○○年前
フォッツォ「どうですか?調子は。」
病室で優しく女性に語りかけるフォッツォ。
レエル「フォッツォ。毎日来なくてもいいって言ったのに。」
フォッツォ「何を言っているのですレエル。私は貴方に会いたくて来てるのです。いけませんか?」
レエル「もう、フォッツォったら…」
レエルはフォッツォの許婚で、1週間後まで結婚は迫っていた。
そんな時、レエルは事故にあってしまい、命に別状はなかったものの、結婚は当然先延ばしになってしまった。
レエルは足を骨折していて、まだ事故後すぐというだけあり、まだまだ治癒には時間がかかった。
フォッツォはそんなレエルを心配し、毎日欠かさず病院に見舞いに来ていた。
ナース「面会時間終了ですよー。」
フォッツォ「もうそんな時間ですか…ではレエル、また明日来ますね。」
レエル「もう…うん。」
レエルは少し照れくさそうに答えた。
フォッツォ「それじゃ。」
フォッツォは優しく微笑み、病室を出た。
フォッツォ(レエル、昨日より顔が明るくなってましたね。フフ、明日はもっと元気になりますように。神の加護が…ありますように。)
この頃のフォッツォは、純粋な魔術を使っていた。
フォッツォは純粋にレエルの完治を願っていた。
フォッツォ「中々うまくいきませんね…」
しかし、フォッツォの魔術は大半失敗に終わっていた。
フォッツォ(やはり私では、一流の魔術師になることは出来ないのか…)
そんなある日
フォッツォ「どうしたのです!?どうしてレエルが病気に!?」
医者「わかりません…本当に突然で、原因も不明なのです…」
フォッツォ「そんな…!」
レエルは突然の病で、生死を彷徨う事になった。
フォッツォ「レエルに!レエルに会わせて下さい!レエル!」
医者「いけません!」
フォッツォは面会謝絶となってしまったレエルに会うことが出来なかった。
フォッツォ「一体どうすればレエルを救えるのでしょう…絶対に、私は救わなくてはならない…!」
そしてフォッツォは、禁術に手を染める覚悟を決めた。
フォッツォ(この術を使えば、私はもはや正当な魔術師には戻れないでしょう。しかし!これでレエルが救えるのならば…!)
『絶対禁術・延命』悪魔術の禁術。その名の通り、対象人物を延命させる禁術である。
フォッツォの狙い通り、病死するはずだったレエルは存命した。しかし…
存命したレエルは、もはや人の形をしていなかった。
人として生きるというよりも、ただ魂がこの世に残っているだけだった。
髪は抜け落ち、体はまさしく骨と皮だけとなり、臓器は潰れ、よく見れば息はしているが、姿だけでは生きているかもわからない状態だった。
当然病院はそんな状態のレエルを受け入れるはずもなく、フォッツォの自宅へと連れて帰った。
でも、それでもフォッツォは満足だった。レエルが生きているという事実だけが、ただ満足だった。
フォッツォ「どうですレエル?私の栽培した鉢植えです。綺麗に育っているでしょう?」
当然レエルは返答など出来るはずもなく、そもそも見えているのか、聞こえているのかもわからない。
フォッツォ「おお、美しいと言ってくれますかレエル!流石は私の許婚です!」
フォッツォは既に普通の人間の域を超え、ただの骨と皮の塊のレエルと自分の妄想内で会話をしていた。
フォッツォ「え?何を言っているのですレエル?たしかにこの鉢植えは美しい。しかし!貴方より美しいはずがないでしょう?」
その姿は周囲から見ると、不気味な狂った行動にしか映らなかった。
そしてフォッツォの感覚はみるみるおかしくなっていった。
ぐちゃっ
フォッツォ「おぉ、美しい…生き物の腸はどうしてこうも美しいのでしょう?」
人為らざる姿のレエルを見続けたフォッツォは、普通の人の姿を不可解に感じるようになってしまった。
そして抉り取った腸を見て気付いた。この世にはこれほど美しいものがあるのだと。
フォッツォ「どうですレエル?私の芸術品は?これは人の心臓を3つ使い、それから…」
フォッツォは人の臓器を集め、それから壊し崩し芸術品を作った。
当然その芸術品は到底理解出来る物ではなく、苦手な者からすれば吐き気を催すものだった。
そして、何よりフォッツォを喜ばせたのは、死ぬ間際の泣き叫ぶ声だった。
それを求めフォッツォは殺人を繰り返し、警察から逃げる事になってしまった。
フォッツォは得意の悪魔術で誤魔化しつつ生活していたが、買い物を済ませ家に戻ると、警察が何人も家宅侵入していた。
警察「いたぞ!こいつだ!」
フォッツォ「私の家にわざわざ腸を届けに来て下さるとは、有難く頂戴するとしましょう。」
警察「何をわけのわからないことを!この狂人めが!」
フォッツォ「狂人?何を仰っているのですか?ああ、なるほど。私の芸術品が見たいのですね?よろしい!見せて差し上げましょう!」
フォッツォは警察に拳銃を構えられてるにも関わらず、堂々と行動した。
しかし奥の部屋の、レエルがいた部屋に辿り着いたフォッツォは絶望した。
フォッツォ「なん…と…!?」
レエルは銃を撃たれ、息をしていなかった。元々していたかもわからない程だったが、フォッツォは一目でそれを悟った。
フォッツォ「なんと酷い事を…誰だぁぁ!!私のレエルを殺したのは、誰だぁぁぁ!!!」
フォッツォは近くにいた警察の胸倉を掴み、問いかけた。
警察「あ、あんな気持ちの悪いものが芸術品だと言うなら、お前は本当に狂った殺人鬼だ!」
フォッツォ「あれは…芸術品ではない…!あれは!生きた人間です!我が愛しき唯一の理解者…それを!我が最愛のレエルを!貴方方は殺した…!」
警察「人間?あんなものが?ふん、どうせ狂ったお前が作り出した汚いまがい物だろ?」
レエルを人として扱って生きてきたフォッツォを怒らせるのに、それは十分すぎる言葉だった。
『絶対禁術・捕食』生物の中身という中身を全て抉り取る禁術。
フォッツォの家に来た警察は全員中身を抉り取られた。
フォッツォは生きる希望を失い、そのまま朽ちる覚悟すらした。
しかし、空腹に耐え切れず、近くにいた少女の腸を抉り取り、食べた。
その味はフォッツォにとって衝撃で、無我夢中で腸を食べまくった。
殺す瞬間の絶望の嘆きは、フォッツォを強く刺激した。
そしてフォッツォは、新たな生きる希望を手に入れた。
フォッツォは百を越える数の生命を犠牲に、最悪の禁術を自らかけた。
『究極禁術・永遠生命』絶対に死ねない体になる、究極の禁術。
フォッツォがこの術を自らにかけた理由…
生き物を殺す瞬間の喜びを万人に伝える事。
生き物の腸という極上の美味を万人に伝える事。
狂人フォッツォ・パマレットは、いつしか禁術を使いこなす禁術使いとなっていた。
その禁術を使い、様々な時空に飛んでは、生き物の泣き叫ぶ声と腸を求める。
現在のフォッツォには、以前の面影はどこにもない。
ただひたすら嘆きと腸を求め続ける。
愛は、歪んだ愛へ変わり、歪んだ愛は、狂った愛へ変わった。
常人では理解出来ないフォッツォの美学。
フォッツォを止める事が出来る者は、もしかしたらいないのかもしれない。
フォッツォ「この世で1番美しいのは!死を目前とした絶望の怨嗟なのです!!」
BAD END
最終更新:2012年01月04日 23:21