『将来の夢』

『将来の夢は、ガ○ャピンの中の人になることです』

 ――――

「そう思っていた時代が、私にもありました」
「そんな時代がだれにでもあるみたいな顔をして語らないでくれ……」
「えっ!! ないの!?」
「ねぇよ……」
「だってガ○ャピンだよ? 海の底から宇宙の果てまで何をやらせてもプロ並みにこなす完璧超人だよ? そんな男になりたいじゃん!」
「いや、そう表現されるとそうかも知れんが…… つうか、あれ毎回中の人違うだろう?」
「そんな大人の事情、知ってたわけないじゃん。なんせ何も知らない無っ垢な子供だったんだから」
「『無垢』の間に『小さい つ 』を挟まんでくれないか」
「『将来の夢』の作文でこの話書いたら、先生超困ってた」
「…………」
「別の男の子が『ガ○ャピンに中の人なんかいない!!』って騒ぎ出してねぇ。『いる』って言うとその子の夢が壊れて、『いない』って言うと私のゆめが壊れる」
「なんだその地味な地獄……」
「それからガ○ャピンの中の人にふさわしい男になろうって一生懸命努力したのに……」
「女体化した、と」
「正直、今の筋力であのきぐるみ着てとんぼ返りする自信は無いね」
「……ちなみに、きぐるみが無かったら?」
「超余裕!」
「…………」
「…………」
「ついでに聞くけど、ちなみに今の夢は?」
「ん~、そうだね。『ガ○ャピンの中の人のお嫁さんになること』、かな?」
「……それはまた結構な夢で」
「だから、がんばってね♪」
「…………」
「…………」
「え? 俺!?」



 けっきょく、彼女が『ガ○ャピンの中の人のお嫁さん』になることは無いんだけど、その夢はいつしか『メダリストのお嫁さん』に変わり、見事にかなうことになる。
 でも、それはまた別のお話


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年09月13日 23:35
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。