『礼子先生』(3)

375 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/18(土) 20:57:42.04 ID:R3tChjWT0

あれから一週間がさらに経ち、体のほうは全快に回復した。未だに右腕はキプスをしているが、まぁそこはテクでカバーしよう。私は約数週間ぶりに再会した 相棒はたいした損傷もなく快調に動いていた。外にはあいつとジジィが一応出迎えにはきてくれた。

「んじゃ、世話になったな」

「・・行っちゃうんですか?」

「ああ、元通りに体も動けるようだし・・それに、さっさと外に出たいしよ」

彼はどことなく寂しそうだったが、そんなことは関係なく私は体を動かしていた。それに、禁煙の環境時に置かれたので早いところ家に戻って 一服をしたかった。私は相棒に乗り込むと彼の横にいたジジィがただ一言・・

「体のほうだが折れている右腕以外は快調そのものじゃよ。しかし余り無理はするなよ・・」

「るせぁな・・ま、こんなところに長居は無用だ。じゃあな」

そういって私は相棒に乗り込み、この場を颯爽と走り去った。なんか引っ掛かったが気にしないことにした。早いところ、私は一服をしたかったので猛スピードで相棒を飛ばしていった。 それにしても・・あのときの彼はどことなく寂しげな表情であった。

    • しかし、数日の間に私の心境や身の回りは大きな変化を遂げていた

378 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/18(土) 21:35:31.75 ID:R3tChjWT0

「さて、日誌もつけたし一服しますか」

保健室の日誌をつけ終わった私は懐からいつものタバコの箱からタバコを1本を取り出しライターに火をつけた。この一服があるから 仕事が続けられるものだ、校内が前面禁煙だろうと知ったこっちゃない。私はそのまま保健室で一服していると携帯に連絡が入った。連絡先は非通知であった。 私にかかってくる非通知の電話・・それは友人のものであった。友人は外国のとある研究室で働いている私の長年の女性だった。その名は・・木村 徹子。女体化シンドノーム撲滅の 国際医療チームの責任者であった。私は携帯に出ると第一声は相も変わらずハイテンションな声であった。

「よぉ、冷夏!!学校の先生は楽しいか?」

「ええまぁ、ぼちぼち・・そっちはどうよ?」

「う~ん・・まずまずって言ったところだ。女体化の促進作用は掴めつつあるんだが、問題は対策がまた厄介でな・・」

遠い異国の地・・互いに離れ離れではあるが心はいつでも一緒だ。今となってはこうした友人の存在は非常にありがたいものだ。バカばっかやって一人で孤立していたあの頃とはだいぶ違う。 タバコの本数が進む中、私たちは何気ない世間話に華を咲かせていた。昔のことや今のこと、はたまた互いの恋愛情話等ほか多数であった。どうも、ここ数日はたち続けで仕事をしていたらしく休む暇がなかったそうだ。

昔の徹子のことを思い出すと自然と笑が込みあがってきた。

380 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/18(土) 21:37:53.91 ID:R3tChjWT0

「でもいいよな冷夏は、学校の先生なんてかっこいいじゃねぇか!」

「まぁ、子供の成長を見届ける点についてはいいもんだ。それだけ教師をやっているって自覚がもてるよ。保健室は生徒の相談事がかなり多いからな。そういえば若菜ちゃんは元気なのか? 遠い異国の地で寂しくはないのか?」

若菜とは徹子の1人娘である。徹子も過去に結婚していたのだが・・まぁ、互いにすれ違いにより離婚してしまった、俗にいうバツイチという奴だ。今は親子一緒に遠い異国に地で生活をしている。

「ああ、元気だぜ。・・それにしても、代理出産はしないのか?いいところ知ってるぞ?」

代理出産・・今の私たちが現段階で子供を授かるにはそれしか方法がなかった。高校卒業をの機に望まれない妊娠してしまった私は泣く泣く子供を堕ろすことにした。 ・・でも、ただ子供を堕ろすだけだったら本当によかった。元々、子供ができにくい体質であった私は注射のときに打った痛み止めの薬が原因で子供が出来ない体となってしまった。だから、もうこの手で子供を産むことすら 出来なくなってしまったのだ。その時は・・死にそうになった。今の旦那がいなければ私は罪の意識の中、自殺をしていただろう・・

