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024 幽~Agreement

   数年前

ユラク:おっねえっさまー♪

シュロ:あら、どうしたの?

   まだ2人が人間だった頃…

   2人は故郷を離れ、旅に出ていた。

ユラク:あのねあのね!あれがあれがすっごいの!

シュロ:どれが?どうすごいの?

ユラク:だからね、あれがすっごいの!

シュロ:あれじゃわからないわよ?

ユラク:あーもう!お姉様もこっちに来て!

   ユラクはシュロの手を引っ張っていった。

シュロ:こらユラクっ!どこに行くの?

ユラク:いいから来て!

   少し歩いて辿りついたのは、綺麗な花畑だった。

シュロ:綺麗…

ユラク:でしょ!?

   ユラクは無邪気な笑顔を見せた。

ユラク:もっと奥行ってみよ?

シュロ:そうね、いってみましょうか。

   2人は花畑の奥へと歩いた。

   その途中で、折れた看板を見つけた。

ユラク:んー?何々…美の楽園?

シュロ:美の楽園って言うのでしょうね。美しい花畑だし、いい名前ね。

ユラク:なんだか不思議な気分…飛んでるみたいな気分!

シュロ:うん、私もなんだかいい気分。どうしてなのかしら?

ユラク:ねぇお姉様!しばらくここにいない?あたし気に入っちゃった!

シュロ:んー…そうね。日が落ちる頃には帰るからね?

ユラク:やったー!

   2人は美の楽園で楽しく時間を過ごした。

   はずだった。

シュロ:そろそろ日が落ちてきたわね…ユラクー、そろそろ行くわよー?

ユラク:…

   シュロが呼びかけても、ユラクは返事しなかった。

シュロ:ユラク?たしかにいい場所だから行きたくないのはわかるけど、日が落ちるまでって約束よ?

   話しかけながら近づいても、ユラクは反応しなかった。

シュロ:ユラク?どうしたの?

ユラク:お姉様…?どこに行くの?

   ユラクは誰もいない空間に話しかけた。

シュロ:どこも行ってないわよ?ここにいるでしょ?

ユラク:待って!お姉様!置いていかないで!

   ユラクは急に走り出した。

シュロ:ユラク!?どこに行くの!?

   シュロはユラクを追った。

シュロ:ユラク!待ちなさい!

ユラク:お姉様!やだ!やだよ!待ってよ!

シュロ:(ユラク?何を見ているの!?)

ユラク:ねぇねぇお姉様。

シュロ:えっ?

   後ろから声がし、振り向くとユラクが立っていた。

シュロ:いつの間に後ろに…?え、だってユラクは今…

   前を見ると、誰もいなかった。

シュロ:(どうなってるの?今、私は…誰を追っていたの?)

ユラク:お姉様?どうしたの?

シュロ:い、いえ、どうもしてないわよ?

ユラク:あのねあのね!あれがあれがすっごいの!

シュロ:え?どれが?

ユラク:だからね、あれがすっごいの!

シュロ:あれじゃわからないわよ?(あれ、この会話…)

ユラク:あーもう!お姉様もこっちに来て!

   ユラクはシュロの手を引っ張った。

シュロ:待ってユラク!どこに行くの?

ユラク:あれがすっごいの!お姉様もこっちに来て!

シュロ:(何が起こってるの?これは、この美の楽園に来る前の会話…)

ユラク:お姉様もこっちに来て!こっちに来て!

シュロ:ユラク!ここを出ましょう!えっと…

ユラク:どうしたの?お姉様?おねえs…

   ユラクは一瞬で消えた。

シュロ:え!?

   周りを見渡しても、誰もいなかった。

シュロ:ユラク…ユラク!?

   シュロはユラクの名前を叫びながら、走り回った。

シュロ:ユラク!どこなの!?ユラクー!!

   しばらく走ると、洞穴が見つかった。

シュロ:ユラク…お願い、いて…!

   シュロは洞穴に入っていった。洞穴の中は、何かがあったのか崩れていた。

   しかし、ユラクはいなかった。

シュロ:どこにいるのよ…ユラク…

?:人を探しているのかの?

シュロ:ええ、そうなのです。私の妹を探しているんです。

?:そうかいそうかい。じゃあ、手伝ってあげちゃろか?

シュロ:助かります。…え?(私は、誰と話をしているの?)

   周りには誰もいなかった。

シュロ:(行かなきゃ…早く…ユラク!)

?:どこ見とう?

シュロ:えっ?

?:ここじゃき。

   地面の液体の塊が空中に浮かびあがった。

シュロ:液体…?

?:俺は鵺。

シュロ:鵺?

