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018 雀~Past

ヤズネ:次の話は、わちきでやすよ!

ヒイカ:ネクリアのようにくだらない話だったら刺すわよ?

ヤズネ:心配いらないでやす!もっともっと…わちきの心の底に残ってる話をしてやるでやす。

ウミナギ:そいつは楽しみだなァァ。

回想~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   それは…遥か昔の話。

   数XY年前

ヤズネ:我の歌聞き~引き寄せられし~者よ~♪

   ヤズネは他の夜雀たちと共に、夜雀の住む森に住んでいた。

ズス:ヤズネ~。そろそろご飯とりにいこ~。

ヤズネ:お、そんな時間?

メヨ:早く行こう。

ヤズネ:OK!

   夜雀は妖怪。本来の主食は人間などの生き物たち。しかし、ヤズネたちの一族は普通の鳥を目指していた。

   そのため、主食は人間たちではなく、虫や小動物となり始めていた。

ヤズネ:今日も大量だぁね♪

ズス:何より、今日の一番の収穫はこの…ホタルだよね!

メヨ:ホタルは一定の時期にしか現れない貴重な食材。

ヤズネ:早く帰って食べたいな~♪ふんふふーんふーん♪

   ヤズネは鼻歌を歌いながら住処へ戻った。

ヤズネ:おーい、ネヤー!

   住処に帰ると、病弱な夜雀、ネヤが待っていた。

ネヤ:ヤズネ…ズス、メヨ。おかえり。

ズス:ただいまー!

メヨ:ただいま。

ヤズネ:すぐに調理するから、待っててね!

ネヤ:うん。いつもいつも、ありがとう。

ヤズネ:何言ってるの!ネヤは何も心配しないで、私たちに任せてればいいの!

ズス:そうだよ、ネヤ。ネヤは元々病弱で、上手く空を飛ぶことも出来ないんだもの。私たちが、全力でサポートするのは当然よ?

ネヤ:ごめんね、皆…

メヨ:ネヤ、謝る必要ない。

   ネヤは弱々しく、申し訳なさそうに笑った。

   それからヤズネたちは調理し、4人で仲良く食べた。

ヤズネ:さぁ!今日もこの時間がやって参りましたー!喉自慢たいかーい!!いぇーい!

ズス:もう、ヤズネってばよく毎日毎日そんなにテンションあがるよねー。

ヤズネ:そりゃそうだよ!私たち夜雀の本分は歌う事!歌を止めたら夜雀じゃないよー!

メヨ:ヤズネ、夜雀の本分は人間を鳥目にして食べる事。

ヤズネ:ま、まぁまぁ…人間を食べるのはあまりするなってのが暗黙のルールになってきたんだし、そこはスルーで…

メヨ:いいけど。

ヤズネ:というわけで!1番、ヤズネ!曲は~…ヤズネ・ムーンライト!

   ヤズネたちは、毎晩食事後に喉自慢大会をしている。もちろん、主催者はヤズネである。

   人間を食べる妖怪という本分を捨て、人間や他の生物との共存を選んだ夜雀たち。

   それは少なからずストレスは溜り、その発散法が、ヤズネにとっては歌なのだった。

   パチパチパチ

   ヤズネが歌い終わり、3人から拍手が送られた。

ヤズネ:どーもどーも!

ネヤ:ヤズネってば、いつのまにそんなに上手になったの?すごくよかったよ。

ヤズネ:ほんと!?ありがとーネヤー!

ズス:こらこらー!次は私の番だよ!ヤズネ!負けないからねー!

ヤズネ:望むところだーっ!

   こんなノリで、毎日楽しく暮らしていた。

   そんなある日

   バァーン

   夜雀の住む森に、銃声が鳴り響いた。

ヤズネ:な、何!?

メヨ:銃声…?

ヤズネ:見てくる!

ネヤ:ヤズネ、危ないよ…!

ヤズネ:大丈夫だって!いざとなったら、鳥目にしちゃえばいいんだから!

   ヤズネはネヤが止めるのも聞かず、住処を飛びだした。

ズス:まったくもう…私も行ってくるね!

   ズスもヤズネに続き、住処を飛びだした。

ネヤ:あぁ…ヤズネ、ズス…

   ネヤは心配そうに外を見つめた。

メヨ:大丈夫。あの2人は、死んだりしないから。

ネヤ:メヨ…そうね。そうだよね。私みたいに弱くないから、きっと…大丈夫よね。

   ヤズネは、銃声が聞こえた所にたどり着いた。

ヤズネ:これはっ…

   そこには、仲間の夜雀が数匹撃ち殺されていた。

ヤズネ:しっかりして!なんでこんなことに…

夜雀:に…ん…

ヤズネ:え?何?

