33 名前:中野翔の日記
◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 20:13:07.57 ID:mPIqPb4J0
×月◆日・・とうとう、この日がやってきてしまった。そう、あいつの家庭教師の日だ。この日のために何度家庭教師の本を読みまくったか・・無事に教えられるかどうか心配だ。それにどうも担任に聞いてみたらあいつの成績は著しくないどころかとことんやばいらしい。このまま行くと・・進学できるかも危ぶまれるらしい。
・・全く、本来なら逆のはずなのだが、まぁ仕方ない。
そして俺はあいつの家へとたどり着いた。中に入ると以外にもあいつが出迎えてくれた。あいつは何かを隠すようにしながら俺を部屋へと案内してくれた。そんで、飲み物を用意してくれるらしいので待ってみた。しかし、こいつの部屋は・・見た目まんま男の部屋だな。サンドバックがある部屋なんて早々いないもんだ。俺はいろいろ部屋を見回していると、あいつが飲み物を運んでくれた。
さて、ここからが大変だ。
勉強のべの字を知らないあいつをどうやって成績を上げようかね。まぁ、悩んでも仕方ない。まずは、数学からだ。徹底的にわかりやすく解説したノートを手に取りながらあいつの家庭教師を開始した。
34 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 22:40:02.87 ID:mPIqPb4J0
数分してからか・・ようやく、基礎中の基礎はましになってきた。珍しく俺の横で問題をノートにとって解いているあいつ・・まぁ、中学レベルだからすぐにできるだろう。英語のほうも何とかましになってきた。そういえばこういったものは普通に頭のいい女ができの悪い男に教えるものなのだが・・本来は逆だな。俺は横から愚痴をたれながらもあいつの勉強を見てやった。
・・それにしてもこいつ珍しく勉強しているな。そこまで成績上げたいのか?
珍しく、俺が雑談を吹っかけてきてもあいつは勉強以外のことはシカトを貫き通しやがった。まぁ、勉強に真剣になったことはうれしいことだが・・なんだか寂しいな。俺は教えるポイントポイントを潰していけばいいのだが・・こう、会話がほしいな。
俺がこう・・この閉鎖的空間に新鮮味を求めてる頃、ちょうどよく休憩にいい時間となった。俺はあいつに休憩を提案したのだが・・どうもあいつは無理をしているのか頑なに休憩を拒んだ。・・しかし、人間休業も必要だ。俺はあいつの台所を借りて飲み物を持ってきてやることにした。
41 名前: ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 22:57:41.19 ID:mPIqPb4J0
台所から部屋に戻り、俺は2人分の飲み物を入れて戻ってきた。幸い、両親はいないようだ。まぁ、俺も手の込んだものはできないのでインスタントのコーヒーだ。俺はあいつにコーヒーを差し出したのだが・・どうもあいつはなかなか飲もうとしない。無理に言ってしまったからまずったのかね?だって、疲れた奴に差し入れするのは人間の心情で言えば当たり前だろ?
・・まさか、コーヒーに睡眠薬が入ってると思っているのか?
