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ツルとカメ-10

  • 作者 ロボ氏

「長かったわね」
「あぁ、ツルはよく頑張った」
 そう言いながらツルの頭を撫でると、弱々しい目でこちらを見上げてきた。手は口元に
当てられ目は微かに潤んでいるが、感動している訳でもなければ欲情している訳でもない。
身を寄せられていることも普段なら大喜びするのだが、今回ばかりは離れたかった。
「ごめん。頭はもう良いから、背中を撫でるのに戻って」
 そう、バス酔いしているのだ。元々乗り物にやたらと弱いツルだが、その中でもバスは
特に苦手としていて、そんなものの中に数時間居たツルは非常に危ない状態になっている。
酔い止めは飲んできたものの体質なのかそれを遥かに上回る弱さのせいで、バスの中では
「殺して、もう死にたい」と何度もうわ言のように呟いていた。僕は過去に何度かゲロを
かけられた経験があるので、そんな事態にならないようにと切に願っていた。
「大丈夫デスか?」
「死にそうよ。センスは平気そうね?」
「あ、はい。スクールは基本バス通学でシタから」
 毎日長距離バスに乗っている姿を想像したのか、ツルの体が揺らいだ。このアメリカ娘
は無邪気な上に無自覚に爆弾を落としてしまうから恐ろしい。
「歩ける?」
「カメにおんぶしてもらう」
 それは良いが、間違っても頭にかけるなよ。初めてかけられたときはおんぶをしていた
ことを思いだし、軽く憂鬱になった。今のツルには、おんぶで歩く振動さえも凶器になる
ことを本人は覚えているのだろうか。
「ほら、袋要る?」
「うん」
 短く答えると、ツルは水樹から紙袋を受け取った。中にはビニール袋が重ねられている、
いわゆるゲロ袋というものだ。年頃の娘だというのに何の躊躇いもなく受け取る、正確に
言えばもぎ取るなんて、限界も近いらしい。せめてもの情けとして、皆に見えないように体で隠しながら背を撫でる。
「この辺で少し休んでこうぜ」
「そうしようか。ツルも……おいちょっと待て絶対に外に溢すなよ!?」
「うふふ、大丈夫よ。カメは私を嫌いにならないわよね?」
「溢すの前提か馬鹿!!」
 僕は急いで物陰へとツルを連れてゆく。

 何故こんな危険な状態になってまで、僕らはこんな場所まで来たのか。理由は簡単で、
商店街の福引で宿泊券が当たったからだ。三世帯家族宿泊券セットと書かれたチケットは
六枚組だけれど、生憎と僕とツルは愛しくただれた二人暮らし。しかし無駄にする訳にも
いかず、今日から夏休みということもあり皆で頑張って予定を合わせて来たのだ。しかし
思い出を作りに来たのに、最初に体験したのがゲロというのはあんまりだと思う。
 僕がツルに意識を向けないように考えている内に、終わってくれたらしい。マナー違反
かもしれないと思いながらゴミ箱に袋を捨て、口をゆすがせるとツルを背負った。目的地
の旅館までは歩いて1km程、荷物が少し重いもののこのくらいなら背負っていけそうだ。
 あまり刺激しないように歩くこと十分、旅館が見えた。しかし見えたのはそれだけでは
ない、何故か見覚えのある人影が数人見えた。錯覚だと思いたいが、目を擦っても変わら
ないことを考えると幻覚ではないらしい。
「あら、カメ君。どうしてここに居ますの?」
「お、カメ。奇遇だな」
 入口のところに、ホウ先輩やオウ先輩、アズサ先生やエニシ先生が居た。
「ホウ先輩こそ何で居るんですか?」
「何故も何も、ここはウチのグループの系列でしてよ」
 確かに重鞘旅館とあるが、それは土地の名前だと思っていた。
「わたくしの家系は元々この辺り一帯の大地主で、そこから身を起こしたんですの」
 ホウ先輩やオウ先輩が普通に居るのは分かった。
「で、何でアズサ先生やエニシ先生が居るんですか?」
「ここって肌に良いらしいから、ちょっと奮発して来ちゃったのよ」
「お湯の品質は保証しますわ」
 確かにホウ先輩やオウ先輩の肌はすべすべだ。
「でも、生徒の前だと気不味くないですか?」
「馬鹿なことを言うな!!」
 アズサ先生が普段は細い目を見開いて怒鳴ってきた。
「十代だからって良い気になるなよ!! お前らもあと十年経てば分かる!! それに、まだ
肌は辛うじて水を弾くんだ!! 気不味いことなどある訳がない!!」