「・・それも考えたけど、まだ法的にも認められているケースが少なすぎるから保留にしている。旦那は俺が決めりゃそれでいいって言っているし・・」

「・・そうか、変な事聞いてすまなかったな。また、気が向いたら連絡してくれ。いいところ紹介してやるよ。」

「うん、ありがとう。・・こっちへはいつ来るの?」

「う~ん・・ここ数日は忙しくて帰国の目処がたっていないからな。まぁ、時間が取れたら連絡するぜ」

「わかった。・・うん、じゃあ。またな・・」

そういって私は電話を切ると、再び思い出していた。あのときの過去を・・

294 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/20(月) 22:07:49.68 ID:mKY8Dbjh0

怪我から復帰して数週間が経った・・ 相変わらず慣れない左腕の生活はきついものであったが、まぁ何とかなっている。学校へは・・どうも単位はもらっているようだ。あの日から私が部屋に戻ると テーブルの上には食事が用意されていた。どうやら隣にいる彼がこっそりと作りに来ているようだ。

「チッ、またか・・」

といいつつも私は彼の作ってくれた食事を食すのであった。あるときはハンバーグ、またあるときはスパゲッティなどいずれも利き腕ではない左腕でも食せるような 工夫がこなされた。どれもどれもよく作られたものであった。これまで味気のないスーパーの惣菜しか食したことのなかった私にとっては彼の作ってくれる手料理はある意味 新鮮なものであった。

「・・おいしい、何でだろう?」

まだ、当時の私にはその味を理解する事がなかった。ただ・・その味は暖かく温もりのあるものであった・・・ 今まで人の温もりにすら触れたことすらなかった私はただ一口一口、彼の作った料理の味を噛み締めながら今日という1日を過ごしていった・・ そういえば族のほうには骨折をしているからという理由で参加してはいなかった。しばらく離れているため相次いで私に対する不満はあるだろう

    • だけどそんな不満なんぞ十分に叩き潰せる自信は当時の私にはあった。

298 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/20(月) 22:29:34.09 ID:mKY8Dbjh0

それから更に数週間が経ち、私はようやく左腕との生活にピリオドを打てた。久々に右腕を振り回すのと同時に私は再び暴走活動を再開した。 いつものように相棒と共に集会場へ向かうとそこには私以外の女性がメンバーをまとめていた。しかし、私はどうもその女性に面影を感じていた・・ 女性は私を見かけるや否や私に親しげに話しかけてきた。

「おう、冷夏!!お前怪我は治ったのか?」

「あ、ああ・・お前もしかして撤兵か?」

もしやと思い私は女性に尋ねた、すると女性はすんなりと頷いた。どうも、撤兵も女体化シンドノームによって16歳の誕生日に女体化してしまったらしい。私のときとは別で撤兵自身はすんなりと この状況を受け入れていた。名前も徹子と変わりいままでと同様に活動していくそうだ。それから私は現在の状況を確かめるために撤兵・・徹子から現在の情報を採取していた。 やはり、ヘッドであるこの私が怪我をしてから周りからいささか混乱が遭ったらしい。しかし、撤兵の持ち前の統率力で何とか持ち直したらしい。

私は徹子から聞いた情報を整理している中、私たちの前に1人の男が現れた。・・ショボンだ。彼は私の姿を見ると驚いてはいたのだがすぐに 元のしょぼくれた顔に戻り、私の復帰を祝ってくれた。

「やぁ・・冷夏、久々だね。その様子だと怪我は治っているみたいだ・・」

「はぁ・・まぁ、おかげさまで・・」

相変わらずその面は気に入らなかった。そんな気持ちをぐっとこらえながら私はショボンさんに挨拶を交わした。

300 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/20(月) 22:37:07.16 ID:mKY8Dbjh0

ショボンさんはそのままタバコに火をつけて吸いながら話を続けた。

「いやぁ、撤兵君・・おっと、今は徹子さんだっけ。君が怪我してからちょっと大変だったんだよ。君以外はほとんどが逮捕されちゃうし、君本人はこうして骨折をやらかしてくれたわけだし・・ 僕としても組の立場ってものがあるからね。いや、困ったもんだったよ」

私は拳を握らせながら黙って話を聞いていた。徹子のほうも・・私と同様であった。

「おっと、こんな話をしている場合じゃなかった。今回君たちにはとある場所で走っていただきたいんだよ。」

「・・とある場所ですか?」

「そう、僕ご指定のね・・ま、今日も頼んだよ2人とも」

「わかりました。」

私はそういうとショボンさんは私たちの肩に腕をポンッと叩くとそのまま去っていった。ショボンさんが帰り終えると私はそのまま持っていたタバコに火をつけた。 すると徹子のほうは怒り心頭であった。

