳士。
「さて…っと、そろそろ出るか」
圭の言葉に皆同意し、店を出た。
その後は公園でキャッチボールしたり悠の家でボンバーマソで四人対戦したりして、適当に解散した。
…体が重い。
疲れているのか?
俺は家に着くと部屋に直行し、ベッドに倒れ込んだ。
「ま…だ10時、か…でも…ま、いっ…」
ここで、意識が寸断された。
485 : ◆.XYXloEOlQ :2007/12/01(土) 02:37:15.71 ID:88kDNK3XO
…どれくらい寝たんだろうか。
「う~…んっ」
ひと伸びしてから携帯を開いて時間を確かめる、7時ちょっと前だ。家と学校は近いから結構早起きした方かな。遅刻常習犯の俺にしては…
頭をボリボリ掻きながら便所に行…あれ?なんか視点低くね?…っていうか髪が目にかかる…おかしいな、まだ疲れてんのか、俺?
「…髪、切らないとな…」
とにかく様々な違和感も尿意には勝てなかった。
トランクスと寝間着のジャージを全開に下げて尿の用意、なんつって。(家のトイレでは穿いてるものは完全に下げる、それが俺のポリシー)上がりっぱなしの便座は俺仕様だ、水の溜まってる場所目掛けて用を足す。
ジョー…
おかしい。この音はトイレの水に尿が飛び込む音じゃない、どちらかと言うと布に染み込む音だ。
不吉な予感がして下を見ると、トランクスとジャージが水浸し。
「なんだこれは」
混乱の余り独り言を吐いたが、それがさらに混乱を呼ぶ。
「…声が…」
ハッとした。全て理解した。
それでも理解したくなくて、納得したくなくて、濡れたトランクスだけ穿きなおして洗面台に駆け込む。
「…!!」
鏡で自分の姿を見て、改めて思い知らされる。鏡の中の俺は俺ではなく、そこに居るのは長い黒髪が清楚な印象を与える美少女。
どうやら俺は、女になってしまったらしい…
486 : ◆.XYXloEOlQ :2007/12/01(土) 02:59:41.67 ID:88kDNK3XO
そのまま嘔吐した。気持ち悪いとか、そういうのではない。
自分が男でなくなったのがショックすぎて胃にきたんだ。蛇口を捻って顔を洗う、もう一度鏡を見てもやはり女のままだ。
「大丈夫?朔た……あなた、誰?」
吐く音がして心配だったのか、母さんが見に来てくれたが俺を見て誰かと尋ねてくる。やはり俺は面影が微塵も残ってないようだ。
「…俺、だよ…母さん…」
泣いてしまったかもわからないが、母さんは黙って俺を抱き締め、なだめてくれた。
「学校には連絡しておくから今日は休みなさい」と言われ、頷くしかなかった。
父さんはと言うと「赤飯か!?今夜は赤飯なのか!?」とか騒いでた。ぶっ殺そうかと思った。
学校を休むことになった俺は共働きの両親が稼ぎに行ったあと、今後のことについて考えてみることにした、落ち着け…落ち着くんだ。
そうだ、素数を数えろ。素数は絶対だ…素数ってなんだっけ…
とりあえず朝っぱらから風呂に入ることにした。汗まみれだし、何より小便まみれなのは戴けない。
悠なら喜びそうなもんだが…
487 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/01(土) 03:35:32.99 ID:88kDNK3XO
シャワーを浴びながら自分の体を良く観察する。…やはりナニはない、男の証を失ったというのは精神的にくるな…
その代わり、というのもアレだが、胸は無駄なほど盛り上がっている。…正直、邪魔だ。
「いきなりすぎだろ…常識的に考えて」
風呂からあがってサッパリしたが、やはり納得できない。16歳の誕生日は無事だったのに…
「まぁ、そういうこともあるか」
そう自分に言い聞かせる。そしてあることに気付いた。
「みんなにも伝えるべき…だよ、な」
あの三人に打ち明けなければ…親友には隠し事したくないしな。…でも、もし気味が悪いとか思われたら?そんな不安が頭を過ぎるが、首を横にブンブン振る。
女体化程度で俺たちの友情は揺るがないのは実証済みじゃないか!
…絢乃が女体化した時のことを思い出すと、小さな不安は吹き飛んだ。
俺は少し悩んで、それでも意を決して三人に同時にメールを送った。
『女体化したwwww俺\(^o^)/オワタ』
時間的に授業中だったが三人はすぐに返事をくれた。
『大丈夫!?三人ですぐ朔の家行くから待っててね!?』
『今日休んだのはそういう事情か…すぐにお前の家に行くから、あんまり思い詰めんなよ?』
『把握wwww胸写メ送れwww今すぐ送れwwwww』
489 : ◆.XYXloEOlQ :2007/12/01(土) 04:02:24.56 ID:88kDNK3XO
ただ待つのもアレなので、とりあえず部屋を徹底的に掃除することにした。
さっき風呂入ったばかりなのに、埃に塗れるような真似をしてしまうのは性格なので仕方ない。
…なんというか、こういう時って女の方が強いんだなぁ、としみじみ思ったりする。
昼ご飯を摂るのも忘れて掃除に没頭していると
ピンポーン
…来た!
緊張しつつ少しドアを開けると絢乃、圭、悠が走って来てくれたのか、肩で息をしながら立っている。
ゆっくりとドアを全開にし、俺たちは今日初めての対面をする。
ドアに隠れていた俺の顔があらわになってゆくにつれ、三人の顔がそろって驚愕の表情に変わっていった。
『ホントに朔か!?』
あ、ハモった。
742 : ◆.XYXloEOlQ :2007/12/02(日) 01:29:02.76 ID:gbFv51FdO
兎にも角にも三人を掃除したばかりの部屋へ通す。この掃除っぷりは我ながら見事な劇的ビフォーアフターだ、なんということでしょう。
「それで…体はなんともないのか」
「ああ…小便漏らした程度だ」
「それって大丈夫なの?」
圭と絢乃は俺の身を案じてくれている、が、悠はただ黙して俺の方をじっと見据えている。
何を考えているのか…まぁ、大体想像できるな。
「C…いや、Dはあるな…」
スパン!
俺のハリセンが火を噴いた!どこから持ってきたのかは謎です。
「女体化初日からセクハラすんじゃねえ!」
「黒髪美女が失禁…たまらん響きだと思わんかね、朔太郎くん」
「あれか、死にたいのか」
「馬っ鹿お前、俺のカップサーチアイをなめんなよ?」
俺の正拳突きゼロスタイルがエロ紳士の顔面を貫く。親友が女体化したってのに最初にやることが胸の大きさ予想ってどんだけだよ!
まったく…セクハラをした報いだからな、今の顔面パンチは遠慮なく全力でぶち込まさせてもらったぞ。
…あれ…?
悠はあんまり痛そうにしてない、むしろ顔つきが真剣なものになり、エロ紳士らしからぬ態度だ。
最終更新:2008年09月10日 02:03