841 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 13:39:37.00 ID:eByNkYbn0
俺と瑞希は今年の秋、俺の誕生日の前に結婚する事になった。
見ず知らずの女性で女体化を防ぐ事に抵抗があったし、なにより瑞希が他の女性とする事を嫌がった。
そんな俺達の結婚を互いの親は認めてくれた。
そうでなくても双方の親同士が昔からの知り合いで、昔から二人を結婚させようかと話してたらしいが、ともかく俺と瑞希は結婚する事になった。
親達は俺達が結婚の話をすると、大喜びで式の日取りや式場の予約なんかを決めてくれた。俺達そっちのけで…
お金とか出してくれるのは親達だし俺達は素直に従った。
夏休みに入ると直ぐにホテルで結納をすませた。いつもと違う雰囲気に緊張してしまい、親達に挨拶するところで噛んでしまった。情けない…
結婚式の衣装はレンタルで済ますことになり俺達は親の着せ替え人形状態になっていた。
その中で瑞希が選んだのはシンプルな白のウエディングドレス
ウエディングドレス姿の瑞希はとても眩しくて俺はドキドキした。
俺の衣装は瑞希のウエディングドレスに合わせて白のタキシードにしたが、瑞希と違って俺のタキシード姿はどこか浮いた様な感じがした。
衣装が決まったところで二人並んで写真を撮ってもらった。
その後、貴金属店で結婚指輪を選んだ。俺と瑞希はプラチナのシンプルやつを選んだ。
844 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 13:41:14.56 ID:eByNkYbn0
夏休み中に結納を済ませ、9月の始業式の日、俺達は学校に婚約と式の日取りを報告した。
俺達が付き合っている事は皆知っていたが、まだ騒がれたく無かったので結婚の事はまだ報告はせずにいて友人達には事後報告する事にした。
運動会とかの行事も終わり、式まで残すところ後10日程となったある日、俺と瑞希は何時もの様に途中まで一緒に帰っていた。
両側に植え込みのある歩道を歩いてると一台の車がふらふらしながら走っていた。
運転手は携帯か何かを操作しているのかよそ見をしている。
危ないな、そう思ってたら俺達の方へ向かって曲がってきた。
危ない!俺は咄嗟に瑞希を安全な方へ突き飛ばし俺も避け様とした。
が、間に合わなかった。
最後に見たのは目前に迫った車と運転手の驚いた顔。
最後に聞いたのはブレーキ音と悲鳴。
激しい衝撃と共に俺の意識はそこで途切れた。
846 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 13:42:44.76 ID:eByNkYbn0
意識を失ってどれくらい経ったろう。
目が覚めて最初に見えたのは白い天井とカーテンレール、それと点滴のバックだった。
ここは病院か…
そういえば俺は車に跳ねられんたんだ…瑞希と一緒に歩いていたら車が俺達の方へ向かってきたんだ。
俺は咄嗟に彼女を守ろうと突き飛ばした。その直後に激しい衝撃を受けた。
あれ程の衝撃を受けたのに身体に痛みは感じられない。俺は少しだけ身体を動かしてみた…
右手…動く…大丈夫みたい。左手…「痛っ!」手首に点滴の針が刺さっていて手首を動かすと痛みがあったがどうやら無事みたいだ。
次に恐る恐る足を動かしてみる…動く…痛みも無い。良かった両足も無事だ。
不思議だ?あれ程の衝撃があったのに怪我をしていないなんて…俺って強運の持ち主だったんだな。
それより瑞希は?俺が突き飛ばしたから車に跳ねられはしなかった筈だが、無事だろうか?
俺がいろんな事を考えていると不意に病室の扉が開き誰かが入って来た。
俺は入って来た人の方へ視線を向けるとそこに居たのは点滴のバックを持った看護婦さんだった。今は看護士って言うだっけ?ややこしいな…
「あっ、千秋さん気が付かれましたか?」
彼女の言葉に俺は「あっ、はい」と返事をし、気掛かりだった瑞希の事を尋ねた「僕が事故に遭った時、もう一人女の子が居たんですけど、彼女は無事なんですか?」
俺の問いに彼女は「此処に運ばれて来たのは貴方だけなんで無事だと思いますよ」
俺が「そうですか」と答えると彼女は「そういえば毎日面会に来る娘がいるけど、彼女の事かな?いつもならもうじき来る筈よ」
「それより千秋さん、具合は如何ですか?」
…ん?
「ちょっと待って!毎日見舞いって俺…」あれ?声が変だぞ?
軽く咳ばらいしてもう一度彼女に尋ねた。
「僕は一体どの位此処に居るんです?」
…やっぱり声がおかしい…
「貴方が救急車でこの病院に運ばれて来てから1ヶ月位かな?その間、ずーと意識が戻らないままだったんですよ」
俺はさーっと血の気が引く感じと共に頭がまたぼーっとしてきてまた意識を失った。
847 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 13:44:28.90 ID:eByNkYbn0
ふと気が付くと俺は、いや俺達は結婚式場に居た。
ウエディングドレス姿で隣に座る瑞希はとても綺麗だった。
俺は彼女の横顔をずっと見つめてた…俺の視線に気付いたのか、彼女がこちらに向く「どうしたの?」
「いや、綺麗だなぁと思って」
俺の一言に恥ずかしそうに「ありがとう」と彼女
そして俺達は互いの指に指輪を嵌めようとした。
次の瞬間、画面が変わった。
制服姿の彼女が恐怖に引きつった顔で何かを叫びながら俺をみてる。
あれ?指輪は?
何でそんなに驚いてるの?
次に目覚めると俺の横には不安そうな顔をした瑞希と先程の看護婦さんが居た。
あぁ、瑞希…無事で良かった。
看護婦さんは「気付きましたか?ちょっと先生を呼んで来ますね」そう言うと病室から出て行った。
「ねぇ、何そんな顔してんだよ?俺なら大丈夫、事故のせいか声がちょっと変だけど全然平気だから心配すんなよ」
俺がそう言うと瑞希の目に涙が溢れてきた。彼女は泣きながら俺に謝ってきた。
「ゴメンねヒロ君…」
「おいおい、何で瑞希が謝んだよ、俺は瑞希を守る事が出来て良かったし俺は生きてる。泣く事なんてないだろ?」
俺が無事だったんで喜んでるのかな?でも、だったら何でそんな悲しそうな顔をしているんだろう?
そう言えばあの看護婦さん、俺が1ヶ月近く意識が無かったって言ってた様な気がするけど…まさか…
「ねぇ、瑞希…俺が跳ねられてどれ位経つ?」瑞希は答えずに複雑な表情をしていた。
そこへ先程の看護婦さんと30代位の女の先生が入って来た。
先生は俺を見て具合はどうかと尋ねてきた。
「特に身体が痛いとかは無いけど、何故か声が自分の声じゃないみたいなんです」
それに対して先生は「そう…」とだけ言って少し間を置いて話しだした。
「今から説明する事に君は驚くだろうし、混乱もするかも知れない。けど、落ち着いてよく聞いてね」と言って事故の話しから語りだした
848 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 13:46:17.28 ID:eByNkYbn0
先生の話しによると俺は脇見運転の車に跳ねられて意識不明のまま病院に搬送されてきたそうだ。
運び込まれた俺の状態は骨折や裂傷、内臓にもダメージを受け、血圧も下がってかなり危険な状況だったらしい。
俺は緊急手術と輸血を受けて何とか命は一命は取り留めたもののそれでも何度も危ない状況に陥ったらしい。
その後も一進一退を繰り返しながら少しずつ安定してきていたんだが、ある日俺の身体に変化が起こった。
-女体化-
運が良かったのかどうかは分からないが、身体の組織の再編の際、骨折や怪我が急速に治っていったらしい。
そうして俺は命の危機を脱したそうだ。意識だけは戻らなかったが
「じゃあ、ちょっと診察するね」
「彼女、ちょっとそっちによってくれるかな?」
瑞希は先生の言葉に立ち上がり窓際へ移る。
布団を外され、寝間着の前を開けられた。
そこには今までには無かった二つの膨らみがあった。
聴診器を当てられ色んな音を聞いた後、お腹や脇、首筋等を触れてくる。
「ちょっと起きられるかな?」って言う先生に頷くと先生と看護婦さんがゆっくり俺の上体を起こしてくれた。
長く寝てたせいなのかそれとも女体化のせいなのか身体が凄く重い。
背中や首、腕の関節を確かめ、またゆっくり寝かせてくれた。
その後、足の関節を曲げたり伸ばされたりされた。
先生が持ち上げる俺の足は細く白くなり、元々それ程濃くは無かった体毛はすっかり無くなり産毛だけがうっすら見える程度になっていた。コレハオレノアシジャナイ…
一通り診察を受けた俺は寝間着を直され布団を掛けられた。
先生は「特に問題は無い様だから明日からはリハビリを始めましょう。」
「食事も採れそうだったら…あっ、今日は間に合わないか…それじゃあ明日から出す様にします。」
「もし、何か食べたい物があったら買ってきてもらって構わないわよ、但し食べ過ぎない様にね」
そう言って先生は病室を出て行った。
850 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 13:47:27.81 ID:eByNkYbn0
残った看護婦さんが「親御さんにはあなたの意識が戻った事は伝えてあるからすぐに来る筈よ、それとショックだろうけど気を落とさないでね。あと、何かあったらブザーを鳴らしてね」そう言って部屋から出て行った。
「俺…女の子になったのか…」
俺は窓の所に立っている瑞希に向かって呟いた。
「ゴメン…俺…」
目が熱い…胸が焼けてきて瑞希の姿が涙で歪んでいった。
瑞希はそんな俺の元に来て頬の涙を拭いながら生きていてくれただけでも良かったと言った。
その晩母さんや父さんが来てくれたけど、ショックが大きくて何を言われたのかほとんど覚えてない。
この身体ではもう瑞希と結婚出する事は出来ないし彼女を幸せにする事は出来ないかも知れない。
それと自分はどうやって生きていけばいいのか分からなかった。
俺は今の現実から逃げたくて眠った。朝起きると元の自分に戻っている事を願って。
しかし俺の願いは届く事は無かった。
看護師さんに身体を拭かれ着替えさせられる時に嫌でも現実を認識させられた。
二つの膨らみは男性にはない子供を育てる為の女性の証、もう俺は父親になる事は出来ない。
食事とリハビリが始まる事になりカテーテルを抜かれた。抜かれる時の気持ち悪さはなんとも形容しがたかった。
そして朝食、空腹感は無かったが少し食べてみた。お粥の塩味が何故か美味しかった。
食事からしばらくして先生の回診があって俺のリハビリの内容が伝えられた。
リハビリって言っても大した事はない、歩く練習だけだ。
長く寝ていたせいで筋力が落ち誰かの助け無しでは上手く歩けなくなっていたからだ。
まだトイレに行くのにも看護師さんを呼ばなければいけなかった。
カテーテルを抜かれた後のトイレは残尿感と少しの出血があった。
そのまま下着を上げると下着が濡れた。「だから拭くのか」
トイレの洗面台で初めて鏡を見た。
鏡の中にはショートカットの整った顔立ちの綺麗な娘が居た。俺はこんな顔になりたかったんじゃない!男のままで居たかった!