「あの野郎ォ!!!散々俺たちをなめやがって・・冷夏、一回あいつ〆て来るか!!」

「やめておけ・・おい、てめぇら!!今回はご指定の場所だ!!俺の復帰祝いにパァーッと突っ走ろうぜ!!!!」

私はいつものようにメンバーに活を入れるとそのままご指定の場所へと向かうことにした。 ・・思えばこの段階で気づくべきであった。あの時のショボンさんの顔つきはどことなく黒い表情であった。

そう、まるで何かを成し遂げようとする黒い陰謀に・・

27 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/22(水) 21:01:27.23 ID:EYfv8w5r0

指定された場所は人っ子一人いないさびしい場所であった。私はどことなく違和感と恐怖感を覚えた・・私がそのまま仲間とともに走っていると 突如、背後から何者かの攻撃を受けた。私は振り返るとそこには・・仲間たちが角材を振り上げてこちらの様子を伺っていた。

「なッ!!・・てめぇら、どういうつもりだ!!!!!」

「フッ、俺たちは前々から気に入らなかったんだよ!・・女であるてめぇらが俺たちの頭を張るなんてな!!!」

「て、てめぇら・・」

恐れていた事が思いもよらぬ形で俺は仲間から裏切られた。よくよく見ると別の方角で撤兵が襲われていた。私はすぐさま撤兵のほうへと助けに 行きたかったのだが、いかせん周りの数が多すぎた。しかも全員が角材を持っていており私自身、不意に一発もらわれていた。 すると、仲間の1人が俺にこう吐き捨てるように俺に言ってきた。

「悪く思うなよ・・あんたはもう、ここの頭じゃないんだ。・・おい、やっちまおうぜ!!」

「この野郎ォ・・女だからってなめるんじゃねぇぞ!!!!」

ふつふつと私の体の中は怒りで充満していた。私は落ちていた角材を拾い上げふらつく体で必死に角材を持ち上げると大人数の中、果敢に攻めていった。 順調をはいかないものの私は諦めることなく1人1人と少しずつではあるが大人数ではあるが倒していた。 しかし、慣れない女の体・・男のときのような力が発揮されるはずがなく、私は劣勢時に置かれた。それに相手は男・・身体的体術的に限界が目に見えていた。

私は必死に角材を持ち上げながら、大人数いる中でたった1人骨折していた右腕を痛めながら奮戦していた。

30 名前: ただの戦士 投稿日: 2006/11/22(水) 21:14:16.50 ID:EYfv8w5r0 「ハァハァ・・な、なんで何だ、なぜ俺から寝返る・・」

「フッ、お前が女になってしまってから、有りあえないことだらけだ。・・それにこれはショボンさんの指示だからな」

「な、なんだとッ!!!」

私は驚いた。まさか・・あのショボンさんが俺を始末しようとしようとしていたなんて、私はまた・・人に裏切られたのか。私は度重なる裏切りに 身も心もズタズタにされた。私は徐々にこの状況に絶望していった。誰からも裏切られる日々・・所詮私はこういう人間だったのを自覚せざる得なかった。 すると私同様、襲われている撤兵が各個撃破してこちらへと歩み寄ってきた。その姿はズタズタで体中のいたるところから血が滲み出ていた・・ 撤兵は私と同様に女体化していてもこの状況を諦めてはいなかった。

「て、撤兵・・無事だったのか!!」

「まぁな・・冷夏、やるぞ。こいつらには落とし前をつけさせてやるんだ!!」

誰もいない中・・撤兵は立った1人で勇敢にも角材を振り上げた。その姿に私は呆気にとられていた。誰からも裏切られ自分1人が絶望している中、撤兵は1人でも諦めずに この状況を打破しようとしていた。

「チッ、役立たずの奴らだ。女1人も倒せないとは・・」

「てめぇら・・俺たちを敵に廻したことを後悔させてやる。冷夏、やるぜ!!」

「・・ああ!!ありがとな撤兵!!!」

このとき初めて私は他人の大きさを十二分に理解した。私は撤兵と一緒に大人数の男共に立ち向かっていった・・

33 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/22(水) 21:32:55.39 ID:EYfv8w5r0