?:もうすぐ面白いものが見れるぜよ。お前は幸せものなりよ。

シュロ:面白いもの?

?:ああ、その前に妹を探さんとあかんのう。

シュロ:そ、そうです!ユラクを…!

?:そうだ、お前さん、この場所の事を知らんようじゃけの。

シュロ:この場所?何か…あるのですか?

?:ここは美の楽園。別名…死の楽園。

シュロ:死の…楽園?

?:この楽園の花は毒があり、それは徐々に身体を蝕んでいく。

シュロ:えっ!?

?:お前は何か幻を見なかったかの?あの花には幻を見せる効果があるぜよ。

シュロ:幻?(そういえば…ユラクが瞬時に移動したような…)え!?だとしたらユラクは!?

?:はよぅいかんとまずいかもしれんのう。

シュロ:ユラク…!

?:じゃが!もう手遅れかもしれんのう。しかも、お前も花の毒にやられてしまうかもしれんぜよ?

シュロ:それでも…構わない!ユラクは、私の大切な妹なの!

   シュロは洞穴を飛びだした。

?:ああそうじゃ、言い忘れとったぜよ。もうすぐこの国は…再び消えるんじゃった。

   シュロは花畑を走っていた。

シュロ:ユラク…どこ…どこなの!?

   がつっ

   シュロの足元に何かがぶつかった。

シュロ:え?

   そこには、倒れたユラクがいた。

シュロ:ユラク!!しっかりして!

   ユラクはぐったりして動かなかった。

シュロ:ユラク…ユラク!!

   すぅ…

シュロ:ユラク!ユラ…え!?

   突然、周囲の花達の色が消え始めた。

シュロ:なに…これ…?

?:面白いものが見れるって言ったじゃろ?

シュロ:これは一体何なの!?

?:この国は死ぬんぜよ。最強の力、虹の力によってな。

シュロ:虹の…力?

?:面白いじゃろ?この国は、モノクロの世界となり、2度と生き返ることはない。

シュロ:どういうこと?何を言ってるの?

?:さーて、俺は行くぜよ。

シュロ:ま、待って!ユラクは…どうなるの?

?:花は国と共に死んだぜよ。毒はじき抜ける。後遺症は残るかもしれんけど、生きることはできるじゃろう。

シュロ:生きる…よかった、ユラク…!

?:じゃあの。また会えたらええのう。

   それから数日かけて、シュロはユラクを連れて国を出た。

   国を1歩出ると、白黒の世界からカラフルな世界になった。

ユラク:んー…?

シュロ:ユラク!

   それから、ユラクは目を覚ました。が…

ユラク:お姉様ー?それとってー。

シュロ:ええ、どうぞ。

ユラク:食べさせてー。

シュロ:はいどうぞ。

   ユラクは後遺症で、右腕が動かなくなってしまった。

シュロ:(全ては私の所為。どうして…私じゃなくてユラクがこんな目に…)

   シュロは自分を怨んだ。神を怨んだ。自分が代われるものなら代わりたいと願った。

   そして、シュロは禁忌に手を出した。

シュロ:出来た…

   眠ったユラクを中心に描かれた魔方陣…

シュロ:(この陣で、私の腕を犠牲に、ユラクの腕を元に戻す!)

   シュロは呪文を唱えた。





ユラク:(あれ?ここどこ?ああそっか。今日はここで野宿したんだった。お姉様はどこだろ?)

   ユラクは周囲を見渡した。

ユラク:(あ、寝てる。ねぇお姉様ー。あたしお腹空いちゃった。何か食べる物あるー?)

   シュロは目を覚まさなかった。

ユラク:(お姉様?どうしたの?ってあれ?何これ…魔方陣?お姉様何かしてたのかな?)

   ユラクは魔方陣の上をぐるぐると飛びまわった。

ユラク:(…え?あたし、飛んでる?すごぉい!あたし空を飛んでるんだぁ!)

   ふわふわと飛びまわるユラク…

シュロ:んー…?

ユラク:(あ!お姉様おはよう!お腹空いたよー!)

シュロ:そうだ…ユラク!ユラクは!?

   シュロは飛び起きた。

ユラク:(ここにいるよー。見てみて!あたし空を飛べるの!)

シュロ:え…?ユラク?どこにいるの?

   シュロはきょろきょろ周りを見ている。

ユラク:(何言ってるの?あたしはここだよ?ほら、目の前にいるでしょ?)

シュロ:ユラク!?どこなの!?

ユラク:(お姉…様?あたしが見えてないの?ねぇ、お姉様!あたし、ここにいるよ!?)

