『樹』(5)

180 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/04(日) 16:00:06.52 ID:AxMCtYGs0

翌日・・俺はそのまま目が覚めるとテーブルの上にグラスが置いてあり あいつが眠っていたベッドの上にいた。どうやらあの後グラスを置いたまま 眠ってしまったらしい。頭の痛さはない。昨日の夜の記憶もしっかりとある。 それに俺の横で眠っていたあいつの姿はもうなかった。俺はそのまま無意識に 立ち上がり部屋を歩いていると・・俺の目覚めに気がついたのかあいつと來夢が そろって俺の元へとやってきた。だが・・來夢のほうはかなり怒り顔であった。

そりゃそうだよな・・昨日は無断でその場から出て行ってしまったんだからな。そりゃ怒るはずだ・・

「兄貴!!また酒飲んだでしょ!!!・・全く何度言ったらわかるんだよ!!」

「え、えっ・・んなもん、飲んでねぇよ」

どうやら別の件だったようだ。でもやはり來夢はまじめなので 俺の飲酒が許せないのであろう。俺はあわてて否定するのだが・・

「兄貴・・お酒のビンが転がっていたよ。それにお酒特有の臭さがあるよ」

「うっ・・やっぱお前には適わないな」

俺は両手を横に上げると來夢にむけて白旗を出した。俺が來夢に適う はずがないことはわかっていた。そのまま怒りあげる來夢に対して、あいつが ポンと來夢の肩に手を置いて静かにこう言い述べた。

181 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/04(日) 16:01:21.40 ID:AxMCtYGs0

「まあまあ、こいつも昔からバカなのは仕方ないわよ。 まぁ、ここは若気の至りってことで勘弁してあげてちょうだい」

「う、うん・・」

あいつの説得で何とか來夢は引いてくれた。本来の俺ならあいつの 言っていることに突っ込みを入れているはずなのだが、昨日の夜の こともあってかなかなかあいつに面と向かって言えずにいた。 まぁ、見た感じ二日酔いなどはしていないのでそこは何とか助かったと いったところか。

でも・・あいつはあのときのことは覚えているのかな?

「じゃ、早いところチェックアウトしましょ」

「そうだね。今日の飛行機のチェックも入れなきゃいけないしね」

落ち着いた來夢の話だと、親父は早朝早々に飛行機のチケットと お金を置いてそのまま仕事へと向かったようだ。そんな2人は俺をよそに 今日の予定を次々と立てていき、ホテルをチェックアウトしてイタリアの 観光地を消化しようとするが・・

今日1日は俺はあいつに話しかけづらかった。

182 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/04(日) 16:03:54.99 ID:AxMCtYGs0

イタリア観光も2日目に差し掛かり定番のローマを ほぼ見尽くした後、俺たちは飛行機の時間をチェックしながら 観光を楽しんでいた。移動は親父が車を用意してくれていたので 大して時間はかからなかった。

「運転手!!さっさとしなさい。こんな美少女2人がいるのよ!!!」

「わかったから騒ぐな!!」

俺は運転席越しでギャースカ騒ぐあいつらを抑えながら前のほうに視線を戻した。 こう見えても俺は運転免許はもっている。だから、親父はホテルのまん前に 車を一台ぽつんと置いてあった。

183 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/04(日) 16:04:55.11 ID:AxMCtYGs0

「でも兄貴が車の運転できてよかったよ」

「まぁな・・」

しかしまぁ・・表上はいつもどおりに装って入るが、いつばれるかはわからないものだ。 何せ昨日の夜のことは頭に染み付いていやがるからな。 それに、あいつは本心であんなこといったのかわからない。酒の勢いというものが あるのかもしれないが・・ まぁ、今は深く考えないでおくか・・

