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翡縅香の誕生

私はとある大きな国で生まれた。生まれつき私は虹を操る能力を持っていた。

ヒイカの母「ヒイカ!またあなたの仕業でしょう!?」

ヒイカ「え?な、なにが?」

ヒイカの父「わかってるくせになにがだと?反省する気はないんだな?」

ヒイカ「だ、だからなにが…?」

ヒイカの母「もういいわ!今日は晩飯抜きよ!」

ヒイカ「え…そんな…!」

ヒイカの父「文句があるのか?もういい!物置に入っておけ!」

ヒイカ「あ…う…」

   バンッ

ヒイカの父「明日の朝までそこで反省しておくんだな。」

私の家の物置は狭く、汚く、小さな私の体でも自由に動くことはできなかった。それでもって外から鍵をかけられているため、逃げることもできない。

どうして私はこんな目に遭ってしまうのか。何度も何度も考えた。

もしかしたら私の持っているこの力のせいで皆私にひどいことをするのだろうか?

私は何度も死のうとした。でも、能力と共に与えられた体力と精神力のせいで、死ぬことも許されなかった。

どうしてこんな形で生まれてしまったのか。どうしてこんな能力を持ってしまったのか。どうして?

だとしてもこの能力には何があるの?虹を操るだけで害はない。私はそんなことを思っていた。そんなある日…

ヒイカ「『虹色の龍風!』」

   ギュゴォォォォォ

ヒイカ「あ、いけない!地面の芝生が…」

自分の能力の恐ろしさに気づいたのは、ふと技を使った日だった。

ヒイカ「あ…れ?芝生は残ってる?なのに…白い…?

