?:てるてるぼーず、てる坊主。あーした天気にしておくれー。いつかのー夢の空のよに、晴れたらー金の鈴あーげーよー。
ごろごろ ぴかっ
ざぁーざぁー
ヒイカ:止みそうにないわね。
ネクリア:雨宿りできる家があってよかったわー。
ヒイカたちは、急激に降り出した雨に困り、見つけた1軒の洋館に雨宿りすることにしたのだった。
誰かが最近まで使っていたのか、埃も少なく、電気もきちんとついた。
シュロ:もっと不気味成分欲しいですね。
ジャング:幽霊や妖怪がいて、これ以上何に驚けって言うんだ。
エール:神とか仏とかぁ?
ウミナギ:けッ。神様ねェ…
ヤズネ:わちきたち妖怪が神なんて信じてちゃダメでやすよね~。
ネクリア:妖怪は陰、神は陽だものね。一般的にだけど。
ジャング:実際は陽の奴が陰よりも悪の場合も多いよな。
ネクリア:だからー、一般的にって言ったじゃないの。
ごろごろ
フバクノソラワ:ネクリア様ーっ!怖いですっ…
ネクリア:あらあら。
ソルト&シュガー:男のくせに雷怖がるなよなー。
ヒイカ:別に怖いものは怖くていいんじゃない?それをどう克服するかが問題なのよ。
ユラク:男の子でも怖いものは怖いよねー!
きぃ…
ミョンガー:ん~?
ハリイノギョ:どないしたん?
ミョンガー:あそこのドア、今開いたよね~?
ハリイノギョ:元々開いてたんやないの?
ミョンガー:音がしたから間違いないと思うんだけどな~。
ハリイノギョ:たとえ幽霊か何かやったとしても、こっちには幽霊も妖怪もおるんやし、怖くないやろ。
ミョンガー:そうだね~。
しばらくゆっくりして
ユラク:でーきたっ!
ウミナギ:いきなり何だよ。うるせェな。
ユラク:みてみてー!
ユラクは、作ったてるてる坊主を見せた。
ガーラミンド:へんっ!ガキだな。
シュロ:覚悟はいいですか?
シュロは右手に炎を纏わせた。
ガーラミンド:うぉぉ!?
ハリイノギョ:(ユラクはんを弄るのは命がけになりそうやな…)
ユラク:でさでさ!皆でこれ作らない?
ヒイカ:なんでそんな面倒なもの作らなきゃいけないのよ。それ作ったからって変わらないわよ?
ネクリア:ま、気分の問題よね。どうせすることないし、しましょ!
フバクノソラワ:わーいっ!てるてるー!
ミョンガー:あんまり器用じゃないんだよね~。
ハリイノギョ:わいもや…
ジャング:てるてる坊主に器用さはそこまでいらないだろ…
ウミナギ:俺はやらねェぞ。面倒なだけだしなァ。
ペライト:エー、ツクラナイノカー?
ウミナギ:全員で作ったって数だけ増えて邪魔だろォ?
ヤズネ:そう言うなでやすよー!ウミナギも作ろっ?ね?
ヤズネはウミナギを引っ張った。
ウミナギ:作らねェって言ってんだろォ!
ヤズネ:そんな我が儘言っちゃダメでやすよ!
ウミナギ:しないものはしないんだよ!
ヤズネ:むむむー!だったら…
ぽんっ
ヤズネ:じゃじゃーんっ!
ヤズネは、人間の姿に変身した。
ヒイカ:あれ?あんた人間になれないんじゃなかったの?
ヤズネ:この前の神隠しの村で、なんか人間になれちゃったんでやす。それ以降自由自在に!
ヒイカ:無茶苦茶ね。
ヤズネ:ねぇウミナギー!一緒に作ろう?
ヤズネはウミナギの腕を掴み、上目遣いで見つめた。
ウミナギ:う…ァ…はッ!だ、騙されねェぞ!
ウミナギはヤズネを振り払った。
ミョンガー:騙されないって何が~?
ウミナギ:な、ななななんでもねェよ!!
ハリイノギョ:どないしたんや?えらい動揺しとるなぁ。
ウミナギ:してねェ!!
ヤズネ:はい、作るでやすよー♪
結局ウミナギも一緒に作った。
ネクリア:うん、こんな感じでいいわね。
てるてる坊主の山…
ヒイカ:1人いくつ作ればこうなるのよ…←2個
ネクリア:別にいいじゃないの!たくさんあった方が効き目ありそうでしょ!←40個
ジャング:量より質が大事だぞ。←6個
エール:質より量でしょー?←32個
ユラク:楽しければいいんだよ!←38個
フバクノソラワ:楽しかったぁ!←16個
ミョンガー:目とかって上手く描けないね~。←11個
ハリイノギョ:せやなー。←13個
ヤズネ:で、これどうするんでやす?←29個
ソルト&シュガー:こんな量、吊るすのも大変だねー。←2人で15個
チクテキ:…。…←4個
シュロ:けど、作ったのならちゃんと吊るしたいですね。←10個
ガーラミンド:そんな場所もねーだろ。←8個
ウミナギ:だから言ったじゃねェか。邪魔になるだけだってよォ。←52個←WIN!
