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033 界~Withdrawal

   西の町の東

ハリイノギョ:あかんがな!あんなん相手するんはあかんて!

エール:と言われてもねー、私はここを任されたわけで、その相手が液体だろうがドラゴンだろうが関係ないわけでぇ♪

ハリイノギョ:(あのただどでかいだけのバース妖怪の奴とはちゃうねんて!こいつは、このでかさを活かせる頭脳を持ってるんや!)

コリス:この聖龍の攻撃を、止めれるものなら止めてみよ!

   セイントドラゴリスは大きな腕を振り上げ、地面をも抉る鋭い爪で攻撃をしかけてきた。

ハリイノギョ:ぎょへー!なんちゅう一撃や!?

コジャ:俺も忘れてもらっちゃ困るぜよ。

エール:いっけぇー♪

   バン バン

   バシャ バシャ

   エールの撃った弾はコジャを貫通した。

コジャ:無駄ぜよ。液体の鵺である俺に、そんな物理的な攻撃が通用するとでも思ってんのかじぇ?

エール:えー?それもそうねぇ。んじゃあ、そろそろ本気でいっちゃうよぉ♪

   エールは銃を構えた。

コジャ:本気?さっきまでと何が変わってるぜよ?

エール:き・も・ち♪

   バン

   ドシュッ

コジャ:んあ…?

   見た目は先ほどと同じく、コジャの身体を貫通した。

コジャ:ぐっ…な、なんぜよ…?液体の俺がこんなモンに…!

エール:本気だって言ったじゃなぁい♪

コジャ:くそっ…ドラゴン!

コリス:ドラゴンじゃなくて、セイントドラゴリスだ!

   ドゴッ

   セイントドラゴリスが腕を振り下ろすだけで、地面が割れ、砂埃が舞い上がった。

エール:うーん、獲物が多いのはいいんだけど、戦いづらいなぁ。

ハリイノギョ:エールはん!ここはいったん引くべきや!そのうちヒイカはんたちが戻ってくる!それまで逃げつつ耐えるんや!

エール:えー、私の獲物だよー?

ハリイノギョ:知らんがな!

コリス:はぁぁぁーー!!

   セイントドラゴリスは鋭い爪や尻尾を振りまわし、暴れまわった。

ハリイノギョ:わわっ!これはアカンっ!

エール:ちょっと…これは危ないかなぁ…

コジャ:お、おい!俺にまで当たるぜよ!ちょっとは手を…

コリス:我らベッガーに…死角はない!

   ゴォォォォー

   セイントドラゴリスはさらに炎を吹き、大暴れし始めた。

エール:(まずい…!)

コリス:燃え尽きろ!

コジャ:くそっ…あんの野郎…!

ハリイノギョ:エールはん!危ない!

   激しい炎がエールに向かって勢いよく飛んできた。

エール:あ、やば…

   ゴォッ

   ボォォォォォ

   別の方向から飛んできた炎が、セイントドラゴリスの炎を打ち消した。

ハリイノギョ:あの炎は!?

ウィカルド:ウィククク…とうとう正体を晒したようだな、セイントドラゴリス。

ハリイノギョ:ウィカルドはん!!

コリス:ウィカルド…そういえば、お前も危険な相手のようだったな。

ウィカルド:ウィククク。これ以上好き勝手はさせないぜ?ネガティブベッガーさんよ。そして…液体の鵺!

ハリイノギョ:(せや…ウィカルドはんは、鵺に私怨があったんや…。そして今の炎を打ち消す火力…これは、戦力や!)

ウィカルド:さぁ、さっさと終わらせようぜ?この町を、壊す事は許さねぇ!

   西の町の北

ウミナギ:ちッ!やっぱり普通の技じゃ効かねェか…

ヨドリ:君はあの頃と変わっていないな。

ウミナギ:んだとォォ!?

ヨドリ:結局、僕の空間からは逃げられないのさ。

ウミナギ:あァ?ハッ!

   ウミナギが見渡すと、ミョンガーも、トレアもフバクノソラワも、三憑もいなかった。

ウミナギ:あァ…あの時のだなァ?