「飛行機にはまだ時間があるようだし観光を楽しもうよ!!」

「そだな」

「そうよ!!安全運転で行きなさい!!事故なんて起こしたらただじゃおかないわよ!!!」

「んなもん起こすか!!」

俺は事故を起こさないために体中の全神経を車の運転に集中させた。

184 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/04(日) 16:06:02.77 ID:AxMCtYGs0

あれからローマ観光も十分すぎるほど堪能し、車で荷物を抱えて空港まで向かいそのまま俺たちは飛行機へと乗り込んだ。 すでに時刻は夕方過ぎ・・チケットは行きと同様ファーストクラスであったので大きな混乱もなくゆったりとすごすことができた。 俺は度重なる運転に疲れ果てどっしりと椅子に縋っていた。2人のほうはというと・・観光疲れもなくかなり元気でルンルン気分であった。

「流石、ファーストクラスよね!!機内食もほかのとは全然違うわ!!」

「父さんも気前がいいよね」

ハハハ・・このお嬢様方は疲れというものが全くわからないようだ。 それに親父は來夢が女体化してから元々あった親バカ度がさらにアップした模様だ。 どうも、プレゼントのほうもかなりもらったらしい。そういえば・・子供の頃、よく來夢と 公園で遊んでいたときほかの人が來夢を女の子と間違えていたとき やけに親父が頬が綻んでいた気がしていたような気がする。

「そうだけど、別にファーストクラスじゃなくてもよかったと思うけどな・・」

「あんたね!!折角の小父様のご好意を無駄にしたらパァじゃない!!!」

「そうだよ、兄貴。父さんのおかげで飛行機でいい食事食べられるんだからさ」

2人に言い寄せられ、俺は思わず料理を口にした。流石にファーストクラスとあってか 機内食もかなりの豪勢さだ。エコノミークラスとは大違いだ。

ま、確かに2人の言うようにここは親父に感謝だな。

185 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/04(日) 16:08:09.00 ID:AxMCtYGs0

それにしても今日はあいつに話しかけづらかったな。 あいつは昨日のことなんてケロッと忘れているようだが、俺にとっては かなりの衝撃ものだ。一緒にいることが当たり前だったあいつから あんなことを言われるとは正直思っても見なかった。

今までのあいつに対する印象は単なる悪友といったイメージだ。 これといって特別な感情なんてなかった・・つい最近まではッ!! ・・あの時、銃を持ったやつからあいつを救ったとき、今までに 俺にみせたことがない表情をあいつは見せた。 その瞬間、俺があいつに対する印象は徐々に変わりつつある。

あの日以降、俺はあいつに抱き始めた別の感情を単なる気の迷いと してそのまま放置し続けいた。その結果、その感情は表立って出ることは なかったのだが・・昨日のあいつのあの言葉をきっかけにその感情が表に出てしまった。

一体、俺の感情にどのような変化が置き続けているのだろうか・・

186 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/04(日) 16:10:50.91 ID:AxMCtYGs0

「・・貴、兄貴!!・・どうしたの?」

「あ、ああ・・」

おっと、考えすぎてしまったか。この件は後でアメリカに帰ってきてから じっくりと考えることにしよう。どうやら少しトラブルが発生したようで フライトまで少々時間があるし、あいつのほうは機内に備えられていた本を読んでいた。 來夢はあいつに聞こえないように小声で俺には話しかけてきた。

「悪い悪い・・少し考え事しててな。どうした?」

「・・うん。昨日は香織さんと何があったの?」

「何言ってるんだよ。昨日はなんにもねぇよ」

俺は嘘は言っていない。昨日の夜は互いに酒飲んで酔っ払いを介護していた だけだからな・・が、來夢は少し真剣な表情になりながら口調をそのままにしてさらに語りかけてきた。

187 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/04(日) 16:11:28.52 ID:AxMCtYGs0