…………
お前が一番多く作ってるじゃん。とつっこむ気もおきなかった…
深夜
ネクリア:今夜はここで寝ることになりそうね。
ジャング:それはいいが、この大量のてるてる坊主をどうにかしないと寝づらいぞ。
ネクリア:てきとーに寝ればいいのよ。
ジャング:おいおい…
てきとーに寝た。
ジャング:(起きてる奴は…いるのか?寝そびれたな…)
ジャングは起こさないように外に出た。
ジャング:(雨は止んだな。明日の朝には行動出来そうだ。)
???:なーにやってんの。
ジャング:!?
後ろから声がして、ナイフを構えつつ振り向いた。
ヒイカ:あら、物騒ね。
ジャング:ヒイカ…
ヒイカ:そういえば、あんたと2人で話すことなんて滅多にないわね。
ジャング:そう…だな。いつもネクリアがいるからな。
ヒイカ:前から聞きたかったんだけど、あんたどうしてネクリアと一緒にいようと思ったの?
ジャング:もう何年前かわからないが、俺がまだリッパー様に仕えてた頃…
ヒイカ:あ、長くなる?
ジャング:そこそこにな。
ヒイカ:じゃあいいわ。面倒。
ジャング:聞いといてそれはないだろ…
ヒイカ:別に長話が聞きたいわけじゃないもの。
ジャング:相変わらずよくわからないな。
ヒイカ:え?そんなに私よくわからない性格してる?
ジャング:わからないな。勝ちにこだわってるかと思えば、相手の力に合わせて戦ったり、せっかちかと思えば、余計なくらい呑気にしてたりな。
ヒイカ:そんなものでしょ。
ジャング:そうか?
ヒイカ:そうよ。
ジャング:そういうことにしておこう。
ヒイカ:で、あんたってなんで戦うの?
ジャング:なんだそのバトルアニメのようなセリフ…
ヒイカ:ふと思ったから。
ジャング:なんで…と聞かれてもな。答えは簡単だ。
ヒイカ:ん、そうなの?
ジャング:強くなりたい…大切なものを、守るために…!
ヒイカ:へぇ、大切なものね。それってネクリアよね?
ジャング:ぐっ。
ヒイカ:あんたもとことん忠実よねー。ウミナギとかもそうだけど。ネクリアってそこまで魅力的?
ジャング:ネクリアのどこに魅力があるのかは分からない。でも、あいつには人を引き寄せる何かがある。
ヒイカ:それはわからなくはないわね。
ジャング:俺はあいつについていくよ。あいつとなら世界を変えられるって信じてる。そのためにも、お前にも協力してほしい。
ヒイカ:今は私もネクリアもその事は考えてないけどね。
ジャング:わかってるさ。だから俺も何も言わない。いつかまたネクリアがふと言い出したら、俺が全力でサポートする。
ヒイカ:もう惚気話はいいわよ。あとは本人に向かって惚気てあげなさいな。
ジャング:本人に向かっては言えないだろ…
ぼぅー…
ヒイカ:ん?何の音?
ジャング:洋館の中からだな。
ヒイカ:行くわよ!
ジャング:ああ!
ヒイカとジャングは音が聞こえる方へと走った。
?:てるてるぼーず、てる坊主。あーした天気にしておくれー。いつかのー夢の空のよに、晴れたらー金の鈴あーげーよー。
ヒイカ:てるてる坊主…?
ジャング:だな…
音は声で、巨大なてるてる坊主が揺れながら歌を歌っていた。
ジャング:これはどこにつっこめばいいんだ?
てるてる坊主:雨、止んだよ、金の鈴頂戴?金の鈴頂戴?
ジャング:金の鈴?
てるてる坊主:くれないの?雨止んだのに?
白かったてるてる坊主は、徐々に赤くなっていった。
ぽた ぽた
てるてる坊主から、赤い液体が落ちていった。
ジャング:なんだあれは…まさか、血か?
ヒイカ:何がどうなればてるてる坊主から血が出るのよ!
ジャング:都市伝説…「てるてる坊主の怪」
ヒイカ:何それ?
ジャング:寺で修行をしていた僧がいて、その僧の仕事は水遣りだったんだ。
ヒイカ:長くなる?
ジャング:そこそこにな。
ヒイカ:聞かなきゃダメ?
ジャング:お前が何それって言ったんだろ…
てるてる坊主:晴らしてあげよう…一箇所以外。
ヒイカ:続けて。短くまとめてね。
ジャング:雨が降り続け、僧は喜んだが他の僧たちは雨が嫌いだった。それが僧の所為にされ、いじめられたんだ。
ヒイカ:ひどい言いがかりね。
ジャング:一週間以内に雨を止ませろと無茶を言われ、出来る限りの事をして止ませる事に成功したんだ。
ヒイカ:へぇ、よかったじゃないの。
ジャング:だが、曇りだったのをいいことに、寺の僧たちは「晴れにしろと言った」と言いだしたんだ。
ヒイカ:曇りになっただけでもいいじゃないの。
てるてる坊主:てーるてーる…
てるてる坊主の怪は徐々に近づいてきた。
ヒイカ:おっと、これはどうすればいいのかしら?
