「──雅美、本当にいいんだな?」
和樹が念を押す。
「お、俺が言い出したことだ。今更…引けるかよ」
そうは言うものの、声も身体も震えっぱなしだ。
俯き加減に強がって見せるが、説得力もへったくれもない。
「そうやって、無理して突っ張ってみせなくてもいいんだぜ?今夜くらいは、俺に任しとけって」
「ふぇ?」
不意に、グイと肩を抱き寄せられる。
目の前には和樹の顔が迫る。
「何、ちょっ…!」
ちょっと待て、と言おうとするがその前に唇が唇によって塞がれる。
ディープキスをするでもなく、唇を重ねるだけのキス。
たっぷり30秒ほどであろうか、和樹の方から唇を離す。
「…ちっとは安心したか?」
ああ、俺の心境を察してくれてたのか…
こんなにも思ってくれていることが、今は堪らなく嬉しい。
いつの間にか身体の震えも止まっていた。
「あ、あぁ…もう、大丈夫だから。それよりも…」
ベッドから立ち上がり、和樹の前へ腰を下ろす。
俺のことを思ってくれている和樹に、少しでも応えたい…
「雅美…?」
訝しげな表情を浮かべ、首を傾げる。
「イ・イ・コ・トしてやんよ…初めてだから上手くできるかわかんねーけど…
わかったら、さっさとトランクス脱げって」
「お、おう…」
言われた通り、トランクスを脱ぎだす和樹。
目の前には…数ヶ月前自分の股間から消え失せた男のシンボルがそそり勃っていた。
違いは自分のモノか他人のモノか、というところか。
「俺だって、元男だ。何されたら嬉しいかくらいわかってるつもりさ…」
半ば自分に言い聞かせるようにつぶやき、おずおずと和樹のソレに手を伸ばす。
グロテスクとしか形容できないが、今はとてもいとおしく逞しく感じてしまう。
とりあえず、軽く触ってみる。
「温かい、な…それにビクビクいってる…」
「雅美にだって、前はついてただろうが」
ああ、そういえば勃ったときはこんな感じだったっけ。
なんだか、初めて見たような錯覚さえ覚えるのは何故だろうか。
「それはそうだけどさ……よし。ぁー…むっ!」
口を目一杯に開けて、一息にソレを咥えこむ。
「ちょっ!雅美!?」
「…んぅ?」
突然のことに面食らったか、驚きの声を上げる和樹。
だが、そんなことは意に介さず初めてのフェラチオに挑戦することにする。
…なんつーか、心持ちしょっぱいな…
エロ漫画とかエロゲーでよくある『ああん、チ○ポおいしいですう!』なんてのは、
男の幻想に過ぎないんだなぁ…なんて、しみじみ思ったり。
「い、いきなり何やってんだ!」
「んぅ、ん、ん、ん(訳:フェ、ラ、チ、オ)」
ソレを口に含んだまま返事をする…言葉になっていないが。
それが微妙に刺激になったのか、一回り大きくなったような気がする。
まぁ、少しでも感じてくれているなら続けるか、と口をすぼめて前後運動を始める。
「…っん…っん…っん…ちゅる…っふ」
「くぁっ…!」
和樹の息遣いが荒くなってくるのがわかる。
気持ち…良いのかな?
された経験が無いから、どんな感じなのか想像つかないのが、何か悔しい。
「…んっふ…んぁっ……んむ…っん、っん…」
「雅美っ…!駄目だ、出っ…!!」
「…っふ…んぁっ!?」
咥え込んだソレが更に一回りも大きくなったかと思うと、俺の口内へと精子を吐き出した。
行き場の無い精子は、当然喉の奥へと流れ込んでいくわけで。否応無しに飲み込む羽目になる。
独特の青臭さと喉に絡まる感じとで、俺はむせ返ってしまう。
「ゲホッ!ゲホッ!…かはっ…うぇぇ……まじぃ…」
「雅美、大丈夫か?雅美!?…その、ごめん」
「…気持ち、良かった…んだろ?謝ること…なんか、ないだろ…って、ふぇ?」
和樹はくるりと身を翻し、器用に俺との位置関係を逆転させる。
今度は俺がベッドに座らされた恰好だ。
「今度は俺の番だぜ、っと」
続く
最終更新:2008年09月17日 17:53