ヨドリ:さぁ、お望みはタイマンだろう?

ウミナギ:おもしれェ…今度は逃げんじゃねェぞォォォォ!!

ヨドリ:逃げないさ。今回の目的は、君らの殲滅だからね。

ウミナギ:『ハンターハブゴブリン!』

ヨドリ:気体の餌食となれ!

   西の町上空

ジャング:あそこだ!

ヒイカ:降りるわよ。

   ヒイカたちはようやく西の町の東に辿りついた。

ヒイカ:エール!

ネクリア:ハリイノギョ!

エール:あ、みんなぁ♪

ハリイノギョ:よかった!間に合ったんやな!

ヤズネ:何があったでやす?

ハリイノギョ:コリスはんが…ネガティブベッガーだったんや!

ガーラミンド:はぁ!?んなことあり得るかよ!

ハリイノギョ:ほんまやねん!

   ゴォォッ

ヤズネ:ところで、さっきから戦ってるのって…

ジャング:え…ウィカルド…?

エール:そうなのよぉ。暴れまわったドラゴン相手に手助けしてくれたのよぉ♪

ジャング:あいつ、本当はどっちなんだよ…敵なのか?味方なのか?

   ドゴッ

ウィカルド:ぐあっ!

   そういっている内に、一人でセイントドラゴリスに勝てずウィカルドは吹き飛ばされた。

ハリイノギョ:ウィカルドはん!

ジャング:あいつ…くっ…!

   ジャングはウィカルドに近づき、手当を始めた。

ウィカルド:お前…ウィクク…なんだ?俺の事は認めてくれないんじゃなかったのか?

ジャング:…聞かせてくれ。お前は、俺たちの何なんだ?

ウィカルド:クク…知らねぇよ。ただ、倒すべき相手が同じなら、味方なんじゃねぇの?

ジャング:生意気言いやがって…悪者みたいなフラグばっか立てすぎなんだよ。

ウィカルド:うまかっただろ?俺の悪い奴演技。

ジャング:ああ…最高にな。

ヤズネ:後は任せるでやすよ。わちきらの出番でやす!

ガーラミンド:待て待て!俺様の出番だろ?

ヤズネ:邪魔でやすよー!

コリス:何を話しているか知らないが、せっかく集まったのなら、いっそ全員なぎ倒してくれる!

ネクリア:コリス…あんた…

コリス:驚いた?これが私の真の姿。

ネクリア:綺麗な薔薇には棘があるとは、よく言ったものね。

コリス:見たところ、負傷しているようで。それだけ負傷していれば、私のパワーの前に太刀打ちできないでしょう?

ヤズネ:お生憎様!わちきは元気元気超元気でやすよ!ふっ、綺麗と持て囃されていればいいものを!正体を晒した事でわちきに倒されるハメになるんでやすよ!

ジャング:なんだ?お前随分とやる気だな。何かあったのか?

ヤズネ:べっつにー!!ほらドラゴン!いくでやすよー!

コリス:ドラゴンではなく、セイントドラゴリスだ。

ヤズネ:し・る・かっ!わちきには関係なーいね!

   ヤズネはふよふよと飛び、ある程度の高さまで飛ぶと体を思いっきり反らした。

ヤズネ:いっくぞー!『バーストクロウ!』

   オーラを纏った切り裂きは、セイントドラゴリスを襲いかかった。

ヤズネ:どーだっ!

コリス:強力だが…このドラゴンの鱗の前には無意味!

ヤズネ:なるほど、物理耐久は高いんでやすね。そんじゃあ、そんなものが関係なければいいんでやすね?

コリス:何をするつもり?

ヤズネ:『ミラーアイズ!』

   シュン シュン

   ヤズネは3人に分身した。

ガーラミンド:あいつ分身できたのか!?

ハリイノギョ:器用なやっちゃなぁ…

コリス:たった3匹程度の分身なら、全員潰すまで!

   セイントドラゴリスは2つの腕と鋭い牙で3人同時に攻撃した。

ジャング:ヤズネ!

コリス:(手応えが…ない?)