シュロ:ユラク…ユラク…!

   シュロは魔方陣の中心に駆け寄った。

シュロ:ユラク!どこ!?ユラクをどこにやったのよ!

ユラク:(どうして?なんで見えないの?もしかして…あたし、死んじゃったの?…嫌!嫌だよお姉様!ねぇ!)

シュロ:なんで…右腕が動くの?ユラクの腕と引き換えにしろって言ったでしょ…?ユラクは、ユラクはどこなのよ!

ユラク:(あたしの手と引き換え…?もしかして、この陣はお姉様が?あたしの右手を治そうとして…)

シュロ:ユラク!どこ!?どこにいるの!?

ユラク:(あは、あはは…お姉様ったらばかだなぁ。ドジっこだから、失敗しちゃったんだね。それであたしは…)

シュロ:え…?何これ…

   魔方陣の中心に落ちていたもの。それは…

シュロ:指…?何なのよ…これ…!?

ユラク:(指?あれっ?あたし…右手の小指ない。もしかして、あれってあたしの指?)

シュロ:返しなさいよ…ユラクを、返してよ…私の全てを捧げるから、ユラクを…返してよ!!

   シュロは別の魔方陣を描き始めた。

ユラク:(お姉様!?だめだよ!もう陣は!)

シュロ:ユラク…待っててね、今…!

ユラク:(だめ!お姉様ぁぁぁぁぁぁ!!)





シュロ:ユラク…どこ?ユラク…ユラク…

   それでも、ユラクの姿は見えなかった。

シュロ:どうして…ユラク…うぅっ

???:ワカラン。どうしてそんなに、ナイテル?ワカラン。

シュロ:誰…よ…

ベリト:ボクはベリト。キミ、なんでナイテル?ワカラン。ワカラン。

シュロ:妹…ユラクを消してしまったのよ…

ベリト:消した?

シュロ:禁忌に手を出したから…私が、ユラクを…

ベリト:禁忌?それでキミ、どうしたい?

シュロ:ユラクを助けたい…私はどうなっても構わない。ユラクだけでいい。ユラクだけは…!

ベリト:ワカラン。どうしてタスケタイ?ワカランけど、ボク、キミ、契約してあげる。

シュロ:契約?

ベリト:ボクと契約、妹、タスカル。

シュロ:本当!?ユラクを助けられるの!?

ベリト:ただし、ジョウケンある。

シュロ:何でもいい!ユラクが助かるなら!

ベリト:契約セイリツ。キミたちは…生きるコトもなく、死ぬコトもなく、在り続けるコトをメイズル。

シュロ:え?どういうこと…?

?:契約者は…って、お前か。

シュロ:鵺!

?:光栄に思うことぜよ。怨霊ベリト様の力になるんだからな。

シュロ:怨霊…力?

?:この方こそ、死に誘う怨霊ベリト様。お前たちのような阿呆どもを騙し契約し、力を蓄える最強の悪霊ぜよ。

シュロ:騙し…ですって!?

?:恩に着るぜよ。これでまた…俺達の計画は1歩前進する。そしてお前らはその代償として、この世を死ねない体で彷徨うぜよ!

   シュロの体は消え始めた。

シュロ:なっ!ま、待ちなさい!

ベリト:ワカラン。そこまでして、妹タスケル。ワカラン。

?:家族愛ってやつぜよ。くだらない…利用されるだけのものぜよ。

ベリト:ワカラン。

?:ああそうだ。面白い事教えてやるぜよ。

シュロ:?

?:お前の妹の右腕、実は花の毒じゃなくて、先に俺がベリト様に献上してたんじゃけ。

シュロ:なっ!?(じゃあ、私の魔方陣は間違っていたわけじゃなかった…?)

?:だが、人の体全部はそいつ自身の契約が必要だったからな。結果的に俺の予想通りぜよ。

シュロ:この…っ!(こいつら…許さない!)

   バチッ

?:!?なんぜよ!?

ベリト:このニンゲン、危険。

?:に、逃げるぜよ!

シュロ:うあぁぁぁぁぁぁぁーーーーっっ!!

   シュロとユラクは幽霊となった。

   出生が特殊だからか、普通なら自分の子孫に憑くはずの背後霊が、まったく関係のない人に憑く事になった。

   その人間もオニダに殺され、背後霊にもなれなかったが…

   シュロとユラクはベリトによって幽霊にされた。が、ベリトによって現世にいることが出来る。

   ベリトが消える。それはすなわち2人の消滅も意味する。

   それでも、シュロはベリトを倒すために追い続ける。




                              続く




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最終更新:2014年03月16日 01:54
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