   まだ息のあった夜雀が、ヤズネに語りかけた。

夜雀:にん…げ…ん…

ヤズネ:にん…げん…?

   夜雀は、それだけ言うと息絶えてしまった。

ヤズネ:人間が…夜雀を撃ち殺した…?

   ヤズネには信じられなかった。人間とは、元々捕食の対象で、自分たちの餌程度にしか考えていなかった。

   しかし、高度な脳を持つ生物だと判断し、捕食を止めた。

   それは夜雀たちにとっては、共存するという意志の表れだった。

ズス:ヤズネ!

   ズスが数分遅れで辿りついた。

ズス:こ、これって…

ヤズネ:…人間だ。

ズス:え?

ヤズネ:人間が…殺った。

ズス:そんな!?どうして人間が!?だって人間は、これから共存していこうと…

ヤズネ:わかんないよ。でも…人間は、私たちを攻撃してきた。この事実だけは、絶対なんだ…

   ヤズネは住処に戻り、ネヤとメヨにその事を伝えた。

メヨ:人間が襲ってきたなんて…どうして?

ネヤ:共存しようとしてたはずなのに…

ヤズネ:とにかく、人間が攻撃してくる以上、あまり外出するのは控えた方がいいかもね。

ズス:特にネヤは、人間に狙われたらひとたまりもないから気をつけてね。

ネヤ:え、ええ…

   それから数日後、また銃声が聞こえた。

ヤズネ:まさか…

ネヤ:ヤズネ…!

   飛び出そうとしたヤズネを、ネヤは止めた。

ネヤ:危ないよ…いかないで…

ヤズネ:そういうわけにはいかないよ!どうして攻撃してくるのか、直接聞くんだ!

ネヤ:でも…

ヤズネ:大丈夫だって、私はそんなに簡単に殺されたりしないよ。

   ヤズネはネヤを振り払い、外に飛び出した。

ネヤ:あぁ…ヤズネ…

   辿りつくと、また夜雀が数匹撃ち殺されていた。

ヤズネ:くそっ…人間め…どこにいる!

   ヤズネは周囲を見渡したが、それらしいものは見えなかった。

メヨ:ヤズネ…

   そこに、メヨがきた。

ヤズネ:メヨも来たんだ…

メヨ:うん。銃声が聞こえたから…

ズス:あれ?ヤズネ、メヨまで。

ヤズネ:ズス…

ズス:やっぱり、また夜雀が…

ヤズネ:許せないよ…ねぇ!私たち、人間にナメられてるんじゃない!?食べなくなったから、もう安全だって馬鹿にされてるんじゃない!?

メヨ:それは、あるかもしれない…

ヤズネ:だったら思い知らせてやろうよ!あっちが共存する気がないなら…元の関係に戻ろうよ!私たちが人間を食べる!それが本分なんでしょ!?

ズス:そうだけど…

ヤズネ:だけど…何だよ…

ズス:じゃあさ、ヤズネ。…人の食べ方、覚えてる?

ヤズネ:え…?

ズス:私らってさ、もう、長い事人間を食べてないんだよ?ここ最近はずっと虫や小動物で、人なんて一切口にしてない。最後に食べたのだって…

ヤズネ:だったら何?人間にナメられっぱなしでいいってこと?

ズス:そうは言ってないよ!でも、私たちが元の関係に戻るのって、やっぱ無理なんじゃないかな?

メヨ:たしかに、もう人間の味なんて覚えてない。

ヤズネ:だからって…

   バァーン

ヤズネ:え!?

   遠くから、再び銃声が聞こえた。

メヨ:ちょ、ちょっと待って…今の方向って…

ヤズネ:私たちの…住処…!?

   ヤズネたちは急いで住処へと戻った。が…

ヤズネ:ネヤ!!

   そこには、撃たれたネヤが倒れていた。

ヤズネ:ネヤ!しっかりして!ネヤ!!

ネヤ:ん…ヤズ…ネ…?

ヤズネ:ネヤ…どうして、人間がこんなところに…

ネヤ:わかん…ない…けど、私…もう、ダメ…

ヤズネ:ネヤ!そんな事言わないでよ…!ズス!メヨ!早く!早く治療の準備を!

