32 名前:
◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/17(火) 23:33:32.70 ID:ixd+jHHZ0
女体化・・今まで男だった俺には見るものすべて体験することが嫌に新鮮に見えてくる。それでも最初は何とかそれに 慣れるのに苦労したのだが時間が過ぎていけばだんだんと日常も当たり前の光景となって男から変化した身体にも だんだんと慣れてきている。人間というのはよくできているもので、俺も例外ではない・・ 女体化したときは俺の本質でさまざまな波乱やとてつもない大きい変化が巻き起こっていたのだが、それは同時として 俺という人間を見直す良い機会にもなったもので男のときの俺といろいろな格闘もあったり、いろいろな体験もあった のだが何とかそれを乗り越えて今という日々を送っている。それに・・彼氏という存在は俺の心の中に住み着いているようだ・・
さて、高校を卒業して大学を進学と同時に念願であった彼氏との同棲・・今俺は幸せと呼べる生活をそれなりに謳歌していた。
「・・なぁ、ちょっと休ませてくれよ」
「だらしねぇな、お前それでも男かよ!」
「あのなぁ、レポートが終わってのんびりしたい気持ちはわかるが・・」
「うるせぇ!!」
裸のまま俺たちはベッドの上で色気も何もない下らない話をしながら成長した互いの体をじっと見つめながら余韻に 浸っていた。身体が女性になっても性的欲求というのは存在するもので、一度快楽を体験してしまえばそれは麻薬の ように俺に絶えず欲求してくる。それにあいつとはどこか身体の相性がいいのかここ最近は今日のように何も予定が なかったらこうしてすぐに体を重ねあう日が続いている。
33 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/17(火) 23:35:12.73 ID:ixd+jHHZ0
「それにたまには外に出ようぜ、もう4日近くはこうしてやっているんだからな・・」
「そ、それは・・しかたねぇだろ!!」
体が欲求しているのだからそれに抗うのは少しばかりめんどくさい気がする、それに一度覚えてしまった刺激は なかなか忘れることができないもので俺の身体はそれを欲してしまって、またあいつにそれを求めて こうやって部屋に籠もってばかりいる。
「それに今日はバイトだから休ませてくれ・・」
「・・お前にその気がないなら俺1人で行動してやるよ!!」
「おいおい・・」
疲れ気味のあいつの態度にムカついた俺は強引にベッドから立ち上がって服を着ると1人で支度をしてどこかへ 行くことにする。あいつの苦労も一応わかってはいるのだが本能的欲求を満たすのは悔しいがあいつの存在が 必要不可欠なのだがあいつはバテ気味だ。本来なら俺も我慢するべきなのだが、この俺が我慢するなど体に悪いし どこか調子も狂ってしまい体の感じが悪くなってしまう・・しかし1人で外に出ても車の免許も持っていないし、どこへ 行くにも限られた場所しかいけない・・
しかし暇なのは変わりはない・・仕方なく俺は軽く支度をして家から出るとこれからどうしようかと考えながら散歩に 勤しむことにした。
34 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/17(火) 23:37:48.03 ID:ixd+jHHZ0
久々に外に出てみると歩いているだけでなんともいえない開放感が広がってきている。ここ4日は家で缶詰状態と なっていたので外の空気がとてもおいしく感じてしまう、1人で外に出ると鬱々しいナンパやスカウトの勧誘などが 後が絶たないので1人で外に出るのは気が向かなかったのだが、こうしてみるといい気分だ。
(たまには外に出るのも良いもんだな・・)
じっと外の風景を見ているとどこか心も軽やかになるもので気も晴れていい気分になってくる。 どうやら俺は幸せすぎてどこか欲求不満になっていたらしい、そういえばあいつが休みになればセックス以外に何も やっておらずまともな会話すらしていない。若さゆえの何とやらというが、俺もたまにはほかの事を考えるのもいいの かも知れない・・
「ま、うだうだ考えても仕方ねぇな。・・それよりも適当な店に入って腹ごしらえでもするか」
思わぬ心地よさに触れた俺はお腹が減ってきたので適当な店に入って腹ごしらえを決め込むことにする。 お金のほうはあいつと共有しているので昼飯を食べるにはそこそこの余裕がある、それにたまにはあいつと一緒に 飯を食べるよりも1人でのんびりと食事を食べるのもまた良いだろう、偶然目に付いたオープンカフェの店に入った俺は 店員に席に案内されるとそのまま飲み物とパスタを頼むとゆったりと落ち着きながらオープンカフェ特有の雰囲気を 味わっていた。 しかし女性がやたら多いオープンカフェにいてもどこか視線を感じてしまう物がある。女体化してもう数年経つが ここまで視線を感じてしまうとどうも気持ち悪くて待っている時間が苦痛になってしまう・・
