377 名前:
◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 21:12:16.80 ID:H3G8R33T0?
魔法少女になりたい・・それは女の子なら誰でも持つ幼心が生み出したほんの些細な夢物語に過ぎない だろう。しかしそんな考えも時が経てば次第に薄れてゆくものであって現実と言う荒波にかき消されて ゆくだろう。いつまでも人間いつかは大人にならなきゃいけない、一生子供ではいられないのだ・・
「で・・私にこれを書けと?」
「仕方ないだろ。向こうは希ちゃんを指定してるんだから・・でもこれが成功すればしばらくは休暇を取れるよ」
「それはそうだけど、小説を螺旋されるのはわかるわ。でも流石にこれはちょっとね・・」
時代は過ぎて・・魔法少女に憧れていた子供時代を送った私は子供時代から培った純粋さを犠牲に様々な 考えを成熟させた大人への階段を突き進もうとしていた・・ 私の名前は中野 希・・旧姓なのはちょっとした癖だ。世間では私のことをちょっと美人な小説家として 名を通している。親父の遺品であった日記を私なりに再編集して出版化した作品、中野 翔の日記が大ヒットと なって世間は30年ぶりに空前の女体化小説ブームになっている、私のほうにも印税が多額に入ってきており 何とか小説家として食べられるぐらいの余裕ができてきた。
378 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 21:13:56.17 ID:H3G8R33T0?
小説も元となったオリジナルの親父直筆の日記はママに返した。しかし、膨れ上がるブームの前に私には 停滞など許されない・・親父の日記の影響で出版社からは連載の掛け持ちが数社にも及んでもう大変だ。 子供を妊娠している時にも暇さえあれば小説を書いていたぐらいなので、一時期は亭主に止められた ものだ。当時在学していた大学のほうは周りの尽力もあってか何とか卒業することができた・・あの時は 本当に自分の頭脳の限界が見えてきてしまったな・・ 激動ともいえる妊娠兼学生生活を送ってた私ではあるが、今では亭主と子供たち一緒に小説を書きながら 慎ましくも充実した生活を手に暮らしている。そんな矢先、所属している出版社の関連会社から とある仕事の依頼をされた。
それは・・
「いくら私でも小説と脚本の違いはわかります! それにこの忙しい時期にアニメの脚本なんて・・」
「向こうの会社はうちのお得意さんだからね。 それに女体化小説の分野で一躍有名になった希ちゃんならヒット間違いなし」
「・・私は基本的に掛け持ちはしないほうなんです。 まだそこまでの技量に達していないし・・それになりよりも今、あなたの出版社に連載している 作品の質が悪くなるわよ。そうなっちゃったら毎回楽しんで呼んでくれている読者の人たちを裏切ることになるわ!!」
私は担当者のプギャーさんにきっぱりと言いながら机においてあったコーヒーを一気飲みした。 担当しているプギャーさんはどこか腑抜けた感じはするものの、私がこの業界に入ったときから支えてくれたので 何ともお世話になっている存在だ。私の実力もこの人に認められたからこそ徐々にその才能が出ているのだと思う・・
379 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 21:15:57.05 ID:H3G8R33T0?
「でもいくらプギャーさんが私の才能を知っているからって脚本は書いたことないのは知っているでしょう?」
「大丈夫大丈夫、希ちゃんならパパッとできるよ。第一この業界に入ってきた時だって 人より少しうまい程度でほとんどは素人同然だったじゃない?」
「確かにあの頃よりはましになっていますけど、今だって変わりないですよ・・」
昔、初めて私が作品を書いたときそれを見て担当に買って出てくれたのが今のプギャーさんであった。 その時のプギャーさんは私の作品をじっと読みながらビシッと指を立てて成功間違いなしといってくれた人だ・・ それにお兄さんが玩具関連の会社に就職しているので案外それが動いてるのかもしれない。
そんな新たに依頼された仕事・・それは今季製作予定の新たなアニメ・・「魔法少女 リリカルお芋」の脚本を 依頼されてしまった。まさかアニメの脚本の仕事を依頼されるなんて思ってもみなかったのだが、どうもこの アニメは女体化と魔法少女を主体としたような話で私の作品の影響である女体化が再び巻き上がることを 利用してのものであったのだが、しかし最近はこうも出版社側がマスコミやあらゆる市場を利用して売れっ子 として私を盛り上げるのには疑問を覚えてしまう。
私は確かに自分の作品を読んでくれている人に喜んでもらいたいと言う気持ちで小説家になったのだが、 それを必要以上に称えられてしまうのには余り快いものではない。私も自分の作品をよく見ているつもりなの だが、一緒に所属している人たちの作品と比べるとまだまだで分の所々には汚い部分や添削必要な部分が が多々ある。
私はまだまだ未熟で修練の時なのだが・・現実はそれすらも許してくれないのだろうか?