ヤズネ:悪いけど、それは全部偽物でやすよ。

   ヤズネはセイントドラゴリスの真上を飛んでいた。

コリス:ナメたマネを…!

ヤズネ:『可視不可視の妖怪!』

コリス:!?

   セイントドラゴリスは目を疑った。自分の見ている風景が、まるで違うものに変化したからだった。

コリス:これは…?

   まるで別の、どこかも分からない湿原。

コリス:ふん…どうせ視界を操るなんかしらの能力なんだろう?こういうのは大抵強い攻撃をする事で砕く事が出来るか、実際場所に変化はないかのどちらかだ。

   セイントドラゴリスは暴れまわり、そこら中を攻撃した。

   腕や尻尾を振りまわし、炎を吐き、その全てを破壊した。

コリス:おかしい…この付近には建物もあったはず…という事は、結界の中か?いや、だとしてもあの程度の小物の結界がこれほど頑丈なはずがない!

ヤズネ:小物?随分な言われようでやすねぇ?

コリス:どこだ!

ヤズネ:ずーっと…ここにいるでやすよ?

コリス:(方向が分からない…厄介な能力を!)

ヤズネ:お前は私たちを、甘くみているのだよ。

コリス:!?(口調が違う…?)

ヤズネ:この空間は夜雀の力に五大狂能力の力を付加して強化した、最強の結界。ただ暴れるだけのドラゴンに破れる結界じゃないよ。

コリス:ちょこざいな!

ヤズネ:そしてこの空間なら…逃れる術はないよ。『ボイスゴーマッド!!』

   ヤズネは狂気の音を発した。

コリス:ぐ…こ、これは…!まさか…!?

回想~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

コリス:五大狂能力?

マジックサイレント:そ。この世界にはそう呼ばれる狂気の生物が5体もいるらしいんダ。

アクアミュージッカー:で?そいつらがなんなんだYO?

マジックサイレント:見タダけで生き物を狂わせるリーダー格の月光狂気を始めとして、どいつもこいつも馬鹿みたいに強いらしいんダ。

コリス:それは、私たちベッガーの障害になる程の者たち?

マジックサイレント:なるね。月の力、時の力、鏡の力、夢の力、そして音の力。どの能力者も戦えばタダじゃ済まない。

??????????:面白い。どれほど力が通用するか試してみたいものだ。

ガーデンバード:馬鹿かぁ?戦いは避ければいいんだよぉ!

コリス:避けれなかった場合は?

マジックサイレント:即座に戦闘を中止して、そこのエネルギーは諦めるのが得策ダね。

アクアミュージッカー:敵前逃亡かYO!

マジックサイレント:仕方ないダろ?こいつら、姿は普通の生き物ダからすぐに分からない。僕らでも消される可能性があるから、皆注意してね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

コリス:(五大狂能力の…音の力!!)

   ドシーン

   セイントドラゴリスは耐えきれずに倒れ込んだ。

   そして、空間が元に戻った。

ヤズネ:ふっふーん。わちきの大活躍でやすね!

ジャング:倒したのか…?

ヒイカ:あんた、結界なんて持ってたのね。

ヤズネ:すごいでやしょ?

コリス:(ぐ…やむを得ない…)

   セイントドラゴリスの姿はどんどん小さくなり、コリスに戻った。

ヤズネ:さ、どーする?

コリス:まさか、あなたのような大物が混ざっていようとはね…

ガーラミンド:大物?何の事だ?

ネクリア:(たしかヒイカの話では、ヤズネは五大狂能力と呼ばれる生き物を狂わせる5人の1人…)

コリス:マジックサイレントの話をもう少し真面目に聞いておくべきだったかもしれないな。ここまで強力とは…

ヤズネ:ふっふーん。わちきを甘く見てもらっちゃ困るでやす。

コリス:けど、それとつるむだなんて、五大狂能力も堕ちたものだ。あなたたちが怨むべき、人間とね。

ヤズネ:もうわちきは怨んでないでやす。虹使いとはもう友達でやすから。

コリス:それでもあなたの中には、永遠にその力は残る。死ぬまで解けない永遠の呪いとして。必ずまた目覚める、その呪いからは逃れられない。いつかあなたはその友達と対立する。これは、絶対の呪い。

ヤズネ:…

   ギュンッ

   バシッ

   何かが上空からコリスを奪い、飛び去った。

ヒイカ:あれは…ガーデンバードね。

ガーデンバード:グギャァァァァッ!