 そうか、ギリギリだったのか。そりゃいつも煙草の匂いをさせているし、以前聞いた話
では酒も大量に飲むと言っていた。それだけでも私生活の荒み様は分かる、当然肌も危険
な状態になるだろう。ツルはそうならないようにしようと思いつつ、慰めの言葉を言おう
とアズサ先生の方を見ると、目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「……アズサ先生」
「何も言わないでくれ。煙草の煙が目に染みただけだ」
 なら、何も言うまい。
「ところで、いつも一緒の性悪ロリは何処ですの?」
「……あ、そう言えば、皆居るのに姿が見えない」
 性悪ロリというのは言い過ぎではないだろうか。ツルは乱暴者で口が悪くて性格がひね
くれていて、おまけに低身長で幼児体型なだけだ。そんな蔑称で呼ばれるような人間では
ない、もっと崇高なものだ。敢えて言うのなら、
「合法的ロリ」
 思わず呟いた直後、首が強く絞められた。低い声だったが、背に密着していたツルには
ちゃんと聞こえたらしい。怒りが体調を上回ったのか、万力のような力で絞めてくる。
「あら、居ましたの」
「……凄い……ツルもカメも真っ青」
「ちょっと、カメの目が本気でヤバいわよ」
「大丈夫かカメ!!」
 一真とコイが必死に引き剥がしてくれたお陰でどうやら一命は取り留めたらしい。命は
大切なものだと改めて知った、これからはもう少し真面目に生きていこうと思う。
 受付でチェックインを済ませて、部屋に向かう。僕を含めた野郎連中は松一の部屋に、
ツル達三人は松ニの部屋だ。公平なのは良いことだが、水樹が居るせいでなんとなくそう
思えてこない。中身は男三人でも、外見は男二人に美少女一人だ。
 部屋に入ると、素敵なものが見えた。有料チャンネルではない。いや有料チャンネルも
大切だが、それ以上に大切なものがある。手始めに僕は服を脱ぎ、
「馬鹿野郎、せめて風呂場までは服を着てろ!! 全裸で向かう気かこの変態!!」
 ぶん殴られた。
「馬鹿はお前だ!! いきなりそんなカッ飛んだマネする訳ないだろ!!」
「え? じゃあいきなりエロ番組でちんこいじる気? それはちょっと」

 こいつらとは夜通し話をする必要がありそうだ。
「良いから人の話を聞け。ほら、そこにあるのが見えんのか?」
 僕が指差した方向を二人が見た。しかし一瞬でこちらを振り向き、
「やっぱり有料チャンネルじゃねぇか!!」
「その下だ馬鹿、浴衣があるだろ」
 そこでやっと納得したような表情を見せた。こいつらは普段、どんな目で僕を見ている
のだろう。出来れば知りたくないけれど、確認をする必要が出てきた。
 三人で着替えて、漸く余裕が出てくる。
 不意に一真が鞄から小冊子を取り出して、眺め始めた。何だろう、と思ってタイトルを
見てみると『月刊エロ和服』という文字が渋い色で並んでいる。こんな場所で、と思った
が、廊下を歩く人の足音でそれは間違いだと気付かされた。こんな場所で、ではなくて、
こんな場所だからこそ見るのだ。恐らく客の殆んどは浴衣装備、女将さんや中居さん達も
和服を着ているに決まっている。こういった超空間の中でいやらしい心を燃え上がらせる
それは、一種の聖書と化してしまうだろう。
「僕にも見せろ」
「直球だな。だが俺の楽しみを分ける義理はない」
 無理矢理覗き込むと、そこは調度僕好みのページだった。浴衣をはだけた女性がこちら
から目を反らすように座っていて、それだけでも目が釘付けになる。その上、崩した足の
間から確認できる股間には、和紙でマエバリがしてあった。