380 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 21:18:03.37 ID:H3G8R33T0?
「・・とりあえずこちらのほうで検討はしてみます」
「じゃあ、とりあえず必要な資料は置いておくね。今回はできるだけ返事は早めに頼むよ」
少し急かすように言いながらプギャーさんは題材となるアニメの企画書をポンッと置くと そのまま足早と帰ってしまった。やはり今回はお兄さん関連で動いているのだろう、アニメがヒットすれば 瞬く間に利益を上げれるのは玩具屋だ。アニメさえヒットすれば制作費など瞬く間に回収できるだろう・・
それにこのままグダグダに仕事をやっているようだったらいっそのこと書くのをやめるのもいいかもしれない・・
「アニメ・・ねぇ」
「・・やぁ、終わった?」
「ええ、仕事押し付けられてポンッとね」
出版社の人が帰ると今度は私の書斎に入れ替わって2歳児になった我がを子抱っこした亭主が部屋に 入ってきた。騒動の源で学生生活の果てに産まれてきた子供は可愛らしい真ん丸とした男の子でどこか 親父の面影を薄っすらと残していた。 援助は一切しないと言い張っていたママも初孫をじっと見ると・・死んだ親父を思い出していたのか その力強い瞳からは薄っすらと涙が含まれていた。
亭主のほうは私の収入で安穏と主夫をやっており・・ではなく、ちゃんとまじめに就職して堅気のサラリーマン として私たちの生活を支えている。こっちもちゃんと高校卒業後、ちゃっかりと会社員へとなったのだから すごいものだ。私よりも立派な人だから亭主になっているのだろう・・
普通なら私の職業など受け入れ辛いものなのだが、主に父親から受け継いだ持ち前の包容力で 私の職場を認めてくれている。亭主は出版社との打ち合わせを終えた私を見ると手温かく迎えてくれた・・
381 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 21:18:56.75 ID:H3G8R33T0?
「へぇ・・脚本の仕事ね。やるの?」
「まさか・・私は掛け持ちできるほどプロじゃないわよ。それに脚本なんてプロットの書き方すら違うわよ・・」
小説と脚本では書き方は全然違うものだ、小説は一からすべて作り上げるのに対して脚本は主に演劇指導を 強調して書かないといけないから扱いが難しい。それにようやく小説で食べていけれるようになった私にアニメの 脚本なんて土台無理な話・・畑違いにもいいところだ。
小説に関してもまだまだ未熟なのに未知の領域である脚本なんて書いたら・・批判ばかりが来るものだろう。 それにまだ書き足りない作品もあるし今書いている作品もようやく話の機動が載り始めたのだ。
「まぁ、適任者と相談してから決めるわ。今決めたって何も始まらないわけだしね・・」
「仕事もいいけど、ほどほどにしたほうがいいんじゃない」
「・・そうね」
亭主の言うことはもっともなので今回はじっくりと考えることにしてみた。
382 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 21:20:34.17 ID:H3G8R33T0?
打ち合わせから3日後・・次の打ち合わせが控えてるのに考えが煮え切らないまま、私は子供を連れて 車で実家へと帰ってみることにした。やはりなんだかんだ言っても自分が生まれすごしていた家というのは どこか落ち着くものであって自然と安らぎみたいなのを感じてしまう。
やはりいつまで経っても親子は親子なんだなぁっと思うと心なしかうれしく思ってしまうな・・
「ただいま・・」
「・・お帰り」
重たくなった子供を抱っこしながら実家に帰るといつものようにママは私を出迎えてくれる。 やっぱりここだけ全く変わらない、いつまで経っても変わらない日常を私は懐かしく感じながらもどこか嬉しさを 隠し切れないようで自然と子供片手にかつて過ごした我が家をじっと見つめていた。
「さて、親父にも挨拶しなきゃね・・それまでおばあちゃんと遊んでなさい」
「うん!」
私は子供を離してやると、はしゃぎ盛りに差し掛かったこの子は家中を駆け巡りながらその幼い心を全快にして 走りまくっていた。その間に私は唯一家の中で変わってしまったこの場所・・親父の仏壇にそっと手を合わせると 子供のときのことを思い出していた。
どうも子供のときの私はとても活発でよく親父やママと一緒に外へ出ることが比較的に多くてよく遊んだもので、 今でも色濃く残っている。それから時が経って妊娠が発覚したときの話し合いは今でも忘れられない思い出だ。
あの時の2人の表情はまさに真剣な表情のまま私たち夫婦を見つめていたものだ・・
384 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 21:22:10.19 ID:H3G8R33T0?
