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◆YPPZoWABRI :2008/04/01(火) 06:56:55.99 ID:Mq5f/gyF0
安価「格闘技」
「チンコが欲しい…」
「ぶっ!!」
彼女の口から発せられた台詞に思わず吹いてしまった。
「おいおい、それが可愛い顔をした女の子が言う台詞ですか?」
「べ……別に嫌らしい意味で言ってんじゃないからねっ!」
俺に変に取られたんじゃないかって思った様で必死で弁解してる。分ってるって。
「あーあ、女の子の身体ってどうしてこう不自由なんだろう」
「そうか?」
確かに筋力とか運動能力は劣るが、それがどう不自由なのか運良く女体化を免れた俺には今一つ理解出来ない。
答えは分ってはいたが、俺は彼女にちょっと聞いてみたくなった。
「もし、仮に元に戻れる薬が出来て、ただで貰えるとしたらどうする?やっぱり飲む?」
「うーん、どうだろう?」
即答するかと思いきや考え込んでしまった。
「元に戻れたらもう簡単に負ける事は無いんだぞ」
格闘技が好きで一度も泣き言なんか言わなかったこいつだが、女体化して部の中で一番弱い奴にも敵わなくなってしまった。
同年代じゃ無敵を誇ったこいつだが、女体化で筋力は半分以下に落ちてしまったのだ。
部活中は気丈に振舞ってはいたが、流石に悔しかったんだろう。皆が帰った後の部室で大泣きしていた。
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/01(火) 06:57:12.44 ID:Mq5f/gyF0
「お前は俺に元に戻って欲しいのか?」
質問をした筈の俺が逆に質問されている。
昔のこいつは俺の一番仲の良い友達で、こいつが女体化したって言ってきた時は俺もかなりショックを受けた。
戻れるものなら昔に戻ってもらいたい。でもそうしたら今のこいつが居なくなってしまう。
「昔のお前に戻って貰いたい気持ちはあるが、今のお前も失いたくない」
どっちか選べって言われるかと思っていたが、彼女の反応は違った。
「そう言ってくれると嬉しいよ、どっちかを選択されたら選ばれなかった方は否定されたと同じだからね」
「だったら良かった。で、お前の答えはどうなんだ?」
「聞きたいか?」
「いや、言いたくなければ別にいいよ」
「答えはね…」
そう言って彼女が俺の前に回り込んだ次の瞬間、俺の頬に柔らかくて温かいものが触れた。
「これが答えよ」
そう言うと彼女はスカートを翻して駆け出した。
俺は彼女の背中を見送りながら思わずガッツポーズをしていた。
最終更新:2008年09月17日 18:25