9 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 22:53:14.91 ID:kh44AAY50
朝・・それは何年たっても変わらないその光景。女体化して早何年足っただろう? 昔は結構数えていたのだが、慣れない子育てやいろいろなことが重なってか 数えるのをやめてしまった。いつものように長年連れ添った旦那のあいつより 早く起きて全員の分の朝食の準備をする。料理を始めたころは余りおぼつかない 手つきだったが時が経つにつれ今ではかなりの料理ができるようになっていた。 継続は力なり・・まさにこのとおりだと自覚してしまう。おっと自己紹介が遅れた。
俺は・・今はただのしがない主婦で元男の相良 聖。今は旦那のあいつに従って 中野姓だが・・長年親しんだ旧姓も結構気に入っているので自分ではこう呼んでいる。
さて・・今日も1日が始まる。
「あれ~・・今日はママが作ってるんだ」
「ああ、早く起きちゃってな。もう少しでできるから待ってろ」
「は~い・・んじゃ、後で親父起こしてくる」
俺の目の前にいる娘・・俺たちの愛の結晶で俺たちが結婚する元凶でも ある中野 希だ。俺たちが高校卒業のときに同棲して大学卒業寸前と同時に 出来てしまった子供だ。周囲の反応は大反対であったのだが、俺たちは それらを突っ返して希を産んだ。あのときの選択が正しかったと思いたい。
そんな希も現在高校2年生、だんだんと昔の俺に似てきていた。 あいつも言っていたがその特徴的な長い髪と体つき・・俺にそっくりだと 言っていた。希を出産したとき、周囲の反応はというと・・もし、俺が女体化しない ままで産まれてきたらああなったと口々にみんなそう言ってきた。なんだか少し微妙な心境だ・・
10 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 22:56:31.80 ID:kh44AAY50
この世にはかつて女体化シンドノームという奇妙な病気が存在しており、 その病気は当時、1匹狼で不良街道まっしぐらの俺の人生をかなり大きく変えてしまった・・
15、16歳の男性はセックスをしていないと女体化してしまうぞ!!っというのも 病気が存在していた当時ではよく男性の中ではここ急いで女を見つけてすぐに 実践していたという。今となってはこの人生に未練などさらさらないが、俺が 女体化する前までは俺と旦那のあいつは現在で言う宿敵同士・・喧嘩しまくって もここぞというときで決着がつかず、俺は今か今かとあいつとの決着をつけたかった。
しかし、この病は憎たらしいことに時間を選んでくれるはずもなく・・なすがままに あいつとの決闘の機会を――奪った。だけど、長年世を悩ませていたその病は 希が産まれてちょっと経った後に1人の女性の手によって完全にその姿を消した。
だが・・その病がもたらす別の問題はまだ俺の心を悩ませていた。それは・・
(そういや・・希ももう高校2年生だったよな。心の整理・・つくかな?)
一通り、朝食ができたのを俺は確認すると手を休め、のんびりとテレビを見て 過ごしている希をじっと見つめていた。まだ俺たち夫婦は希に話していないことが 1つだけある。 それはこの俺の正体・・俺が元男だったということだった。これは俺たち夫婦の 取り決めで希が生まれた時に決めたものだ。当時の俺は女体化が完全に 撲滅したとの知らせを聞くと、まだ赤ん坊だった希を抱っこすると俺の心の中で 恐怖や怖さが大きく圧し掛かってきた。
そこで夫で希の父親となったあいつに相談してこう取り決めた。
12 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 22:59:11.12 ID:kh44AAY50
“希が心の整理ができる年まで女体化のことは黙っていよう・・”
当然、周囲にも協力してもらいその努力もあってか今日までに真実は厳重に 封印されている。だけど希は俺だけじゃなくあいつの血も立派に受け継いでいた ので、幼いながらも妙に勘のいいところがあった。それには俺たち夫婦もヒヤッと させられたりもしたのだが・・何とかそこらへんはうまくはぐらかせることに成功していた。
そういえば、女体化が撲滅されて俺たちはTS3代目の世代らしい。 今でも女体化と聞くとあの時感じていた恐怖や不安などを感じてしまう。
やはりこればかりは希次第なのだろうな・・
「?・・どうしたのママ、何か手伝おうか?」
「あ、ああ・・もうできてるからあいつ起こしてくれ」
「うん」
希が急ぎ足であいつの部屋へ向かうと俺はそんな希の元気な後姿を見てると、 やはり話すタイミングやらいろいろなことを考えてしまう。今までの俺なら物事は スパッと切り捨てるように一直線で進んだでいたのだが・・こればかりはとても じゃないがそんな風に考えられない。今日でもあいつと相談してみるか・・な。 でも、やっぱり・・ここまで考え込むなんて俺も歳なのか?
