数年前
ユラク:おっねえっさまー♪
シュロ:あら、どうしたの?
まだ2人が人間だった頃…
2人は故郷を離れ、旅に出ていた。
ユラク:あのねあのね!あれがあれがすっごいの!
シュロ:どれが?どうすごいの?
ユラク:だからね、あれがすっごいの!
シュロ:あれじゃわからないわよ?
ユラク:あーもう!お姉様もこっちに来て!
ユラクはシュロの手を引っ張っていった。
シュロ:こらユラクっ!どこに行くの?
ユラク:いいから来て!
少し歩いて辿りついたのは、綺麗な花畑だった。
シュロ:綺麗…
ユラク:でしょ!?
ユラクは無邪気な笑顔を見せた。
ユラク:もっと奥行ってみよ?
シュロ:そうね、いってみましょうか。
2人は花畑の奥へと歩いた。
その途中で、折れた看板を見つけた。
ユラク:んー?何々…美の楽園?
シュロ:美の楽園って言うのでしょうね。美しい花畑だし、いい名前ね。
ユラク:なんだか不思議な気分…飛んでるみたいな気分!
シュロ:うん、私もなんだかいい気分。どうしてなのかしら?
ユラク:ねぇお姉様!しばらくここにいない?あたし気に入っちゃった!
シュロ:んー…そうね。日が落ちる頃には帰るからね?
ユラク:やったー!
2人は美の楽園で楽しく時間を過ごした。
はずだった。
シュロ:そろそろ日が落ちてきたわね…ユラクー、そろそろ行くわよー?
ユラク:…
シュロが呼びかけても、ユラクは返事しなかった。
シュロ:ユラク?たしかにいい場所だから行きたくないのはわかるけど、日が落ちるまでって約束よ?
話しかけながら近づいても、ユラクは反応しなかった。
シュロ:ユラク?どうしたの?
ユラク:お姉様…?どこに行くの?
ユラクは誰もいない空間に話しかけた。
シュロ:どこも行ってないわよ?ここにいるでしょ?
ユラク:待って!お姉様!置いていかないで!
ユラクは急に走り出した。
シュロ:ユラク!?どこに行くの!?
シュロはユラクを追った。
シュロ:ユラク!待ちなさい!
ユラク:お姉様!やだ!やだよ!待ってよ!
シュロ:(ユラク?何を見ているの!?)
ユラク:ねぇねぇお姉様。
シュロ:えっ?
後ろから声がし、振り向くとユラクが立っていた。
シュロ:いつの間に後ろに…?え、だってユラクは今…
前を見ると、誰もいなかった。
シュロ:(どうなってるの?今、私は…誰を追っていたの?)
ユラク:お姉様?どうしたの?
シュロ:い、いえ、どうもしてないわよ?
ユラク:あのねあのね!あれがあれがすっごいの!
シュロ:え?どれが?
ユラク:だからね、あれがすっごいの!
シュロ:あれじゃわからないわよ?(あれ、この会話…)
ユラク:あーもう!お姉様もこっちに来て!
ユラクはシュロの手を引っ張った。
シュロ:待ってユラク!どこに行くの?
ユラク:あれがすっごいの!お姉様もこっちに来て!
シュロ:(何が起こってるの?これは、この美の楽園に来る前の会話…)
ユラク:お姉様もこっちに来て!こっちに来て!
シュロ:ユラク!ここを出ましょう!えっと…
ユラク:どうしたの?お姉様?おねえs…
ユラクは一瞬で消えた。
シュロ:え!?
周りを見渡しても、誰もいなかった。
シュロ:ユラク…ユラク!?
シュロはユラクの名前を叫びながら、走り回った。
シュロ:ユラク!どこなの!?ユラクー!!
しばらく走ると、洞穴が見つかった。
シュロ:ユラク…お願い、いて…!
シュロは洞穴に入っていった。洞穴の中は、何かがあったのか崩れていた。
しかし、ユラクはいなかった。
シュロ:どこにいるのよ…ユラク…
?:人を探しているのかの?
シュロ:ええ、そうなのです。私の妹を探しているんです。
?:そうかいそうかい。じゃあ、手伝ってあげちゃろか?
シュロ:助かります。…え?(私は、誰と話をしているの?)
周りには誰もいなかった。
シュロ:(行かなきゃ…早く…ユラク!)
?:どこ見とう?
シュロ:えっ?
?:ここじゃき。
地面の液体の塊が空中に浮かびあがった。
シュロ:液体…?
?:俺は鵺。
シュロ:鵺?