先にもってきた飲み物を飲みながら携帯をいじって料理を待ち続けていたのだが、そんな時に店員が俺の席へと やってきたのだが肝心の料理は運ばれてはこずに、どこか申し訳なさそうな表情なのが印象的だった。
35 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/17(火) 23:39:15.50 ID:ixd+jHHZ0
「あ、あの・・相席の申し出があるのですが」
「・・相席だと?」
周りをよく見てみるが空いている席はたくさんあり、どう見ても相席が必要ではない状況なのだがそれなのにどうして 相席を望んでいるのだろうか? そんなことを俺は考えていたのだが、ふと視線を泳がせていると店員の後ろのほうに見知らぬ男性の姿を確認して しまう。どうやらこの男性が空席が目立つ店内にも拘らずわざわざ俺との相席を希望したその理由・・考えるだけで 下らないの一言に尽きる物だ。俺の姿を確認して馴れ馴れしく手を振っている時点で気に入らないしぶっ飛ばしたく なる。しかし、かといって一々断り続けたら切がないのも事実・・まぁ、実際のところ俺はそういっためんどくさいのが 苦手なのでちゃっちゃと形をつけるのが手っ取り早いのだ。
これからやる事を頭に叩き込むとゆっくりと席から立ち上がり相手の男性のほうへと向かっていくことにした。
「ちょっと待っててくれ。俺から返事をしてくる・・」
「あ、あの・・」
店員を跳ね除けると俺はそのまま相手のほうへと向かう。相手のほうもいきなり俺が出てきて驚きながらも元の表情に 戻るとささやかな笑みを俺に惜しげもなく見せ付けたのであるのだが・・それがかえって溜まりに溜まりきっていた 俺の怒りを噴き上げる形となり、そいつの命取りになってしまう。俺は明らかに油断しきっていたそいつのみぞおち辺り に思いっきり拳を叩きつけることにした。
これでも一応手加減はしたのだが、急所ギリギリの所でも吹っ飛んでいたので少し驚きものだ。 相手のほうは何とか立ち上がると先ほどの余裕のある笑みは消え、本性を現したのか俺にありのたけの言葉を ぶつけようとしたのだがここでも俺は相手に反論する気を与えない。
36 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/17(火) 23:41:00.15 ID:ixd+jHHZ0
「なッ! いきなり何をする――」
「うるせぇんだよ!!! 俺はてめぇ見たいな野郎と一緒にいるだけで虫唾が走るんだ!! ・・さっさとママのところでも帰りな」
「クッ・・」
苦虫を噛み潰したような顔をしながら相手のほうは俺にぐぅとも反論できずに男として最も情けない姿を俺を含めた このカフェにいる客全員に見せつけながら逃げるように立ち去っていきながら、席に戻るついでに俺は周りのほうを キッと一睨みしてから元の席へと座ることにした。
こうでもしないとまとめてああいった下らない野郎共はなかなか諦めてくれないものだ。1人ずつ片付けることも できないことはないのだが、そうしてしまうと余計にお腹も減ってしまうし何よりも歳相応に対処しなければ周りにも 言われてしまうしあいつにも少々お小言をもらうようになってしまう・・
今日も自分の対処に満足しながらも既に唖然としている店員に料理の催促を求める。
「おい、パスタはまだか?」
「は、はい――!! 今すぐお持ちいたします!!!」
店員は慌てながらすぐに厨房に消えていく・・少々やり過ぎたのかと考えてもしまうがやっぱりああいう手合いには やり過ぎがちょうどよいのだ。ようやく運ばれてきたパスタを食べながらようやく腹が満たされるのに満足してしまう。 女体化してから味覚等にも少しだけ変化が見えてきており男のときはがつがつしていたものをよく食べていたの だが、最近はスパゲッティとか細々としたものをよく食べるようになってしまっている。 昔からの卵アレルギーがあるのだがそこは改善されなかったようなのだが・・まぁそこは大丈夫だろう。
パスタを食べながら俺はのんびりと優雅とも言えるひと時を体で感じていた。
37 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/17(火) 23:42:16.72 ID:ixd+jHHZ0
「さて、腹も一杯になったしどうしようかな・・」
腹も膨れたところで俺は適当なところを散歩をしながら歩いていると慣れ親しんだ街にも意外なところに妙なものを 発見してしまうからおもしろいものだ。今の家はあいつが親に買ってもらった別荘らしくて中に入ると意外にも部屋が 小奇麗に整っていたので驚いたのだが今となってみればなんであいつがあの家を購入できたのか謎だ。 あいつの家はかなりの金持ちなのだがそれでもあいつに家を買い与えるぐらいだからかなりの物なのだろう、 まぁあそこの一家は俺よりもどこかずれている部分があるから深く考えなくてもいい気がする。
(もし俺が妊娠とかしたらどうなるんだろうな・・?)
