『蒼い炎』(12)

314 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 10:38:59.81 ID:FkAyyKaO0?

「痛ェ! ・・眠ってしまったのか」

目が覚めると時刻はすでにお昼を回っており、高く昇っている太陽がやけに眩しく感じられるし頭がズキズキ と痛い。昨日はたくさん酒を飲んだことは覚えているのだが記憶があやふやで行動についてはあまりよく 覚えていない。 改めてこんなにも自分が酒が弱いと言うことを思い知らされるもので、無理に気を紛らわすために酒をがぶ飲み してしまったせいだろう・・左手で今でもズキズキと痛む頭を抱えながら周りの様子を少しだけ見ていると右手からは 全身にかけてなにやら柔らかい感触が俺の右手を包み込むような感じで広がっており、それが人肌と理解するには いささかの時間が要される。

頭の痛みを我慢しながらベッドの隣を見ると俺は驚くべき光景を目にする。

「こ、こいつは――・・しかも裸で眠っているのか?」

俺の隣には素っ裸で寝息を立てている理嗚が眠っており、先ほどの柔らかい感触もこいつの体から来ているものだと 理解するのだが・・この女が俺の隣でしかも裸で眠っていること自体が驚きだ。しかも自分の格好をよく見てみると 裸同然で眠っていており考えるだけで最悪のケースが増えに増えて考えるだけで頭が痛くなってしまう。 何も考えずに素直に眠っている理嗚を見つめると心なしか気持ちがスーッとしてくる・・

ためしにサラサラした髪を触ってみると少しばかり柔らかい・・まるで生きた人形みたいに眠っている理嗚を見つめ ながらも生身の女性の体の感触を俺はどことなく楽しんでいる。起きているときは憎たらしく可愛げのない言葉を 吐いている癖に寝ている姿はそういった普段の理嗚とのギャップを感じてしまう。

315 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 10:43:03.00 ID:FkAyyKaO0?

「・・寝ているだけマシか」

静かに眠っている理嗚を見つめると起きるのも億劫になってしまい再び体がベッドに沈んでしまう。 仰向けになりながら俺はふと自分自身について考えてみる・・就職も決まり今まで求めてきた安定した生活を 約束されているのを大人しく待てばいい話だ。何も慌てなくとも余程のことがない限りはただの変哲もない働く だけの充実した人生が送れるもので昔から俺が望んでいた将来ではあるがもう少しで手が届くのを安易に 想像できてしまうことを考えるとどこか消極的になってしまう。

その場合は新たに目標を立てればいいのだが、俺にとってはそんなものただの自己満足に浸れる要因にでしか 過ぎない。人の幸せというのは安定した生活を手に入れられるかで決まるものだ、愛とか信念という感情は 女体化など関係なく所詮は互いを利用しあっているようにしか過ぎないしその過程として子供と言う人間にとって なくてはならない種の数の確保と新たなる発展を進めればそれでいいだろう。動物だって数が多ければそれだけ 活動ができるのと同じように人間だって数が増えればそれなりの活動はできるだろう。人間と動物の決定的な違いは 知能を持っているか否か・・考えると言う行動を元で人間はより図太く生をつなげ持っていた知能を活動させていく のだ・・っとこれ以上考えていると頭が痛くなってしまう。

「チッ・・慣れないことをするのは苦労する」

考えるのをやめ少し頭を休めながら横になっていると体の感覚がどことなく重く布団とは違いじんわりと人肌特有の 温かみのある感触に体が包まれているのが確認できる。まだ酔いが冷め切れていない体を何とか駆使しながら 俺は顔だけ理嗚のいる方向へと向くとそこには妖艶に微笑む理嗚の姿があった。

316 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 10:44:35.86 ID:FkAyyKaO0?

「・・何のつもりだ」

「別に・・ただあなたとこうやって横になりたいだけよ」

「今の自分の格好を理解しているのか?」

裸で俺にまとわりついている理嗚をどうやって追っ払おうかと考えているのだが、だんだんと体を絡ませてくる理嗚に 戸惑いながらも俺は考える気力もなく腕を伸ばしタバコの箱を取り出すとそのままタバコを吸うことにする。力の差から して俺がこの理嗚を振りほどくのは簡単なのだが体がピクリとも動かなくまるで金縛りにあっているかのような感覚だ。

「いい加減離れろ、今日の講義のほうが――」

「講義ぐらい一度ぐらいサボっても大したことないわ。・・だからこうして私とゆっくりとしましょ」

密着している体をさらに密着させながら俺のほうへと体を寄せる理嗚に気持ち悪さを覚えてしまうのだが、人肌の 感触がそれを和らいでいるのだから不思議だ。このままずっとこうしている場合ではないし大学だって行かなければ ならない、卒業がかかっているこの時期に大学をサボってしまえばそれなりにまずい。こんな女とこうしてのうのうと 過ごしているよりも勉学に励み自分自身を磨ければそれだけでいいはずだ・・

それなのに体が思うように動かせず体を密着させながら俺の行動を拒む理嗚にどこか恨めしさを覚えてしまう。

317 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 10:44:57.10 ID:FkAyyKaO0?

