休日。あたしは
「恥ずかしいからやだ!」
と、ごねる水月を無理矢理外に連れ出していた。
おばさんたちは服は散々集めていたらしいのだが、靴に関しては失念していたらしく、男の子の頃に履いていたものしか持ってないんだって。
折角だから、とデートがてらに水月と買い物に行くことに決めた。
水月はまだ人に見られるのが恥ずかしいらしく、あたしの影に隠れるようにして歩いている。そんな小動物然とした様子が可愛くて、悪戯したくなってきた。
「あのさ、そんなに引っ付かれてると歩きにくいんだけど」
「だ、だってぇ…」
「ほら、手、繋いであげるからさ」
「そっちの方が恥ずかしいよぉ…」
「だーめ。これは譲らないからね」
「…ぁ…ぁぅ…」
恥ずかしそうに俯く水月が可愛い。
そんなやり取りをしながら靴屋に到着。あたしの
「女の子らしい靴と言えば、やっぱハイヒールでしょ!」
と言う片寄った(うん、自覚してる)女の子観から、とりあえずハイヒールを履かせてみた。
「あきらちゃん、これ、踵が高くて歩きにくいよぉ…。爪先も痛いし…」
こっちに向かってよろよろと歩いてくる。完全に「小さい女の子が初めてハイヒールを履いてみました」な光景が広がってたわけで…。
気付いたときには、あたしは水月を抱き寄せて頬擦りしてた。…うん、後悔はしてない。
そんなあたしは実はハイヒールなんか持ってなかったりする。そんなオチ。
最終更新:2008年06月14日 09:46