潤んだ視界、鏡のな中の少女は涙を流していた。
851 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 13:48:36.03 ID:eByNkYbn0
俺がトイレから戻ると直ぐ母さんが来た。父さんを仕事に送り出してから来たそうだ。
俺は今日からリハビリをして自力で歩ける様になれば直ぐに退院出来るって言うと母さんは喜んでくれた。
俺は歩行器を使って病院を歩き回った。最初は直ぐに疲れたが直ぐに馴れてきた。
この日、担任の先生と瑞希の両親がお見舞いに来てくれた。
先生は俺の変わり様にちょっと驚いてたが大変だけど頑張れって言ってくれた。
瑞希の両親は俺の身体を気遣ってくれ、それと彼女を助けた事の礼を言った。それに対し俺は瑞希と結婚が出来なくなった事を泣きながら詫びた。
おじさんは君のせいじゃない、悪いのはあの運転手だと言ってくれたが、俺は瑞希と二人に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
それから数日して俺は無事退院した。
853 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 13:50:02.15 ID:eByNkYbn0
久しぶりに我が家に帰ってきた。俺にとっては数日の出来事なんだが
少し疲れたていた俺は母さんに少し休むねって言い自分の部屋に入りベットに潜り込んだ。
あっ、この匂い…男の時の俺の臭いだ…俺は懐かしいかつての自分臭いに包まれていつの間にか眠ってしまっていた。
ヒロ…
ヒロ君…
誰かが俺を呼んでいる。
目を開けると瑞希の姿があった。
「瑞希、来てくれたんだ」
俺は起き上がりベットに腰掛けた。瑞希も俺の横に腰掛ける。
瑞希はとりあえず「ハイ、コレ!」と言って俺にノートを渡す。
「ありがとう」
瑞希は今日の授業や学校での出来事を教えてくれた。
会話が途切れたところで彼女に今の気持を伝えた。
「瑞希…」
「何?」
「俺、こんな身体になってゴメン」
「瑞希の事、お嫁さんに出来なくなってゴメン」
「でもこんな身体になっても俺は瑞希の事が好きだ」
「こんな姿の俺にこんな事を言われて気持ち悪くないか?」
「私もヒロが好き、女の子になってもやっぱりヒロが好き」
そう言うと俺に抱き着いてきた。
俺は瑞希の背中に手を回した。
854 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 13:50:41.55 ID:eByNkYbn0
暫く抱き合った後、少し離れ互いに見つめ合い自然と唇を重ねた。
唇を離し互いのオデコをくっつけたまま「この先どうなるか分からないけど俺は瑞希の事を好きで居ていいか?」
瑞希は言葉にはせずに軽く頷いた後、もう一度唇を重ねてきた。
そのまま押し倒したい衝動に駆られたが必死で耐えた。
男の脳と女の脳では作りが違っていて、その違いが思考や本能なんかに影響するとかしないとか…今の俺の思考はまるっきり男のそれだ。
でも身体は確実に女性になっている。
いつまで今の自分でいられるか分からない。
そんな事を考えてた時、瑞希にノーブラを指摘された。
言われてみるとシャツに乳首の形が浮かんでいた。
今の俺には女物の服といったらショーツしかない。
体型は変わったけど、身長はほとんど変わって無かったので男の時の服が普通に着られた。
「ブラ、買わなきゃね」
「そうだね」
859 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 13:59:42.94 ID:eByNkYbn0
女体化と共に名前を字は前のままで読み方をヒロヨシからヒロミに変えた。
昔からよく読み方を間違われていたし、現に俺の事をヒロミって呼ぶヤツも居るから違和感も無いしね。
女体化の手続き等を済ませ、冬休みを目前に控えた12月の初め、俺は約2ヶ月振りに登校した。
ウチの学校の女子は上はブレザーだが、下はズボンとスカートのどちらでも良い事になっていた。
俺は強力にズボンを主張したが、母さんは女の子の制服がズボンなんて変!と言い張って俺のささやかな主張は聞き容れて貰えなかった。
「うーっ、スースーするよ~」
「寒いよ母さん、お願いだからズボン買ってよ~」
俺の必死の訴えに「よく似合うわよ~、じゃあ行ってらっしゃ~い!」と俺の訴えを完全に無視して俺を家から追い出しやがった。
「ちくしょー!グレてやる!」
仕方なく学校へ向かう事にしたが外に出ると本当に寒いです。それにものすごく恥ずかしいです。女装して衆人の前に立たされている気分です。
冬でもミニを穿いた娘がいるけど、あの娘達って絶対おかしい。それかあれだ、心頭滅却すればってヤツ!鈍いのか絶対気合いで穿いてるに違いない。
少しでも暖まりたかったので俺は少し早足で歩いた。
あらら早く着いちゃいました。
電話で今日から登校する旨連絡はしておいたけど、一応職員室へお見舞いのお礼と挨拶をしに行った。
先生はあまり無理はするなと言い、それと教室に入り辛かったら俺と一緒に行くかと言ってくれたが大丈夫ですと断り俺は教室に向かった。
862 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:00:45.59 ID:eByNkYbn0
教室へ向かう俺に皆、一様に誰だ?って表情をしている。
そのまま自分の教室に入る…やっぱり誰だコイツって目で見てくる。
おはようの一言が言い出せない位皆の視線が痛いです。こんな事なら先生と一緒に入ればよかった…
俺は自分の席に向かい、荷物を机の横に掛けて椅子に座ると数人の女子が「えっ?」と言う声を上げた。
「もしかして千秋君?」
隣の席の美帆が恐る恐る俺に声を掛けてきた。
俺は「こんな成相になったけど、もしかしなくても千秋です…」
そう答えると教室が一斉にどよめいた。
わらわらと俺の回りに集まって来て事故は大丈夫だったのかとか、何で女体化してんのかとか、死んだんじゃなかったのとか色々質問攻めに遭った。
事故で生死の境をさ迷ってた事、女体化に伴う傷の治癒で一命を取り留めた事等を話したが瑞希と婚約していた事は黙っていた。
俺の入院中、何人か見舞に来てくれた様だがICUに入ってたのと病室に移ってかも暫く家族以外面会謝絶で俺に会えなかったらしい。
みんなと話していると担任の先生が入って来た。
皆、自分の席へと戻っていく…
「どうやら千秋から聞いたみたいだな…」
「まぁ、そういう事なんで皆、千秋の事をよろしく頼む」
「特に女子、彼…じゃない、彼女の面倒をよく見てやってくれ」
そう言った後、いくつか伝達事項を話し朝のホームルームが終わった。
その後の授業は瑞希に教わってたお陰でどうにか付いていく事が出来た。
865 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:04:14.13 ID:eByNkYbn0
午前の授業も終わり、昼休みに瑞希が一緒に弁当を食べようと誘いに来た。
俺は足が寒かったので、じゃあ日当たりの良い所に行こうと瑞希を誘い屋上に出た。
朝は寒かったが今は風も無く温かい。あぁ、こんな日を小春日和って言うんだな。
俺達は南向きのベンチに並んで座り、話しをしながら一緒に弁当を食べた。
瑞希は俺に困った事とかないかと聞いてきたので俺はある質問をぶつけた。
「なあ、スカートって足寒くね?」
彼女はプッ!と笑い「なんだ、そんな事…慣れよ慣れ!そんなに寒いならニーソでも穿けば?」
868 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:07:04.29 ID:eByNkYbn0
午後の授業は体育からで隣のクラスと合同で女子は体育館、男子はグランドだそうだ。
着替えは女子が体育館、男子は教室でするんだが、俺はどっちで着替えたらいいんだ?