俺は睡眠薬の類は入っていないっと言うとようやくコーヒーを飲み始めた。本当に警戒していたのか・・ちとショックだ。まぁ、気を取り直して休憩に入ったので、俺はようやく念願の雑談ができた。この部屋のことを聞いてみた。この部屋って・・やっぱ男向けだったんだな。それにあいつも元男だ。そういうものを持っていても不思議じゃないな。
・・雑談が続く途中、あいつの顔が若干赤くなった。俺はあいつのおでこを触ろうとしたのだが・・あいつのサラサラの髪をなでてしまった。突然、撫でられたのかあいつはびっくりし始めた。・・こいつなかなかかわいいじゃねぇか。顔を赤らめながら怒鳴り上げるあいつに・・俺はある種、胸のときめきを覚えた。
俺の手にはふと触ってしまった髪の感覚がまだ残っていた。
326 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 18:13:51.47 ID:+j14JutO0
さて、時というのは無常にも過ぎていくものであって、あっという間に帰宅の時間となった。俺は適当に帰り支度をすると今後も引き続き家庭教師をすると宣告した。流石のあいつは1日で終わると思っていたのか抵抗の声だった。・・全くおめでたい奴だ。
でも本気で考えなければ早くて・・2週間ぐらいの期間はいるな。それぐらいの時間がなければこいつの成績は並に戻らん。椿のときはものの3日ぐらいだったのだが・・・先が思いやられる。とりあえずあいつも一応女だ。理性はしっかりと保っておかないとな。しかし・・考えてみると結構おいしいイベントだったな。
帰り際俺は右手をぎゅっと握った。すると、あのサラサラとして艶やかな髪の感触がいまだに残っていた。それにあのリアクション・・不覚にもちょっとときめいちまったじゃねーかバカヤローヽ(`Д´)ノでも・・たまにはこんなのもいいか。
332 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 18:35:11.29 ID:+j14JutO0
×月∽日・・翌日、俺は誰もいないのを見計らうとあいつと一緒に帰宅しようとしたのだが・・突然、あいつから場所替えを宣言された。何が何なのかは全くわからないのだが、俺はとりあえずその場所へと向かうことにした。
・・あの野郎、どういうつもりだ?保健室で勉強会するなんて俺は聞いたこともねぇぞ。俺は詳しい理由を聞こうとしたのだが・・あいつは“いちいち気にするな!!”っと言われ一蹴された。それにここの保健室の先生だが、確かに綺麗だが・・その瞳の奥底には全てのものを威圧する目をもっている。それは間違いない・・まさか、元男なのか?女体化シンドノームに感染した患者たちは大半が美人に変貌したと聞いたな。じゃあ・・この人は俺らよりも凄腕の・・悪だったのか?
・・俺は様々な疑問と礼子先生の視線、そしてあいつの願望の中、勉強会を開始した。
あいつ・・やっぱり1日経っただけでほとんどのことを忘れていやがった!!あんだけ必死に教えたのに・・やはり2週間じゃ足りなかったか。それに俺が横から口を出すたんびに言い争いが激しくなった。すると、横で見ていた礼子先生が俺らを引きとめた。俺は口出し無用と言いたかったのだが・・礼子先生は俺の上をいっていた。“コノヒトニハ逆ラウナ・・”そう俺の本能は感じたようだ。しかも直感で・・
結局俺は無言のプレッシャーでこの場を礼子先生に任せることにした。
337 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 18:51:00.36 ID:+j14JutO0
流石に先生とあってか、礼子先生はあいつに丁寧に教えていた。・・っと思ったのだがあいつもあの視線を感じたらしい。やはり、礼子先生は元男と見て間違いあるまい。しかも、俺よりも頭よく・・それにかなりの悪だ。いったいどんな人だったんだ?礼子先生はあいつに丁寧に教えながら今度は俺のほうによって来た。
「中野君、あなたにも教えることがあるわ。いい、人を教えるのはね・・」
どうやら家庭教師の仕方らしい。どうも俺の指導はバカにはわからん高度なものだったらしい。だからあいつは俺の指導方法ではいまいち伸びなかったのか。ということは椿は普通だったわけか。そこはよかったぜ・・俺は家庭教師の仕方を学ぶ傍ら、礼子先生の過去の話を聞いてみた。・・すると、あいつには内緒という条件付で話してくれた。まぁ、あれだけ夢中にな手入れば俺らの会話なんぞ聞こえんだろ。俺は黙ってうなづき、礼子先生は自分の過去を話してくれた。
