ヤズネ:次の話は、わちきでやすよ!
ヒイカ:ネクリアのようにくだらない話だったら刺すわよ?
ヤズネ:心配いらないでやす!もっともっと…わちきの心の底に残ってる話をしてやるでやす。
ウミナギ:そいつは楽しみだなァァ。
回想~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
それは…遥か昔の話。
数XY年前
ヤズネ:我の歌聞き~引き寄せられし~者よ~♪
ヤズネは他の夜雀たちと共に、夜雀の住む森に住んでいた。
ズス:ヤズネ~。そろそろご飯とりにいこ~。
ヤズネ:お、そんな時間?
メヨ:早く行こう。
ヤズネ:OK!
夜雀は妖怪。本来の主食は人間などの生き物たち。しかし、ヤズネたちの一族は普通の鳥を目指していた。
そのため、主食は人間たちではなく、虫や小動物となり始めていた。
ヤズネ:今日も大量だぁね♪
ズス:何より、今日の一番の収穫はこの…ホタルだよね!
メヨ:ホタルは一定の時期にしか現れない貴重な食材。
ヤズネ:早く帰って食べたいな~♪ふんふふーんふーん♪
ヤズネは鼻歌を歌いながら住処へ戻った。
ヤズネ:おーい、ネヤー!
住処に帰ると、病弱な夜雀、ネヤが待っていた。
ネヤ:ヤズネ…ズス、メヨ。おかえり。
ズス:ただいまー!
メヨ:ただいま。
ヤズネ:すぐに調理するから、待っててね!
ネヤ:うん。いつもいつも、ありがとう。
ヤズネ:何言ってるの!ネヤは何も心配しないで、私たちに任せてればいいの!
ズス:そうだよ、ネヤ。ネヤは元々病弱で、上手く空を飛ぶことも出来ないんだもの。私たちが、全力でサポートするのは当然よ?
ネヤ:ごめんね、皆…
メヨ:ネヤ、謝る必要ない。
ネヤは弱々しく、申し訳なさそうに笑った。
それからヤズネたちは調理し、4人で仲良く食べた。
ヤズネ:さぁ!今日もこの時間がやって参りましたー!喉自慢たいかーい!!いぇーい!
ズス:もう、ヤズネってばよく毎日毎日そんなにテンションあがるよねー。
ヤズネ:そりゃそうだよ!私たち夜雀の本分は歌う事!歌を止めたら夜雀じゃないよー!
メヨ:ヤズネ、夜雀の本分は人間を鳥目にして食べる事。
ヤズネ:ま、まぁまぁ…人間を食べるのはあまりするなってのが暗黙のルールになってきたんだし、そこはスルーで…
メヨ:いいけど。
ヤズネ:というわけで!1番、ヤズネ!曲は~…ヤズネ・ムーンライト!
ヤズネたちは、毎晩食事後に喉自慢大会をしている。もちろん、主催者はヤズネである。
人間を食べる妖怪という本分を捨て、人間や他の生物との共存を選んだ夜雀たち。
それは少なからずストレスは溜り、その発散法が、ヤズネにとっては歌なのだった。
パチパチパチ
ヤズネが歌い終わり、3人から拍手が送られた。
ヤズネ:どーもどーも!
ネヤ:ヤズネってば、いつのまにそんなに上手になったの?すごくよかったよ。
ヤズネ:ほんと!?ありがとーネヤー!
ズス:こらこらー!次は私の番だよ!ヤズネ!負けないからねー!
ヤズネ:望むところだーっ!
こんなノリで、毎日楽しく暮らしていた。
そんなある日
バァーン
夜雀の住む森に、銃声が鳴り響いた。
ヤズネ:な、何!?
メヨ:銃声…?
ヤズネ:見てくる!
ネヤ:ヤズネ、危ないよ…!
ヤズネ:大丈夫だって!いざとなったら、鳥目にしちゃえばいいんだから!
ヤズネはネヤが止めるのも聞かず、住処を飛びだした。
ズス:まったくもう…私も行ってくるね!
ズスもヤズネに続き、住処を飛びだした。
ネヤ:あぁ…ヤズネ、ズス…
ネヤは心配そうに外を見つめた。
メヨ:大丈夫。あの2人は、死んだりしないから。
ネヤ:メヨ…そうね。そうだよね。私みたいに弱くないから、きっと…大丈夫よね。
ヤズネは、銃声が聞こえた所にたどり着いた。
ヤズネ:これはっ…
そこには、仲間の夜雀が数匹撃ち殺されていた。
ヤズネ:しっかりして!なんでこんなことに…
夜雀:に…ん…
ヤズネ:え?何?