「・・兄貴、今日は少し様子がおかしかったからちょっと・・ね」

「おいおい、俺は通常どおりだぜ。別におかしいことなんてねぇよ」

「うん・・それだといいんだけどね。ごめんね、変なこと聞いて・・」

「別にかまわねぇよ。俺も久々に車を運転して少し疲れたようだ」

やはり、來夢は昔からそういった部分が鋭いな。しっかりと俺の不調を言い当ててきやがったぜ。 でもあの様子と何とかうまく切り抜けることができたようだ。 まだ自分でもよくわからないからな・・早いうちにけじめをつけておく必要があるな。

こうして毎年恒例の長い長い誕生日旅行は俺に新たなる種を残しながらその幕を閉じた。

34 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/06(火) 21:34:06.90 ID:q7PZ9E2t0

俺たちが帰国してはや数ヶ月経った。俺は自室でのんびりとしながら 今までの状況を振り返っていた。あれからも女体化は未だに撲滅の 一途をたどっていない。今までは余り関心はなかったが、やはり身内が 女体化してしまうといやに感心してしまう。女体化によって増える自殺者は 心が痛む。突然今までのような生活から一変していきなり女性として過ごせというのも酷な話だ。

しかも、皮肉なことに回避するには非童貞でなければならない。 それに、來夢が女体化したときにあの時出会った徹子さんの話だと、女体化には まだ未知な部分が多いから原因究明は難しいといっていたな。

「・・それに問題はあいつのことだ」

ゆったりとした自室の中、俺は再び思考を空想に戻した。 今の最大の問題はあいつのことだ。今のところ、あいつに対するあの感情は 表立って出てはいないがこの感情は後々厄介となってしまう。 早くけじめをつけないと俺のためにもならないしな。

「ま、深く考えるのはよそう。今が大事だ」

俺は机にあったコーヒーを啜りながら優雅な一時を過ごしていた・・

35 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/06(火) 21:34:46.77 ID:q7PZ9E2t0

「さて、少し散歩でもするか」

俺はなぜか無性に外に出たくなったので軽く出かける準備をした。 準備をした俺はそのまま玄関のほうへと歩き、台所にいた來夢と ちょうど目が合った。ちょうど來夢は料理の仕込をしているらしく その可愛らしいエプロン姿を披露しながらいろいろな材料を煮込んでいた。

「兄貴、どこか行くの?」

「ああ・・ちょっと散歩したくなってな」

「じゃあ、ついでにマーケットで豚肉買ってくれないかな。ちょうど切らしてたんだよね・・」

「豚肉だな・・わかった。じゃあ、行ってくる」

「行ってらっしゃい」

俺は台所越しでエプロン姿の來夢に見送られながら家を後にした。

36 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/06(火) 21:35:58.62 ID:q7PZ9E2t0

散歩とはいったものの、ただ能天気にブラブラ歩いているのとなんら 変わりがないもので部屋とはまた違った澄んだ空気を感じながら 俺は歩いていた。やはりアメリカは土地も広ければロードワークに 最適な道も数多くある。周りをよくみると、お年寄りや子供やら いろいろな人たちが俺と同じように歩いていた。

やはり、たまには散歩でもして空気のリフレッシュを行うのもまた一考だ。

「ふぅ・・やっぱ久々に歩いたから気持ちいいな」

しばらく歩いた俺は休憩に自販機で買ったジュースを飲みながら のんびりとくつろいでいた。俺はそのまま公園のベンチでくつろぎながら のんびりと過ごしていると・・突如として俺の後頭部に激痛が走った!!

「――ッッッ・・誰だ!!!」

「この私に誰だ!!なんて・・とんだ言いがかりね!!あんたもう既に鈍ってるんじゃないの!!!」

俺の後頭部を殴った奴・・紛れもないあいつであった。日ごろから体を鍛えている 俺ではあったのだが、まさかこいつに背後を取られるとは思いもしなかった。 いや、それ以前にこいつがいる時点で全然わからなかった。

それにしても・・こいつはいつ俺の後をつけていたんだ?