やはり、礼子先生は俺の睨みどおり元男だったらしい。しかも驚いたのはあの伝説的なヤンキーグループ金武愚(キング)の元リーダーという。どうりであの視線は頷けた。あの金武愚のリーダーならなおさらだ、俺たちとは格が違う。金武愚といえば名の高いヤンキーグループで喧嘩ではほぼ負けなしの伝説的なグループであった。その初代総長であった礼子先生は童貞であったらしく女体化シンドノームに感染してしまったらしい。まぁ、それからいろいろあって、今ではお医者さんの旦那さんがいるらしい。それで失礼ながらもし、男に戻れる薬が開発されたらどうするのかと聞いてみた。すると礼子先生は意味下な表情のままこう言っていた。
「もしそんなものがあっても・・決して飲まないわ。もう旦那もいるわけだしね。」
・・この礼子先生の言葉が意味するもの、このときの俺にはまだわからなかった。
342 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 19:12:28.07 ID:+j14JutO0
×月д日・・おっと、2週間もほったらかしにしてたのか。まぁ、仕方ない。ここ最近、日記などつける暇なんてなかったからな。あいつも指導法を変えた俺や礼子先生の指導の下、メキメキと成長していた。ここまでかかるのに苦労したな・・そんで期限の2週間目、仕上げのためあいつは俺が作成した小テストをしていた。
・・さて、結果はどうかな。俺はあせる気持ちを抑えて小テストに○をつけた。
結果はというと、ようやく普通レベルになった。よくやった俺!!ここまで頑張った自分に感謝だ。今考えてみれば、保健室を選んで正解だったのかもしれん。礼子先生の助けがなければここまで行かなかったらな。・・しかし、ここ2週間結構充実した日々だった。なんだかんだ言ってもあいつと一緒に頑張ったわけだからな・・ちと寂しいな。俺は互いの健闘を称えるとそのまま別れて帰り道へと向かった。
いざこうして1人となってみると寂しいもんだ・・
343 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 19:13:05.98 ID:+j14JutO0
紅蓮の夕焼けが空を彩る中、俺は寂しさをヒシヒシと感じていると途中から明らかに俺を尾けてくる人気を感じた。しかも少人数でかなり腕の立つやつらばっかだ。ちょうどよかったので俺はこの寂しさを吹っ切るため、人気のないところへと向かった。
俺は人気のないところへ着くと少人数のおじさんばかりであったが全員が何らかの格闘系の資格を持っていたことが容易に想像できた。するとおじさんたちは俺にこう言った。
「お嬢様の命令です。相良 聖から離れていただきませんか?」
お嬢様だと・・椿にはあいつのことはちびらちびらと話したが、恐れるどころかむしろ対面したいらしい。だから椿ではない。それに椿にはあいつのフルネームを教えていない。いったい誰がこんなマネをしているんだ・・俺は丁重にお断りすると、おじさんたちは仕方なしという表情で俺に襲い掛かってきた。
俺は気を引き締めるとライセンス持ったおじさんたち相手に全力で向かっていった。
344 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 19:26:50.39 ID:+j14JutO0
はっきり言ってこのおじさんたち強ェ・・俺は片っ端から相手をしたが並の奴らとは違っていた。でも、歳のせいか徐々に体力が落ちていっているようだ。俺はそこを狙って持久戦を狙っていった。俺は昔から体力には自身があるんだよ!!
数時間経っただろうか・・ようやく1人、また1人とおじさんたちが倒れていき、ついに最後となった。しかし、俺のほうもかなり攻撃されたものの何とかくたばってはいなかった。しかし、最後のおじさんはあいつと同じ合気道の使い手だった。今この状況をRPG風に説明すると、ラスボス相手にもはや死に掛けで挑むようなものであった。
・・しかし、俺は負けられなかった。売られた喧嘩・・絶対負けるわけにはいかないな!!
