ユノク:話はノウレイから聞いています。人間の世界に行くそうですね。
ファイ:ああ。頼む。
ユノク:注意事項がいくつかあります。それを守らなければ人間の世界に送ることは出来ません。
ファイ:注意事項?なんだ?
ユノク:まず、あなたも人間になることになりますが、自分がポケモンだとは絶対に言わない事。そして人間の姿なら技を使うことは出来ません。
ファイ:ああそうか…人間って技が使えないんだったな。
ユノク:それから、人間には名字というものがあります。名字とはその家の名。家名というものです。その家の者は全員同じ名字を持っています。
ファイ:でも、オレらにはそんなものないぞ?
ユノク:はい。ですから、聞かれた時にとっさに答えられるようにしておいてください。
ファイ:んー…じゃあ、ジャブジャブ川でいいよな。
ユノク:ダメです。
ファイ:なんでだよ。
ユノク:例をあげましょう。たとえば…私が人間になった時の名前は、〔妙越 暗〕(みょうえつ あん)です。
ファイ:どこに自分の名前があるんだよ。
ユノク:パークが住んでいる所に合わせた名前です。妙越が名字、暗が名前です。漢字も考えておいてください。
ファイ:名前って大変なんだな…
ユノク:そして…パークの見つけ方です。
ファイ:え?普通にパークって名前の人を探せばいいんだろ?
ユノク:パークが人間の世界でパークという名前とは限りません。というよりも、ほぼ確実に別の名です。
ファイ:じゃあ、どうやって探せって言うんだよ!?
ユノク:それは…あなたの勘になります。
ファイ:そんなアバウトな…
ユノク:アバウトではありません。現状での最高の手段です。あなたがどこまでパークを想っているか…。本当に想っているのなら、雰囲気で彼女だとわかるでしょう。
ファイ:それ以外に方法はないのか…だったら、やるっきゃねぇな。
ユノク:他にもたくさんありますが、大体この紙にまとめておきました。目を通しておいて下さい。
ファイ:おう、サンキュ。
ユノク:では…そろそろあなたを送ります。
ファイ:あ、待ってくれ。救助隊の皆に…何も言ってないんだ。
ユノク:心配いりません。ノウレイを通じて伝えておきます。何も気にせず、パークを探してきて下さい。
ファイ:わかった。
ユノク:では行きなさい。…人間の世界へ!
ボッ
キュウコンの尻尾に炎がつき、ファイを包み込んだ。
ファイ:(パーク…パーク…!)
?:んー…ここは…?
日の当たる公園で目を覚ました。
?:おぉっ!?なんだこの手!?これが…人間…
自分の体を見て驚いた。
?:そうだ…パークを探さなきゃ!でも、どこにいるのかわかんねぇし……。よし、とりあえず叫んでみるか。
滑り台の上に乗った。
?:おぉぉぉーーーーーい!!パーーークーーーーー!!
・・・・・・・・・・・・
子供:ねぇママー。変な人がいるよー。
ママ:見ちゃいけません!
?:(………ダメだー!これだとオレただの変な人って扱いうけちまう…)
??:ははっ。お前、そんなとこで何してんだ?
滑り台の下から誰かが話しかけてきた。
?:…誰だ?
??:俺は〔大倉 蛇太〕(おおくら へびた)。大きいに倉庫の倉、蛇に太いって書く。お前は?
?:え?オレ?オレは…(えっと、名字と名前…ってどんな感じがいいんだ?)
蛇太:どうした?
?:(やべっ!怪しまれる!えっと…えっと…ジャブジャブ川…じゃダメだから…)川…川…
蛇太:川?
?:え?あ、えーっと…川のー…いや海…
蛇太:川野?海?
?:(こうなったら…)ああそうだ!オレの名前は〔川野 海〕(かわの うみ)って言うんだ!
蛇太:川野海?川なのか海なのかよくわかんねぇ名前だなw
海:よ、よく言われるよ!
蛇太:漢字は普通に川と野原の野、海でいいんだよな?
海:え?ああ!いいよ!全然オッケー!
蛇太:全然オッケーって…これ会話できてるんだよな?
海:ああ、出来てるさ!大丈夫だ!
蛇太:お前…変わったやつだな…
海:(やべっ!怪しまれた!?)
蛇太:気に行ったぜ。お前、俺と友達にならないか?
海:ヘ?友達?