俺が迷っていつまでも教室に居ると光輝が「いつまでここに居るんだ?お前、ここで着替えるつもりか」と聞いてきた。
「まぁ、別に俺達は構わんがね」
その時、美帆が教室に戻ってきた。
「何やってんのよ!早く行くわよ!」
俺の手首を掴んで教室の外に連れ出すと体育館へと連れていかれた。
そのまま女子更衣室へ向かう。「えっ、ちょっと!まだ心の準備が…」
「つべこべ言わない!」
俺はそのまま女子更衣室へ連れ込まれた。
うわっ、女臭い…
もうだいたい着替えは終わっていた。
「早くしないと授業が始まっちゃう!」俺は美帆に急かされて服を脱ぐ、何か視線を感じるんですけど…
「わぁ、スタイル良い!」
「かわいい下着」
「胸綺麗ねぇ、ねぇ触っていい?」
「えっ、エエエェ…」
下着姿の俺の回りには女の子の集団が…
「やめろ、止め!」
「あっ、ちょっタンマ!」
869 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:08:13.70 ID:eByNkYbn0
ーンコーンカーンコーン!
始業のチャイムが鳴った。慌てて飛び出して行く女子達、残った俺と美帆
「早く!」
俺と美帆は慌てて着替えて出ていく。
俺達が出ていくと既に皆集まってる。
教師に「遅い!」って叱られたが、俺の顔を見て「千秋か…だったら仕方ないな、でも次からは遅れるなよ」そう言って勘弁してくれた。
それから俺達を幾つかの班に分け準備運動をした後、コートを2面使ってバスケを始めた。
最初は居心地が悪くてなかなか馴染めなかったが、コートの中をおもいきり走り回っていると気分が昂揚してきてちょっと気持ちよかった。
でも、また着替えが…
恥ずかしくて、端っこで皆に背を向けて着替えてるとまたしても触られた。
ねぇ、女の子っていつもこんな事してるんですかぁ……!
授業も終わり下校の時刻、俺と瑞希は衣料品店へ向かってた。勿論サイハイソックスとやらを買う為だ。
瑞希と一緒に歩いてると後ろから美帆に声を掛けられた。
「何処へ行くの?」
「足が寒いからながーいソックスを買いに行くんだ」
「だったらアタシも行っていい?」
特に断る理由も無く、俺達3人は衣料品店に向かった。
衣料品店に入ると早速、サイハイソックスとやらを物色する。
俺は出来るだけ長いヤツを3足選んだ。奴ら2人はそれじゃ可愛くないとか言って強引にニーソックスも買わせやがった。
870 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:09:54.06 ID:eByNkYbn0
瑞希やクラスの女子のお陰で俺はこの身体での生活にも少しは馴れてきていたけど、見た目は女の子でも中身は男のままなんでついつい昔の癖で男友達に抱きついて相手を焦らしたり、いつの間にかスカートの中を晒してた。
その都度注意されて気を付けようとするんだが、長年身についた癖は抜けない。
それより今日の体調は最悪だ!母さんは病気じゃないから学校へ行けなんて言って家から追い出してくれたけど、正直今日は休みたかったよ。
うーっ、腰が重い…
頭が痛い…
身体がぴりぴりして死にそう…
俺が机に突っ伏してたら友達の敬一が「どうした具合でも悪いのか?」と肩を叩きながら聞いてきた。
俺は「遂に来るべきものが来てしまった…悪いがそっとしておいてくれ」そう言って敬一を追い払おうとしたら隣の美帆が「うっ、寄るな!伝染る!」だと…
ひどい…あんまりだ!
でもその後の美帆は俺に生理の日の過ごし方とか色々と教えてくれた。
しかしこの生理ってヤツは大変だ。
俺の場合、3日位前から変にお腹が痛たくなっていたんだけど、どうやらこれが前兆だったみたいだ。
昨日の休み、本当は気晴らしに釣りにでも行きたかったんだが、お腹の痛いのは治らないし身体もだるかったので家でゴロゴロしてた。
そしたら何か漏れる感じがしたんだ。
それで慌ててトイレに入ったら下着に血が付いてた。話しには聞いてたけど実際見ると驚くよこれは…
取り敢えずトイレットペーパーを当てがって母さんにあそこから血が出た。どうしようって…
母さんからナプキンを渡され付け方を教わって下着に装着したんだけどお股がゴワゴワして何か変な感じ。
それとあれって肌に直接貼付けるものだと思ってたけど違うんだね。
午前中の授業をなんとか凌いだ昼休み
瑞希が昼ご飯を食べに行こうよって誘いに来てくれたけど、今日はあまり動きたくなかったので食堂へ行ったヤツの椅子を借りて俺の席で食べる事にした。
俺は今日の体調を訴えながら女の子はみんなこんな目に遭ってるのかって聞いた。
それに対して千差万別で重い人も居れば軽い人も居るんだって、瑞希は軽い方らしい。
俺が瑞希と喋ってると美帆が「はいこれ!」って薬を渡してきた。
半分が優しさで出来てるっていう例の薬、保健室で貰ってきてくれたらしい。
ありがとう
「あ…あの…ニーソって何ですか?ニュアンス的にソックスの仲間の様ですが…ニーって膝ですよね?膝迄のソックスならハイソックスだから…あれ?」
一瞬ポカンとした表情をした後、急に笑いだしやがった。
俺は携帯を取り出し、検索した。
ニーソ…オーバーニーソックスの事で正式にはオーバーニーレングスハイソックスとな…更に太腿までのサイハイソックスなる物もあるのか…
ありがとう携帯ちゃん!どっかの笑ってるヤツとは大違いだ!
「どうやら分かったらしいね」
「ハイ、お蔭さまでよーく分かりました」
「それと笑った罰じゃ、帰りに太腿まであると言うサイハイソックスとやらを買いに連れてゆけ!」
俺の言葉にそれじゃ可愛くないよとか絶対領域がとかほざいてたけど知りません。
877 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:18:15.68 ID:eByNkYbn0
試験も終わり冬休みに入ったある日、俺はとある目的の為に試験を受けた。
試験後少しして合否発表があり俺は合格していた。まぁ、落ちる人はほとんど居ないんだが…
その後、講習を受けて渡されたのは運転免許証、原付だけどね。
俺がまだ男だった時に冬休みには免許を取ってもいいって言ってたんで父さんに免許を取りに行かしてもらったんだが、いざ行くという段になって急にストップが入ったりした。
期末考査も終わって俺が原チャの免許を取りに行ってくるって言うと、前はOKしてたのに急に駄目だって言い出した。
この前までイイって言ってたのに横暴だ!なんで駄目なんだって聞くと「女の子だから」って…
その言葉を聞いた途端に急に視界が滲んだ。
あれ?どうして…なんで涙が出るんだ?
女の子になったからダメっていう言葉に俺はとても悲しくなっていつの間にか泣き出してしまっていた。
瑞希との結婚も俺の女体化と共に出来なくなってしまい。今度は楽しみにしていたバイクもダメって…
突然泣き出した娘に父さんはうろたえ色々宥めてきたが効果無し、結局OKしてくれた。
で、これが免許証。
へへっ、結構可愛く写ってんじゃん!
