719 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 02:15:05.40 hKguW1WR0
「今年で16か・・」
そう呟きながら俺はもうすぐで17の誕生日を迎えようとしていた。おっと、自己紹介が遅れたな。
俺は明人。今年で17歳になる人間だ。
「おっす、明人!!1人で何悩んでるんだ?これから帰りにカラオケ行かないか?」
後ろから声をかけてきたのは小学校の頃からの友人の隆二、人当たりがよく。当然女子からモテモテだ。
「どうしたんだよ、そんなに思いつめて?」
「いや・・俺今年で17だからさ・・」
「あ、お前童貞だもんなwwww」
「うるせぇよ。」
俺は隆二をかるく一殴りにすると再びダークな表情になった。何と、この世界では突然男が
15.6を過ぎた頃から女に豹変するのだ。しかも、豹変した男は全員童貞である。
この現象は10年以上も前から全世界で確認されており、国連は真っ先に原因を究明しようと
奮戦しているが・・全く持って手がかりすら発見できていないのだ。事実、俺の友達で女に豹変した奴はいる。
かわいそうなことにもう男としての日々は送れないらしいのだ・・
「・・何解説してるんだよ。そんなことよりカラオケ行こうぜwww」
「お前は悩みがなくていいな・・」
俺はもてる隆二を恨めしく思いながらもこのもやもやを発散するためにカラオケへと向かった。
721 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 02:29:42.24 hKguW1WR0
「はぁ~、楽しかったぜwwww」
「お前はよくそんなに歌えるなwww」
カラオケボックスに出た俺たちは適当に時間をつぶした後、ファーストフード店で食事をしていた。
しかし、カラオケボックスで歌を歌いまくってもこのもやもや感は発散できなかった。
俺はハンバーガに噛り付くと隆二がコーラ片手に
「ま、女になったら俺が付き合ってやるよ。」
「簡単に言うな!ただえさえ男としていたいのに・・なぁ、隆二誰か紹介してくれよ。」
俺は藁にもすがる思いで隆二に頼った。これだけモテモテの奴だ、1人や2人ぐらい女友達がいるだろう。
しかし、隆二は俺の期待を裏切るかのようにコーラ片手にポテトを摘みながら・・
「無理、だってお前女顔じゃん。」
悔しいが事実俺はこの女顔のおかげで女の友達はできても後一歩のところで肉体関係を断られていた。
それに比べて隆二は中2のころから童貞を捨てており俺によく自慢話を吹っかけていた。その成果俺は中学時代には
童貞を捨てられずにいた。誕生日は来週・・俺に周りでSEXできそうな女は1人もいなかった。
「はぁ・・どうするかな・・」
「友人としては力になりたいよ。だけど、現実は現実だ。お前は女向けの顔じゃない。」
俺は初めて誕生日という日を恨めしく思った。
722 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 02:44:59.11 hKguW1WR0
結局日にちだけが経ち、とうとう誕生日の日が来てしまった。
「はぁ~・・とうとうきてしまったか。」
あれから俺は必死にSEXできそうな女を探しにナンパへと繰り出したのだが、隆二の言うとおりに
俺の周りでは女が釣られるはずもなく、逆に男のほうが俺を女と間違えてナンパをされた。
すでに女となった奴らからHをすることも考えたが、元男の部分を思い浮かべると悪寒がしてきたので真っ先にやめた。
「はぁ・・」
俺はベットから起き上がるとどことなく違和感を感じた。胸に手を当てると、明らかにふくらみが生じていた。
それも僅かではなくかなり大きかった。
「嘘だろ・・」
俺は思わず下に駆け込み鏡を覗かせた。すると鏡の先からは自分をは思えない
美しい女性が映し出されていた。しかも髪が肩幅までに伸びていた・・
「・・こ、これが本当に俺か」
俺は思わず呆然となった。体を見回すと細身の体をマッチしていて完璧な女の体となっていた。
そして肝心の下のほうを見てみると男としての象徴であるものがきれいさっぱりとなくなっていた。
723 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 02:47:36.26 hKguW1WR0
「俺は・・女になったのか・・」
「お兄ちゃん、おはよ・・ってあなた誰ですか!!」
「あ・・留美・・」
実の妹にまで間違えられるぐらい俺は完璧に美しくなっていた。あたふたする妹を何とか説得すると
妹はようやく納得してくれたようだ。納得した妹は変化した俺の体を触りまくって自分のと比べていた。
「お兄ちゃん・・ずるい」
「え・・なんでだ?」
「だって・・私よりスタイルいいもん。」
「そ、そうか・・」
俺は妙に納得すると学校の支度を始めた。両親に変化を一通り見せると大して驚いた様子はなくむしろ
喜んでいたようだ。どうも両親とも女の子がほしかったらしく俺の女体化を快く喜んでいた。
一応、今日は妹の下着を借りて登校した。
だが、学校では更なる混乱が待ち受けていた。
726 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 02:57:00.01 hKguW1WR0