そうだとしたら老けたな俺も・・
13 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 23:01:12.54 ID:kh44AAY50
「トリャァァァッ!!」
「痛ェ・・俺も歳なんだし少しは手加減しろよな」
「おいおいドクオ・・根性見せろよ」
いつものとおりに買い物を済ませて道場へ向かうといつものようにドクオと試合を する。時々は内藤とも試合をしているのだが俺から言わせればどっこいどっこい ぐらいだ。まぁ、成長したのは確かなようで2人は師範代にまで上り詰めている。 でもまぁ、内藤が仕事の都合で余りこれない影響からかドクオが師範代を勤めて いる。それにしても・・よくこいつは平日なのに道場にいられるものだ、つい仕事で 悩殺されているうちの旦那と比べてしまう。
「あのなぁ・・一応俺も子持ちだぜ。カッコいいとこ見せてくれよ」
「だったら自分で努力しな。俺は負けるつもりはないからな」
そういって俺はドクオを退けるが・・やはり、歳の影響もあるのだろう。 若干ではあるが技のキレが少し悪かった。あのまま油断してしまうと負けてしまって いただろう・・
14 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 23:04:50.80 ID:kh44AAY50
俺はチラッと希の方を見るがこのまま行けば希に道場の裏師範代の名を譲るの は時間の問題だろう。希が合気道をやり始めたいと言い出したのは小学生のとき だった。
やはり小さいころからついでに連れて行っている結果だろう。 そのまま希は合気道を始めることとなった。俺が直々に指導してあらゆることを 希は吸収し続けた。その結果・・中学2年生の頃にはすでにドクオや内藤を超えていた。 この事実に2人はビビッていてかなりおもしろかったのを覚えている。 まぁ、しかし・・俺と同じように師範代の名目には興味がないようでそのままの 地位に居ついていた。ただ俺と比べて元々が女の子なのか・・勉強や料理とか 家事関係も積極的に学んでおり、たまに1人で料理も作ることもあるから驚きだ。
やはり希は俺たちのいいところの部分を見事に引き継いでいたのだと認識させられる。
「おい、もう帰るのか?」
「ああ・・これでも主婦だからな。晩飯作らないといけないんだよ」
そのまま俺は再び道着とかを元に戻すと家へと帰っていった。 しかし俺の体からは嫌に寒気みたいなのが体の芯から感じていてしかたなかった・・
15 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 23:08:10.51 ID:kh44AAY50
「え、お前今日遅いのかよ。せっかく3人分買ったのに意味ねぇじゃねぇか! ・・ッたくわかったよ。あ、今日話したいことがあるから・・うん、わかった。んじゃな」
そういって俺は受話器を元の場所に戻すと即座に台所へと向かうことにした。 突然の電話の相手は・・いうまでもなく旦那のあいつであった。どうも今日は 仕事で遅くなるらしい・・せっかく希の事について話したいことがあるってのに困ったものだ。
あいつは昔からちまちまつけていた日記を突如としてどこかへ隠しやがった。 俺や希に見つかってやめたのか・・はたまた希のために隠したのかはあいつに しかわからない謎である。まぁ、考えたって仕方ないので食事の支度に移るとす る。今日のご飯は久しぶりに少し手の込んだものにしようと思い、思い切って ハンバーグカレーにしてみた。仕込とかがいちいちめんどいので昼間にほとんど 済ませておいて正解だったようだ。冷蔵庫にあるハンバーグの種を見ると 俺はカレーを作ることにした。玉ねぎを切る中で俺はある考えが頭をよぎってきた。
「・・俺の事話したら希は何かしらショックを受けるだろうな。 いっそのことこのまま女で突き通したほうが・・いや!!そんなの俺の信念が許さない。
俺たちは家族だ。そう信じたい!!・・イテッ!指切っちゃったか」
俺は指から出た血を舐めると、血の濃度は薄いのに・・昔、喧嘩したときによく 味わった、血特有の不味い鉄の味が口一面に広がった。 俺は瞬時にある種の不安に駆られてしまったが、即座にそれを打ち消した。 今更あの時、決断した選択を不意にするなんてあいつはもとより自分に失礼だ。 希を産むときの自分の覚悟が水泡に帰してしまう・・
いつまでも口に広がり続ける鉄の味をかみ締めながら・・俺は料理を再開した。
16 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 23:10:10.02 ID:kh44AAY50
「ねぇ、ママ・・女体化って本当にあったの?」
「な、なんだよ・・いきなり」
「実際に15,16歳で童貞のままだったら女体化してしまう病気って本当にあったの?」