蛇太:ああ、ダメか?
海:(こいつ案外いい奴かも…だったらこの世界の事を教えてもらおう!)いや!なろうぜ!友達に!
蛇太:そうか、よろしくな、海!
海:おう!
こうしてファイは川野海と名乗り、人間の世界に潜りこんだ。
蛇太:えぇっ?お前学校に行ってないのか!?
海:だーから学校って何だよ。
蛇太:何だ?お前、隠し子か何かで家庭の事情があるのか?
海:いや?オレは別にそんな特殊な事情はないけど…
蛇太:よくわかんない奴だなー…でも、学校はちゃんと行かないとな。お前、家どこだ?俺がお前の親と話してやるよ。
海:えっ!?(ちょっと待て!こっちの世界に親なんていねぇぞ!?)い、いや、大丈夫だ!学校なんて行かなくても生きていけるから!
蛇太:まぁ行かなくても死にはしないけど、学歴がないと就職もまともにできないぞ?
海:しゅ、終息?何かが終わるのか?
蛇太:お前…本当に何も知らないんだな。で、お前の家はどこなんだ?
海:え?ジャブジャ…(ってあぶねぇ!ジャブジャブ川って答えることだった!)
蛇太:え?ジャブジャ?
海:いやいやいやいやいやいや!実はオレ、家なんてないんだ!
蛇太:え、お前ってホームレスなのか?
海:ほ、ほーむです?
蛇太:あーもういいわかった。ったく、仕方ねぇな。お前に関わったのは俺だ。ここは責任を持ってお前を学校に通わせてやるよ!
海:結局学校って何なんだよ…
蛇太:学問を学び、友と語らい、自分を成長させる学びやだ。
海:へ、へぇ…
蛇太:家はオレのとこにきな。狭いけど、2人暮らしくらい問題ないだろ。
海:あれ?お前の親は?
蛇太:え?…ああ、いないよ。それより、どうやって入るかが問題だな。
海:そこまで無理して学校なんていかなくても…
蛇太:何言ってんだ。俺はお前の将来を心配してやってんだぞ。学校は行っておけ。俺がなんとかしてやるから。
海:ところで…お前は学校行ってるのか?
蛇太:俺は中卒だからもう働いてんだよ。
海:あ、オレも中卒…
蛇太:何歳だよ。
海:14歳。
蛇太:普通に中学生じゃねぇか。
海:そういうお前は何歳なんだよ!
蛇太:俺は16だ。
海:年上だったのかよ…
蛇太:見るからにな。
その夜から、海は蛇太の家に止まることになった。
そして数日が過ぎた。
蛇太:おい海!やったぞ!
海:どうしたんだ?
蛇太:ほれ!
蛇太は紙を渡した。
海:これは?
蛇太:学校の編入手続きだ。お前の履歴を偽って編入ってことで中学に入れるようになったんだよ!
海:え、マジ…
蛇太:ここから一番近い学校が受け入れてくれてよかったぜ。制服とかも明日送ってくれるみたいだから、明後日…とは言わずとも、月曜日からでも学校行ってきな。
海:オレ一人でかよ!?
蛇太:当然だろ?俺は働いてるんだから仕事に行かないといけねぇ。俺が働かないと俺らは食っていけないんだぞ?お前一文無しだろ?
海:う…
蛇太:まぁ心配すんな。学校は慣れないと辛いだろうが、お前の性格ならなんとかなるさ。何かあったら俺に相談しな。
海:ああ…わかったよ。
そして月曜日、海は学校へ行った。
先生:今日は急遽このクラスに新しいクラスメイトが来ることになった。入れ。
海:か、川野海です…(ってうわ~…注目浴びてる…オレ、ちゃんと人間になれてるよな!?ポケモンだってバレてないよな!?)
先生:皆、仲良くしてやってくれ。えーと、川野は一番後ろに席を用意しておいた。あそこに座ってくれ。
海:は、はい!
?:川野くんの名前って変わってるねw
隣の席の女の子が海に話しかけてきた。
海:え?ああ、よく言われるんだよ。で…お前誰だ?
遊:ああごめん、まだ名乗ってなかったね。私は光風遊。よろしくねv
海:おう、よろしくな!
この時海は思いもしなかった。
この学校で一番最初に話しかけてきたこの人こそが
自分が探していたパークだということなど……
続く
最終更新:2014年03月16日 02:44