『もう一人の栄光・・』

559 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 21:38:43.22 ID:9Q/eyC+p0

薄暗い・・ここは何処なんだ? 本来の俺は眠って心地よい安眠を享受しているはずだ。それに・・何処となく 気持ち悪い声も聞こえてくる、それにこの声は俺にとってかなり聞き覚えのある声だった。

女体化してから野郎とは余り関わり合いを持った覚えはない、俺の周りにいる 野郎とは全く違った声だったのだが、なんだか懐かしさも含んでいたような 感じで過去に俺とよく密接したような感じであった。

――イツカラダ・・コノ天下無敵ノ俺様ガ身モ心モ女性ニナッタノハ・・

こいつは昔の俺の声か・・

――俺ハ本当ノ女ナノカ・・?

                俺ハ一体誰ナンダ・・?

何だと・・今の俺は確かに姿形は違うが俺は俺に違いない。 正真正銘の相良 聖だ!!確かに俺は昔はとてつもなく荒んでいて・・手も つけられないぐらいの大バカ野郎だったが今は違う。それに昔のことにはもう未練はない!!

俺は女体化を機に、孤独だった俺の周りにはいつしか人が集まって心に暖かいものができてきた。

560 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 21:39:42.20 ID:9Q/eyC+p0

“ほぉ・・そいつは酷いものだ。今のお前は女の俺・・昔、男だった俺はおさらばか?”

――んなわけねぇだろ!!俺は・・過去のことなんざいちいち気にはしねぇんだよ!!!

“違うな、お前は逃げているんだ。この俺から・・過去ノ自分カラ”

違う!!俺はそんなんじゃない、俺は・・俺は・・

“なら、何故あれほど憎んでいた宿敵を認めるんだ? てめぇはやっぱ俺から逃げてるんだろ? そりゃそうだよな、男だったら お前みたいな上玉の女は放っておかないもんな”

うるせぇ!!これ以上俺の夢に出て来るな!!俺は俺だ!! 昔の俺に未練すらねぇよ・・

もう、これ以上俺に進入するのはやめてくれぇぇぇぇぇ!!!!!

          “やっぱ女になると、この俺でも未練がましくなるんだな・・”

561 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 21:41:03.83 ID:9Q/eyC+p0

「――ッ!うるせ・・・って、夢か」

慌てて目が覚めると先ほどの声はなく、いつも見慣れた部屋が 俺の脳から神経を通じて視線にダイレクトに伝わってきた。なんだか嫌な 予感がした俺は自分の体を入念に見回すとそこには相変わらずと言って いいほどの豊満になった俺の女の体だった。

妙な安心感の覚えた俺は軽く吐息をつくと、先ほどの光景を思い出していた。

(やな夢を見ちまったもんだ・・)

微かに汗ばんでいる手を見ながら、俺は先ほどの夢を嫌でも思い出していた。 あいつ・・昔の俺は今の俺が過去の自分から逃げていると断言していた。

そんなはずはない・・っときっぱりと言い切りたいところなのだが、あんなことを 言われると俺は本当に自分自身なのか疑いたくもなってしまう。

まぁ、所詮・・あんなのただの戯言だ。どうせ単なる気の迷いに過ぎないだろう・・

562 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 21:42:39.67 ID:9Q/eyC+p0

「何読んでるんだ?」

「ああ、単なる小説だ・・ これでも結構おもしろいんだぜ。主人公が女体化の他に獣化するんだぞ」

「・・くだらねぇな。 んなもんばっか読んでるから最近のお前は弱っちいんだよ!!」

呑気な休日とはよく言ったものだ。 俺たちも気がつけば高校3年生・・俺の受験勉強のための家庭教師兼彼氏が 今日も俺の住宅へと押しかけてきやがった。

全く・・人が嫌な夢見たってのに彼氏であるこいつは本当にお気楽なもんだ。 この俺はあの夢のせいで今日一日は空回りしているのに、こいつと来たら そんな俺を尻目に呑気に小説なんて読んでやがる。