あいつが遅くなるため2人きりの食卓の後・・突如として娘からこう尋ねられた。 やはり、女体化がなくなって知識だけはあるもののそういった実証がない希は 不思議そうにしていた。 未だに女体化と希に関しては曖昧な回答をしていたのだが・・こう真剣に尋ねら れると、どう返答していいのか悩んでしまう。
俺は慎重に言葉を選びながら・・希にこう切り出した。
「・・あったさ。昔・・っていってもちょうど青春してた頃の話だが、あの時は 女体化による女性がいたな。俺のクラスでも結構いたもんだぞ」
「ふうん、やっぱり本当にあったのね・・ じゃあ、ママはその女体化した人とは知り合いなの?」
「いや、あの頃はあんまし人と馴れ合うのが好きじゃなかった頃だったからな。 それにしてもどうしてそんなこと俺に聞くんだ?」
もっともな俺の疑問に希は一瞬きょとんとした表情になったが、即座に その表情を消すと再び真剣な顔つきになりながらこう言ってきた。
19 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 23:13:55.20 ID:kh44AAY50
「一回、なー君の行ってそれで女体化について盛り上がったから・・ ツンさんにも聞いてみたけど余りよく答えてくれなくて・・それでママに聞いてみたの」
なー君とは内藤夫妻の1人息子で希より歳が下だ。 昔からよく遊んでいたため、いわゆる幼馴染の関係になっている。 まぁ、そんなことはさて置き・・まさかツンが答えづらいということはよほどの 質問したんだな。女体化しらないあいつらにとっては奇妙なものでつい好奇心が働いたのだろう。
そりゃツンも答えづらかったはずだ。
「女体化はそれだけ大変な病だったからな、自殺者も結構いたみたいだぞ。 まぁ、無理もないけどな。男として過ごしていたのにある日突然女になって しまうからな・・
そりゃ怖くなってしまうのも無理ないさ・・」
「そうね・・今考えると私たちの世代で治ってくれて本当によかったわ。じゃ、私寝るね」
「あ、ああ・・お休み」
希が台所から自分の部屋に向かっていくのを確認すると・・ため息をつきながら 1人あいつの帰りを待った。やっぱりいくら知識があったって経験しなきゃ 駄目だってことを嫌でも痛感してしまった。
20 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 23:17:02.84 ID:kh44AAY50
自分の体をまじまじと眺めると自分が女体化したときのことを思い出してしまう。 今までの俺は孤立無援、一匹狼のまま数々の不良たちと喧嘩をしまくった。 時にはお上にまで目を付けられたこともあった。 ただ・・歴戦の喧嘩で鍛え抜かれた肉体を見つめながら自分は世界最強なのだと 自負しまくっていた。
それ故に・・女体化してしまったときはショックで仕方なかった。
自殺・・まではいかないものの、いとも簡単に今まで鍛え抜いた体が一気に モデル顔負けのプロポーションになってしまったのがショックだった。 今まで男の中で最強を目指していた俺が手の平を返したようにこうしてかわいい 女の子になってしまったのが悔しくて仕方なかった。
自慢の象徴で最大の武器だった力も見事に吸い取られてしまった・・
だけど、俺は持ち前の負けん気でここまで上り詰めた。 それから今までいなかった友達や・・恋人、そして家族を手に入れた・・ 皮肉にも妬み嫌っていた女体化によって暗かった俺の人生は 明るい光あるものへと変わっていった。
(昔は女体化がなくなるのを強く望んでいたけど・・今は女体化が存在していたあの頃が羨ましいとはな。
こんな傲慢な考え方するなんて矛盾してるな・・俺も)
矛盾の中で1人で葛藤する中・・そんな俺を救ってくれるかのようにあいつが仕事から帰ってきた。
たまらなくなった俺は・・思い切り玄関のドアを開けた。
21 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 23:18:53.63 ID:kh44AAY50
「どうしたんだよ!!・・何か悲しいことあったのか」
「――えっ・・」
玄関から出るとあいつが思いがけない表情で俺をじっと見ていた。 俺はあいつに言われるまで自分の頬から伝わっているものに全然気が つかなかったようだ。手でそれを確認すると・・それは紛れもない俺の涙であった。
あれだけ泣かないと決めていたのに・・どうやら自然と俺の意思に反して 泣いてしまったようだ。何度も涙を拭おうとするが・・まるで決壊したダムのように 涙の勢いは止まりはしなかった。
「お前が泣くなんて・・希を産んだ以来かな?」
「からかうなッ!!!・・・・――俺、このままどうすりゃいいんだよぉぉぉ!!!」
「ま、とりあえず・・ただいま」