ジャング:さぁな…
ヒイカ:いいからあんたは続けなさい。そこからヒントがあるかもしれないから。
ジャング:僧は絶望し、泣き崩れた。その次の日、空は快晴だった。一箇所だけを除いて。
ヒイカ:一箇所?…まさか!
ジャング:花壇の上には、毛布で首を縛った僧が吊るされていた。血の雨は、喉を切り裂いた僧の血で、僧の体は真っ赤に染まっていた。
ヒイカ:うっ…あまり想像はしたくないわね。
ジャング:寺の僧は、2度とこのようなことがないよう、歌にして後世に伝えたとされる。
ヒイカ:てるてる坊主の3番…
「それでも曇って泣いたなら、そなたの首をチョンと切るぞ」
ヒイカ:なるほどね。特にヒントなかったわ。聞いて損した。
ジャング:おいおい…
ヒイカ:けどそれだと少しおかしいわね。歌だと、誰かが首を切ったみたいじゃない?
ジャング:ああ、他にもおかしな部分はある。自分で首を吊るとはいえ、布団で縛った見えない状態で吊れるか?そして首を切れるか?
ヒイカ:やっぱり何かおかしい。ねぇ、てるてる坊主が怪として出るようになった理由はないの?
ジャング:それはないな。その僧の念…くらいしかな。
ヒイカ:念?だったら余計変よ。念で化けるくらいなら、死なないで寺の僧を殺せばいいんだもの。
ジャング:ということは…
ヒイカ:結論は出たわ。僧は寺の僧の誰かに殺された。てるてる坊主の怪は、その無念を晴らすために生まれた復讐の怪。
ジャング:だとしたら、出た以上することは…
ヒイカ:誰かの首も吊って同じ目に合わせるということ!
てるてる坊主:そなたの首も…チョンと切るぞ。
ジャング:だがどうする?このタイプのは、念が消えない限りは攻撃しても無駄だぞ?
ヒイカ:無念を晴らすのが一番だけど、幽霊とか念とか怪とかは担当外なのよね…
ジャング:幽霊とは違うだろ?
ヒイカ:一緒のようなものじゃないの?
シュロ:心外ですね。違いますよ。
シュロが壁をすり抜けて現れた。
ヒイカ:あら、起きたの?
シュロ:幽霊が夜に寝てどうするんですか。
ヒイカ:じゃあいつ寝てんのよあんたら…
シュロ:てるてる坊主の怪…逆をしてしまえばいいんです。
ジャング:逆?
シュロ:ユラク!
ユラク:はーい!
ユラクが現れた。
ユラク:まっかせてー!
ユラクは洋館を飛びだし、空から水をぶちまけた。
てるてる坊主:あ、雨…?降るな…降るな…!鈴…金の鈴…
ジャング:(どう考えても雨じゃないだろ…)
シュロ:あなたがいても、雨は降ります。あなたがいなくても、晴れになります。あなたはたしかに不運でした。でも…あなた程度に天気は操れない。
ジャング:同情してるのか厳しくしてるのかどっちなんだよ…
てるてる坊主:晴れ…晴れにしなきゃ…晴れに…
シュロ:あなたがいることで晴れになるんじゃない。晴れの日にのみあなたが現れているだけです。気づきなさい。そして…いつまでも囚われちゃいけない。あなたは、また転生するのです。
ヒイカ:転生?
ジャング:輪廻転生。死んでまた生まれ変わることだな。
シュロ:もう、自由になりませんか?あなたは、こんなところで苦しんでちゃいけません。
てるてる坊主:でも、晴れにしないと…
シュロ:あなたをいじめるような奴は、私が許しません。私はあなたの味方です。だから…もう、ゆっくりお休みなさい。
てるてる坊主:味方…?ずっと、欲しかった…
てるてる坊主の色が、白に戻っていった。
シュロ:今まで、よく耐えました。だから…次は、もっと素敵な人生になりますように…
てるてる坊主の怪は、消えていった。
すぅーっ
ユラクが戻ってきた。
ユラク:終わった?
シュロ:終わった。
ヒイカ:説得できるのね。
シュロ:幽霊にもなれなかった怪は、現世を彷徨ってはいけないんです。私たちも下手したら…そうだったから。
ヒイカ:似てるんだ?
シュロ:ええ。誰かを怨み、憎み、死んだ。私たちとね…
ヒイカ:あなたたちの過去も暗そうね。どいつもこいつも病み病みね。
ジャング:人の事言えないだろ?
ヒイカ:それもそうだけど。
シュロ:もう…何年前の事かしら…
ヒイカ:あ、語るつもりならお断りするわ。面倒。
ジャング:語らせてやれよ…
続く
最終更新:2014年03月16日 01:53