ガーラミンド:あの野郎!何しにきやがった!

コリス:ガーデンバード…

ガーデンバード:引くぞ、コリスぅ。

コリス:…そうだね。この町は…諦めだ。

ガーデンバード:グギャァァァァッ!

   ギュンッ

   ガーデンバードは高速で飛んでいった。

ネクリア:今の言葉って…

ジャング:ネガティブベッガー、退散って事だな。

ガーラミンド:さすが俺様だな!

ジャング:お前は何もしてないだろ。

ガーラミンド:あの化け蝶倒しただろ!

ハリイノギョ:倒したんはウミナギはんやろ。

ウィカルド:ウィク?そういえばそいつらいないな。

ヒイカ:そういえば北チームは見かけないわね。

ネクリア:行きましょう。

チクテキ:…。…?

   西の町の北

ミョンガー:ウミナギ~?

アルトア:恐らく、ヨドリの認識をズラす能力だろう。そこにいるはずなのに認識できないんだ。

トレア:そんな…手助け出来ないなんて…

フバクノソラワ:それって、やばいんじゃないの?

ペライト:ドウニカシテウミナギヲミツケナキャ!

アルトア:とは言っても、生物反応すら追えないからな…

ミョンガー:音も聴こえないよ~。

フバクノソラワ:どうするのっ?

トレア:…今、能力って言いましたわね?

アルトア:え?ああ、鵺の能力だそうだ。

トレア:でしたら…再現できますわ。

ミョンガー:再現してどうするの~?

トレア:再現するというのは、別にただ見様見真似でコピーするだけではありませんわ。その技、能力の本質を見極め、オリジナルと同じ格のものを生み出す。それが再現ですわ。

ミョンガー:え?つまりー?

トレア:その本質さえ見極めれば、その能力の利点、欠点、全て見えますわ。つまり…この能力の弱点、みつけましたわ。

アルトア:本当か!?

トレア:認識をズラすというのは、簡単に言えば空気の屈折のようなもの。そう…まるで蜃気楼のような。

フバクノソラワ:え、えーっと?

トレア:結果から見せましょう。『コールドルーム!』

   トレアから発せられた冷気は、周囲の温度を一気に下げた。

フバクノソラワ:さ、さむいよーっ!

   ゆら~っ

ペライト:ア!

   空間がねじ曲がり、ウミナギが現れた。

トレア:ウミナギさん!

ウミナギ:お前らァ…?

ヨドリ:とんだ邪魔が入ったね…。

   すぅ…

   ヨドリはどんどん薄くなっていった。

ウミナギ:てめェ逃げるのかよォ!

ヨドリ:別の場所の戦闘も終わったみたいだ。時期にここに集まるだろう。今回は…ここまでだ。

ウミナギ:ちッ!

ヨドリ:次回は、そう遠くはないんじゃないかな?

   ヨドリは消えていった。

シュロ:あれが気体の鵺ですか。

ウミナギ:あァ。…………いつからいた?

シュロ:お嬢様が技を使った辺りから。

フバクノソラワ:全然気付かなかったよっ!

ユラク:幽霊クオリティ☆

ミョンガー:あはは~。

   それからヒイカたちも合流し、半壊したトレアの屋敷に戻った。

トレア:こ、これは…

ネクリア:ごめんなさいトレア…

トレア:問題ありませんわ。この程度なら…1週間あれば修繕させられますわ。

ユラク:その間どこに泊まるのー?

ウィカルド:ウィク?半壊してるなら、壊れてない部分なら寝れるんじゃないか?

ウミナギ:それだな。

トレア:タフですわね…。

   それから、壊れていない半分で寝る準備を始めた。



                            続く




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最終更新:2014年03月16日 01:58
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