「・・何してるんだ。ちゃんと自分の子供の面倒ぐらい見てろ」
「ごめん、ちょっと昔の事思い出しちゃった」
実家に帰ってきたとき、親父の仏壇に手を合わせると自然と生前の思い出が色濃く残っていて今でも 思い出してしまう。親父は死んでから産まれてきたこの子についてはどう思っているのであろうか?
昔、この世には女体化シンドノームという病気が世界規模で流行っており特効薬の開発が遅れれば 後数年したら人間と言う種は壊滅的な打撃を受けていたのかもしれないのだと言う。こうして女体化せずに 男性が性交関係なしに男性のままでいられるのが女体化が起きる前の本来の人間のあり方だと言う。 女体化を引き起こすのは自然上は絶対に有り得ないことだったのだ・・いまだに特効薬と言う存在が 開発されても何がどのように女体化へと引き起こされたのかは全く持って謎に包まれている。
TS世代とは女体化を経験した世代でうちのママはその3代目に当たるらしい、私が生まれた頃には すでに女体化の存在が無くなっていた為、ママから真実を明かされた時はショックを受けたものだ。
「昔の思い出に浸るのもいいけどな、ちゃんと母親業はやっておけ」
「・・自分だっておばあちゃんやってるじゃない」
「うるせぇ!! 俺はまだババァと呼ばれるほど歳は食ってねぇ!!!」
親父が死んでからいつもの覇気がなくなりつつあったママだが最近は序所に昔のように元気を取り戻しつつ あるようだ。もう50の大台へと上り詰めているママではあるが同性の私から見てもその容姿は普通に 30ぐらいに見えてしまうから不思議なものでとても50代の孫持ちの女性とは思えない。
女体化シンドノームにかかった女性は細胞の変換の影響で例外なく若く保てるようなのだが・・ママの場合は 明らかにその限界を超えている。
385 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 21:23:32.25 ID:H3G8R33T0?
「ともかく、俺はこれでもご近所からは歳の割にはまだ若いって評判なんだよ。 案外これがあいつが残してくれた遺産なのかもしれないな・・」
「ばぁちゃん・・ばぁちゃん」
「だから俺は・・まだ、ババァじゃねぇ!」
年甲斐もなくまだ親戚関係すらわからない孫に自分の存在を誇示させるのはなんともママらしい・・ そういえば昔、ママが授業参観に来たときはほかの友達からよく羨ましがられたもので高校になると ほかのお母さんたちよりも人一倍若くてよく影では注目の的になったぐらいだ。
孫の存在が親父を失ったママに生きる気力を与えているのだろう。
「そういや、仕事はまじめにしてるのか?」
「うん・・ちょっとね」
孫をあやしながらママは私に仕事の話を切り出してきた。そういえば思い出に浸っているばかりで まだ脚本を引き受けようかと言う返事を考えていなかったのだ・・
脚本なんて小説とは全く書き方も異なるしどのようにしていったらいいのかすらもわからない・・恐怖と不安で一杯だ。
386 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 21:25:29.54 ID:H3G8R33T0?
「・・実は脚本を書いてくれって依頼されてるんだけどね、私脚本なんて書いたことないし それに今書いている小説と掛け持ちするなんてとてもできないし」
「端から諦めてどうするんだよ。お前はなんの為にこの仕事をしてるんだ? 家族の生活を養うためか? そんなんだったら今の亭主にすべてを任してしまえ」
「そ、それは・・」
「俺は小説家なんて職業はよくわからねぇけどな、お前は誰のためでもない自分の為に 書き続けてるんだろ・・だったら目先の失敗なんか恐れるんじゃねぇ!