「こいつら・・化け物か!!あれだけいた人数をたった二人で・・・」

数時間たってか・・私は撤兵と一緒にたくさんいた男共を撃滅した。しかし、決して楽ではなかった。私たちは傷つけ傷つきながらようやくここまでやってこれた。 かって骨折していた右腕からは痛みが広がっていったが何とか堪えていった。撤兵のほうもさっきよりかなり傷ついていた。もはや、角材にすがらなければ立てないほど傷ついていた・・ さて、残るは後1人だ・・最後の1人は尻餅をつきながらわなわなとこちらを見ていた。もはやこんな奴、叩きのめしても意味もなければ殴る価値もない。私は撤兵の腕を抱えてこの場から立ち去ろうとした

「あわわわわ・・・」

「帰れ、そして二度と俺たちに近づくな・・・撤兵立てるか?」

「あ、ああ・・」

私は撤兵の手をとり肩で支えてあげた。族を追われ、これから行く当てもない私たちはこれからのことを考えると荷がとても重過ぎた。 しかし、まずはこの怪我を治すことから先決だ。金銭的な余裕もない私たちが行ける所と言えばあそこしかない。私は真っ先に彼のことをイメージしていた。医者の卵だというからにはこんな 怪我楽勝で治せるだろう。 ・・・私が、撤兵を抱えて歩いていたその時、最後の1人が突如として誰かに蹴られた。私は振り向くとそこには・・あいつがいた。 そう、この沢外を起こした張本人・・ショボンだ。

ショボンは最後の1人を蹴り上げるとタバコに火をつけながら私たちを見下していった。顔つきはいつものようなしょぼくれたような顔ではなく、どす黒いものであった。ショボンからは何人にも近づけさせないような雰囲気を 醸し出していた。

35 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/22(水) 21:45:51.78 ID:EYfv8w5r0

「所詮、屑は屑でしかなかったか。女2人も片付けられないようじゃ・・な」

「ショボン、てめぇ!!!」

「撤兵!!やめろ!!!」

突如として、撤兵が私の手を振りほどきショボンにつかみ掛かってきた。

「ショボン、てめぇ・・ぶっ殺してやる・・」

「女体化してからおもしろいことほざくね。そんなような屑は、今まで一人も・・いなかっ・・たよ!!!!」

「うぉッ!!」

ショボンはつかみ掛かってきた撤兵の腹部を容赦なく思いっきり蹴り上げると撤兵の胸倉をつかみながら撤兵に向けてこう怒鳴りあげた。

「飼い犬に手を噛まれるとはこういうこった!!・・お前たち屑がここまでのし上がってこれたのも誰のおかげだ!!ほかならぬ俺のおかげだろ!!! それを忘れてこの俺に向かってくるとは・・・ゴミ屑よりもたちの悪い奴らだなてめぇらは!!!」

ショボンはさらに撤兵を殴ると私に向けて放り投げてきた。撤兵は血だらけになりながらも微かに声が聞こえてきた。おそらく女体化している影響もあってか、かなりのダメージだろう。 私は撤兵を抱えるとショボンをキリッと睨みあげた。

「グハッ・・れ、冷夏・・・・」

「撤兵ッ!!!!!・・・・ショボン!!てめぇ、この野郎ォォォォ!!!!!」

私は傷ついた撤兵をその場に寝かせるとショボンに痛みを堪えそのまま立ち向かった。今の私にはその後のことよりも撤兵を助けることができなかった自分への怒りが 全身を支配していた。

37 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/22(水) 22:10:47.71 ID:EYfv8w5r0

私はショボンに殴りかかろうとしたのだが、ショボンは慣れた手つきで私の拳を払いのけるとこう言いつけてきた。

「俺も揉めるのは勝手だが・・俺ァ、暴力団だぜ。わかるだろ?だけど、今まで俺はお前たちを飼ってきてやったからな・・そうだな、300万で手を打ってやろう。 この世の中・・金がものを言う時代だ。それともお前は金を払わずに暴力団と揉めるのかい?言っておくけどお前みたいなゴミ屑を消すのぐらい簡単なんだよ?」

「こ、こんの野郎ォ!!!」

「お、いいのかい?僕を殴れば君とその仲間の将来がすべてパァだ。・・屑なら屑らしく大人しく従ったほうが身のためだ」

私は震える手の中でショボンの胸倉をつかむと睨みあげてきたのだが、ショボンからはそれすらも動じずにそのままの体制で俺をじっと睨みつけてきた。 そんな中、横で眠っている撤兵が体の力を振り絞って俺にこう言って来た・・