こんな生活を送っているとよく周りとかが絶対に妊娠すると俺によく投げかけているのだが、一応そういったところは 気をつけているつもりだ。薬もきちんと飲んでいるし生理の日はなるべく控えるようにしているのだが油断してしまえば 元も子もないのでそういったところはきちんとするべきように心がけているつもりだ。 まだ結婚と言う言葉すらわからないのに子供までできてしまったら周りを巻き込んでのかなりの大騒動になるだろう。
若いお母さんもいいけど余計な苦労まではしたくないからな・・
38 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/17(火) 23:43:53.64 ID:ixd+jHHZ0
散歩を楽しみながらそこら辺をぶらりと歩いているとだんだんと都心から離れてしまい、それに伴い外の景色も だんだんと華やかなところから静けさが広がる場所へと変わってしまうのだが、そこにも独特の味わいが俺の 視界一杯に広がっていきどこか景色のほうもどこか色あせていてなんだか昔を思い出してしまいそうだ。
男のときは特に思い出という思い出はなかったのだが、それなりにプライドや意地というものは確実に根付いており 今の俺の原動力にもなっているぐらいだ。
(思えば、男のときはよくほかの中学の奴らと喧嘩ばっかしてたな・・)
喧嘩に明け暮れていた男のときの俺・・いつも1人でいて気に食わない奴はいつもブッ倒しまくっていたあの頃・・ 両親にはいつも学校から呼び出されて迷惑を掛けたと思うのだが、それにもかまわずに俺は喧嘩ばっかりしまくった ものだ。常に1人で行動をしていたので寂しくはなかったのだがよくよく考えるとそれは何かしらの反動から来て しまったのかもしれない。
俺は本当は何がしたくて行動していたのかよくわからない・・そういったわからない恐怖に屈しないためにそういった ようなことをしたのかも知れないな。だけども俺は男のときのことは嫌っちゃいないしなんら後悔すらもしていない、 それにここ最近はむしろ男のときの俺にはどこか共感する部分も増えてしまっている。 前に男のときの俺と対面した影響なのかそれとも、俺が俺であるためなのか・・全く持ってわからないものだ。
だけど・・時にはわからないままでも良いのかも知れない。
39 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/17(火) 23:44:50.83 ID:ixd+jHHZ0
「・・俺は俺の道を切り開くまでだ。それが男のときの俺の無念さを晴らすときが来るからな」
男のときの俺もそれなりに無念さはあったと思う、女体化してから俺の心はだんだんと変化を遂げていきあいつと 付き合うようになってから女性的な思考に変化していったのだと思う、だから男のときの俺は未だにその心を俺の 体内へと宿しながら未だにその思考は健在なのだろう。だから俺は今までの自分を保ちながら女体化という病を 乗り越えて言ったのだろう。
今の自分は女性の俺とそして男のときの俺とうまく共存しながらこうしてやっているのだろう男のときの俺だって 女体化してから何かしら無念を感じているのかもしれない、それらを受け継いで今の俺というのは存在するのだと 思いたい。でなければあの時の男のときの俺の記憶や存在が無意味となってしまって消滅してしまう・・ 女体化をどのように捕らえるかはそいつ次第ではあるのだが俺はいつまでも俺らしくありたいからこうやって前に 進んで生きていこうとしている、宿敵で憎みたいほどうらんでいたあいつとこうやって愛し合うなんてそう簡単には できない決断だ。だけども俺はこの選択に後悔すら感じちゃいないし未練もない、だけども男のときの俺は未だに あいつを憎んでいる節もあるから納得ができなくて俺の元へと出てきたのだろう。
俺はある意味2人分の人生を送っているのかもしれない・・