お前は俺が産んだ立派な娘だ、俺の子なら・・いつでも全力勝負をしろ!!」
ママの言っていることはよくわからなかったけど、筋はきちんと通っていた。 そういえばいつから自分は小説を書き始めたのだろうか? なり崩して気にはあるけど毎回私の作品に 批評を送ってくれるのは大変嬉しかったしそれが否定的なものでも具体的にきちんと書いてあって 自分への反省材料へとなったからその分延びることができた。
だけど今の私はどうだろうか? ちゃんと批評はされているけど最近は否定的なコメントが少なくて 思い悩んでいたのだが・・創りたいから創っているんだと改めて理解した。
397 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 22:04:51.43 ID:H3G8R33T0?
「何だ?」
「私やってみるよ・・脚本書いてみる!」
「そうか・・」
この時から私の挑戦は始まった・・ 自然と私には葛藤や不安の類などはすべて吹き飛んでいた。ママの言うことはいつでも筋が通っていて 妙に納得してしまう。だから私は子供を連れてついついこうやって実家に帰ってしまうのだろうな・・
「おい、アニメ関連ならドクオに聞いたほうがいいだろう。あいつらは夫婦揃ってあれだからな・・」
「確かにドクオさんは子供の頃からあれだったわね・・帰りに聞いてみようかしら」
「聞くのもいいけど覚えておくものは覚えておけよ」
「はいはい・・おばあちゃん」
「だから俺はまだババァじゃ――・・まぁいい、頑張れよ」
親父を失ったママの瞳を見るとやはり親父の存在は偉大だったんだなぁっと思ってしまうのであった。
398 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 22:07:08.17 ID:H3G8R33T0?
アニメの脚本を製作するに当たって、私はまずその筋の専門者の意見を聞くことにした。 私の身近でアニメのすこぶる詳しい人・・確かにいた、それも子供の頃からすごく身近でよく義父さんと一緒に ママにからかわれた人だった。
「それで俺だと・・まぁ、最近のはちょくちょく見てるが」
「ドクオおじさんはそういったのが詳しいって昔からママたちに聞かされてたし、それに見る側から 意見を聞くのも大切なことだしね」
「・・相良は俺のことを娘に何話してたんだよ」
目の前にいるドクオおじさんはママたちよりも遅く結婚していたので子供も私たちよりもかなり年下だ。 確か、ようやく大学を卒業できた頃だったかな? それにドクオさんは聞けばかなりのアニメオタクのようでそういった知識もかなりあると昔ママたちから聞かされていた。 合気道では中学生の頃、しつこく未練がましく言い寄ってくる男たちを一掃するのにかなり重宝している。今でも 運動を名目にやっているが・・今でも周りからは相良の再来とかママ関連でいろいろ言われてるのでママはそれだけ 強かったのだろうと考えてしまう。現にママ直伝で教えてもらったものばかりなのだがそんなママにも一度だけ 勝ったことがある、確かその頃は高校卒業間近の歳でようやく勝てたって感じがしてかなり嬉しかった。
そんなドクオさんではあるが、こう見えても合気道の道場主でママほどではないが義父さんと一緒でかなりの実力を 誇るらしい・・しかし、私が中学生の頃すんなりと2人共々越えてしまったのでそれ以来ママから受け継いだ 裏師範代なるものに勝手に任命されてしまった。 そんな古き良き道場であるのだが、創業主であるおじいさんがこの世から去ってしまった時にドクオさんの会社が ちょうど新しいスポーツジムみたいなのを経営したがっていて合気道を元になにやら万人向けなスポーツジムを 経営し始めている、しかも意外と好評なようだ。
399 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 22:09:22.96 ID:H3G8R33T0?
「まぁ、そんなことはさて置きこれよりアニメについて説明をしよう。 アニメとは本来、原作に忠実に作らなければならない、特にスタッフの連携は重要だ。
それで作画とかは・・」
「おじさん、何もそんなことじゃなくて私が知りたいのは具体的な脚本の立て方とアニメのしくみだけで・・」
「いや、そのアニメの脚本を学ぶためにもこうして一からわからなきゃならんのだよ。まずは・・」
この後、延べ数時間にも渡るアニメへの講習と脚本の具体的な書き方の講座が繰り広げられた。 さらにもっと運の悪いことに途中で奥さんのほうも加わってしまって講習はさらにヒートアップを見せてしまい 私は事一日でアニメの具体的な制作の流れや具体的な作り方を学ばされることとなった。 でも流石にこの夫婦はアニメのことに関しては人一倍詳しく、とにかく見るほうの視点でより多く私にアニメの 何たるかを語ってくれた。
講義が終わった後、最後にドクオおじさんはこう言ってくれた。
400 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 22:12:57.67 ID:H3G8R33T0?