そう考えると・・なんか何処となく腹の底からムカついてきた。

563 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 21:45:06.37 ID:9Q/eyC+p0

「貸せ!!どうせ、くだらないもんなんだろ」

「お前は何言ってるんだ?  この小説はオチがまた面白くてな、毎回主人公がワンパターンで彼女に噛まれるという・・」

「ほぉ、噛まれるね・・ならてめぇにはそれよりキツイものをくれてやる!!!」

「や、やめろ!!格闘技しているお前が本気で言うとしゃれにならん!!!」

ムカついた俺は拳に力をこめると、腹いせにあいつの体をボコボコにする ことにした。案の定、あいつの体は鈍っていたので面白いように俺の攻撃が決まった。 人体の急所というのは不思議なもので、どんなに体を鍛えても当たるとかなり痛いものだ。

それに逆らえるはずがなく、あいつは成すがままに俺の攻撃を喰らっていた。

だけど、流石に今の俺よりも力があるのと男女の体格の差であっさりと取り押さえられて しまった。まぁ、俺のほうも極力手加減した結果なのだがな・・

そして、ここからがお決まりのワンパターンへと近づいていく・・

564 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 21:45:57.26 ID:9Q/eyC+p0

「痛ッ!!この野郎・・人の急所をぼかすかと殴りやがって」

「鈍ってるお前が悪い・・こんな体制でどうするんだ?」

「・・決まってるだろ」

俺はそのまま体の力を抜くと身も心のあいつに委ねようとしたとき・・――突如として俺の脳からあの声が響き渡った。

“――オ前ハ俺カラ逃ゲテイルダロウ・・”

「――ッ!!」

「イテテッ!!・・一体どうしたんだ?」

気がつくと俺はあいつを突き飛ばしていた。 あいつはそんな俺の劇的な変化に戸惑いを感じながらも、いつものように 優しく見守ってくれながら俺のことを見つめてくれた。

けれど俺は何故か物知れぬ得体の恐怖を感じていた・・

565 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 21:47:39.32 ID:9Q/eyC+p0

「どうした・・」

「・・・何ぼさっとしてるんだよ、人がいい気分になっているのに止めるのか?

全く、だからお前はだらしねぇな・・」

「何だと!お前の口車に乗せられるのは不本意ではないが・・それを証明してやるよ!」

流石に頭は良くとも根が単純なのは変わらないようで・・ 明らかに俺の挑発に乗ったあいつは盛がついた犬みたいに俺に襲い掛かって きた。まぁ、こうなることは互いに予めから恋人同士のじゃれ合いということで 暗黙の了解で予想済みだったのだが・・

思わぬアクシデントですっかり予定調和が乱れてしまった。

しかしまぁ・・考えてみると俺は本当に過去の自分に未練はあるのか? 突然の女体化に戸惑って最初は何時ものように貫けるって思っていたのだが、 時間が進んでいるうちになんだかんだ言いながらも俺はすっかり女体化に 馴染んでしまった。 それ故に過去の自分を無理に押さえ込んでしまっているのかもしれない。

あいつに抱かれながら俺の意識はゆっくりと睡魔の彼方に消えてしまった・・

566 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 21:49:23.89 ID:9Q/eyC+p0

“よぉ、俺・・とっても女だけどな”

その声はあの時夢に出てきた男のときの自分。 今度は俺の目の前にその姿を現しやがった・・改めて男のときの姿を見ると 何だかかなり大きくてかなりごつい体格だったことが思い浮かぶ。

でも、周りの奴らと喧嘩したときにはこの体が役に立ったんだよな。 溢れんばかりの力と何者を寄せ付けないほどの風格・・それを見てほかの奴らは かっての俺の事をこう呼んだ。