学校に登校すると明らかに視線が変わっていた。俺が席に座ると男女ともに
俺の変化にざわついていた。珍しく、いつもなら隆二がいるのに今日は珍しくいなかった。俺は適当に読書をすると
いつも俺と話している男子が照れながら近寄っていた。
「よ、よぉ・・明人。」
「ああ、おはよう。・・・どうしたんだ?」
「い、いや・・なんでもない。それよりもお前ついに女になったのか。」
「ああ・・あんまりいわんでくれ。」
俺は少しムスッとしながら本に視線を移した。いつもなら適当な会話をした後こいつは去るのだが、今日は明らかに
去ろうとする意思がなかった。むしろ獲物を見つめる目で俺を見ていた。
727 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 02:58:17.24 hKguW1WR0
「な、なぁ・・今日暇か?」
「はぁ?何言って・・」
俺が言おうとしたその瞬間・・廊下から叫び声が聞こえた。
「うるせぇ!!二度と寄ってくるな!!」
どこからか叫び声がした。しかも俺にはこの叫び声には聞き覚えがあった。
むしろ、よく知っている人物の声だった。
「全く・・ん?お、お前・・明人か。」
さっきの怒鳴り声の発生源・・隆二が登校していた。隆二ははとが豆鉄砲を喰らった様な
顔をして俺を見つめていた。
728 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 03:10:35.05 hKguW1WR0
「あ、ああ・・」
俺は面食らった隆二の顔を見つめているとHRのチャイムが鳴った。
全員が席に着くと隆二は外に向いていた。
「明人君って女の子になると結構いいわね。」
HRが終わった後、俺の周りには女子の囲まれた。以前なら興奮すべき状況なのだが女となった今、全くといっていいほど
興奮がなくなった。むしろ別の意味での親近感を覚えていた。俺は女子にいろいろなところをいじられた。
髪を結ばれたり、胸を触りあいこしたりと男のときとは考えられない状況であった。
「明人君の髪質って結構繊細なのね。」
「あ、ああ・・男のときはそうでもなかったけど・・」
「それに顔もスタイルもよさそうだし。女になって正解だったかもね。」
俺は女子からの質問に適当に答えていると隆二のほうを見た。今日の隆二は珍しく荒れていた。いつもなら女子が周りを取り囲むのだが
このときばかりは隆二の席に誰も寄り付かなかった。隆二を見続けていると1人の女子がニヤつきながら・・
「明人君って隆二君が好きなの?」
「そ、そんなわけねぇよ!!・・あいつはただの悪友だ。」
俺は思わず吹きそうになった。俺はあいつのことは・・ただの友人だ。そう思う。いや、絶対そうだ。今までだって遊んでいたわけだし。
2日前なんて俺のナンパの悲惨さを笑って返してくれた。
- だけど、このとき自分の中では隆二の中で別の“感情”が湧き出ていた。
730 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 03:26:21.26 hKguW1WR0
小一時間が過ぎ、時間はお昼休みへとなった。俺は隆二の席に腰掛けてお昼共にしようとしていた。
「よぉ!!・・何今日は荒れているんだ?」
「ああ・・ちょっとな。それよりもお前女になったんだなwwwww」
隆二は再びいつもの表情となりパンに噛り付いた。
「それにしてもお前は女になると別の顔になるんだな。」
「うるせぇよ・・それよりも朝はどうしたんだ?あんなに怒鳴りあげて・・」
俺は今朝の隆二の言動が気になっていた。いつものあいつなら俺より早く登校していたし俺に軽口を言っていた。
なのに今日は遅くていつもより荒れていた。・・こいつはめったなことでは切れないはずなのになんであんなに切れていたんだ。
「ああ・・余りにもしつこい女がいてな。そいつストーカーだったんだよ。それで・・ついな。」
そういえば前にストーカーの撃退法を教えてくれって言ってたな。こいつはただえさえモテるから
ストーカーもうなづける。
それに今日珍しく遅かったのはあれを撒くためにしたことだったんだな。
731 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 03:29:58.95 hKguW1WR0
「それにしても、お前女になってずいぶん綺麗になったんじゃないか?」
「それ何度も女子に言われたよ。・・仕方ないさ。」
「・・なぁ、今日はゲーセン行かないか?」
「何だよ急に・・」
「今日暇でさ、だから行こうぜ。俺が奢るから・・」
どうも隆二は俺を誘いたいらしい。それにこんなに強引に誘われるなんて・・まさかな。
「わかった。放課後・・な。」
「おkwwwさすが友人wwwwwwww」
- 結局放課後は隆二のおごりでゲーセン三昧だった。しかし、いつも隆二と行っているゲーセンなのだが
今日は行くのにかなり緊張した。それに周りの視線が非常に多かった。
732 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 03:30:33.67 hKguW1WR0
だからこいつとは友人だってば!!!