「ますますおもしろい人ねあなたは・・興味がわくわ」

「お前みたいな女は女体化している奴よりも性質が悪い」

「これがそんなこといえる状況なの?」

「そ、それは・・」

体は更に密着を強めながら俺に纏わりつく、もうこの状況だとどうしようもないものでこいつの好きに行動させるしか 他ならないもので放っておくしかない、それにしても体が思うように動かせないものは苦痛なものでこのまま理嗚の 好きにさせておくのも心置けない。そんな状態だと不安もたまってくるもので具現化するまいと切に願いたいもので あるのだが・・そんな俺の切なる願いも虚しく体の様子が徐々におかしくなってくるのが確認できており、タバコの味も どこか違和感を覚えてしまうもので、もしやと思いながら横にいる理嗚のほうを見てみると俺の体に触りまくっていた。

318 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 10:47:48.51 ID:FkAyyKaO0?

「・・男の人っておもしろいわよね。性行為がなければ女になってしまうし、かといってこのように触られるだけで 敏感に体が反応してしまう。考えるだけで興味がわいてくるわ」

「うるさい・・」

「・・そういえば付き合ってくれたお礼まだだったわね。少し遅いけど私を――」

「冗談じゃない!!」

そう言って俺は力任せに理嗚を振りほどこうとしたのだが、なぜか体の力が入らなく立ち上がろうにも立ち上がれない 状況が続いていた。それに体の感覚が急激におかしくなっているのに違和感を感じた俺は下のほうを見ていると・・ 俺のペニスに理嗚の右手が握られており俺は驚きを感じながらも抵抗を試みるのだが・・それに合わせて行動を 抑制するかのように理嗚は器用に右手で俺のペニスをしごき始める。突然と感じてしまう変な気持ちに戸惑いながらも

抵抗するのだが突然のことで言葉がうまく伝達できない・・

320 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 11:04:13.12 ID:FkAyyKaO0?

「や、やめ――・・」

「フフ・・必死に抵抗するあなたって可愛いものね」

そういって理嗚は妖艶に微笑みながらも視線のほうは扱いているペニスに向けられており楽しそうにしている。 だけども俺にしては溜まったものではなく黙っておもちゃにされるのはこっちとしてもイラついてしまう、それにこの女に 成すがままにされるのは死ぬよりも辛いことだ。

「・・どうするの、このままイってお終い?」

「誰がこのまま――ッ!」

このままでは到底納得のいかない俺は思いっきり体勢を変えて理嗚を押し倒すとそのままじっと理嗚の裸体を見つめ てしまう・・理嗚のほうも突然の俺の行動に驚いていたのか驚いたような表情で俺を見つめていると間髪無く俺は舌を 使い、理嗚の体を攻め立てることにした。不思議なことに今まで俺のペニスを扱いていた右手の動きが止まってしまう のだからおもしろい・・

322 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 11:09:08.65 ID:FkAyyKaO0?

「胸はあるんだな」

「・・別に大したことじゃないわ。でもあなたに言われるといい気分ね」

棘もなく何気ない理嗚の言葉など気にせずに俺は両手で左右の乳房を触りながら柔らかい感覚を掌で愉しみながら 乳首のほうに舌を転がしていく。さらに左手を指を駆使しながら徐々に理嗚の身体の下のほうへと絡ませていき乳房の ほうも舌を使って攻めるのも忘れはしない。そんな俺の攻めに理嗚の息遣いもだんだんと荒くなっていき俺を求める かのように身体を抱きしめていた、もはや俺を攻めることを忘れてしまったらしい・・

いくらこいつが謎めいていた経歴を持とうが所詮は女である以上は変わりない、それに常に常軌を逸している理嗚が 普通の行動をするのに自然と興味も沸いてくる。

「っ! ・・なんで止めるの」

「別に・・なんとなくだ」

「あなたって本当に・・――ッ!」

理嗚が何か言いかけたのと同時に俺は再び理嗚の身体を攻め立てることにする。理嗚の秘部へと潜り込ませた右手 にはクリトリスという少し上の部分にある豆みたいな部分を攻めてみることにする。前に本で見たことなのだが女性と 言うのはこのクリトリスを責められるとかなり弱いと聞く、俺は乳房とクリトリスを同時に攻めるのだが理嗚の息遣いは 荒いままで表情も恍惚に満ちているようだがまだ若干の余裕があるようで俺を嘲笑う視線もいまだに健在だ。

こんな表情を見せ付けられるとそれを突き崩した後の理嗚の姿がますます見ておきたいもので胸を攻めるのをやめた 俺は体勢を変えて一気に下のほうへと向かい、理嗚の秘部のほうへと顔を向ける。常にモザイクで隠されてる女性の 秘部というものを改めて見つめると不思議なことに見惚れてしまう・・

323 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 11:11:13.40 ID:FkAyyKaO0?