後はバイクだ。
まぁ、何にするかはもう決めてるけど。
884 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:35:17.27 ID:eByNkYbn0
趣味が釣りなんでバイクはホンダのズーマーっていうシート下に荷物が入れられるヤツを買ってもらった。
父さんの晩酌、毎日せっせとビールを注ぎましたよ。バイク欲しさに…父親って娘に注いでもらうと嬉しいもんなんだね
バイクが届いて数日、俺は嬉しくてそこら辺を乗り回した。
特に用も無いのに瑞希ん家や友達ん家に押しかけたり趣味の釣りにも出掛けた。
俺より誕生日の早い光輝は夏休みに免許を取っていて、俺が免許を取ってバイクを買ったら一緒に釣りに行く約束だった。
釣りをする友達は他にも居たが、ほとんどが川釣りばかりで海釣りをするのは俺と光輝だけだった。
共に親が釣り好きで小さい時からしょっちゅう海に連れて行かれていたらこうなるのは仕方のない事だろう。
俺は光輝にメールを送る。
題名「バイクキター」
本文「釣りに行くべ!」
返信は直ぐに来た。
題名「オメ」
本文「して、ターゲットは?」
「昼間狙えるアオリイカとロックフィッシュで如何?」
「OK!」
てなやり取りの後、俺と光輝は港と地磯巡りに来ている。
しかし釣り人が多い。
885 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:36:05.93 ID:eByNkYbn0
港では何も釣れず俺達は磯へ回った。他に人の居ない磯で俺達はのんびり釣りを楽しんだ。
光輝が「おっとションベン!」俺に背を向けおもむろに放水を開始した。
俺はその光景をじっと見てた。
俺の視線に気付いた光輝は「えぃ、見せモンじゃない!あっち向いてろ!」って喚いてる。
「チンチン有るっていいな~」
俺は光輝にそうぼやいた。
「そんなモンか?」
光輝は俺のぼやきに一物を仕舞いながらそう答える。
俺はヤツに野糞を人の居る所で出来るか?俺達は小便をする度に野糞と同じ恰好をしなくちゃなんないんだぞ!それに一々拭かなきゃならん、俺は立ち小便の素晴らしさと女の不便さを力説した。
ブルブル…
「お…おしっこ…」
見るんじゃねぇぞ!
そう言って俺は岩陰に隠れた。
さっぱりして戻った俺に光輝は女の子って大変なんだなって言ってきた。
「あぁ、色々とな…」
「その中で一番辛かったのは生理かな、人によって違うらしいけど俺には地獄の5日間だったよ」
「だから光輝にも彼女が出来たら優しくしてやれよな」
「出来たらな」
光輝はそう言いながら竿を煽る。
この日、俺達は烏賊を5杯とカサゴを数匹釣った。
カサゴは逃がして烏賊だけ持ち帰った。
釣果は俺2杯に光輝が3杯だったけど、「どうせ瑞希ん家に行くんだろ?2つじゃ足んないだろうから1つやるよ」そう言って光輝が帰り際に自分の分を1杯くれた。
帰りに瑞希の家に寄ったが瑞希は居なくて姉の真奈美さんが出てきた。
俺は自分の釣った烏賊を彼女に渡し帰った。
887 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:42:01.61 ID:eByNkYbn0
冬の陽は短くて辺りは既に薄暗くなっていた。
俺は役員会議で遅くなる瑞希をクラプトンを聴きながら一人体育館脇のベンチで待っていた。
今日はクラブ活動はほとんど無く、体育館には誰も居ない。
人の気配がしたが別段気にも留めず曲に聴き入っていた。いとしのレイラの歌が終わり丁度ピアノとギターの演奏に入ったその時、不意に肩を叩かれた。
振り向くと男が3人居た。
ヘッドフォンを外し、「何か用か?」と聞くと奴らはヘラヘラ笑いながら俺達に付き合わないかとか言ってる。
俺は人を待ってるし、待って無くても付き合う気は無いと断りヘッドフォンをまた耳に入れ様とした。
急に腕を掴まれ引っ張られた。「何すんだ!」
ここで悲鳴でもあげれば良かったかも知れないが、男だった俺には助けを呼ぶ事が出来なかった。
俺は必死に奴らに抗った。
俺は二人に腕を押さえられ口に猿轡をされた。それでも身をよじり足で抵抗する。
もう一人がポケットから何か取り出し俺に突き付けてきた。
「大人しくしろ!死にたいか!」
ヤツの手にはナイフが握られていた…嫌だ!死にたくない…
奴等に体育館裏の部室棟へ連れて行かれ鍵の掛かっていない部屋に連れ込まれた。
奴等は嫌らしそうな目で見ながら
「大人しくしてたら直ぐに終るからね~」
「へっへっへ、それって俺は早漏って言ってる様なモンじゃん」
「うっせぇ!」
とか言ってる。
い…嫌だ!
男なんぞに好きにさせてたまるか!
もう刺されても構わない!
俺は必死で抵抗した。奴等はナイフで威嚇してきたが抵抗を止めない。
奴等はナイフによる威嚇が通じないと悟った様だ。
俺は床に押し倒され腕を押さえ付けられたが足で抵抗した。暴れる俺を何度も殴ってきた。
奴等らは俺を俯せにしてスカートを捲り上げると下着越しに俺の女の部分を荒く揉んできた。
気持ち悪い、ヤメロ!
890 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:44:50.17 ID:eByNkYbn0
持っていたナイフで下着を切り裂かれ、下半身を剥きだしにされた。
執拗に尻を撫でてくる手が気持ち悪い。
必勝で抗うがダメかも知れない…
「痛っ!」
「こいつ全然濡れねェぞ!」
「だったらツバでもつけりゃイイじゃん!」
ヤメロ!
唾をなすり付けてきて直ぐに一人が俺に被い被さってきた。
固い物が俺の尻に当たる…
「痛!!」
激痛が走った。
尻を振って逃れようするが逃れられない。
「なかなか入らないな」
そう言いながら強引に入ってきた。
下半身が引き裂かれる様な痛みに身体が硬直する。
「おお!キツイ、締まる~」
「おい、中に出すなよ。次は俺だかんな!」
俺はこいつ等全員に犯されるのか…
痛みと絶望感から涙が止まらなかった。
悔しかった。俺は女になって犯され俺を犯した奴等は男のままでいられる…不条理だ!
最初の奴の動きが早くなったかと思うと不意に俺から離れた。
次の瞬間、尻に温かい物を掛けられた。
「おい、こいつバージンだぜ!」
「マジかよ!」
「本当だ!」
891 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:46:10.54 ID:eByNkYbn0
尻の精液を拭き取られると次の男が入ってきた。
「おっ、濡れてんじゃん!本当は気持ちいいんだろう?」
…違う!気持ち良くなんかない!