――血に飢えた狂犬

決して誰ともつるもうともせずに、1人で数十人の野郎共を相手にしながら 日夜バカみたいに喧嘩に明け暮れていた。人を力でねじ伏せながらその上に 立って自分のもつありったけの力を驕る・・ その中に快楽を見つけ出し、また喧嘩に明け暮れる・・そんな日常の繰り返し だった。

時には人も殺しているという噂も立てられていたのだが・・喧嘩はするけど、 人の道には決して外れてはいなかった。

そして・・喧嘩を繰り返すうちに俺はあいつに出会った。

568 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 22:05:45.60 ID:9Q/eyC+p0

“ちょっとは昔のことを思い出したようだな・・”

「・・何だよ。言って置くが俺はな!!過去のことは胸の奥底にしまっておくんだよ」

“やれやれ・・ちょっとは期待したんだがやっぱり俺だな。お前、過去の事から眼を背いているだろ?”

    • 今回ばかりは反論できなかった。 女体化してから男の頃の時があやふやとしか思い出せなくなってきた。 血の気が溢れるほど熱く、相手を徹底的に叩きのめしたあの感覚・・思い出せなくも ないが、もう二度と味わうこともないだろう。

だけど俺は女体化してそれに代わるものを手に入れられたような気もしてしまう。

569 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 22:07:20.27 ID:9Q/eyC+p0

“・・違うな!お前が勝手に解釈しているだけだ。 昔を思い出せ、今のようにダチがいたのか? 今の奴らだって怪しいものさ。 お前は今もどこかで過去から目を瞑っているんだろう・・

それに、そう簡単に昔から敵対していた奴と結ばれるものか”

「うるせぇよ・・確かに、あいつには憎しみや恨みに近い感情を抱いていたけどな・・

俺は・・俺はな、あいつが好きだったんだよ!!!!」

俺のあいつへこめた決死の想い・・確かにあいつとの今までの宿命は切っても 切れないものが確かにある。一時期は何度もつけられない決着にイライラしながら あいつに殺意に近い感情さえも沸いていたほどだ。

だけど・・あいつが好きじゃなきゃ、そういったわけのわからない感情を吹っ切れる はずがない。女体化してからあいつの存在は俺の中でかなり大きなものへと変化していったわけだ・・

そんな俺の姿を見たもう一人の俺は明らかに嘲笑しながら俺を見下すように見つめていた・・

570 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 22:08:36.86 ID:9Q/eyC+p0

“そう簡単なもんじゃない、お前はまだあいつとの因縁にこだわっているはずだ。 でなきゃ、こうして過去の俺と会話できるはずがない!!

      • いい加減、気がついたらどうだ? 女になってもお前はこうして俺から逃げようとしているんだ”

「クッ・・違う!!俺は・・――俺はッ!!!」

“今日は納得のいく事を言ってくれると思っていたんだけどな。所詮は女体化しても俺は俺か・・”

「・・なめるなッ!!! それより、てめぇこそどうなんだよ・・散々俺のことをコケ下ろしながら 何一つ肝心なことは黙ったままで全然答えてないじゃねぇか!!

散々能書きたれておいて今更だんまりで答えられねぇとは言わせねぇぞ!!」

形勢逆転を図った俺はもう一人の俺に問い詰めることにした。 自分相手に言うのもなんだが、散々俺のことを責めておいて自分だけ何一つ肝心 なことを答えようとはしないその態度に虫唾に近いものが走った。

しかし俺の予想とは裏腹に、もう一人の俺はきっぱりとこう答えた。

572 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 22:10:39.38 ID:9Q/eyC+p0

“俺はな、お前が女体化してからも今までお前の心の奥底で ずっとお前の行動を見ていたのさ・・

そしたら何だ、簡単に昔の敵とくっつきやがって・・そんな俺の姿を見ていると腹が立つんだよ!!!”

「それは俺があいつのことを・・」

“あいつのことが好きって言うんだろ・・そんなくだらな言い訳何ざどうだっていいんだよ!!