37 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/06(火) 21:37:29.99 ID:q7PZ9E2t0

「うるせぇな!!それにしてもいきなり後頭部殴ることはねぇだろ!!!・・どうして俺の場所がわかったんだ」

「たまたま偶然ここで能天気に歩いていたあんたを見かけたからちょっとね・・」

ちょっとね・・じゃねぇだろ!!! 俺の後頭部を思いっきり殴りやがって!!!!こいつには節度というか 女らしさというのかそういったものが微塵もないのか・・・ん?少し語尾が おかしいな。少しいとどまっている気がするな。気のせいか・・

「それより、あんたこれから暇?」

「あ、ああ・・もう帰る頃合だし、それに來夢に頼まれてマーケットで豚肉買わないといけないんだ」

「ふぅん・・じゃ、私も付き合うわ。ちょうどお腹空いてたしご飯食べたかったところなのよね」

それが狙いか・・まぁ、どうせ大方は來夢に聞いたんだろうな。それにもう帰る 頃合だし、來夢も待っているだろうからさっさとマーケットに行かないとな。

「・・昔からお前に何言っても無駄だったよな」

「わかってるじゃない」

運命の悪戯かはたまたそれ以上の何かか・・偶然とも言えぬ得体の知れないものに引き合わされた俺たちはそのままマーケットへと行くことにした。

38 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/06(火) 21:38:42.36 ID:q7PZ9E2t0

「えっと・・豚肉って言っていたな」

俺はマーケット中をあいつと一緒に回っていた。 流石にマーケットとだけあってか、かなりの品物が置いてあった。 しかし、あいつと2人きりで歩いたのはかなり久々であった。 見る人見る人の注目を俺らは浴びており、途中の売り場からは 新婚さんに間違えられるほどであった。はっきり言ってはだはだ迷惑である。

    • まぁ、悪い気はしなかったのには変わりないがな。

「おい、俺は豚肉だけって言ったぞ・・なんで、ほかのものまで混じってるんだ!!」

「・・バカね、見ればわかるでしょ。ほかのもの作るからに決まってるじゃない」

「わかったから・・日本語でいちいち言わんでくれ。こっちが恥ずかしい・・」

この英語圏の多いアメリカに日本語を理解する人はどれぐらいいるだろう。 あいつがいちいち日本語で言ってくるので周りの視線は釘付けだ。 俺はこの恥ずかしさから逃れるためにしぶしぶあいつに従うことにした。

「んじゃ、次は調味料よ」

「まだ行くのかよ・・」

豚肉の買い物のはずがレジを通る頃にはかご一杯に食材がつぎ込まれていた。

39 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/06(火) 21:40:16.80 ID:q7PZ9E2t0

「金が足りてよかった・・」

「ま、後はあんたの家行ってお昼食べるだけね」

「ハハハ・・期待してるぜ」

「な、何言ってるのよ・・バカ」

結局、マーケットを出たころには俺の両腕を抱えるぐらいまで あいつは食材を買い込んだ。これだけ買って金が足りたのが不幸中の幸いだ。 しかしまぁ、こんなに買い込んでいったい何を作るのやら・・

40 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/06(火) 21:41:37.00 ID:q7PZ9E2t0

「こんなに買い込んで何作るつもりなんだ」

「別に私が何作ろうがいいじゃないの!!・・ただ、大人数だからたくさん買い込んだだけよ」

こんな会話を続けながら家で待っているであろう來夢の元へと向かおうとしていた 俺たちだったが、途中道端で1人の女の子が泣いていた。 女の子は白人でまだ5歳にも満たない年齢であった。どうやら、母親と迷子になったらしい。 俺は周りを見てみるがこの子の母親らしき人はどこにもいなかった。俺は黙って その光景をじっと見ていたのだが・・