その時の記憶はあやふやだったが、何度も打たれて打たれても俺は腐ったみかん並みにしぶとく立ち上がり攻撃を加え続けた。途中、何度も気絶しそうなことがったが・・何度も何度も立ち上がっては攻撃の手を緩めずついに最後のおっさんを倒した。俺はそいつの首根っこを捕まえて首謀者の名を聞こうと思ったのだが・・途中力尽きたのか気絶してしまった。クソッ!!肝心な奴がわからずじまいか・・ここで、俺の意識は失ってしまった。
555 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:26:53.97 ID:dds5A3Bf0
×月@日・・俺の意識はここで目覚めた。あの後、どうやら病院に運ばれたらしい・・俺が目を覚ますと、横に寝ていた椿が俺の意識が戻ったのに気がついたのか目が覚めたらしい。目の覚めた椿は今までの状況を軽く説明してくれた。どうやら俺はあの後、意識を失ってしまったらしい。それで誰かの通報の元、ようやく病院へと搬送されたらしい。
・・ちょっと待て、あのおじさんたちはどうしたんだ!あの時俺が全員気絶させたはずなのに・・
そのことを椿に聞くと、最初からあの場所にいたのは俺1人らしい・・とすると誰かが瞬時に回収したのか。んで怪我の状況だが、幸い骨までは行かず全身打撲程度ですんだらしい。流石に相手も骨折までは行かなかったか・・俺は安心してベッドにゆったりすると、今まで俺に説明していた椿がこういってきた。
「ねえねえ、お兄ちゃん。この日記に書いてある“あいつ”って誰なの?」
そういって椿は鞄から俺の日記帳を取り出しながら俺に聞いてきた。ってことは今までの内容はこいつに見られたのか!!人のもの勝手に見やがって!!書いている俺だって恥ずかしいこともあるのに・・
しかし、日記帳はもはや椿の手に渡っているのでそんなことは野暮というものであった。結局俺はあいつのことを椿に話した。
559 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:51:57.23 ID:dds5A3Bf0
椿はあいつのことをやたら熱心に聞いていた。どうも、この日記帳を見た頃から気になっていたらしい。まぁ、気になっても仕方ないだろう。俺は一応、あいつとの過去やここ最近の行動について椿に話した。椿は俺の横で熱心に聞いていたのだが・・俺にこう言い漏らしてきた。
「ってことはお兄ちゃんはその人のこと好きなの?」
ってなんでそうなるんだ!!・・そりゃあいつは綺麗だ。髪もサラサラでスタイルなんてそこらのモデル真っ青のものだ。おまけに男の頃の面影を完全になくしたぐらい顔もいい。だが、あいつとは過去のただならぬ因縁がちらほらある。
・・それに家庭教師だってあいつの成績がまずそうだなっと思ってやったわけだし。遊園地のデートの件についたってあれはその・・なんだ?まぁ、お、俺の気分だ。それに・・あいつが俺のことをどう思ってるかはわからない。もしかしたら、まだ昔の事を持ち出してタイマンつけろって言うかも知れんし・・とにかく!!俺はあいつのことを好きでもなければ嫌いでもない!!・・でもちょっとかわいいかなって程度だ。あいつは恋心なんて抱かないだろ。・・現に俺の病室に来ていないわけだし。
そう俺は椿に説明すると椿はこうきっぱりと言い切った。
560 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:54:28.28 ID:dds5A3Bf0
「・・お兄ちゃん。多分その人は迷ってるのよ。それにお兄ちゃんだってそんな理由で家庭教師なんて引き受けないわよ。だって考えてみてよ?昔から憎たらしい相手に普通家庭教師をしてあげないわよ。それに遊園地のことだって普通なら速攻で喧嘩になるはずでしょ?私も女体化したお友達知ってるけど・・多分その人はお兄ちゃんを“異性”として感じてるのよ。」
この俺を・・異性として感じているだと!!あのあいつが?そんなことは有り得ん・・断じて有り得ん!!昔から血に飢えた狂犬といわれてきたあいつが・・女になってからこの俺を意識しているのか?それも異性として・・それならあいつの取り巻きの中にも男が2人いるだろ!!・・異性として感じるなら俺よりも友達として付き合っているあいつらだろ!!
・・そんな考えが脳内にあやふやするまま、椿は明日学校なのか速やかに帰り支度を始めた。そして帰り際に俺にこういった。
「お兄ちゃんたちの過去に何があるかは私にはわからないけど、お兄ちゃんも過去のことじゃなくて現実を見つめなおしたら?前にあの人にも言ったんでしょ?“現実を見つめろ”って、お兄ちゃんも過去のことじゃなく現実を見つめてみたら。きっといいことがあるかもよ。・・余計なことだったかな。気が立ったらごめんね。じゃあね、お兄ちゃん。・・怪我してるんだからあんまり無理しないでね。」
そういって椿は俺の病室から立ち去った。・・現実を見つめろっか。なんだかんだ言ってもあいつのとの過去に一番固持しているのって・・意外と俺かもしれないな。現実を見つめろ・・確かに俺は過去にあいつにそう言った。
俺自身・・ちゃんと現実を見ていないのかも知れんな。
561 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 21:05:48.96 ID:dds5A3Bf0
椿が帰って数分してからか・・親父たちの伝言もないまま時間だけが経っていった。俺のダチはもうほとんどが学校とか就職とかで忙しいらしいし・・来れる暇なんてないよな。それにしても隣の病室はそれなりに盛り上がっているな。・・あいつ来るのかね。って、何期待してるのだ俺は・・あのおじさん頭を思いっきりやってくれたようだな。復讐の機会がもてたらぜひ顔面を思いっきり叩きのめしたいね!