「・・どうしたの?」

「女のこの部分を思いっきり見たのは初めてだからな・・」

「ここから新しい命が生まれるのよ。・・だけども今日はそういった説明はなし、早くして」

「お前が急かすとはな・・いいだろう」

俺は理嗚の膣の入り口から舌を入れ、クリトリスのほうも攻め立てる。まるで蜂蜜を啜る熊のように俺は理嗚の 秘部を無我夢中で啜りながら舌を使い膣のほうにも舌を入れながら理嗚に快楽を与えていた。だんだんと理嗚の 息遣いも荒さを増すのだがまだまだ喘いでいるような声は聞こえなくまだまだ快楽へと達していないのかと思うと だんだんと悔しさを感じてしまうもので攻めるほうにも余計に熱が入る、思えばこいつの行動や考えは常に俺の 予想を覆すものばかりであり自ずとこいつのイメージは常軌とは異なる変な女と言う不気味な創造が容易に 出来上がるものでこういった関係になるとは到底思えないものだ。

そんなことを考えながら秘部を攻めていると理嗚の膣からは何やら液みたいなのが溢れているのが確認できた。 これが俗に言う“愛液”と言うものだろう、だけども普通の女ならここで喘ぎ声のひとつは発するのに理嗚だけは その分だけ荒い息遣いだけしか聞こえなかったのが不思議なものでやはりこいつはどこか異なる女なんだと 思ってしまう。攻めるのをやめると俺は愛液が溢れ出す膣を指で掬い確認すると理嗚にも見せ付けることにする。

「・・・私のアソコはどうだった?」

「さあな、ただこんなものを出すとは思いもよらなかったな・・」

「一度女を抱いていたらわかる事でしょ。・・前置きも疲れるわ、最終段階ね」

再び妖艶に微笑む理嗚に戸惑いつつも俺は男の本能にそそられた自分のペニスを見つめるとよだれの様に愛液を 垂らし続けている理嗚の膣へとゆっくり挿入することにする、この感覚はもう5年ぶりだろうか・・?

324 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 11:13:07.98 ID:FkAyyKaO0?

「いくぞ・・」

「んっ…いいわ――‥」

ペニスが膣に完全に挿入されたとき、どこか忘れかけていた気持ちよさというものを体全体で俺は感じていた。 性行為など女体化を阻止するためだけにやって以来、まともな気持ちよさというものを感じたことは余りなく女を 抱いたときも割り切っていたのか快楽から来る気持ちよさは感じていたのだが抱いた後はどこか腑に落ちない 感じだった。だけども今はよくわからないが俺の躰が本能的に蹲っている感じがして若干の熱を帯びているも感じて いる。

そんな気持ちになりながらも俺はゆっくりと身体を動かすことにする、小刻みだが身体を動かしているとどことない 気持ちよさと高ぶる感情が行き来しながら混ざり合う。

325 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 11:13:45.40 ID:FkAyyKaO0? 「んっ……いいわっ、あなたはもうっ――‥」

「…下らんな」

理嗚の言葉を吐き捨てながらも身体を動かすたびに俺たちの息は荒くなっているのが確認できており言葉以上の 感覚が体中を駆け巡っている。感覚に慣れてきた俺は徐々に腰を振るペースも早まり、音を立てながらピストン運動 のように早まってくるもので同時になんとも言いようもない変で少しばかり心地よさを含んだ気持ちに身体と心が 支配されているような気がした。 今までの柵を忘れて本能的に男女の仲へと発展する俺たち・・理嗚を抱くことによって今までこいつに感じていた 不信感や不気味さが快楽とともにかき消されていく感じでたまらないものだ。俺の頭はもう考えることすら苦痛に なってしまい、俗に言う真っ白な状態とも言うべきであろう・・

「気持ちいいっ… このまま離すのが惜しいわ……」

「…はぁっ……はぁっ――‥」

「……んっ、このまま一緒に――」

理嗚の両手が俺の頬を伝った時・・その感覚と同時に俺の中で何かが吐き出された。

326 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 11:15:49.44 ID:FkAyyKaO0?