「ん?今日はお前やけに自意識過剰だな。」
「うるせぇな・・お前こそ今日は気前がいいな?」
「まあな。今日はお前の女体化記念だwwwww」
こいつは何考えてるんだ。なんだか無性に腹が立って仕方なかった。
だけど・・胸が少し熱かった。なんでだろう、男のときはそうでもなかったのに・・
今度誰かに聞いてみるか。
734 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 03:42:11.72 hKguW1WR0
あれから数日が過ぎ、俺も女の体には慣れてきた。学校の制服も女子の制服に変わった。
そして学校では俺宛にあるものが届いていた・・
「お、今日も多いなwww明人ちゃ~んwwww」
「うるさい!!!殴るぞ!!」
そう、俺の下駄箱には恋文・・すなわちラブレターが多くなったのだ。どうも俺はその容姿ゆえか女ではモテまくりらしい・・
だけど俺は元男のためそういったものは気分が悪い。むしろ胸糞が悪くなる。だけど、捨てるわけにもいかず
どうしようかと迷っているのだ。
「そんなもん捨てちまえよ。」
「でも、せっかく書いてくれたのに悪いだろ。一応目は通しておこうと思う。」
「そんなんだから増えるんだよ。」
俺は一応すべての恋文に目を通すと、そこから来る悪寒と戦いながら恋文をもくもくと制覇していた。でも結局は捨ててしまうのだが・・
それでも恋文は後を絶つことはない・・
735 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 03:43:10.29 hKguW1WR0
「それより今日はどこに行くべ?」
「またかよ。お前勉強大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫wwww」
あれからこいつは何かと理由をつけて俺を誘ってくるようになった。そのたびに男子の嫉妬の視線が怖いのだが
- こいつはわかっているのか。まぁ、奢ってくれるからそこはよしとするか。
「わかったよ。今日はカラオケでいいな。」
「よっしゃ。」
俺は吐息をつきながらこの後に起こる事件を予想だにしなかった。
736 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 03:51:47.85 hKguW1WR0
放課後、いつもどうりに帰りの支度をすると隆二が行く気満々であった。
「じゃ、行こ・・」
「おい、隆二後ろ・・」
「んあ?」
隆二は後ろに振り返ると担任が立っていた。
「隆二君、話があるから職員室に来なさい。」
「にゃんだってぇ~!!」
隆二の抵抗むなしく、隆二は担任の手により職員室に連行された。どうやら成績の話だろう。
あいつ成績悪いしな・・俺は隆二を置いて校庭へと向かった。
「さて、帰ろうかな・・」
「ハァ~イ、明人ちゃ~ん、ちょっとお話があるのよ。時間貸してくんない?」
見るからに不良・・俺は普通に無視をして帰ろうとすると行く手を阻まれた。俺はしつこく行く手を妨害する
不良に俺は何とか抜け出そうとするが不良はナイフを取り出した。
「ちょっと、付き合ってくれないかな。なぁに・・大したことじゃないよ。」
気持ち悪い顔をしながら俺はやむなく不良に従うしかなかった・・
737 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 03:58:13.96 hKguW1WR0
「前島さん、連れてきましたよ。」
「ご苦労さん。フフフ・・近くで見るといい女だなwwww」
不良が連れてきたのは学校の裏手でかなり目立たないとこだった。どうやらこいつがボスらしい。
ああ・・女になるんじゃなかった。俺はやれやれと己の運命に後悔するとボスがいやらしい目つきで
俺を見ていた。
「実はね、俺前々からお前に目をつけていたのよ。付き合ってくれないかな?」
どうやらこいつは俺と付き合いたいらしい・・そんなもん断固 お 断 り だ。
「嫌だね。ましてや、てめぇ見たいな男となんか付き合わん。」
「う~ん・・じゃ、力ずくだ!!」