俺は激しい痛みに堪えながら心の中で早く終わって欲しいと願った。
3人の男は俺を犯し、携帯で俺の写真を撮ると「バラスんじゃねぇぞ!もしバラシたら学校中の奴等にメールすっからな」そう言って立ち去った。
奴等が立ち去った部屋で俺は仰向けになり呆然としていた。
暫くして足音が聞こえた。
奴等が戻ってきた?俺は身を強張らせ入口に視線を向けた。
「ヒロ…」
入口に立っていたのは瑞希だった。
892 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:46:56.29 ID:eByNkYbn0
俺の姿に何があったか悟った様だ。
「人を呼んで来る…」
瑞希は直ぐに女の先生を連れて戻ってきた。瑞希の顔は今にも泣き出しそうだった。
「千秋!大丈夫か?」
疋田先生の呼び掛けに俺は小さく頷く。
「起きられそう?」
俺が頷くと先生が手を差し延べてきた。
俺はその手を取って立ち上がる…「痛!」
身体の痛みに顔が歪む。
先に瑞希が気付いた。
「血が…」
俺の太腿から膝にかけて血の筋が数本出来ていた。
先生は瑞希に他の先生を呼んで来てと指示する。
瑞希が呼びに行っている間に先生は誰にやられたの?って聞いてきた。
俺は名前は知らないが見た事があるから多分先輩だと思うって答えた。
「まずいわね…」
直ぐに瑞希は男の先生を連れて戻ってきた。
疋田先生は若い男の先生にこの娘をお願いって言って俺を預けた。
更にもう一人の先生に「他の生徒に気付かれたくないから、もし生徒が居たら直ぐに家に帰して頂戴、あたしは保健室を開けてくるから」そう言って校舎へ戻っていった。
俺は先生に抱き抱えられたまま保健室へ連れて行かれた。
瑞希は既に泣き出していた。
893 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:48:21.31 ID:eByNkYbn0
保健室に入ると俺は椅子に座らされた。
疋田先生は他の先生と瑞希を保健室の外に出し、太腿の血の跡を拭いてくれた。
「あら?貴女、下着はどうしたの?」
「破かれました…」
それを聞いた先生はちょっと待ってねと言って保健室の外に出て、外で待ってる瑞希に何か指示をしてる。
傷や血の跡の手当が終わるとベットで少し休む様に言われ俺は指示に従った。
先生はまた保健室から電話を掛け、名簿を持って来てとか言っている。
暫くして他の先生が名簿を持ってやってきた。
それと何分も変わらず今度は瑞希と先の若い男の先生が入ってきた。
瑞希は疋田先生に何かを渡していた。瑞希からそれを受け取った先生はまた他の人を外に出した。
「これを穿きなさい」
そう言って瑞希が持ってきた物を俺に渡し先生も外に出た。
渡された物、新しい下着とナプキン。
下着を着けた俺に先生は病院に行かなくちゃいけないし、親御さんにも連絡しなくちゃいけないと言った。
前の事故の事もあるし、親には余計な心配を掛けたく無くて一人で家に帰りますって言ったが、先生はこのまま放置したら妊娠の恐れがあるし、傷付けられたところから感染したら大変な事になるから病院には連れて行きますと強い口調で言った。
それにその怪我を見たらただ事じゃない事が分かるわよと、俺は従うしかなかった。
それと救急車を使うと大袈裟になるから先生の車で我慢してねって言われ俺は先生の車で病院へ連れていかれた。
瑞希が一緒に付いて来てくれて俺は少しだけ不安が和らいだ。
894 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:49:17.45 ID:eByNkYbn0
病院で一通り処置をされ薬を渡された。医者はこの薬を飲むと早い内なら妊娠を防ぐ事が出来ると言っていた。
先に連絡していてくれたんだろう。処置を受けている間に母さんと父さんが病院に迎えに来てくれていた。
父さんは少し青ざめ強張った表情で「大丈夫か」と聞いてきた。
「大丈夫、元が男だから心配しなくていいよ」
父さんは「そうか」と言い、今日は病院に泊まるかと聞いてきたが俺は帰りたかった。
それと一人にはなりたくなかった。
ずっと付き添ってくれている瑞希に今夜は一緒に居て欲しいと頼んだ。
帰り際に父さんと疋田先生が話しをしていた。
俺は先生に礼を言って母さんと瑞希と先に車へ行って父さんを待った。
家に戻る車の中では誰も口を開かなかった。
家に戻り、母親にシャワーを浴びる様に促された。
脱衣室で服を脱ぎ、鏡の中の顔を見る。
顔に傷は無かったが、殴られた跡が痣になって腫れていた。
男の喧嘩なら勲章だが、今の俺の顔にはただ痛々しいだけだった。
浴室に入りシャワーを浴びると擦り傷にお湯が滲みた。
俺は奴等が己が欲望をぶちまけた尻を何度もゴシゴシ擦った。
俺と入れ代わりに瑞希が風呂に入る。
895 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 14:50:06.78 ID:eByNkYbn0
自分の部屋に戻ろうとした俺を父さんが呼び止めた。
「宏美…」
「学校の先生とも話したんだが今回の事件、父さんは警察に届けようと思う」
「このまま黙っていたら奴等は付け上がる」
「他にも同じ被害に遭う娘も出るだろう」
「お前にはまた嫌な目に合わす事になると思うがいいか?」
父さんの言葉にうんと頷く
「分かった」
「それと痣が消えるまで暫く学校は休むといい」
「後はゆっくり休みなさい」
父さんにおやすみと言って部屋に入った。
部屋にでは母さんがもう一組蒲団を構えてくれていた。
「宏美」
「何、母さん?」
「辛かったでしょう…」
「今のあたしはあなたの痛みを和らげてあげる言葉を持ってない」
「でも、あたし達は全力であなたを守る。だから何かあったら必ず言ってね」
「それと絶対変な事を考えちゃダメよ!」
そう言って母さんは部屋を出て行った。
ありがとう
俺はあなた達の子供で良かった。
900 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:01:07.92 ID:eByNkYbn0
お風呂から戻った瑞希に今夜は我が儘言ってごめんねって謝る。
「そんな事言わないで!」
「私の方が謝らなきゃいけない」
「私を待ってくれたばっかりにあなたをこんな目に遭わせてしまった」
「私って疫病神だね…」
「これ以上貴方と付き合うと貴方をもっと不幸にしてしまうかも知れない…」
途中から泣き出した瑞希は更に言葉を続けようとする。言わないで!
「止めて!」
「お願い、言わないで」
「瑞希が必要なの…」
「瑞希が居ないと私は…」
「私は…」
「お願い、私の傍から居なくならないで!」
俺は瑞希に縋り付いて泣いていた。
そんな俺の頭を優しく両手で包んでくれた。
「こんな私でも貴方の傍に居ていいの?」
瑞希の言葉に「瑞希じゃなきゃダメなの…」
彼女に抱かれてると安心していられた
「今夜は一緒に寝ていい?」
もう男の頃の匂いがしなくなったベットで二人寄り添って眠った。
途中、夢を見た。
犯される夢
嫌!痛い!止めて!助けて!
抱きしめられる感覚で目が覚めた。
「大丈夫、もう大丈夫だからね」
瑞希の声が、鼓動が、息遣いが聞こえる…
俺は瑞希の胸に抱かれ落ち着きを取り戻すと安心して眠りに就いた。
902 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:02:01.06 ID:eByNkYbn0
翌朝、髪を優しく撫でられる感覚で目覚めた。
「起こしてごめんね」
「ううん」
前は頭を撫でられの嫌だったけどおかしいな、今は何故か嬉しかったりする。
瑞希はそろそろ構えなくっちゃと言ってベットから起き出す。
俺も一緒に起きだして洗面所に向かう。動くと身体のあちこちが痛み、股には違和感があった。
洗面所に行くと新しい歯ブラシとタオルが用意されていた。
「瑞希ちゃん新しい歯ブラシ置いといたから使って!それと服は居間に用意してあるから!」
俺達に気付いたみたいで母さんが台所から声を掛けてきた。
「ありがとうございます」
洗顔を済まし居間へ入る。
父さんは既に仕事に出掛けた後の様だった。
居間のソファーの上に瑞希の下着やブラウスが畳んで置かれ、制服はハンガーに掛けてあった。
母さんは「おはよう瑞希ちゃん、ゆっくり休めた?」
「直ぐに朝食を用意するからその間に着替えてらっしゃい」
「それとヒロ、今日は休みなさい」
瑞希は母さんに礼を言い服を持って洗面所へ戻った。
俺は台所へ行きダイニングチェアに腰掛けた。
母さんは俺の事を気遣って身体の具合とかを聞いてきたので素直に股の違和感や身体の痛み、悪夢にうなされたけど瑞希が居てくれて安心した事等を話した。
母さんは違和感は直に消えるから心配無いって言ってくれた。
そうこうしてる内に瑞希が着替えて戻ってきた。
朝食を食べると瑞希は早目に出掛けた。学校に行く前に家に取りに戻る物があるらしい。
俺は出掛ける瑞希にまた泊まりに来て欲しいと頼むと彼女は頷き「うん」と言った後、「行ってきます」と言って出掛けて行った。
903 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:03:31.30 ID:eByNkYbn0
瑞希を見送った後、母さんから今日、警察に行こうと言われた。
俺が頷くと母さんは何処かに電話を掛け始めた。話しの内容から学校か先生と言う事が分かった。
「はい、…時に…署の方で」そう言って一旦電話を切りまた掛けてる様だ。
多分、今度は父さんへ。
母さんは俺に午後から行きましょうと言ってきた。
先生も来てくれるらしい。午後になったのは職員会議をしてから来る先生の都合だそうだ。
もう少し休んでなさいって言われ一旦部屋に戻って横になった。一人で居ると昨日の事を思い出した。
痛かった事、敵わなかった事、悔しかった事
女体化する事のない彼等が許せなかった。
軽くお昼ご飯を済ませた後、母さんと一緒に近くの警察署に行った。
警察署前には疋田先生ともう一人、生活指導の森田先生が来ていた。
疋田先生は俺を見付けると俺の方に駆け寄り、身体は大丈夫かと聞いてきた。それから母さんに挨拶と自己紹介をしてじゃあ行きましょうと中へ入って行く。
中に入ると先生は受け付けの人に学校名と名前を告げた。
直ぐに婦警さんと50代位のスーツ姿のお巡りさんが来て俺達を会議室の様な部屋に案内した。
そこで昨日の暴行の件を訴える訳ですねって聞かれ、俺は「はい」と返事をした。
お巡りさんは君を襲った人は分かるかなって聞いてきたので名前は知らないが同じ学校の先輩だと思うって答えた。
先生がこの中に居る?って言いながら俺に名簿を差し出してきた。
俺は1ページずつ確かめながらめくっていく。
居た!
こいつだ!