その時はまだ何がなんだかわからなかった。でも、そのことを両親に話した。

ヒイカの父「芝生の色が消えた?」

ヒイカ「はい。『虹色の龍風』を使ったら当たった場所の芝生の色が消えたんです。」

ヒイカの母「あなた!それって…!」

ヒイカの父「うむ…」

ヒイカ「あ、あの…何かあるんですか…?」

ヒイカの父「ヒイカ。」

ヒイカ「は、はいっ!」

ヒイカの父「今日の夜中、高台まで行こう。」

ヒイカ「え…?どうしてですか?」

ヒイカの父「いいから。言われたとおりのことをすればいいんだ。」

ヒイカ「はい…」

   高台

ヒイカ「あの…何をするんですか?」

ヒイカの父「ヒイカ。お前の能力はレインボーといい、使えば使うほど周囲の色を奪う能力なんだ。」

ヒイカ「え!?」

ヒイカの父「昔、その能力を持った者が世界を破滅に導いたという伝説も残っている。」

ヒイカ「そ、そんな…!」

ヒイカの父「だからこそ、その能力を持った者が現れた時は…」

ヒイカ「時は?」

ヒイカの父「その者を殺すことが正当防衛と認められるんだ。」

ヒイカ「!?」

ヒイカの父「生まれた時からわかっていた。お前がその能力を持っていることを。」

ヒイカ「じ、じゃあどうして私を早く殺さなかったんですか?」

ヒイカの父「…怖かったんだ。」

ヒイカ「え?」

ヒイカの父「古の書物に記された伝説にでてくる能力を使うお前が怖かったんだ。」

ヒイカ「怖かったって…私はあなたたちの娘です!何をこわがるんですか!?」

ヒイカの父「黙れ!」

ヒイカ「ひっ!」

ヒイカの父「お前が能力の全てを知ってしまった以上、お前を生かすわけにはいかない。」

ヒイカ「お父様…。」

ヒイカの父「すまない。今まで優しくできなかったのに、さらにお前を殺すような真似をしてしまって…」

ヒイカ「(お父様が初めて私に謝った!?あの…お父様が…!)」

ヒイカの父「許せヒイカ!」

   ドガッ

   ヒイカの父は木刀でヒイカを殴った。

ヒイカ「うっ!」

ヒイカの父「お前を殺さねば世界は滅びる。頼む。死んでくれ…!」

ヒイカ「…喜んで。」

ヒイカの父「!?」

ヒイカ「私は、今までお父様とお母様に嫌われていると思っていました。でも、違うのですね?」

ヒイカの父「もちろんだ。子が可愛くない親などいない。」

ヒイカ「じゃあ私は…能力さえなければお二人に愛されていたのですね?」

ヒイカの父「当たり前だ!…私たちの最初で最後の子供なんだ…愛さずにはいられない…!」

ヒイカ「その言葉だけで十分です…。これで、私は喜んで死ねます。」

ヒイカの父「ヒイカ…!」

ヒイカ「私は幸せです。最後の最後で私はいらない子じゃなかったのだとわかって…」

ヒイカの父「くっ…!」

ヒイカ「さぁお父様。もう未練はありません。早く私を殺してください。」

ヒイカの父「…ヒイカ。」

ヒイカ「はい。」

ヒイカの父「なぜ私が高台を選んだかわかるか?」

ヒイカ「…いえ。」

ヒイカの父「そこから飛び降りなさい。」

ヒイカ「え?」

ヒイカの父「そして、それがお前が死んだ証となる。」

ヒイカ「どういうことですか?」

ヒイカの父「お前の能力は町中が知っている。今この場所も誰かしら見ているだろう。」

ヒイカ「え!?」

ヒイカの父「会話は聞こえないだろうが、ここでお前が飛び下りれば誰もがお前は死んだと思う。」

ヒイカ「ど、どういうことですか!?」

ヒイカの父「…生きろ。」

ヒイカ「え?」

ヒイカの父「お前は生きるんだヒイカ。」

ヒイカ「ど、どうして!?私がいては世界が滅びます!私を始末しなくては世界が!!」

ヒイカの父「親というものは…世界中の生き物よりも、子供の方が大事なんだ…!」

ヒイカ「お、お父様…!」

ヒイカの父「だから、そこから飛び降りるんだ。お前なら飛び降りても耐えることができる体を持っている。」

ヒイカ「しかし!」

ヒイカの父「私の言うことを聞くんだヒイカ!!」

ヒイカ「ひっ!」

ヒイカの父「頼む…頼むから逃げてくれ。生きてくれ…!そして、いつか私たちの前に、成長した姿を見せてくれ。」

ヒイカ「お父様…!」

ヒイカの父「さぁ!行け!」

ヒイカ「…さようなら。」

ヒイカの父「違うな。」

ヒイカ「え?」

ヒイカの父「また会うから、さよならではない。」

ヒイカ「お父様…!」

ヒイカの父「また会おう…ヒイカ…!」

ヒイカ「…はい!」

   ヒイカは高台の崖から飛び降りた。崖は何百メートルも下まで続いている。普通なら助かることはない。

でも、私は生きていた。尋常じゃない体力のお陰で、お父様の計画通り生きていたのだ。

私は傷が癒えた頃、姿をローブで隠して自分の故郷へ戻った。会えずとも、自分の生存を伝えるために両親に手紙を書いたのだ。

直接ポストに入れれば誰かが私の書いた手紙の存在を知ることはない。そう思い、自分の家へ向かった。

でも、そこにはとてもじゃないけど信じられない光景が広がっていた。

ヒイカ「何…これ…?」

元々私が住んでいた家は、何かに燃やされたかのように完全に焼け野原になっていた。

私は、近くを通った人に聞いた。

ヒイカ「あの…ここはどうして焼け野原に…?」

住民「ああ。ここは元々家があったんだけど、その家に虹使いが生まれてね。」

ヒイカ「虹使い?(私のことだ!)」

住民「虹使いは昔、全てを滅ぼしたって言われてて、ここの人はその子供を殺そうとしたんだよ。」

ヒイカ「そ、それで?」

住民「殺すのは正当防衛になるから、問題ないんだけど…」

ヒイカ「だけど?」

住民「その父親が、子供を自ら崖から飛びおろさせたらしいんだ。」

ヒイカ「そ、それでどうなったの?その子供は死んだんじゃないの?」

住民「いや、実は生きているらしいんだ。」

ヒイカ「えぇ!?(ど、どうして!?お父様の計画は完璧のはず…!)」

住民「なんでも、後日探しにいったら子供の死体が崖下から見つからなかったらしいんだ。」

ヒイカ「そ、それで?それで…この家がどうして燃えたの?」

住民「父親は子供を殺しきれず、逃亡されたとして警察に捕まったんだ。」

ヒイカ「どうして!?それだけで!?」

住民「ま、のちの殺人鬼を逃がしたんだから当然だよな。」

ヒイカ「ね、ねぇ。その後、その人たちはどうなったの?」

住民「父親は公開処刑。母親は家と一緒に焼き殺されたよ。」

ヒイカ「!!??」

私は、一体何が起こっているのかわからなかった。

住民「といってもあれは傑作だったぜ。」

ヒイカ「傑作?」

住民「父親が泣きながら娘を探すなって吠えてんだよ。マジであれはうけたぜ。」

一瞬、私の中で何かがよぎった。




   コノクニハクサッテイル


   オトウサマモオカアサマモコロサレタ


   ワタシヲニガシタダケデ オトウサマトオカウサマハカンケイナイデショ?


   ナンデコロシタ? ユルセナイ!


住民「そういえば、丁度お前くらいの年の子供らしいな。」

ヒイカ「そう。その子の名前ってさ…」

住民「ん?」

ヒイカ「翡縅香…よね?」

住民「なっ!?あ、あの子供!?」

ヒイカ「オトウサマトオカアサマヲコロシタヤツニハサバキヲ…!」

住民「皆逃げろ!世界を滅ぼす虹の悪魔が戻ってきたぞー!!」

ヒイカ「お父様とお母様の仇…お前ら全員でうけろぉぉぉーーーーー!!!!」

住民「逃げ…」

ヒイカ「『レインボーフォール!!!』」

   ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ

   その国は一瞬にして滅びた。そして…

ヒイカ「(こんな奴らが…世界中にはたくさんいるっていうの?だったら…私が全て滅ぼし、世界を新たに創ってやる!!)」

   この日、最強で最恐の生き物、翡縅香が生まれた。



私の願いは今までもこれからも一つだけ。



どんな生き物でも幸せに生きる世界を創ること…!




                             END
最終更新:2012年05月23日 00:51
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