今でも昔のことを引きずっているってのにあんなに簡単にあいつを受け入れ やがって――ッ!!

    • それが俺には一番気に食わないんだよ!!”

もう一人の俺の威厳に再び俺は押し黙ってしまった。 こいつは俺が昔の・・未だに変わらない男の心が生み出したものだとはわかっては いたのだが、今の俺には反論がうまく見つからなかった。

今ここで目の前にいるもう一人の俺を納得させなければ自分自身の気持ちに 決着をつけられない・・いや自分だけじゃない、あいつの思いに対する気持ちにも 踏ん切りをつけないと一生ズルズルとしたままこの気持ちを抱えてしまうだろう。

ここは・・今の俺にある思いのたけすべてをもう一人の俺にぶつけよう。

574 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 22:17:32.56 ID:9Q/eyC+p0

「俺は・・確かに最初は今まで見たいに何とかなるだろうって思っていたさ。 男のときからつけ切れなかったあいつとの決着をつけたかった・・ だけどな、いざ女になって力を無くした代わりに合気道を極めたってあいつとの 決着はなんだかついた気がしなかったんだよ!!!

そうするとな・・なんだかわからないけどあいつの印象が徐々に別のものに変わってしまうんだ・・」

“フン、それがどうしたって言うんだ!!  てめぇが俺ならあいつとのしがらみを忘れたわけではあるまい”

「そうなんだけどよ・・お前だって俺の心の奥底にいるならわかってるんだろ?  あの野郎は・・俺の知らないうちに俺の中に入ってきやがったんだよ。

それで気がついたらあいつのことが頭から離れなくなって・・男のときにつけようと 思っていた念願の決着のことが徐々に薄まってきた・・」

575 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 22:17:58.14 ID:9Q/eyC+p0

“さっきから下らないことを垂れやがって・・女になってから軟弱になったか!!”

「・・・ヘマしてあいつに助けられたとき・・俺と同じ思いでいるはずの あいつがこの女の俺のことを好きだって言ってくれたんだ! 俺と同じぐらいに 敵対していたあの殺戮の天使がだぞ!! その時のあいつの顔は・・なんだか格好良くて、見たときに胸が熱くなったんだ。

だから・・だから俺は――ッ!!あいつのその顔がもっと見たくてあいつが好きになったんだよ!!!!」

俺はもう一人の俺にありったけの今の思いのたけのすべてをぶつけた。 すると、今度はもう一人の俺が押し黙る番で、さっきの俺のようにじっとしながら考えているようだった。

一方の俺はもう一人の自分にすべてをぶつけると不思議と胸がスッとしてしまい、力が抜けて その場に倒れこんでしまった。

576 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 22:21:47.69 ID:9Q/eyC+p0

これ以上俺がもう一人の自分にほかに言うことなどはない。 あいつに対する想い・・そして自分自身の気持ちをもう一人の俺にできる限りうまく 伝えられたと思ってる。 俺は・・もう一人のあいつの言うように女体化してからあいつと付き合って時が経つ につれて昔の自分の過去から目を背けていたのかもしれない。

その証拠に昔の自分を振り返るときに少し抵抗感が沸いてきたのもまた事実だ。 やっぱり女になってから男のときとは違って考え方も変わっているのかもしれないな・・

そんなことを考えていると、突然もう一人の俺が口を開いた。

“フン・・まぁ、単純な俺らしい理由かも知れんな”

「バカにしやがって・・てめぇだって同じだろう!!」

“だから俺らしいって言ったんだよ・・それにもう俺はこうしてお前の心の中でしか 喋れない存在になったんだ。 女体化でお前が徐々に女の心に染まっていくうちに俺は徐々に飲み込まれて 消えてゆく・・そんな存在だ。 今はまだこうしてお前が男のときの思い出を持ち続けてくれているからこうやって お前と喋れるが、数年したらどうなるだろうな・・”