いやらしそうな顔をした男、何度も殴り付けてきて真っ先に俺の貞操を奪った男、忘れる訳は無い、俺はこの人です間違いありませんと言った。
あとの二人も直ぐに分かった。指導の先生はこいつらかと言った。
どうやらこの3人はつるんでは悪さをしているらしい。
相手が分かったところで俺は婦警さんに別室へ連れていかれた。
同じ様な小さな部屋がいくつかあり、その中の一室に入る。
904 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:04:20.17 ID:eByNkYbn0
部屋は殺風景で机と椅子が数脚置かれているだけだった。
机の前の椅子に座るように促され椅子に腰掛ける。
婦警さんは嫌な事を思い出させてしまうけど話して頂戴ね、今喋った事は絶対秘密にされるから安心してって言った。
俺は最初から話し始めた。ナイフで脅されて部室に連れていかれた事、抵抗した事、初めてだった事、写真を撮られて脅されされた事
婦警さんは薄い用紙にカーボン紙を挟み俺の話しを聞きながら用紙にペンを走らせていた。
…奴等が俺に言った屈辱的な言葉…濡れてる
俺は話している内にいつの間にか涙を流していた。
婦警さんは俺の話しを聞き終えると辛かったでしょう。よく話してくれたね。
それとね、女の子の身体はね自分を傷付けようとする事から守ろうとして結果濡れてしまう事があるの、だからその事に関して悩んじゃダメよ。
そう言い、じゃあ今までの事を確認するねと言って用紙に書いた事を読み上げ、これに間違い無い?と聞いてきた。
返事をしようとしたが鳴咽が零れそうになってしまい頷く事しか出来なかった。
最後に婦警さんは今の制度で女体化は確実に減ったけど未熟な子供に快楽を教える事になってしまった。
学校でその辺りの事は教える様になってもしたい欲求は無くなる訳は無いからね。
結果貴女達の様な性被害者を増やしてしまってごめんなさい。
ただ彼等には自分の行った事の重大さを知ってもらいしっかり反省してもらいます。
事情を説明し終えた俺は先程の部屋に戻った。
お巡りさんは貴女の悪い様にはしない、この事は秘密にするから私達に任せてって言ってきた。
俺は宜しくお願いしますって頭を下げた。
907 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:17:09.55 ID:eByNkYbn0
>>905 そう言って貰えると嬉しいが、多分もう書けない
事は周囲に気付かれる事無く運ばれた。
俺を襲った奴等は翌日から学校へ登校する事は無かったし、話題になる事もほとんど無かった様だ。
それと、後から聞いた話しでは彼等には他にも色々余罪があったそうで俺の在学中には出て来る事はない。
顔の痣は直ぐに薄くなった。俺は母さんにファンデーションとやらで痣を隠してもらい学校へ行った。
クラスの友達がもう風邪はいいの?とか聞いてきたので「うん」って答えた。
忘れてた。先生は俺は風邪で病欠って事にしてくれてたんだ。
「あーっ、宏美が化粧してる」
クラスの女子の一人がファンデーションに気付いた。
俺は咄嗟に熱にうなされてベットから落ちて痣が出来てみっともないからって母さんが隠した。
そう言うと「あっ、本当だ!ちょっと青くなってる」
どうやら信じてくれたみたいだ。
908 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:19:00.09 ID:eByNkYbn0
その後、いつもの様に授業を受け、休み時間には友達と話しをした。
光輝と釣りの話しもした。
瑞希以外は知らないのもあるが、みんなの変わらない対応に救われた。
皆と話しをしていると、誰かが俺の肩をポンと叩いてきた。
俺はビクッと身構えた。振り返ると隣のクラスの祐二が居た。「おい、どうした?何驚いてんだ?」
祐二が不思議そうに見てる。
俺は「あっ、いや、スマン」「何の用?」
「何の用はないだろ?お前が聴きたがってたオジーのアルバム焼いてきてやったんじゃないか?」
「スマン!有り難い、やっぱ持つべきものは友だよな!」
いつもの様に祐二の肩に手を回そうと腕を伸ばしかけたが出来なかった。
それを見た女子はやっと気を使う様になったねって言ってきた。
俺は「まあね、少しは進歩しないとね」とか言ったが違った。無意識に触れる事を躊躇ってしまった。
もう一度祐二にCDの礼を言った。
ヤツは「構わんよ、それとお前の好きそうなアルバム、親父が持ってるから何だったら見に来たらいいぞ」
「近い内に行く」俺がそう言うとヤツは「いつでも良いよ」そう言って自分の教室へ戻っていった。
「オジーって何?」
「オジー・オズボーン、クレイジー・トレインとか知ってる?」
「知らない!」
やっぱみんな知らないか…
909 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:19:48.82 ID:eByNkYbn0
学校からの帰りに俺と瑞希と美帆の3人はショッピングセンターへ向かっていた。
「彼女達!俺達とお茶しない?」
あららナンパかよ、俺達は無視してそのまま行こうとした。
「なぁ、ちょっと待てよ」
男に不意に腕を掴まれた。
俺は急に怖くなった。
やだ、身体が硬直して震えてる。
「やめて!」
瑞希が叫ぶ。震える俺を見て男達に「彼女を怖がらせないで、あっちに行って!」
男達は俺の尋常じゃない怖がり様に「ごめんね脅すつもりじゃなかった」そう言って放してくれた。
「一体どうしたのよ?」
美帆が聞いてきたけど分からない…
「さっきの人に腕を掴まれたら何故か急に怖くなったの」
「おかしいね…震えが止まんないや…」
「俺、どうしちゃったんだろ?」
震える俺に瑞希と美帆は今日は帰ろうと言ってきた。
俺は二人に抱えられる様にして家に帰った。
二人は部屋まで来てくれた。
「どうしちゃったの?千秋らしくない。」
「一体、なにがあったの?瑞希は知ってるの?」
瑞希は黙ったまま俯いていた。俺は美穂に全てを話した。
俺の話を聞き終えた彼女は「バカ!二人だけで重荷を背負い込んでんじゃないわよ!」
「助けが居るなら言ってよ!」
美穂はそう言って俺と瑞希を抱きしめた。
910 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:21:26.71 ID:eByNkYbn0
男性恐怖症になってしまった俺だが、男友達と話しをしたり遊んだりっていうのは普通に出来る。
しかし、身体に触れられそうになると一瞬身体が拒否反応を示してしまい、相手が知らない人だと恐怖感で竦んでしまう。
男友達は最初の内は訝しがっていたけど、俺の「どうやら女体化の副作用みたいなんだ」って言う言葉をそんな事もあるんだなって信じてくれた。
友人達は俺に気遣いつつ前と同じ様に接してくれた。
美穂に全てを話してから数日経った休日、光輝が釣りに誘ってきた。
俺は気晴らしに一緒に釣りに行く事にした。
今回は餌釣りだ。俺と光輝は並んで竿を出し、他愛のない話しをしながら波間に漂うウキを見つめていた。
「最近、何かあったか?」
光輝が聞いてきた。
「特に何もないよ…」
そう返事をしたが
「最近のお前、お前らしく無い、何かあったんなら力になるから話してくれ」
光輝の言葉に涙が溢れてきてしまった。
「やっぱり何かあったんだな?」
「言ってしまったら楽になる事もあるって言うじゃん」
「話したく無い事ならこれ以上聞かない」
「でもな、俺達はお前の味方だ。何かあったら助けてやる」
その言葉に俺は光輝の肩に顔を埋めて泣いた。彼は泣き続ける俺にずっと肩を貸してくれた。
かなり長い事泣いてたみたいだ。光輝の肩がぐしょぐしょに濡れていた。
「光輝ゴメン、肩濡らしちまった」
「いいって事よ!それより少しは気が晴れたか?」
「うん、ありがとう」
俺は光輝に全てを打ち明ける事にした。
911 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:22:24.45 ID:eByNkYbn0
「気付いていたかも知れないが、瑞希と結婚する筈だった。それが女体化して二人傷ついた。」
「それと実は俺が男が苦手になったのは女体化のせいじゃないんだ…」
「俺はレイプされたんだ」
彼は驚いた顔で俺を見てる。
必死で抵抗したが殴られ自由を奪われ犯されてしまった事、みんなに知られると俺に対する対応が変わっしまうんじゃないかという怖れがあって嘘をついた事、それに伴う罪悪感を話した。
「お前は悪くない…」
「お前は悪くない!なのに何でお前ばかり苦しまなくちゃなんないんだ!」
光輝の肩が震えていた。
「ちくしょう!」
「いいよ、そう言ってくれるだけで俺は救われる」
「ありがとう光輝」
美帆と光輝に打ち明けてから俺は少し明るくなれた。
打ち明けられた彼女も彼も以前と変わらず接してくれる。
本当にイイ奴だ。
912 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:23:37.85 ID:eByNkYbn0
光輝なんて俺が始めから女だったら惚れてたかも知れない。
おい、女子共よなんでヤツの良さが解らんのだ?
瑞希との関係は変わらずだったが、この頃少し彼女が変わってきた様に思えた。
時折考え込んだり、一人で図書館へ行ったり病院へ行ったり。
どうしたんだ?もしかして俺のせいだろうか?そう考えるといてもたっても居られなくなった。
彼女の好意に甘え、癒されてきたが、彼女は俺の為にずっと傷付いていたんじゃないだろうか?