ズス:ええ!

メヨ:わかった…!

   ズスとメヨは急いで治療の準備を始めた。

ネヤ:いい…しなくて…いいよ。どうせ…もう私は…

ヤズネ:ネヤ!そんな事言わないでよ!ね!?絶対、絶対助けるから!

ネヤ:ヤズネ…ズス、メヨ…

ヤズネ:何?

ネヤ:今まで…ありが…と…

   ネヤは、静かに目を閉じた。

ヤズネ:ネヤ?ネヤ!?ねぇ…目を開けてよ…ネヤ!!ネヤーーーーー!!!

ズス:そんなっ!ネヤ…!

メヨ:嘘…でしょ…

   ズスとメヨは、泣き崩れた。

ヤズネ:…

   ヤズネは、ネヤの頭を撫で、外に出る準備をした。

ズス:ヤズネ?何してるの…?

ヤズネ:何って、決まってんじゃん。ネヤを殺した人間を…殺す!

ズス:行って何になるっていうの?それでヤズネまで殺されたら…

ヤズネ:殺されない。私が…絶対に殺す!

   ヤズネは勢いよく飛びたった。

ヤズネ:(どこだ…どこにいる…)人間、どこだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

   ヤズネは森の中を矢鱈滅法に飛びまわった。そして…

人間:夜雀!

   ヤズネは、銃を持った人間を見つけた。

ヤズネ:お前が…ネヤを殺した奴かぁぁぁぁ!!

人間:ふん、威嚇してるつもりか?こいつめ!

   人間は銃を構えた。

人間:くらえ!夜雀!

   バァーン

   人間はヤズネ目掛けて発砲した。

ヤズネ:うぉぉぉぉぉぉぉ!!

   ヤズネは構わずに突進し、かすりながらも人間にタックルした。

人間:うわぁぁぁ!

ヤズネ:人間…お前ぇぇ…どうして、どうしてネヤを殺した!!

人間:ひぃぃ!な、なんなんだ!?

   ヤズネは人間の胸倉を掴み、鋭い爪で脅した。

ヤズネ:答えろ!!どうしてネヤを殺した!!

人間:ネ、ネヤ?ああ、さっきの夜雀か?そんなのどうしてお前に言わなきゃ、い、いけないんだ!

ヤズネ:ネヤは私の親友だ!お前が…お前が殺したんだよぉぉぉ!!

人間:ひぃぃぃ!

ヤズネ:答えろ!

人間:あ、あそこに夜雀がいるって知ったのは、別の夜雀が飛び出したからなんだ!

ヤズネ:別の…夜雀?

人間:ああ、誰かが銃を発砲した数秒後、夜雀が勢いよく飛び出していったんだ。その夜雀は追えなかったけど、行ってみたらもう1匹夜雀がいて、それで…

ヤズネ:なっ…!

   ヤズネは覚った。銃声が聞こえた数秒後、ネヤのいる住処から勢いよく飛び出したのは…自分だと。

ヤズネ:わ、私が…ネヤの居場所を人間に教えた…?そんな…!

   ヤズネは混乱し、地面に座り込んだ。

人間:(チャンス!)

   人間は銃をとり、ヤズネに向けた。

人間:くらえ!

   バッ

人間:え?

   人間の手から、銃が消えた。

人間:ど、どこいった!?

ズス:お前の探しているものは、これかい?

   ズスは、人間の持っていた銃を持っていた。

人間:あ!か、返せ!

ズス:これって、どうやって使うんだろうねー?こうかな?

   ズスは人間に銃口を向けた。

人間:や、やめてくれ!

ズス:物使わなきゃ何も出来ない下等生物が、偉そうにしてんじゃないよ!さっさといっちまいな!

人間:ひ、ひぃぃぃ!

   人間はへっぴり腰で逃げていった。

メヨ:ヤズネ、大丈夫?

ヤズネ:あは、あはは…

ズス:ヤズネ?

ヤズネ:笑っちゃうよね。何が…私は大丈夫、だよ。何が、殺されないだよ。私が…ネヤを殺したようなもんじゃない…

ズス:ヤズネ、それは違うよ。ヤズネは悪くない。

メヨ:ヤズネはヤズネなりに必死だった。ネヤだって、わかってくれる。

ヤズネ:うぅ…うぅぅ…

   今のヤズネには、2人の言葉は胸に深く突き刺さった。

ヤズネ:ごめん…ごめんね、ネヤぁ…

   それから数日後

ズス:ヤズネ!歌うたおっか!ほら、ヤズネ・ムーンライト!久しぶりに聞きたいなー!