まだ息のあった夜雀が、ヤズネに語りかけた。
夜雀:にん…げ…ん…
ヤズネ:にん…げん…?
夜雀は、それだけ言うと息絶えてしまった。
ヤズネ:人間が…夜雀を撃ち殺した…?
ヤズネには信じられなかった。人間とは、元々捕食の対象で、自分たちの餌程度にしか考えていなかった。
しかし、高度な脳を持つ生物だと判断し、捕食を止めた。
それは夜雀たちにとっては、共存するという意志の表れだった。
ズス:ヤズネ!
ズスが数分遅れで辿りついた。
ズス:こ、これって…
ヤズネ:…人間だ。
ズス:え?
ヤズネ:人間が…殺った。
ズス:そんな!?どうして人間が!?だって人間は、これから共存していこうと…
ヤズネ:わかんないよ。でも…人間は、私たちを攻撃してきた。この事実だけは、絶対なんだ…
ヤズネは住処に戻り、ネヤとメヨにその事を伝えた。
メヨ:人間が襲ってきたなんて…どうして?
ネヤ:共存しようとしてたはずなのに…
ヤズネ:とにかく、人間が攻撃してくる以上、あまり外出するのは控えた方がいいかもね。
ズス:特にネヤは、人間に狙われたらひとたまりもないから気をつけてね。
ネヤ:え、ええ…
それから数日後、また銃声が聞こえた。
ヤズネ:まさか…
ネヤ:ヤズネ…!
飛び出そうとしたヤズネを、ネヤは止めた。
ネヤ:危ないよ…いかないで…
ヤズネ:そういうわけにはいかないよ!どうして攻撃してくるのか、直接聞くんだ!
ネヤ:でも…
ヤズネ:大丈夫だって、私はそんなに簡単に殺されたりしないよ。
ヤズネはネヤを振り払い、外に飛び出した。
ネヤ:あぁ…ヤズネ…
辿りつくと、また夜雀が数匹撃ち殺されていた。
ヤズネ:くそっ…人間め…どこにいる!
ヤズネは周囲を見渡したが、それらしいものは見えなかった。
メヨ:ヤズネ…
そこに、メヨがきた。
ヤズネ:メヨも来たんだ…
メヨ:うん。銃声が聞こえたから…
ズス:あれ?ヤズネ、メヨまで。
ヤズネ:ズス…
ズス:やっぱり、また夜雀が…
ヤズネ:許せないよ…ねぇ!私たち、人間にナメられてるんじゃない!?食べなくなったから、もう安全だって馬鹿にされてるんじゃない!?
メヨ:それは、あるかもしれない…
ヤズネ:だったら思い知らせてやろうよ!あっちが共存する気がないなら…元の関係に戻ろうよ!私たちが人間を食べる!それが本分なんでしょ!?
ズス:そうだけど…
ヤズネ:だけど…何だよ…
ズス:じゃあさ、ヤズネ。…人の食べ方、覚えてる?
ヤズネ:え…?
ズス:私らってさ、もう、長い事人間を食べてないんだよ?ここ最近はずっと虫や小動物で、人なんて一切口にしてない。最後に食べたのだって…
ヤズネ:だったら何?人間にナメられっぱなしでいいってこと?
ズス:そうは言ってないよ!でも、私たちが元の関係に戻るのって、やっぱ無理なんじゃないかな?
メヨ:たしかに、もう人間の味なんて覚えてない。
ヤズネ:だからって…
バァーン
ヤズネ:え!?
遠くから、再び銃声が聞こえた。
メヨ:ちょ、ちょっと待って…今の方向って…
ヤズネ:私たちの…住処…!?
ヤズネたちは急いで住処へと戻った。が…
ヤズネ:ネヤ!!
そこには、撃たれたネヤが倒れていた。
ヤズネ:ネヤ!しっかりして!ネヤ!!
ネヤ:ん…ヤズ…ネ…?
ヤズネ:ネヤ…どうして、人間がこんなところに…
ネヤ:わかん…ない…けど、私…もう、ダメ…
ヤズネ:ネヤ!そんな事言わないでよ…!ズス!メヨ!早く!早く治療の準備を!