もしそうならこのまま付き合っていたら彼女の人生を駄目にしてしまう。
もう俺には彼女を幸せに出来る力は無い。
彼女を失う事は辛い、でも不幸になる彼女を見るのはもっと辛い。
俺は意を決して彼女に伝える事にした。
921 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:52:28.80 ID:eByNkYbn0
彼女の家に遊びに行った日、俺は瑞希に別れた方がいいんじゃないかと切り出した。
俺の言葉に驚きを隠せない彼女
「もう一度言って」
「俺達、別れた方がいいんじゃないか?」
「何故そんな事を言うの?私の事が嫌いになったの?」
「違う」
「だったらそんな事言わないで…お願い…」
彼女は泣きながら訴えるが俺は「俺が女体化した時から考えていた事なんだ」
「もっと早く切り出せれば良かったけど、俺は自分の事ばかり考えて君の優しさに甘えてしまった」
「いくら願ってもこの身体じゃ瑞希と結婚する事は出来ない」
「考え込んだりずっと悩んでいる瑞希を見るのは耐えられない」
「俺は不幸になる瑞希を見たくない」
「だから…」
「違う!」
「何が違うんだ?」
「違うの、ねぇ、違うのよ」
「私はね、貴女と一緒になりたいのよ」
「その為に色々調べたの、そうしたら男体化が出来るらしい事が分かったの。」
「女体化を治す治療法として開発されたけど女体化した人には効かなかった。でも、最初から女だった人には効いたって言うのよ」
「だから私、男になる」
923 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:54:31.01 ID:eByNkYbn0
「止めて…」
「もう俺の為にそんな事を考えるのは止めて…お願い」
俺はこんなにも彼女を追い詰めてしまっていたのか…
「やっぱり別れよう」
「瑞希が男の子になったら小母さん達が悲しむよ、だからもう二度と言わないで」
俺が帰ろうと立ち上がった時、部屋の扉が開いた。
「小母さん…」
次の瞬間、俺の頬に痛みがはしった。
「ヒロ君、いや今は宏美ちゃんね、この娘は本気よ。」
「それに貴女が言う様に別れたとしてこの娘が本当に幸せになれると思う?」
「貴女はそれで幸せになれる?」
俺は何も言えなかった。
俯く俺に小母さんは
「この娘が一旦言い出したら聞かない事は分かってるでしょう?」
「だったら最後まで我が儘を聞いてあげて」
「私達の娘を幸せにしてそれが出来るのは貴女だけよ」
俺は瑞希と小母さんの気持ちに泣き崩れた。
924 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:55:11.88 ID:eByNkYbn0
俺の女体化から2年後、俺の隣にはタキシード姿の瑞希が居る。
スレンダーだった身体は細くてもしっかりした大人の男性になっていた。
背も男体化してから急に伸び、今は俺よりも背が高い。多分180cm近くあるんじゃないかな?
女の子の時の面影を残す横顔はなかなかハンサムだ。
俺は瑞希の横顔を見つめていた。不意に彼がこちらを向く
「どうした?」
「いえ、恰好いいなと思って」
「宏美こそ綺麗だよ」
私達はみんなの祝福を受けてやっと結婚する事が出来た。
私の薬指には金とプラチナで出来た結婚指輪が輝いていた。
式も終わり最後のブーケトス
大失敗!強く投げすぎた。ブーケは友人の光輝が受け取っちまった。
光輝は困った顔をして美帆にそのブーケを渡す。おもわず顔を赤らめる美帆、そうか…
ありがとうみんな!私達は幸せです。
925 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/29(木) 15:56:21.57 ID:eByNkYbn0
友人の美帆と家でお茶を飲んでると娘の愛美が「ねぇ、この写真の人だれ?」って聞いてきた。
「それはね、パパとママよ」
「えーっ、違うよ、こっちがパパとママだよ」
私達の結婚式の写真を指差しながら不思議そうな顔をしてる。
「それもパパとママだけどさっきの写真もパパとママなの、愛美にもいつかわかる日が来るわ」
愛美はまだ不思議そうに二つの写真を見ている。
「愛美、ママのお腹を触ってごらん」
恐る恐るお腹に触る。
「あっ、動いてる」
「ママ、赤ちゃん動いてるよ!」
嬉しそうに私を見てる。
「小母さんのお腹も触ってみて!」
今度は美帆のお腹に触れる。
「あーっ、小母さんの赤ちゃんも動いてる」
「愛美は弟と妹、どっちがいい?」
愛美は暫く悩んだ末
「うーん、わかんない」
「でも、産まれたらいっぱいいっぱい遊んであげるんだ!」
「そう、よろしくねお姉ちゃん」
「うん!」
「美帆、これで良かったんだよね?」
美帆は優しく頷いた。
「さてと、旦那様達が帰って来るまでに料理の用意をしますか!」
「ハイ!」
俺と美帆は一緒に旦那様達の為に料理を始めた。
俺の首のチェーンには今は大き過ぎるあの日のプラチナのリングがあった。
121212121
418 :371:2007/12/01(土) 00:28:25.86 ID:WVoIWSfB0
瑞希が男体化して1年、最初は俺の目元程だった身長があれよあれよという間に伸びて今では俺が精一杯背伸びをしてやっと届くかどうかってところまで伸びていた。
「ねえ瑞希、あんた急に伸びたわよね」
「羨ましい?」
「うっ、羨ましくはないわよ。だけど、この間まであたしより低かったのに、見下ろされちゃうとね…」
「やっぱり羨ましいんだ!」
「知らない!」
いつのまにか俺より背が高くなった瑞希に少しの恐怖と、それ以上の逞しさや優しさに惹かれていた。
「なに拗ねてんだ?」
不意に後から抱きつかれた。
「きゃっ!」
「女の子みたいな反応!よしよし」
「何がよしよしよ、びっくりするじゃない!」
でもこうやって抱かれていると恐怖は何処かに消え去って、代わりに守られている安心感で心がふわっと温かくなっていく。
「ちょっと!なに道の真ん中でラブシーンやってんのよ!」
振り返ると仁王立ちした美帆と目のやり場に困って視線が泳いでいる光輝が居た。
今日は光輝の誕生日、丁度ウチの親達は温泉旅行に出掛けて居ないからウチでやろうという事になって、今はその買出しに行く途中なのである。
それがウチの親ときたら瑞希に「あたし達、2日程家を空けるからその間宏美を頼むね。なんなら襲っちゃってもいいわよ」とか言ってんの、一体どういう親だよ。
「おい!誰に言ってんだ?」
「あっ、いや状況説明を…」
「??まぁいいや、みんな揃ったところで行くぞ!」
「おう!」
420 :371:2007/12/01(土) 00:29:42.18 ID:WVoIWSfB0
それぞれ得意な料理をって事で美帆はケーキと飲み物、瑞希はオードブル、光輝と俺は鮮魚コーナーに魚介類を買いに分かれた。
「おい、宏美、何にする?」
この光輝君、俺と一緒で釣りはするが、魚は捌けないらしい。
「烏賊と蝦、それと平目かな?光輝は何が食べたい?」
「食べられれば何でも」
うーっ、作り甲斐の無い奴!これじゃ嫁になる人が苦労するぞ。
とりあえず鮮魚コーナーで魚を選んで野菜コーナーに行く。
「光輝、食べられない物とかは無いよね?」
「ピーマン…」
「よっしゃ!」俺はピーマンやら玉葱やらをどんどん籠に放り込んだ。
光輝は籠からピーマンを取り出そうとしたが、俺は体を張って阻止した。
買い物を終えて戻った俺達は早速料理に取り掛かる。
美穂はシフォンケーキの準備を、瑞希は各種オードブルを、俺は平目を下ろしに掛かる。
光輝は一人でゲーム…
料理が出来ないからしょうがないか、一応主賓なんだし…
俺は瑞希にピーマンを数個渡し、肉詰めを作る様に頼んだ。
「あれ、ピーマン嫌いだっ…」
「しーっ!」
俺は瑞希に目配せをして光輝の方を見る。
瑞希は解ったって顔をした後
「そんな事してるとしっぺ返しが来るぞ」
「へへっ、大丈夫!」
421 :371:2007/12/01(土) 00:30:52.70 ID:WVoIWSfB0
夕方も近くなり、各自料理を完成させたところで光輝の誕生パーティーが始まった。
先ずおめでとうを言いそれぞれが用意したプレゼントを渡す。
俺はゴアテックスのグローブを、瑞希はCD、美穂はマフラーをプレゼントした。
光輝は照れながらありがとうって、おい目尻下がってるぞ。
そんな奴の皿に俺はピーマンの肉詰めを入れてあげた。
焦る奴の顔、やったね!