ヤズネ:うん…

メヨ:ねぇヤズネ、今日はヤモリを捕まえてきたんだよ。食べよ?

ヤズネ:うん…

   ヤズネはネヤの事を引きずり、食事もあまりしない、大好きな歌も歌わない、抜けがら状態になってしまった。

ズス:ねぇ、何か食べないとだめだよ?

ヤズネ:うん…

メヨ:ヤズネ…

   2人は、ヤズネに何かしてあげることが出来なかった。

   朝方

ズス:それじゃ、おやすみー。

メヨ:おやすみ。

ヤズネ:うん…

   ヤズネは、ここ数日間一睡もしていなかった。でもこの日は、眠気がきたのだ。

ヤズネ:んー…

?:ネ…ヤズネ…

ヤズネ:(私を呼んでるのは…誰?)

ネヤ:ヤズネ…

ヤズネ:え…ネヤ!?

   ヤズネは目を開けて驚いた。

ネヤ:ヤズネ、よかった。気付いてくれて…

ヤズネ:ネヤ…生き返ったの!?どうやって!?ううん、そんなのどうでもいい!ネヤ!会いたかった…!

ネヤ:違うのヤズネ。聞いて。私は、生き返ったわけじゃない。もう、死んでいるの。

ヤズネ:そんな…でも、こうやって今、私の目の前にいるじゃない!

ネヤ:これは、あなたが入眠時幻覚を見ているの。

ヤズネ:にゅうみ…?

ネヤ:本当はわかってるでしょう?私が、幻覚だってこと。

ヤズネ:え…い、いや!わかんない!わかんないよ!

ネヤ:いいえ。あなたはわかってる。認めたくないだけ。この幻覚も、私が死んだという事実も。

ヤズネ:そんなの、認められないよ!ネヤが死んだなんて…いや、嫌だよ!私も…すぐに…

ネヤ:私は、それを止めに来たの。

ヤズネ:え?

ネヤ:ヤズネはきっと、このままだと死んでしまう。何も食べず、何もせず。でも、私はそんなの望んでないの。

ヤズネ:じゃあ…ネヤは、何が望みなの?私、ネヤのためならなんでも叶えるよ!?

ネヤ:その言葉、本当?

ヤズネ:うん!本当だよ!言って、私なんでもするから!

ネヤ:そう。じゃあ…ヤズネは、これから先もずっとずっと生きて。

ヤズネ:えっ?

ネヤ:昔のヤズネみたいに、笑って、歌って。元気一杯に生きて。病弱で外の世界もしらない私は、そんなヤズネを見るのが、唯一の幸せだったの。私にとっての世界は、ヤズネなの。

ヤズネ:ネヤ…

ネヤ:だから、生きてほしいの。笑ってほしいの。約束…してくれる?

ヤズネ:う…うぅっ、わかった。わかったよネヤ…私、これから先も元気一杯生きる!

ネヤ:ありがとう。ヤズネ…

ヤズネ:お礼を言うのはこっちだよネヤ。今まで…本当に、ありがとう…

ヤズネ&ネヤ:さようなら…

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ヤズネ:それからわちきは今まで通りの元気を取り戻し、むしろ今まで以上に元気一杯生きたのでしたとさ。おしまい!

   ぱちぱち ぱち…

   話が終わると、ちらほら拍手の音が聞こえた。

ヒイカ:ヤズネのくせに中々の話を語るじゃないの。

ネクリア:素敵な友情ね…あなたも苦労してるのね!

ウミナギ:お前がそこまで元気なのは、それの影響もあるってことだなァ。

ネクリア:あら?でもヤズネってそれだと普通の夜雀じゃないの。あのなんとか能力は?

ヤズネ:あれは当時はまだでやす。この後の話になるでやすが、その話はまた今度…でやす☆

ジャング:そういえば標準語だったな。

ヤズネ:ああ、わちきって標準語話せるでやすよ?

ヒイカ:ヤズネがわちきだのやすだの言ってる時は、基本ふざけてる時よ。

ジャング:そうだったのか。

ネクリア:さーて、次の話は誰かしら~?



                             続く



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最終更新:2014年03月16日 01:51
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