突然、俺の横にいたあいつが持っていた荷物を俺に突き出した。

「・・ちょっとこれ持ってて」

「お、おい・・」

あいつは俺に無理矢理荷物を押し付けるとそのまま女の子の元へと向かった。

42 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/06(火) 21:44:09.11 ID:q7PZ9E2t0

「ママぁ・・」

「・・どうしたの?」

「ママが・・いないの」

あいつは英語で女の子と応対していた。 見る見るうちに泣きじゃくる女の子を宥めながら落ち着かせていた。 それにしてもあいつにこんな才能があるとはかなり意外だった。 俺はわけもわからぬまま、荷物を抱えたままあいつの行動をじっと見守っていた。 そんな俺と対照的にあいつはというと見事に女の子を落ち着かせていた。

「はいはい。もう泣かないの。その綺麗な顔が台無しよ」

「うん・・」

「いい子ね。じゃ、お母さんが来るまでお姉さんと一緒に待っていようか」

そういってあいつは女の子の頭をポンッと置くと女の子の母親と待った。 そういえばこの女の子は迷子だったんだよな・・ 見たところ、そう遠くは行っていなさそうだし・・母親が目を話した隙に女の子が どこからへと行ってしまってそこから迷子になったというのが妥当な線だろうか? 子供っていうのは行動力が抜群だからな。特に3歳ぐらいの子供は目を離すと すぐにどこかへ行ってしまう・・この子もその一例と考えていいだろう。

43 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/06(火) 21:44:45.72 ID:q7PZ9E2t0

それにしても、あいつにこんな部分があったのは意外だ。いつもは俺や來夢と 遊んでいるからわからなかったけどあいつも女性であることには違いない。 ああいった母性本能があっても全然おかしくはない。ただ、そういった部分を 俺たちには全く見せてこないから帰ってその光景が新鮮に見えたのが事実だ。 それに俺はあいつの爆発的とも言える活発な行動にはかなりの損害とその他諸々の被害がある。

だから子供をうまくあやすあいつの光景を見て呆気にとられていた。

44 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/06(火) 21:46:21.94 ID:q7PZ9E2t0

俺があいつの意外な行動に呆気にとられていると、子供の母親と 思われる人物がこちらにやってきた。女性は女の子と一緒の白人で その子の特徴をよく捉えており、誰が見てもその子の母親だと わからせるには十分であった。

女の子は母親の女性を見ると一目散に女性の方向へと走って向かっていた。

「ケニー、ケニー!!」

「ママ!!」

女性は思いっきり女の子を抱き寄せた。やはり母親としてみれば突然に 我が子がいなくなったらかなりの心配ものだろう。数分とはいえ母親に してみればその間は数日間に相当するものだろうっと思う・・少し大げさな例えだったか?

女性はそのまま女の子を抱き寄せた後、あいつのほうへ向かっていきお礼を述べていた。

46 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/02/06(火) 21:47:49.27 ID:q7PZ9E2t0

「どうも・・ありがとうございます」

「いえ・・もう、どこかへ勝手に行っちゃだめよ」

「うん!!ありがとう!!」

親子はあいつに一礼するとそのまま去っていった。残された俺は親子の 微笑ましい光景を見ていた。あいつのほうはというとそれを見届けた後に そのまま俺に突きつけた荷物を取り上げて元のあいつに戻っていた。 俺は再び歩きながらあいつにさっきの事を聞いてみた。

意外にもあいつは少し目を閉じながらも俺の質問に答えてくれた。

「お前・・子供好きだったんだな。少し意外だったぜ」

「ん?・・ああ、あれね。別にたいしたことじゃないわ。子供好きっていっても 子供と暮らすのは余り好きじゃないし・・長時間じゃなきゃ大丈夫だけどね。

そんなことより、さっさと行きましょ!!」

「お、おい!!待てよ!!」

そういってあいつはそのまま俺を差し置いて家に向かっていった。


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最終更新:2008年09月17日 19:33
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