彼は皿を持って匂いを嗅ぐと「やっぱり食べられません!ゴメンナサイ!」
「おい、宏美!お前好きなんだろ?やるよ!」って俺に皿を渡してきた。
えっ!えっ!嘘でしょ!
3人が俺を見てる。瑞希なんかそら見たことか!って顔をしてる。
視線が妙に痛いんですけど、はい食べますよ食べますってば!
俺は目に涙を浮かべながら食べた。
「おぉ!泣くほど嬉しいのか?ならもう一つ」
光輝が俺の皿にピーマンを入れようとするのを慌ててガードしましたよ。
でも他の料理は全部美味しかった。
最後に美穂のシフォンケーキと紅茶で俺達のお腹はいっぱいになった。
その後、暫く4人でゲームをしたりして過していたが、美穂がもうそろそろ帰らなくちゃって言い出した。
時計を見ると9時近くになっていた。
「今日はありがとう」そう言うと光輝は美穂を送って行った。
423 :371:2007/12/01(土) 00:31:52.75 ID:WVoIWSfB0
「二人だけになっちゃったね」
「さて、片付けますか」
俺と瑞希は後片付けを始めた。俺が運んで瑞希が洗う。
食器を洗う彼にはこのシンクは少しばかり小さい。もう少し高いキッチンにしないとだめだね。
後片付けを終えたところで瑞希にお風呂を勧めたが、お前の方が先に入れっていうんで先に入った。
身体を流し、浴槽に浸かった。もう既に見慣れた二つの膨らみを少し手で持ち上げてみる。
大きくはないが、自分では美乳だと思ってる。
「もう少し大きい方が瑞希は喜ぶんかな?」
男体化した瑞希の視線はこの頃よく女性の胸を追っていた。
瑞希は驚くほど早く男の身体に馴染んでいった。
言葉遣いや仕草も、俺が苦労したのとは全然違う。瑞希にはその才能があったんだろうな?
そういや俺がニーソを穿いてないとちょっと不機嫌な顔をするが、それと何か関係あるんだろうか?
俺は浴槽から出て身体と髪を洗うと、もう一度温まってから風呂を出た。
425 :371:2007/12/01(土) 00:33:10.16 ID:WVoIWSfB0
俺と入れ替わりに瑞希が入り、俺は洗面所で長くなった髪を乾かした。
短い方が楽で良いんだけれど、どうしても瑞希が切らせてくれない。
俺が髪を乾かし終えてソファーに座ってテレビを見てると風呂から上がった瑞希が隣に座ってきた。
暫く一緒にテレビを見てたけど、彼は何も話してこない。
横目で彼の顔を窺ってみた。テレビには関心が無いようで心ここにあらずって感じ。
俺はちょっと居心地が悪くなったので遅いから寝ようと持ちかけた。
彼も居心地が悪かったんだろう。俺が「もう寝る?」と言うと、ほっとした顔で「あぁ」って答えた。
俺は彼に「客間でいい?」って聞くと彼は少し辛そうな顔をした。そんな事か…
「じゃあ、あたしの部屋にする?」
途端に顔が綻ぶ。
解り易い奴だね~
428 :371:2007/12/01(土) 00:34:25.20 ID:WVoIWSfB0
俺が女体化してから時々一緒に寝る事があったが、瑞希が男体化してから家に泊まる事はあってもいつも客間で一緒の部屋で寝る事は無かった。
客間から布団を自分の部屋に運び、俺のベットの横に敷くと明かりを消して布団の中に潜り込んだ。
「この部屋で寝るのは1年振りか…」
瑞希が呟いた
「そうだね、瑞希が男の子になってからもう1年経つんだね」
「あたしの為に男の子になって後悔してない?」
「なんで?」
「なんでって、ほら、瑞希はずっと女の子だった訳じゃない?女の子としての夢とか色々あったでしょう?」
「確かにそれはあったけど以前にも言った通り、俺は宏美の方が大事なんだ」
「だから後悔はしていない」
「ありがとう。ねえ、そっち行っていい?」
「うん」
瑞希の隣に潜り込んでぴったりくっついた。
「温かい」
彼はこちらに向かって横になり私を抱きしめてくれた。
彼の胸に顔を埋め、その両の手に包まれていると幸せな気分になれた。
430 :371:2007/12/01(土) 00:35:58.18 ID:WVoIWSfB0
彼の行動とかを見ていると自分も元は男だったから分かる。でも彼はそれを口に出す事は無かった。
私がまだ傷ついている事を知っているから。でもいつまでも彼に甘えている訳にはいかない。
私は一大決心をして彼の手をとり、仰向けになるとその手を胸へと導いた。
「無理をしなくていいんだよ」
そう言ってくれたが私は彼の手を強く胸に押し当てて「お願い」とやっと言った。
「いいの?」
そう言う彼に小さく頷く。
彼は私に覆いかぶさる様な体勢になるとキスをしながらパジャマの上から優しく胸を揉んできた。
「小さくてゴメンね」
「何でそんな事を言うの?」
「だって、いっつも胸のおっきな人を目で追ってるじゃない」
「あっ、ばれてた?ゴメン」
「ゴメンじゃない、もう他の人を見ないで」
「分かった、分かった、もう見ません」
彼はそう言うとパジャマのボタンを一つずつ外していった。
最後のボタンを外し終えると優しくブラとパジャマを脱がしてくれた。
胸を揉みながら胸に顔を近づけ、乳首を軽く口に含むと舌で舐めてきた。
その瞬間、なんとも言えない快感が私の身体を突き抜けた。
たまらずに声が漏れてしまった。
431 :371:2007/12/01(土) 00:37:20.75 ID:WVoIWSfB0
彼の行動とかを見ていると自分も元は男だったから分かる。でも彼はそれを口に出す事は無かった。
私がまだ傷ついている事を知っているから。でもいつまでも彼に甘えている訳にはいかない。
私は一大決心をして彼の手をとり、仰向けになるとその手を胸へと導いた。
「無理をしなくていいんだよ」
そう言ってくれたが私は彼の手を強く胸に押し当てて「お願い」とやっと言った。
「いいの?」
そう言う彼に小さく頷く。
彼は私に覆いかぶさる様な体勢になるとキスをしながらパジャマの上から優しく胸を揉んできた。
「小さくてゴメンね」
「何でそんな事を言うの?」
「だって、いっつも胸のおっきな人を目で追ってるじゃない」
「あっ、ばれてた?ゴメン」
「ゴメンじゃない、もう他の人を見ないで」
「分かった、分かった、もう見ません」
彼はそう言うとパジャマのボタンを一つずつ外していった。
最後のボタンを外し終えると優しくブラとパジャマを脱がしてくれた。
胸を揉みながら胸に顔を近づけ、乳首を軽く口に含むと舌で舐めてきた。
その瞬間、なんとも言えない快感が私の身体を突き抜けた。
たまらずに声が漏れてしまった。
432 :371:2007/12/01(土) 00:38:42.77 ID:WVoIWSfB0
その後も執拗に胸を攻められ、もどうしようもない快感に下半身がキュンとなり私は必死で彼の頭を抱きしめた。
そのうち彼の手が私の胸から離れ、下に下りてきた。
一瞬以前の悪夢が蘇り身体が硬直した。
彼はそれに気付くと止めようかと言ってきた。
私は首を横に振り体の力を抜いた。
胸を吸われ女の部分を優しく撫でられると先ほどとは比べ物にならない位の快感が襲ってきた。
我慢しようとしても快感で呼吸が荒くなりひとりでに声が漏れる。
かなり濡れているのが分かる。
彼はパジャマとショーツを脱がしにかかる。私は腰を浮かしてそれに応える。
私を完全に裸にすると彼も服を脱ぎだした。私は彼の手を止め、彼の代わりに服を脱がす。
二人とも一糸纏わぬ姿になって抱き合った。肌と肌を合わす事がこんなに幸せだなんて知らなかった。
少しの間抱き合った後、彼は私の足の間に身体を入れてきた。
既に十分濡れていたそこに彼がゆっくり入ってきた。
私の中に彼がいっぱいに広がる。奥まで入るとまたぎゅっと抱きしめられた。
もう恐怖は無かった。その代わりに身体全体が幸せに包まれていた。
ゆっくりと彼が動き出す。
その度に快感の波が襲ってくる。
433 :371:2007/12/01(土) 00:41:09.74 ID:WVoIWSfB0
私は彼に必死でしがみついて快感の波に耐えた。
その内、彼の動きが早くなってきた。近いのだろう。
「お願い、中に出して」
更に動きが激しくなり二人とも果てた。
私はいつの間にか泣いていた。
心配そうに私を見る彼
「大丈夫?」
「うん」
「でも泣いている」
「いいえ、これはやっと貴方に報いる事が出来て嬉しかったからなの」
「瑞希さん」
「何?」
「幸せになろうね」
「そうだね」