?:もうすぐ面白いものが見れるぜよ。お前は幸せものなりよ。
シュロ:面白いもの?
?:ああ、その前に妹を探さんとあかんのう。
シュロ:そ、そうです!ユラクを…!
?:そうだ、お前さん、この場所の事を知らんようじゃけの。
シュロ:この場所?何か…あるのですか?
?:ここは美の楽園。別名…死の楽園。
シュロ:死の…楽園?
?:この楽園の花は毒があり、それは徐々に身体を蝕んでいく。
シュロ:えっ!?
?:お前は何か幻を見なかったかの?あの花には幻を見せる効果があるぜよ。
シュロ:幻?(そういえば…ユラクが瞬時に移動したような…)え!?だとしたらユラクは!?
?:はよぅいかんとまずいかもしれんのう。
シュロ:ユラク…!
?:じゃが!もう手遅れかもしれんのう。しかも、お前も花の毒にやられてしまうかもしれんぜよ?
シュロ:それでも…構わない!ユラクは、私の大切な妹なの!
シュロは洞穴を飛びだした。
?:ああそうじゃ、言い忘れとったぜよ。もうすぐこの国は…再び消えるんじゃった。
シュロは花畑を走っていた。
シュロ:ユラク…どこ…どこなの!?
がつっ
シュロの足元に何かがぶつかった。
シュロ:え?
そこには、倒れたユラクがいた。
シュロ:ユラク!!しっかりして!
ユラクはぐったりして動かなかった。
シュロ:ユラク…ユラク!!
すぅ…
シュロ:ユラク!ユラ…え!?
突然、周囲の花達の色が消え始めた。
シュロ:なに…これ…?
?:面白いものが見れるって言ったじゃろ?
シュロ:これは一体何なの!?
?:この国は死ぬんぜよ。最強の力、虹の力によってな。
シュロ:虹の…力?
?:面白いじゃろ?この国は、モノクロの世界となり、2度と生き返ることはない。
シュロ:どういうこと?何を言ってるの?
?:さーて、俺は行くぜよ。
シュロ:ま、待って!ユラクは…どうなるの?
?:花は国と共に死んだぜよ。毒はじき抜ける。後遺症は残るかもしれんけど、生きることはできるじゃろう。
シュロ:生きる…よかった、ユラク…!
?:じゃあの。また会えたらええのう。
それから数日かけて、シュロはユラクを連れて国を出た。
国を1歩出ると、白黒の世界からカラフルな世界になった。
ユラク:んー…?
シュロ:ユラク!
それから、ユラクは目を覚ました。が…
ユラク:お姉様ー?それとってー。
シュロ:ええ、どうぞ。
ユラク:食べさせてー。
シュロ:はいどうぞ。
ユラクは後遺症で、右腕が動かなくなってしまった。
シュロ:(全ては私の所為。どうして…私じゃなくてユラクがこんな目に…)
シュロは自分を怨んだ。神を怨んだ。自分が代われるものなら代わりたいと願った。
そして、シュロは禁忌に手を出した。
シュロ:出来た…
眠ったユラクを中心に描かれた魔方陣…
シュロ:(この陣で、私の腕を犠牲に、ユラクの腕を元に戻す!)
シュロは呪文を唱えた。
ユラク:(あれ?ここどこ?ああそっか。今日はここで野宿したんだった。お姉様はどこだろ?)
ユラクは周囲を見渡した。
ユラク:(あ、寝てる。ねぇお姉様ー。あたしお腹空いちゃった。何か食べる物あるー?)
シュロは目を覚まさなかった。
ユラク:(お姉様?どうしたの?ってあれ?何これ…魔方陣?お姉様何かしてたのかな?)
ユラクは魔方陣の上をぐるぐると飛びまわった。
ユラク:(…え?あたし、飛んでる?すごぉい!あたし空を飛んでるんだぁ!)
ふわふわと飛びまわるユラク…
シュロ:んー…?
ユラク:(あ!お姉様おはよう!お腹空いたよー!)
シュロ:そうだ…ユラク!ユラクは!?
シュロは飛び起きた。
ユラク:(ここにいるよー。見てみて!あたし空を飛べるの!)
シュロ:え…?ユラク?どこにいるの?
シュロはきょろきょろ周りを見ている。
ユラク:(何言ってるの?あたしはここだよ?ほら、目の前にいるでしょ?)
シュロ:ユラク!?どこなの!?
ユラク:(お姉…様?あたしが見えてないの?ねぇ、お姉様!あたし、ここにいるよ!?)
シュロ:ユラク…ユラク…!