「・・・なんだと」

“だから、こうしてお前に聞いておきたかったんだ。 なぜ俺の最大の宿敵である殺戮の天使といられるのか・・ってな”

577 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 22:27:19.46 ID:9Q/eyC+p0

なんだかかなり奇妙だった。だけど、確かに男の俺としては納得のいかなものが あるのだろう・・ そりゃそうだ、最大の宿敵で忌々しい相手でもあるあいつと付き合うなんてそう 簡単に納得できるはずもない。むしろ、今まで培った自分の存在意義さえも疑ってしまうものだ。

あいつと付き合って・・最初はよくこんな奴と付き合える自分が不思議で 仕方なかったのだが、今はこうして恋人としてあいつと付き合っている馴染んでしまっている。

ずっと俺の心の奥底で見ていた過去の自分からすれば到底、納得のいくものではないだろうな・・

“・・前にお前が始めてあいつに抱かれたとき、あいつと話したときにも 似たようなことを言っていたな。まぁ、ようやく俺もあいつとの決着もつけられたような気がするぜ”

「また・・話してくれるのか?」

“そこはお前次第だ。お前が男のときの思い出をもってくれている限り、俺は存在できるさ・・

おっと、もう時間か・・じゃあな女の俺、また奥底で眠っているぜ”

「――お、おい!!!まだ話は・・」

“もう二度と存在できない俺の分まで・・幸せにな。女の俺・・”

徐々に景色が歪んでいく中・・俺は消え去ってゆくもう一人の自分を黙って見つめていた。 もう一人の俺は・・何だか少し寂しさを入り混じりさせながら、満足したような表情で 俺を見つめながら俺の前から消え去った・・

579 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 22:38:03.18 ID:9Q/eyC+p0

「・・・・・・・お目覚めか?」

「ハッ!!ここは・・? そうか寝ちまったのか」

「全く、とんだお姫様だな・・」

目が覚めると、再び俺の意識は現実に戻り場所もあの息苦しくて薄暗かった 空間から元の俺の部屋へと戻ったようだ。ベッドの横にあいつがいたのと互いに 裸だったことから、俺たちはそのまま眠ってしまったらしい。

「なんだか魘されてたみたいだな。嫌な夢でも見たのか?」

「・・なわけねぇだろ。 それよりもお前は最近は弱いな、それだとあの小説みたいに 噛まれるほうの男になってしまうぞ」

俺はあいつが読んでいた小説の内容をうっすらと思い出すと今のあいつの状況を 例えてやった。あの小説は俺もチラッと見たが、女のほうが強くて男のほうが弱い・・ まさに今の俺たちの状況と少し似ていたような気がしていた。

確かに横にいるあいつは昔と比べると少し弱くなったような感じがするが、今でも そこら辺の野郎どもと比べても圧倒的に格が違う。

本当にこいつが弱くなったらあの小説の女みたいに噛んでみるのもいいのかもしれない。

580 名前: 自衛官(広島県) 投稿日: 2007/04/17(火) 22:38:54.42 ID:9Q/eyC+p0

「勝手に小説と引き合いに出すな!!・・それにな、あれはそういった風に 見るもんじゃねぇんだよ」

「うるせぇな!!俺は元から小説は苦手なんだよ・・それに男は常に強くなきゃな」

「お前の持論はよくわからんところがあるな・・」

そんなことを会話にしながらあいつとじゃれ合っていると、ふと疑問が思い浮かぶ。 なぜもう一人の俺はこの時期に突然出てきたのだろうか・・? もう一人の俺は今もこうして俺を通して今の俺の様子を見ているだろう。

もしかしたらあいつは女体化した俺に問いたかったのかもしれない。 今の俺はこの生活に満足しているのか? あいつとの決着を本当につけているのか・・

もう1人の俺はそれが聞きたかったのかもしれない・・

―fin―


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最終更新:2008年09月17日 18:56
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