泣きながらも自然とあいつに抱きしめながら・・俺は矛盾で練り固まった葛藤から抜け出すことができた。
22 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 23:21:51.87 ID:kh44AAY50
しばらくして、あいつは用意しておいたご飯を平らげた。 俺はそれを確認してしばらく時間を置くと、そのままじっと真剣な表情となりながら あいつに希のことを切り出した。
これ以上、希に俺のことを隠し続けても無駄だということと、俺なりにではあるが 既に希自身が心の整理ができる年齢に達していることを伝えて・・ それらすべてを踏まえながら希に俺のことをきちんと話そうと相談した。
最初は黙って聞いてたあいつだったが・・俺の意見が終わると苦い顔をしながら 賛成気味ではなかった。
「お前の意見はわかった。だけど、希はまだ高校生だろう・・ 見た目は大人でも心はまだ成熟していない部分がある。ちゃんと真実を受け入れてくれるのか?」
「大丈夫だと思いたいさ・・なんだかんだ言っても希は俺たちの子だ。 もう伝えてもいい頃合だと俺は思っている。 それに、このままズルズルと後回しにしたらその分だけ希がかわいそうだ。
- だから、俺は希の母親として伝えてもいいと判断したまでだ」
俺はそのまま顔を下に俯けると、あの時・・希を産んで女体化がなくなった日の ことを思い出す。女体化が無くなってある意味俺はショックを覚えたのは覚えていた。
23 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 23:23:01.21 ID:kh44AAY50
せめて、まだ小さかった希が真実を知るまでに女体化シンドノームには存命して ほしかったと心の奥底では思い続けていたのだろう。だけど、そんな矛盾していて 女々しい考えは何よりも俺自身が許さなかった。
そして、時が経つにつれてその考えは影を潜め時代とともに風化していったの だろうと思っていた。だけど、その考えは時を越えて再び俺の心の奥底から 蘇ってきた。傲慢だけど子供のためを思った考え・・まさに矛盾していた。
再び場がシーンと静かになると・・沈黙を保っていたあいつが思いっきり俺に言い放った。
25 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 23:26:13.08 ID:kh44AAY50
「何1人でお前は思いつめてるんだ!!・・俺だって列記とした希の父親だ。 こう見えても家族全体のことは考えてある!! そうやってお前が1人で考え込むんだからうまくいかないんだよ。 お前が希の事で不安になるのはわかる。
だけどよ・・てめぇの家族ぐらいしっかりと守れなきゃ意味ねぇだろ」
「お、お前・・」
俺は凛々しいあいつの姿に思わず見惚れてしまった。 そうだ・・俺は今まで自分1人で考え込んでいたからああいった矛盾したもの ばっかになったんだ。何一つ自分の周りを見ちゃいなかった・・
そうだ・・結婚したときにこいつは互いの両親に腹を切るって公言していたんだ。 俺や希のために必死で働いて今の生活を与えてくれたんだ。 俺は自分1人で結果ばかり想像して怖くなったんだ・・ 何一つ誰にも迷惑をかけずに1人で背負い込もうとしていたんだ。
昔の悪い癖が出てしまうところだった・・
「俺だってさ・・希の親父以前にお前の夫なんだからさ。 ・・お前もそう1人で考え込むなよ」
「・・・・・・・・ありがとな」
俺は思わずあいつのほうに駆け寄り思いっきり泣いた。 今まで俺が感じていた葛藤や不安・・恐怖が涙と一緒に洗い流された瞬間だった。
27 名前: 洋菓子のプロ(広島県) 投稿日: 2007/03/16(金) 23:28:51.89 ID:kh44AAY50
そして翌朝・・俺はいつものように全員の分の朝食をつりながら覚悟を決めた。 それは横にいるあいつも一緒だ。今日は土曜日・・希に真実を話すにはちょうど いい日だ。あれから俺はあいつと一緒に考えて腹を決めた。
すべてを話したとき、希は少なからずショックを受けるだろう。
女体化という緩衝材がない現在・・希自身で乗り越えなければならない最後の 試練だ。俺は全員の朝食を作っていると今ままでの思い出が蘇ってくる。 思い出すたびに包丁を握る手が小刻みだが震えてくる・・ それと同時に男のときの自分では感じられなかった気持ちを感じてしまう。 女になって嫌に繊細な心を持っているなと感心もしてしまったりもする。 そんな気持ちが入り混じりながらも、俺は覚悟を決めたままじっと時が来るのを待っていた。
- そして、家族3人で晩御飯を食べ終えた夜。最後の晩餐のように・・・俺とあいつはは真剣な表情のまま希に伝えた。
“実はな希に黙っていたことがある。・・俺、実は男だったんだ”
fin
最終更新:2008年09月17日 18:55