闇が誘い光を隠す・・あれから気がつけば時刻はすでに夜の8時を回っており、昼ごろから俺たちは飲まず食わずで セックスで時間をつぶしていたと言うことになる。最期の絶頂に達した時、行為が終焉を迎えるとお互いにさっきの ようにどうもやる気がしなく空しくタバコを吸いながら裸のままベッドで横になる状態が続いている・・意外な呆気なさと 高揚感が退いた体にもはや何の意味もないだろう。

「・・まさかお前とこんな関係になろうとはな」

「嫌いな女を抱いた感想は?」

「それについてはノーコメント・・」

肉欲と精神的な気持ちは別だと信じていたい、どんな事情があろうと俺はこいつと関係を結んでしまったことには 変わりないだろう。とっさにキスを拒んだのは我ながらいい判断だと思いたいが、肉体関係を結んでしまったと言う 事実は救いようのないものだ、うまく乗せられたとはいえ俺自身の不甲斐なさでこうなってしまったのだと思う。 それにこいつが女体化しているのならその分だけショックも大きいし心の整理もつかない、女体化しているとはいえ 元男を抱いたと言う背徳や屈辱感はぬぐい切れないものだろう。男言葉を使わずとも女体化している奴を抱いたと 言う事実は俺にとって底知れぬものだ・・

いくら嫌いとはいえこの女が正真正銘の女だと願わずにはいられない。そんな俺の考えなど当に見透かしているのか 目を瞑りながら理嗚はタバコを咥えたままあっけらかんとした感じで一言・・

327 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 11:16:55.30 ID:FkAyyKaO0?

「・・心配しなくても私は正真正銘の女性よ。 それにもし私が女体化してるなら男の人とこんな関係にはなってないはずだわ」

「驚いていいのか安堵していいのかよくわからん」

「私の言葉をどう捉えようとあなたの自由。・・短い間だったけどあなたと付き合って愉しませてもらったわ」

タバコを消し俺の体を抱き寄せながら、理嗚は俺の耳元で囁くように言葉をポツリと吐く。理嗚の身体からはなんとも 言いようのない温もりとほんのりとした寂しさが入り混じっているようだったのだが気のせいだと信じたい。 今度は理嗚の体を引き離すと黙って服を着替え、静かに部屋から立ち去る・・部屋の外にでるとまるで夢の終わり という感じで外の風がいやに冷たかったのが印象的だ。それに理嗚のほうも何も言わずに俺を黙って見送っていた のが不気味だったのだがそれが何を意味するのかがよくわからなかったしわかりたくもない。 ホテルを出て夜の繁華街を歩きながら自宅に戻るのだがだんだんと虚しさを感じるのは気のせいだろうか・・?

呆気ない終焉と共に現実は卒業まで後十日も満たない夜の出来事・・

328 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/09/09(日) 11:19:13.69 ID:FkAyyKaO0?

この十日間、あの夜の出来事を現実と拭いきるにはそれなりの時間が必要だったのだが十日の間で何とか過去と 割り切れたことが何よりの救いだ。この大学とも今日でお別れ・・別に愛着すらないから別れ惜しむこともない、 唯一感謝するといえばもうひとつの勉強机であった食堂のあの席ぐらいか・・? もはや通過儀礼と成り果てた卒業式を呆然とすごしながら自分への未来をじっと見据えながら望むだけでいい・・ 別れなんてあるわけだし今更、卒業式で泣いている奴に気が知れないものだ。

卒業証書と会社に入社するために必要な書類をもらうとそのまま自宅に帰ろうと思い大学を出ようと思ったのだが、 俺を待ち伏せていたのか門の前に理嗚が立っており帰ろうとする俺を引き止める。俺にとっては余り出会いたくない 相手なのだが、よくよく考えてみればこいつとこうして話すのも最後だし花を持たせるのもいいだろう。

「・・卒業おめでとう」

「お前には祝ってもらいたくない。結局進路も決めないまま卒業か・・?」

「言ったでしょ? 家の手伝いしなきゃいけないのよ、大学もその過程に過ぎないわ」

「ほー・・就職をしなくてもいいとはどんな家か見てみたいものだね」

思えばこいつの家はなにやら得体の知れないものだとはわかってはいたのだが実態まではよくわからないし、わかり たくもないが・・ただ理嗚の進路が奇怪だったのでそれについて聞いてはみたい。

「別に大したことじゃないわ。花嫁修業をしてほかの家に嫁がされるだけ・・金持ちの娘の末路なんて大抵はそんなものよ」

「・・ま、別に俺はお前がどうだっていいんだがな。勝手にしてくれ」

「あなたもね。さようなら・・小林 一樹さん――・・」

感情の変化もなしに何事もなかったような顔つきを保ったまま理嗚は静かに俺の目の前からその姿を消した。


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最終更新:2008年09月17日 20:19
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