俺はこの暇な時間を仕方なく病室にあった本で時間を潰すことにした。そういえばこの小説は女体化を題材にした奴だな。女体化って題材にしやすいからよく小説とかでも話題になってるよな。確か・・夏樹とかギャグで言えば煬帝シリーズとかあったな。教科書で乗っていたのは確か・・P90って人の作品だったな。
俺は小説を気長に読んでいると、病室のドアがいきなり開かれた。そこには花屋で買ってきたであろうお見舞い用の花とスーパーで買ってきたりんごを持ったあいつがいた。俺は突然のあいつの来訪に驚いたが・・まぁ、客人なので案内させた。あいつは・・見舞い用の花をまとめると、俺の隣に腰掛けながらリンゴを取り出した。
565 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 21:31:05.67 ID:dds5A3Bf0
あいつはリンゴを取り出すとそこにあったナイフで皮を剥き始めるが、かなり不器用だったので俺が取り上げて変わりに剥き始めた。そしてあいつは俺の怪我のことを聞いてきた。俺は原因を話すと、あいつもあの集団に襲われたらしい。やはり、武道をやっている奴とそうじゃない奴は違うな。んで俺たちは今までの話を整理するとやはり、首謀者は俺らにかなりの恨みがあることだな。
しかし・・俺をここまでしたんだからそれ相応の例をしたいな。それはこいつも同じのようだ。
俺はリンゴを食べ終えると今までの話を整理し終えた。それにしてもこいつ・・本来なら俺のリンゴなのだが、こいつのほうが多く食べやがった。全く・・ま、いいか。しかし・・まさかこの病室に来てくれるなんてな。思っても見なかった光景だ。・・こいつ、本当に俺のことどう思ってくれているんだろうな。
俺にしては珍しく素直にお礼を言うと、あいつは照れながらそそくさと病室を出て行った。
634 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 04:32:29.16 ID:r4Hzv5DM0
△月○日・・とうとう入院してから1週間程度か、どうやらまだ退院の目処がついていない。はぁ~・・ここ数日、日記も大して書けていないな。看護婦さんが一応着てくれているが・・大半が人妻だというし。あいつもあの日以来来てくれていない・・アーッ!!オレノバカヤローヽ(`Д´)ノなんであんなことを言ってしまったんだ。
それにあいつ自身、俺のことをどう想っているのかでさえわからないのに・・
俺にとって、あいつは昔からの宿敵・・それとも、異性としてみているのか?わからない・・それに俺自身あいつのことをどう思っているのかいまだにわからんし・・ってあああ!!考えれば考えるほどめんどくなってきた!!止めだ止めだ。考えれば考えるたび・・その・・何というか、あいつへの想いがますます強くなってくる。
635 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 04:45:00.15 ID:r4Hzv5DM0
想えばどうなんだろう。最初に出会った頃は純粋に拳と拳とでぶつかり合った。そこには友情の欠片もない。ただ互いに本能のままにぶつかり合った。だが、あいつが女になったときに俺の“何か”が変わった。次第にその何かが強くなっていき、俺はあいつとデートしたり家庭教師になったりと・・出会えば出会うほどますますその想いは強くなってきやがる。・・俺はもしかしてあいつのことが
好き・・
そうといえるのかどうかは今のところわからないが、そういった感情を俺自身は抱いているのか?俺の中であいつは・・あいつは・・ドウカワッテイッタンダロウ・・何度自問自答してもその答えは返ってこない。・・ようは自分で探せって事かな。そんなことを考えていると俺の病室にノックの音が響いていた。誰だろうな?
