安価『別離』

116 名前: ◆YPPZoWABRI [] 投稿日:2008/01/11(金) 23:58:23.16 ID:P+N7jtwX0
安価 別離

峰岸拓海と鳴海、僕達は仲の良い双子の兄弟だった
しかし僕達の両親の仲は冷えきってしまっていた
僕等が小学校にあがる前、両親は離婚した。
僕は父さんの元に、兄の拓海は母さんの元へそれぞれ引き取られた。

僕達は離れ離れになる前の晩、泣きながら抱き合って眠った
別れの当日も別をれ嫌がり泣きじゃくった。
いつの日かきっと一緒に暮らそうね。そう約束して僕達は別れた。

母さん達と別れてからの父さんは、僕に淋しい思いはさせたく無いと残業とかはせずに早く帰ってきてくれた
そして一緒に食事を作り、お風呂に入り、夜は父さんの腕枕で眠った
僕は父さんのお陰で兄ちゃんや母さんの居ない寂しさをあまり感じないで済んだ。

その優しい父さんは僕が中学の時、病気で亡くなった。
亡くなる間際、病床で伯母さん夫婦に僕の事を頼むと言い残しこの世を去った。
子供の居なかった伯母さん達は僕の事を実の子供の様に接してくれたが僕の寂しさは癒える事はなかった。
僕は高校生になった
父さんの居ない日々はつまらなくて僕は余り人と話さなくなっていた。
仲の良かった友達も少しずつ僕の元を去って行き友達の居ない僕は16歳の春に女体化した。
女体化したと言ってもただ生きているだけの今の僕にとっては大した問題ではない。
ただ性別が変わっただけの事。

でも、周りは少し違った。
女体化した僕に言い寄ってくる男性が少なからず居た。
でも僕…私は相手にしなかった。


117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと-64,477秒[] 投稿日:2008/01/11(金) 23:58:53.42 ID:P+N7jtwX0
高校3年の春、一人の男子生徒が転入してきた。
初めて見た時、はっとした。どこと無く雰囲気が兄さんに似ていたからだ。
名前も同じ拓海、もしやと思ったが苗字が違った。
母さんの旧姓は竹村だが彼は三好と名乗った。
三好拓海、兄さんに似た彼に人との付き合いを避けていた私は少しずつ惹かれていった。


両親の離婚と共に離れ離れになってしまったが、俺には双子の弟が居た。
弟は父の元に、俺は母の元に引き取られた。
離婚後、母は子持ちのバツ一男性と再婚した。
俺には新しい父さんと二つ上の姉さんが出来た。
新しい家族とは上手くいっていた。俺が高校生になるまでは…
俺が高校生になって間もない頃、俺が寝ている時に姉に童貞を奪われた。
何度も俺と関係を持とうとする姉さんに俺は部屋に鍵を掛けて入れさせないようにしていた。
ある日、異変を感じて目が覚めると俺に跨る姉の姿があった。
どうして?鍵は掛けた筈だったのに…
また運の悪い事に父に見つかってしまった。
姉は俺のせいにした。「違う!」俺が何度釈明しても信じてもらえず、それどころか俺は父にボコボコに殴られた。
母ですら俺の事を信じてくれなかった。
一緒に住めないと言われ、俺は母の叔父の所に預けられる事になった。学校も転校した。

転校先で一人の少女と出会った。
彼女はとても美しかったが誰とも付き合わず、いつも一人で居た。
そんな彼女が気になり、俺はある日、断られるのを覚悟で思い切って声を掛けた。

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと-64,751秒[] 投稿日:2008/01/11(金) 23:59:24.77 ID:P+N7jtwX0
「お昼、一緒しませんか?」
答えはYES
その日から俺と彼女は一緒にお昼を食べる様になった。
周りの人達から一体どんな魔法を使ったんだと聞かれたが、特別な何かはしてはいない。


兄の面影を持つ彼からお昼の誘いを受けた。
私は彼に惹かれていた事もあってOKした。
その日から私は彼とよくお昼を一緒に食べた。
彼と話す様になってから周りの人とも少しずつ付き合える様になっていった。
いつの間にか二人は公認のカップルとなっていた。
高校を卒業して彼は専門校に、私は地元の会社に就職した。
その間も付き合いは続き、彼が就職して暫くした頃、彼からプロポーズを受けた。
彼は私の家に何度も来て今の私の両親に会った事があるが、私は一度も彼の両親に会った事がなかった。
「あなたの両親に挨拶したい」
家族と上手くいっていない様で彼は最初嫌がったが、最後には承諾してくれた。

彼の実家に行った時、玄関口で何故か彼のお姉さんに睨まれた。
彼のお父さんは私の事をにこやかに迎えてくれたが、決して彼と目を合わそうとはしなかった。
リビングに通された私は彼のお母さんに挨拶しようとしてはっと息を呑んだ。
歳はとっていたが、そこに居たのは間違いなく幼い頃別れた母さんだった。
どうしてここに?私の心は掻き乱された。
その後の私は何を話したかいつ帰ったか覚えていない。


119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと-64,477秒[] 投稿日:2008/01/11(金) 23:59:55.68 ID:P+N7jtwX0
今まで話しをしたがらなかったので聞いた事の無かった小さい頃の事を彼に聞いた。
「もしかして双子の弟が居なかった?」
「居たけど、どうして?」
「私には兄が居ました。峰岸という姓に覚えはありませんか?」
「まさか…そんな訳無い。だって君の苗字は岡崎だし、それに女性じゃないか…」
「父は私が中学の時に亡くなりました。今の母親は父のお姉さんです」
どうしてこんな事になってしまったんだろう?どこで運命の歯車が違ってしまったんだ!
知ってしまった以上、一緒になる事は出来ない。
「あの日の約束を覚えているか?」
忘れやしない。私は黙ったまま頷いた。
「だったら一緒に暮らそう」
兄は私にそう言ってくれた。


あの鳴海が俺の弟だったなんて、最初は信じられなかった。
でも、話をする内に信じざるを得なかった。
結婚は出来なくてもいい、一緒に暮らそう。
そう言ったのに、一度は頷いてくれたのに、なんで?


拓海兄さんへ
一緒に暮らそうと言ってくれた兄さんの言葉、私はとても嬉しかった。
だけど貴方を好きになってしまった以上、私はもう兄弟には戻る自信がありません。
明日、私はこの街を出ます。
好きになる前、もっと早くに気付けば良かった。

兄さんと再会してからの数年間は本当に楽しかった。
約束守れなくてごめんね

鳴海


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年09月17日 18:12
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。