「れ、冷夏・・や・・やめてくれ。俺らよりも相手が違いすぎる・・・頼む」

「アハハハハ!!!こいつはお笑いだ!屑同士てもこんな茶番が楽しめるとはな。お仲間の1人がこう言ってるんだから・・ね?」

私は考えた。・・確かに、ショボンを殴れば私たちは即刻お尋ね物となってしまうだろう。それに、私たちは行く当てもないただの根無し草・・ 経済的な余裕もなければ力もない、ただの非力な人間だ。それに・・もう男でもなんでもない。ただの女だ・・

      • しばらく考え、私はショボンの胸倉を離すと悔しさに打ち震えながら私は・・取引に応じた。

38 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/22(水) 22:22:03.68 ID:EYfv8w5r0

「300万・・払ってくれれば俺らには今後一切手出しはしないのか?」

「約束しよう。今の暴力団には君たち2人にかまうよりもどでかい大きな事を抱えているのでね。そのためには金が必要だ。 金さえ振り込んでくれれば何の問題もない普通の人生が送れることを保障しておこう」

「・・・わかった。振り込んでおく・・」

私は悔しさに打ち震えながら泣く泣くショボンとの取引に応じるとショボンは元の顔に戻り笑いながら憎たらしいことを吐き捨てていった。

「現金ニコニコ払いで頼むよ。口座は○×△・・でたのんだよ。では、輝かしい未来を送ってくれたまえ」

「ク、クソォォーーー!!!!!!!!」

    • 喧嘩には勝った。だけど、私の心は心身の傷と・・それに重たい重たい末路が残された。私は最後の力を振り絞り傷ついた 撤兵を抱えるとゆっくりとゆっくりと・・行く当てもなくただ呆然と歩いていった・・

39 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/22(水) 22:27:00.75 ID:EYfv8w5r0

家族にも裏切られ・・・

             仲間にも裏切られ・・・

裏切りを多く重ねた私の心は耐え切れずにズタズタに引き裂かれていた。私はこの大きな傷を背負っていく自信がなかった。誰からも裏切られ利用されていく日々・・思えば女体化してからは裏切りの連続だ。 みんな・・みんな・・・私のことが嫌いなのだろう。神様にも見放されていると思っていた。何度も女体化した自分を責め続けた。だけど・・責め続けていても答えは返ってはこなかった。だから・・暴走して気を紛らわしていった。 自分自身の心と向き合うのは怖かったのだ。

それらを逃れるために私は暴走行為でそれらから逃れていった。だけど・・女体化して彼と出会ってからは自分の心境が激変した。 いくら暴走しても満たされない自分の心・・傷を重ねるたびにじわっと心から痛みが滲み出ている。そのたびに彼の存在が自然と痛みを和らいでいった。それに・・とても暖かいものであった それだから怖かった・・自分自身と向き合うことでさらに傷つくことが当時の私は怖かった。

‥当時の私は何の支えもなくただ呆然と彷徨い生き続けていた。 そして撤兵を抱えて歩いていた私はとある家を見つけた後、ガクッと意識を失った。そこには・・微かな温かみが感じられた。 それは・・彼特有のものであった。

185 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2006/11/23(木) 21:06:09.71 ID:KDl1Y5nM0

天井・・それはただの何の変哲もない壁。だけどそれは建物の中である意味で一番印象に残っているのかもしれない。

目が覚めると私はあの天井を見た、なんら変わりないその光景はえらく懐かしく思った。ほんの数日しかいなかったのに・・ 体を見てみるといたるところに包帯やら何やら巻かれていた。幸い体からは傷みが感じられなかった。 私はベッドから起き上がり辺りを見回してみると窓からはあの景色が広がっていた。あの女の子が母親と一緒に歩いていたあの風景・・私はふと 思い出していた・・

私がそんなことを考えると私の病室から・・彼が食事を持てきてくれた。

「やぁ・・どうだい調子は?」

「別に・・」

私がそっけない返事で言葉を返すと彼は一息ついた後、黙って私に食事を用意してくれた。食事はまたあのお粥だったが 私はそれを口にする度に・・・涙が止まらなかった。誰からも裏切られることに疲れた私の感情は彼のお粥を食べたとたん・・涙として一気に溢れていった。私はお粥を食すたびに 洪水のように溢れてくる涙を止めることはできなかった。

「――クソッ・・・ング・・なんで・・なんだよ・・・」

私は涙を流しながらお粥を食していた。彼は・・ただ、泣きじゃくっている私を黙って見守っていた。


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最終更新:2008年09月17日 19:12
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