俺はノックの主を招き入れるとそこには思わぬ人物がいた。
638 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 05:06:40.51 ID:r4Hzv5DM0
病室に招き入れたのはあの礼子先生であった。なぜ、礼子先生がこの病室を知っているんだろう。俺は思わず聞いてみると、何とここは旦那の病院らしい。それであいつも病室を知っていたのか納得した。俺が納得するや否や礼子先生は驚くべきことを言ってきた。何と、あいつの取り巻きである女が何者かに誘拐されたらしい。それであいつはその女を助けに工場跡地へと行ったらしい。なぜ、礼子先生がこの事情を知っているのかは置いといて。
俺は大方の事情を把握するとどうしようか考えた。
正直言って、俺には全く関係ない・・そりゃそうだ。あいつ自身の出来事だ。俺が首を突っ込めば余計ややこしいことになりかねん。・・それに、あいつはもう俺にこれ以上借りを作りたくはないだろ。もう、これ以上あいつに関わるのはやめたほうがいいかもな。そうすりゃ、こんな想いや考えをしなくて済む・・
俺は・・あいつのことなんて・・
ドウオモッテイルンダロウ・・
そう・・俺が考え込むと、静止を保っていた礼子先生が突然、大声で俺を怒鳴り始めた。
639 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 05:08:22.43 ID:r4Hzv5DM0
「いい加減にしろ!!!・・さっさと行くのか行かねぇかどっちだ!!!!あの娘がお前をどう想ってるのかはわからねぇが、お前自身はどう想ってるんだ!!!!
ここで行かないと・・てめぇ自身絶対後悔するぞ!!!!!!」
俺の気持ち?・・俺自身はあいつのことを・・あいつ自身のことを・・あいつの身体、顔、内面、それに・・あいつの全神経に至るすべての部分!!俺は・・あいつのことが好きなのかも知れん・・いや、この感情は異性を想うあの気持ちだ。
俺は・・あいつが好きだったんだ!!!!
気持ちの整理がつくと俺は颯爽と病院から脱走した。もう・・俺たちの過去なんてどうでもいい!!・・俺はそう想いながら工場跡地へと向かった。
920 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 19:18:33.47 ID:4pLorHuU0
思いっきり走った俺は颯爽と工場跡地に着いた。中からは野郎の叫び声が思いっきり聞こえていた。どうやら・・かなりおっぱはじめてるみたいだな。流石に今入ったらかなりの乱闘が予想されるだろうな。・・想い人がやられてるんだ。ここは裏から回ってかっこよく決めて登場したいしな。そう思った俺は裏口から潜入することに決めた。しかし、完治もままならぬ状態で来た俺の体は明らかに悲鳴を上げていた。・・そんなこと構うもんか!!
そういって俺は裏口から潜入した。
裏口に入り、俺はあいつと合流するために場所を探したが・・突然、ここにいた野郎に襲われてしまった。予定外の出来事に俺は驚いたが、とりあえず片っ端から片付けることにした。徹底的に叩き潰した後、1人の野郎が大事そうに鍵を持っていたので俺はそれを取り上げた。すると、さっきの騒ぎに気がついたのか奥のほうから人が暴れている音が聞こえてきた。・・どうやら、あいつの取り巻きの女がこの奥に閉じ込められているらしいな。俺はそこへ向かおうとすると、どこからか野郎と揉めている声がしたので、奥のほうも気になっていたのだが・・とりあえず揉めている方向に向かうことにした。
924 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 19:38:25.59 ID:4pLorHuU0
揉めている方向に向かうとあの取り巻きの2人が勇敢にも野郎たちの集団と揉めていた。数人は倒していたのだが、流石に数の差と実戦経験のなさかボロボロになっていた。しかし、その姿になりながらも野郎に立ち向かっていた。・・俺は助太刀することにした。2人は俺の助太刀に驚きながらも俺とともに野郎を1人1人倒していった・・
・・裏手にいたすべての奴を倒し終えると、俺は内藤とドクオとかいう奴にあの鍵を渡してやった。どうもさらわれた女のほうは内藤とかいうやつの彼氏らしい。道理で、かなり燃えていたわけだ・・その想いに感服するぜ。それに裏手に回ったのはあいつの指示だったのか・・まぁ、大したもんだといいたいところだが、向こうにはお見通しだったわけだな。俺は女はこいつらに任せてあいつを助けるために裏手に回ろうとすると、ドクオといった奴からこういわれた・・
「なぁ・・あいつ俺たちのためにかなり無茶をしていると思うんだ。頼む、あれでも俺たちの友達なんだ。・・うまく助けてくれ。」
当たり前だ。そんな気がなかったらここにはいない。・・俺はドクオの想いを受け取るとあいつの元へと行った。それにしても、あいつもいいダチを持ったじゃねぇか。あの友達も仲間もいない一匹狼の頃のお前よりも輝いているぜ。もう、あいつはあの頃のあいつとは違う。・・あの永遠のライバルであり決着相手だった、血に飢えた狂犬とも違う。
・・俺が世界いや、この世の中で・・大好きな奴だ。
そう想いながら俺は必死にあいつの元へと向かった。この際体の事などどうでもいい!!男は好きな奴の想いさえあれば無敵なのだ!!!!