40 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/17(火) 23:45:52.66 ID:ixd+jHHZ0
「あいつと出会ったことは俺にとっては別の意味で変わったのかもしれないな」
「ほぅ・・それは是非聞かせてもらいたいな」
「・・何だよ、つけてたのか」
突如として後ろから人気を感じたのだが、心配しなくても噂をしていたあいつで俺は自然と安心してしまう。 それにどうも後ろからこそこそと俺の後をつけていたらしい。全くバカと言うか心配性と言うか・・何年たっても くだらないことをする奴だ、でもそんな奴とこうして一緒に暮らしている俺も案外変なのかもしれない。
「何時からいたんだよ。疲れて休みたかったんじゃなかったのか」
「たまたまここら辺来てたらお前を見つけてな。・・大方、気に入らない奴ぶちのめしてここまで来たんだろ」
「・・うるさい」
半分とは言わずともちょびっとは的中していたのでどこかムカついてしまうものなのだが、あいつはそんな俺の 気持ちなどお構いなしに相変わらず自分のペースを崩そうとはしない。きっと本心では俺を迎えるタイミングを 今か今かと伺っていたのだろう・・全くバカな奴だ。
41 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/17(火) 23:47:37.59 ID:ixd+jHHZ0
「そう怒るなよ。・・帰ろうぜ」
「チッ、相変わらず調子がいい野郎だ・・」
「お前だって今日は俺に断られて拗ねて家に出た癖によく言うぜ」
「う、うるせぇな!! お、俺は別に・・」
「へいへい、後でいいから帰ろうぜ」
無理矢理あいつに言いくるめられてどこか納得がいかないものもあるのだが、どこか納得してしまう俺は一体どっちの 人間なのだろうか? あいつがいて俺がいる・・そういった日々を送る中で少しずつ幸せと言うものは都合の悪い部分を 削り取ってくれるものなんだろう。 そういえば高校在学中に授業をサボって保健室で通い詰めてたときに礼子先生が言っていたことなのだが、本当の 幸せと言うのは転がり込むものではなく自分で作っていく物なんだと教えられたことがある、何事も気持ちいことばかり ではなく、辛く逃げ出したい事も含めたうえで真に相手と分かち合うのが本当の幸せを作っていくうえで大切なもの なのだと説明された。
あのときの俺は礼子先生の言葉の本質がよくわからなかったのだが、今となってはちょっぴりだけわかったような気がする・・
- だけども今は幸せの毒牙に惑わされてもいい気分になってしまう。それが人間と言う奴なのだろうか?
42 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/17(火) 23:48:28.07 ID:ixd+jHHZ0
「何考え込んでるんだよ。お前らしくもない・・」
「・・俺は今幸せ何だよな?」
「はぁ?」
「いいから答えろ!! ・・お前は俺といて幸せなのか?」
考えれば考えるだけでむしゃくしゃしてしまい、俺は自分自身の疑問をついついあいつに投げ出してしまう。 幸せの定義とかそんな下らないものなど興味はないのだがどうしても俺は今時分が幸せなのか知りたい・・ あいつにとって俺はどのように移っているのかそれに俺のことはどのように感じているのか・・?
そんな事を俺は考えていたのだが、あいつは俺の頭にポンッと手を置くとこう一言・・
「・・俺はお前と一緒にいるだけでいい。幸せなんて誰かが決めることじゃないだろ」
「何だよお前も答えられないじゃないか。・・でもお前がそう言ってくれるだけでなんだか胸がスッとしてきた」
今回だけはあいつにやりくるめられた感がしたのだが、これも一つ幸せの形だろうと感じながらそっとあいつの手を 取りながら家へと帰っていくことにした・・
―fin―
最終更新:2008年09月17日 18:47