そういって4~5人ぐらいの不良たちが出てきた。俺はかなりピンチに陥った。
「どうする・・」
「さて、決して痛めつけるなよ。やれ・・」
「うッ・・隆二・・」
なぜか俺は隆二のことで頭が一杯だった。
739 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 04:21:57.14 hKguW1WR0
「ヒヒヒ・・」
「う・・」
俺はどうすることもできないのか・・俺は目を閉じた瞬間、誰かの叫び声が聞こえた。
「よぉ、明人www」
「隆二・・」
来てくれた・・隆二だ。やっぱり来てくれると思った。隆二は取り巻きの
1人を吹っ飛ばすとにっこり笑顔で・・
「お前、さらわれるほど可愛かったんだなwww」
「ば、バカ言うんじゃねぇよッ!!・・だ、大体なんでここが?」
「勘だよ。勘www」
隆二は憎たらしい笑顔で頭を指差していた。
「てめぇ何者だ!!・・お前らやれ!!」
前島の命令で取り巻きが隆二に飛び掛った。・・フッ、相手が悪かったな。隆二は空手を趣味で
やっているからかなり強いんだよwwww
予想通り、取り巻きは呆気なく全滅し。残るは前島1人となった。
740 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 04:23:52.35 hKguW1WR0
「てめぇ・・」
「よくも俺のダチをこんな目にあわせたな!!ただじゃ返さんぞ!!」
隆二は前島に飛び掛り、めためたにぶちのめした。それはもう酷いくらいに・・その時の隆二の目は怒りの色の染め上げており
前島を言葉には表せないくらいに殴りまくっていた。
「お、おい。もう、やめろよ。そいつかなり伸びてるぞ。」
「あ、ほんとだ。」
- 数分後、俺は興奮していた隆二を止めると、すでにサンドバックと化していた前島を見下ろした。本当にこのまま止めなかったら殺してたかもしれん。
前島は完膚無きにメタメタにされており息をしているか時点で怪しいものだった。・・それにしても、今日は隆二がかっこよく見えた。“男”として・・
そして俺の胸はこいつにキュンッとしていた。
「さて、帰るか。・・ん?明人どうした。―――ッ!!」
「・・ありがとう。」
なぜか俺は反射的に隆二に抱きついてしまった。何でかは自分でもさっぱりわからなかったが、
隆二は優しく抱きしめてくれた。俺の体はさらに熱を増して熱くなった。
741 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 04:26:13.37 hKguW1WR0
「フッ・・やっぱお前は女が可愛いよ。この俺が保障してやるよ!!」
「バカいうな!!!」
「本当さ。」
「じゃあ、じゃあ。今後、元に戻れる方法が発覚して俺が戻るって言い出したら、お前はどうするんだよ!!」
嘘・・俺はもう、男になんか・・戻りたくない。これは恋だ。
よく漫画とかである恋する乙女の気持ちだ。
- それに俺は女としてこいつに一目ぼれしてしまったんだ。
隆二はすべてを見透かしていたのか俺にそっと口付けを交わした。
742 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日:2006/09/14(木) 04:27:19.92 hKguW1WR0
「これでお前は完全な女だ。もう・・元には戻れんさ。」
「こ、このやろ・・」
俺は拳を振りかざしたが急に止めた。・・もう、どうでもよかった。俺は隆二から離れると・・
「・・バーカ!!」
「バカで結構www俺は成績悪いからなwwwww」
他愛もない隆二・・そうだ、俺はこいつが好きだったんだな。女になって数日しか経っていないが、女ってこんなんだったんだな。
繊細な恋をして傷つきやすくって・・男のときの俺は恋って言うものを知らなかったんだな。
「フフフ・・そういうことだったんだな。俺はお前が好きだったんだな!!」
「おい、明人・・頭でも打ったか?」
「いんや、正常だ。・・女としてな。」
俺はカラオケに向かいながら友人から彼氏へと昇格した隆二を引き連れていた。
fin
最終更新:2008年09月17日 20:28