926 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 19:55:10.33 ID:4pLorHuU0
裏手を回り、ついにあいつがやらかしている場所へとたどり着いた。しかし、あいつのほうはかなりの劣勢かであったので、俺はあいつのピンチを救い颯爽と登場した。よく・・女の体でここまでやったものだ。賞賛したいね。こいつのほうもなんだか軽くなっているようだ。良かった良かった・・んで、俺が華麗に登場すると、ここの黒幕だと思われる女が思いっきり声を荒げた。
こんなくだらないことして・・しかも俺の想い人を傷つけた罪は重い!!ただじゃ返せねぇな!!!それにこの女だな・・プロを雇って俺に襲い掛かったのは!!
それだけではなく、あいつが嫉妬に帯びた瞳をしていたので俺は思いっきりあいつへの思いをぶちまけた。・・そこには恥ずかしさなど微塵もない。ただ、俺はこいつが好きでここまで来た。
こいつを好きになった事なんて後悔なんて絶対しない。・・いや、絶対にさせない!!!俺は・・こいつに惚れたことは絶対後悔しない!!!!
927 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 20:04:06.82 ID:4pLorHuU0
俺はフゥッと呼吸を整えると、すべてに蹴りをつける為に構えなおした。あいつも動揺していたが俺の想いを感じ取っており、呼吸を合わせて持っていた木刀を構えなおした。こうして最初で最後の・・俺たちの共闘が始まった。
たくさんでてくる野郎ども・・こちらは怪我をしており、方やもう1人は体力不足、明らかに不利な状況であったが俺は負ける気がしなかった。なぜなら・・殺戮の天使を血に飢えた狂犬がいるからだ。それに・・愛の力というのか、くさい事だがこの響きも悪くなかった。俺たちは1人1人と叩き潰しながら、ついに最後の1人を叩き潰した。首謀者と思える奴は明らかにこの状況を予測しておらず顔が引きつっていた。
最後の野郎を倒しドクオがここに現れると、俺の体力と意識は当に限界を超えており糸が切れたマリオネットのようにプツリと倒れてしまった。
俺は最後の意識を振り絞ると、そこには俺のために泣きじゃくるあいつがいた・・
928 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 20:09:30.21 ID:4pLorHuU0
薄れ行く意識の中・・俺はすべての思いをぶちまけると、ここ数年かかった決着が着いたような気がした。なんでもない・・男なら感じることつけたかった相手との決着・・
そう・・もう、そんなことを気にする必要などない。あの頃から始まった喧嘩の決着は勝負がついた。
数年かかった決着の結果は・・・
アイツニ惚レタ俺ノ負ケダ・・・
俺は振り絞る意識の中、大量の涙を零していながら泣きじゃくるあいつに最後の1人を倒せといいながら・・倒せといいながら・・・俺の意識はそこで費えた・・ただの気絶じゃない。なんだかとても暖かかった。ぬくもりを自家に感じるまま・・あいつから声が聞こえた。
“俺を好きになってくれてありがとう”と・・・
930 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 20:20:07.61 ID:4pLorHuU0
俺は意識が戻るとあの場所にいた。どうやらあいつが運んできてくれたらしい・・俺は感づかれないように聴力を必死に働かせると横にいたあいつの独白が聞こえてきた。
その独白は細々と・・そして感情に任せたまま俺にぶつけてくれた。
「俺・・お前が好きだ。昔のことも差っぴいて・・お前が好きだ。異性として・・
そして・・お前のすべてが好きだ