シュロは魔方陣の中心に駆け寄った。
シュロ:ユラク!どこ!?ユラクをどこにやったのよ!
ユラク:(どうして?なんで見えないの?もしかして…あたし、死んじゃったの?…嫌!嫌だよお姉様!ねぇ!)
シュロ:なんで…右腕が動くの?ユラクの腕と引き換えにしろって言ったでしょ…?ユラクは、ユラクはどこなのよ!
ユラク:(あたしの手と引き換え…?もしかして、この陣はお姉様が?あたしの右手を治そうとして…)
シュロ:ユラク!どこ!?どこにいるの!?
ユラク:(あは、あはは…お姉様ったらばかだなぁ。ドジっこだから、失敗しちゃったんだね。それであたしは…)
シュロ:え…?何これ…
魔方陣の中心に落ちていたもの。それは…
シュロ:指…?何なのよ…これ…!?
ユラク:(指?あれっ?あたし…右手の小指ない。もしかして、あれってあたしの指?)
シュロ:返しなさいよ…ユラクを、返してよ…私の全てを捧げるから、ユラクを…返してよ!!
シュロは別の魔方陣を描き始めた。
ユラク:(お姉様!?だめだよ!もう陣は!)
シュロ:ユラク…待っててね、今…!
ユラク:(だめ!お姉様ぁぁぁぁぁぁ!!)
シュロ:ユラク…どこ?ユラク…ユラク…
それでも、ユラクの姿は見えなかった。
シュロ:どうして…ユラク…うぅっ
???:ワカラン。どうしてそんなに、ナイテル?ワカラン。
シュロ:誰…よ…
ベリト:ボクはベリト。キミ、なんでナイテル?ワカラン。ワカラン。
シュロ:妹…ユラクを消してしまったのよ…
ベリト:消した?
シュロ:禁忌に手を出したから…私が、ユラクを…
ベリト:禁忌?それでキミ、どうしたい?
シュロ:ユラクを助けたい…私はどうなっても構わない。ユラクだけでいい。ユラクだけは…!
ベリト:ワカラン。どうしてタスケタイ?ワカランけど、ボク、キミ、契約してあげる。
シュロ:契約?
ベリト:ボクと契約、妹、タスカル。
シュロ:本当!?ユラクを助けられるの!?
ベリト:ただし、ジョウケンある。
シュロ:何でもいい!ユラクが助かるなら!
ベリト:契約セイリツ。キミたちは…生きるコトもなく、死ぬコトもなく、在り続けるコトをメイズル。
シュロ:え?どういうこと…?
?:契約者は…って、お前か。
シュロ:鵺!
?:光栄に思うことぜよ。怨霊ベリト様の力になるんだからな。
シュロ:怨霊…力?
?:この方こそ、死に誘う怨霊ベリト様。お前たちのような阿呆どもを騙し契約し、力を蓄える最強の悪霊ぜよ。
シュロ:騙し…ですって!?
?:恩に着るぜよ。これでまた…俺達の計画は1歩前進する。そしてお前らはその代償として、この世を死ねない体で彷徨うぜよ!
シュロの体は消え始めた。
シュロ:なっ!ま、待ちなさい!
ベリト:ワカラン。そこまでして、妹タスケル。ワカラン。
?:家族愛ってやつぜよ。くだらない…利用されるだけのものぜよ。
ベリト:ワカラン。
?:ああそうだ。面白い事教えてやるぜよ。
シュロ:?
?:お前の妹の右腕、実は花の毒じゃなくて、先に俺がベリト様に献上してたんじゃけ。
シュロ:なっ!?(じゃあ、私の魔方陣は間違っていたわけじゃなかった…?)
?:だが、人の体全部はそいつ自身の契約が必要だったからな。結果的に俺の予想通りぜよ。
シュロ:この…っ!(こいつら…許さない!)
バチッ
?:!?なんぜよ!?
ベリト:このニンゲン、危険。
?:に、逃げるぜよ!
シュロ:うあぁぁぁぁぁぁぁーーーーっっ!!
シュロとユラクは幽霊となった。
出生が特殊だからか、普通なら自分の子孫に憑くはずの背後霊が、まったく関係のない人に憑く事になった。
その人間もオニダに殺され、背後霊にもなれなかったが…
シュロとユラクはベリトによって幽霊にされた。が、ベリトによって現世にいることが出来る。
ベリトが消える。それはすなわち2人の消滅も意味する。
それでも、シュロはベリトを倒すために追い続ける。
続く
最終更新:2014年03月16日 01:54