「さて、俺の講義はここでお終いだが・・最後に希ちゃんは脚本とはいえどんなアニメを目指すんだ?」
「・・今はわからないけどとびっきりおもしろいアニメを作って見せるわ。まだ駆け出しの素人同然だけどね」
「そうか、まぁ・・希ちゃんは他ならぬあいつらの娘だからな。何がどでかいことをしてくれそうな気がするよ」
そういえば・・学生時代の親父やママはとてつもなく個性が強すぎる人間でかなり名前が通っていたらしい。 男のときのママのことは親父にしかわからないが女になっていたときからも女体化による後ろめたさなど全く感じずに むしろ明るく前向きに言っていることは無理にでも押し通す今と全く変わらない女性だったらしい。
親父は主にママの抑え役になっていたものだった・・
これでドクオおじさんの講義は終わった。私は子供を連れて家に帰ると早速もらった資料を見ながら物語の プロットを書き始めた。帰りに本屋で脚本の書き方を指南している本を見ながら小説とは違う感じだけどだんだんと 書き方みたいなのがわかってきた気がする。
案外、私はこういった物語を書いていくのが好きなのかもしれない、元々はお遊びで書いていたのが始まりだが 気がつけばいっぱしの小説家となっているのだから世の中は不思議なものだ。あのときの私は今の私の環境を見たら どう思ってしまうのだろう?
やっぱ大学在学中に子供を生んでいるのだから驚くだろうな・・
401 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 22:14:53.64 ID:H3G8R33T0?
2回目の打ち合わせのとき、プギャーさんと一緒にとある人物が家へと入ってきた。 私はプロットのついでに書いた小説の原稿を渡しながらいつものように担当の人たちを出迎えると 隣にいた男の人について聞いてみることにした。
「あのこの人は・・」
「ああ、この人はアニメ脚本では名の知れているシャッキーンさんだよ。 あれからよく考えたけど希ちゃんは確かに脚本は未知の領域だからね、だから専門の人に教わったほうが いいと思って・・」
「僕も噂の小説家に会えるなんてうれしいよ。昔に起きた女体化を扱いながらもちゃんと 現代を通して矛盾なく表現している君の作品はよく脚本の参考にもさせてもらっているよ。 それに、あなたの小説は全部読ませてもらってます。あ、原稿を読ませてもらうよ」
プギャーさんによるとシャッキーンと呼ばれた男の人は何でもアニメ業界でもかなり名の通った存在らしく 多数のアニメの脚本を書いているようで今でも放送中のアニメの脚本を書いているらしい。そんな人が忙しい中 わざわざ私のために脚本の書き方を教えてもらえるなんて少し光栄だ。 シャッキーンさんは原稿を読み終えると絶賛の声を上げながら私の作品の感想を早速述べてくれた。
402 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/06/02(土) 22:16:16.75 ID:H3G8R33T0?
「ちょっと文に荒々しいところがあるけど想像力ともに申し分ない。 君ならきっといいアニメの脚本が出来上がるよ」
「そ、そうですか・・ では脚本については・・?」
「うん、僕でよかったら教えてあげるよ。頼まれたときはどんなもの書くのかって思ってたけど こんなにいい作品を書くなら僕としても教え甲斐はあるよ」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
シャッキーンさんと握手をしながら私の小説家と脚本家との2足の草鞋生活は再び幕を開けようとしていた。 これに子育てが複合すると寝る間もなく膨大な生活が予想されると思うが、人間というのはどのような環境でも 意地になれば適応する能力を持ち合わせている。
前途多難な日々が続くがこれも何かのめぐり合わせ・・もしかしたら私が作るアニメを何も知らずに自分の子供が 純粋に見てるのもおもしろい。
“魔法少女 リリカルお芋~ 今日も始まるよ!!”
―fin―
最終更新:2008年09月17日 19:04