」 あいつが俺の横でそう言った同時に俺は思わず声を発してしまった。あいつも突然の俺の声に驚いたようだった。しかし、あいつの表情から驚きが消え、そのまま俺の方向へと近づいてくれた。そして・・あいつは俺を抱きしめてキスをした。それも単なるキスではない、人の暖かみや温もりのある・・そんな味のしたキスだった。
抱きしめているあいつの身体からはあいつの温もりが唇からひしひしと伝わってきた。あの時のような抱きしめ方ではない。互いが互いを求め合い・・満たされていくような・・
そんな抱きしめ方であった。
931 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 20:29:48.34 ID:4pLorHuU0
それから俺らは互いに互いを貪るように身体を求め合った。俺は今までにも女を抱いたが、そこまで気持ちのいいものではなかった。よく周りは女の身体は極上だとかそんなことを言うがそんなものははっきり言って身体を満たしているだけであって心までは満たされていない。実際、俺も女を抱いて身体の快楽は満たされていたが、心の快楽までは満たされることはなかった。しかし、こいつを抱いたときは満たされていないものなどなかった。
俺の渇ききっていた心さえも満たしてくれている・・そんなセックスだった。
俺たちは互いに満たし満たしあい、真なる快楽の海へと溺れた。俺は・・初めてすべてが満たされていく感覚がした。人間、セックスで身体の潤いは満たされても心の渇きは満たされないものだ。だけど、俺はこうしてこいつを抱いていくことですべてが満たされてくる。このときにようやく俺は理解した。人間、抜群の相性でようやく心は満たされるのだと・・
所詮、相性が合わないセックスなんて・・ちっぽけなものだった。そう俺は理解しながらあいつを永遠と抱いた・・
愛ヲ求メルヨウニ・・
935 名前:中野翔の日記 ◆Zsc8I5zA3U? []:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 20:51:36.54 ID:4pLorHuU0
イク寸前、あいつは俺が過去に抱いた女について嫉妬していた。かわいいと思いながらも俺は微笑しながら今後一切はこいつしか抱かないと約束した。安心したのかあいつは俺と一緒にイッてしまった。
これが愛あるセックスなんだなぁ・・と自覚しながら横にいるあいつを抱きしめながら俺は就寝の戸についた。俺は薄れいく意識の中で、男の頃のあいつが俺の前に立っていた。男のあいつは俺をじっと見つめると俺にこう言った。
“おい・・この俺を幸せにしなかったらブッ殺すだけじゃ済まさねぇぞ・・”
“わかってるさ・・男のときのお前との想いと一緒に幸せにしてみせる”
“ケッ、いっちょ前のことを言いやがって・・もう俺は女の俺と同化しちまう。どうあがいても男には戻れんだろう。最後に・・形は別だがお前との決着が着けれてよかったぜ。じゃあな、天使さんよ・・”
そういって男のときのあいつは消えた・・俺は消えちまったあいつの意識を見て改めて女になったこいつをどんなことがあっても幸せにしようと決めた。それが男のときのあいつとのけじめであり・・それに自分自身への大きな課題でもあった。こいつの心の中にあった、かっての自分・・もしも、こいつが女にならなければこのまま俺と拳と拳を交わっていただろう。だから、俺に託したんだろう。
自分の幸せと・・自分の存在を・・・
もう・・絶対こいつを離さないと男の頃のあいつに誓いながら俺は終身の戸についた。
こうして血に飢えた狂犬は何かに満たされたように俺の前から消え去った・・そしてここに新たな相良 聖が俺の横でスヤスヤと寝息をたてていた・・
最終更新:2008年09月17日 18:40