ズス:ええ!
メヨ:わかった…!
ズスとメヨは急いで治療の準備を始めた。
ネヤ:いい…しなくて…いいよ。どうせ…もう私は…
ヤズネ:ネヤ!そんな事言わないでよ!ね!?絶対、絶対助けるから!
ネヤ:ヤズネ…ズス、メヨ…
ヤズネ:何?
ネヤ:今まで…ありが…と…
ネヤは、静かに目を閉じた。
ヤズネ:ネヤ?ネヤ!?ねぇ…目を開けてよ…ネヤ!!ネヤーーーーー!!!
ズス:そんなっ!ネヤ…!
メヨ:嘘…でしょ…
ズスとメヨは、泣き崩れた。
ヤズネ:…
ヤズネは、ネヤの頭を撫で、外に出る準備をした。
ズス:ヤズネ?何してるの…?
ヤズネ:何って、決まってんじゃん。ネヤを殺した人間を…殺す!
ズス:行って何になるっていうの?それでヤズネまで殺されたら…
ヤズネ:殺されない。私が…絶対に殺す!
ヤズネは勢いよく飛びたった。
ヤズネ:(どこだ…どこにいる…)人間、どこだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
ヤズネは森の中を矢鱈滅法に飛びまわった。そして…
人間:夜雀!
ヤズネは、銃を持った人間を見つけた。
ヤズネ:お前が…ネヤを殺した奴かぁぁぁぁ!!
人間:ふん、威嚇してるつもりか?こいつめ!
人間は銃を構えた。
人間:くらえ!夜雀!
バァーン
人間はヤズネ目掛けて発砲した。
ヤズネ:うぉぉぉぉぉぉぉ!!
ヤズネは構わずに突進し、かすりながらも人間にタックルした。
人間:うわぁぁぁ!
ヤズネ:人間…お前ぇぇ…どうして、どうしてネヤを殺した!!
人間:ひぃぃ!な、なんなんだ!?
ヤズネは人間の胸倉を掴み、鋭い爪で脅した。
ヤズネ:答えろ!!どうしてネヤを殺した!!
人間:ネ、ネヤ?ああ、さっきの夜雀か?そんなのどうしてお前に言わなきゃ、い、いけないんだ!
ヤズネ:ネヤは私の親友だ!お前が…お前が殺したんだよぉぉぉ!!
人間:ひぃぃぃ!
ヤズネ:答えろ!
人間:あ、あそこに夜雀がいるって知ったのは、別の夜雀が飛び出したからなんだ!
ヤズネ:別の…夜雀?
人間:ああ、誰かが銃を発砲した数秒後、夜雀が勢いよく飛び出していったんだ。その夜雀は追えなかったけど、行ってみたらもう1匹夜雀がいて、それで…
ヤズネ:なっ…!
ヤズネは覚った。銃声が聞こえた数秒後、ネヤのいる住処から勢いよく飛び出したのは…自分だと。
ヤズネ:わ、私が…ネヤの居場所を人間に教えた…?そんな…!
ヤズネは混乱し、地面に座り込んだ。
人間:(チャンス!)
人間は銃をとり、ヤズネに向けた。
人間:くらえ!
バッ
人間:え?
人間の手から、銃が消えた。
人間:ど、どこいった!?
ズス:お前の探しているものは、これかい?
ズスは、人間の持っていた銃を持っていた。
人間:あ!か、返せ!
ズス:これって、どうやって使うんだろうねー?こうかな?
ズスは人間に銃口を向けた。
人間:や、やめてくれ!
ズス:物使わなきゃ何も出来ない下等生物が、偉そうにしてんじゃないよ!さっさといっちまいな!
人間:ひ、ひぃぃぃ!
人間はへっぴり腰で逃げていった。
メヨ:ヤズネ、大丈夫?
ヤズネ:あは、あはは…
ズス:ヤズネ?
ヤズネ:笑っちゃうよね。何が…私は大丈夫、だよ。何が、殺されないだよ。私が…ネヤを殺したようなもんじゃない…
ズス:ヤズネ、それは違うよ。ヤズネは悪くない。
メヨ:ヤズネはヤズネなりに必死だった。ネヤだって、わかってくれる。
ヤズネ:うぅ…うぅぅ…
今のヤズネには、2人の言葉は胸に深く突き刺さった。
ヤズネ:ごめん…ごめんね、ネヤぁ…
それから数日後
ズス:ヤズネ!歌うたおっか!ほら、ヤズネ・ムーンライト!久しぶりに聞きたいなー!
ヤズネ:うん…
メヨ:ねぇヤズネ、今日はヤモリを捕まえてきたんだよ。食べよ?
ヤズネ:うん…
ヤズネはネヤの事を引きずり、食事もあまりしない、大好きな歌も歌わない、抜けがら状態になってしまった。
ズス:ねぇ、何か食べないとだめだよ?
ヤズネ:うん…
メヨ:ヤズネ…
2人は、ヤズネに何かしてあげることが出来なかった。
朝方
ズス:それじゃ、おやすみー。
メヨ:おやすみ。
ヤズネ:うん…
ヤズネは、ここ数日間一睡もしていなかった。でもこの日は、眠気がきたのだ。
ヤズネ:んー…
?:ネ…ヤズネ…
ヤズネ:(私を呼んでるのは…誰?)
ネヤ:ヤズネ…
ヤズネ:え…ネヤ!?
ヤズネは目を開けて驚いた。
ネヤ:ヤズネ、よかった。気付いてくれて…
ヤズネ:ネヤ…生き返ったの!?どうやって!?ううん、そんなのどうでもいい!ネヤ!会いたかった…!
ネヤ:違うのヤズネ。聞いて。私は、生き返ったわけじゃない。もう、死んでいるの。
ヤズネ:そんな…でも、こうやって今、私の目の前にいるじゃない!
ネヤ:これは、あなたが入眠時幻覚を見ているの。
ヤズネ:にゅうみ…?
ネヤ:本当はわかってるでしょう?私が、幻覚だってこと。
ヤズネ:え…い、いや!わかんない!わかんないよ!
ネヤ:いいえ。あなたはわかってる。認めたくないだけ。この幻覚も、私が死んだという事実も。
ヤズネ:そんなの、認められないよ!ネヤが死んだなんて…いや、嫌だよ!私も…すぐに…
ネヤ:私は、それを止めに来たの。
ヤズネ:え?
ネヤ:ヤズネはきっと、このままだと死んでしまう。何も食べず、何もせず。でも、私はそんなの望んでないの。
ヤズネ:じゃあ…ネヤは、何が望みなの?私、ネヤのためならなんでも叶えるよ!?
ネヤ:その言葉、本当?
ヤズネ:うん!本当だよ!言って、私なんでもするから!
ネヤ:そう。じゃあ…ヤズネは、これから先もずっとずっと生きて。
ヤズネ:えっ?
ネヤ:昔のヤズネみたいに、笑って、歌って。元気一杯に生きて。病弱で外の世界もしらない私は、そんなヤズネを見るのが、唯一の幸せだったの。私にとっての世界は、ヤズネなの。
ヤズネ:ネヤ…
ネヤ:だから、生きてほしいの。笑ってほしいの。約束…してくれる?
ヤズネ:う…うぅっ、わかった。わかったよネヤ…私、これから先も元気一杯生きる!
ネヤ:ありがとう。ヤズネ…
ヤズネ:お礼を言うのはこっちだよネヤ。今まで…本当に、ありがとう…
ヤズネ&ネヤ:さようなら…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ヤズネ:それからわちきは今まで通りの元気を取り戻し、むしろ今まで以上に元気一杯生きたのでしたとさ。おしまい!
ぱちぱち ぱち…
話が終わると、ちらほら拍手の音が聞こえた。
ヒイカ:ヤズネのくせに中々の話を語るじゃないの。
ネクリア:素敵な友情ね…あなたも苦労してるのね!
ウミナギ:お前がそこまで元気なのは、それの影響もあるってことだなァ。
ネクリア:あら?でもヤズネってそれだと普通の夜雀じゃないの。あのなんとか能力は?
ヤズネ:あれは当時はまだでやす。この後の話になるでやすが、その話はまた今度…でやす☆
ジャング:そういえば標準語だったな。
ヤズネ:ああ、わちきって標準語話せるでやすよ?
ヒイカ:ヤズネがわちきだのやすだの言ってる時は、基本ふざけてる時よ。
ジャング:そうだったのか。
ネクリア:さーて、次の話は誰かしら~?
続く
最終更新:2014年03月16日 01:51