「貸せ、貸すんだ。貸しなさい!!」
「へぇ、何を?」
 背後からかかるのは、底冷えしたツルの声。どうやらバス酔いは完全に治ったらしい。
嬉しいことだ、これで何の躊躇いもなくツルとイチャ付くことが出来る。
「で、何それ?」
「僕は無実だ。一真は見せてくれないし、そもそも一真の備品だから」
「あっ、カメ、この野郎。汚ねぇにも程があるぞ」
 事実だから仕方ない。
 そんなことよりも、僕は一つ気になった。
「ツル、その下は全裸か?」
「ンな訳ないでしょ!!」
「だって、和服の下に下着は着けないだろ?」
「そうなんデスか!?」
 センスは顔を赤くして扉の陰に隠れた。アメリカ人は知らないのだろうが、下着の線が
出てしまうので基本的には着けないのだ。男の場合は風でめくれると最悪な結果になって
しまうので仕方のないことだが、個人的な意見としては女の子には着けないでいてほしい
と思う。特にツルがそうすると思っただけで、どうしようもなくなってしまう。男女差別
なのではなく、ツル区別と表現した方が良いのだろうか。
 いずれやってほしいと思いながら、吐息を一つ。
「準備は出来たのか?」
「うん、大丈夫」
 よし、風呂に行こう。
「覗かないでよ?」
「はい」
 今まで黙っていただけに、コイの一言は恐ろしかった。

 脱衣所で浴衣を脱いでいると、人がお湯に入ってゆく音やツル達の黄色い声が聞こえて
きた。どうやら既にビバノンノな気分らしいが、きちんとマナーを守っているのか心配に
なった。覗くなと言われたけれども聞くなとは言われてはいないし、緊急事態に備える為
に神経を張り巡らせる。準備体操なども必要だろう、いざという時にすぐに対処する為だ。
決して覗きやすいようにする為ではない、ツルの為に必要なのだ。
 全裸になってタオルを肩にかけ、シャンプーなどを持ったら準備完了だ。参加するのを
何故か嫌がる水樹をさておき、一真と二人円陣を組んで気合いの声を出す。
 両手で扉を開くと、
「おぅ!?」
 湯気の向こうに桃源郷があった。
「何でカメがここに居んのよ!?」
「覗くなっつったよね?」
「見ないで下サイ!!」
「カメ、お前という奴は」
 慌ててお湯に体を沈めるツル達とは対照的にホウ先輩やオウ先輩、エニシ先生は普通に
こちらを見返してくる。何故こんな状況になったのかと思い視線を横に向けると、一瞬で
理解出来た。僕が通ってきた暖簾とは逆方向、左側には女の文字が染め抜かれた赤い暖簾
がある。つまりここは混浴なのだろう。今時こんな展開があるとは思わなかったが、現実
にそうなっているので仕方ない。ホウ先輩やオウ先輩が平気そうにしているのは、ここが
混浴だと知っていたからだろう。エニシ先生はよく分からないが年上の余裕なのか、それ
とも逆レイプをかましてくるような痴女だからなのか。
 過程はどうであれ、今は結果を楽しむのが先だろうか。混浴なのだし、堂々と見るのは
覗きとは言うまい。約束も守ったことになる。それに今更見るなと言われても、脳に焼き
付いた光景は暫く離れまい。論理的に考えても、何の問題も無いだろう。因みに大きさの
順で言えばエニシ先生、センス、コイ、ホウ先輩、オウ先輩、アズサ先生、そして大きな
差がついてツルが居る。一際小さい、いや無存在の0カップがこれ程とは思わなかった。
0カップ、Oカップと文字は似ているが存在の量は天と地程の差が存在する。そこがまた
ツルの良いところだけれど。

「大体何で全裸なのよ!?」
「そりゃ風呂に入るときは全裸に決まっているだろう」
 ツルが顔を赤く染めながら妙なことを尋ねてくる。ツル達も風呂に入るときは全裸の筈
なのに、どうしてこんな当然のことを訊くのだろうか。
「ならカメ、早く目と股間を隠しなさいよ!!」
「そりゃ無理だ、タオルが一枚しかないから物理的に不可能だろ」
「それに何でちんこ立ててんのよ!!」
「そりゃ裸の女を見たからに決まってるだろうが。僕がホモだとツルも嫌だろ?」
 そう言うと、悔しそうな表情でこちらを睨んできた。何故だろう。論理的な展開が苦手
なのか理不尽な行動が多いツルだが、今日はいつもにも増して酷い。ツル本人は大丈夫と
言っていたけれど、やはりバス酔いの後遺症が残っているのだろうか。
 僕はそんなツルを安心させる為に笑みを向け、
「僕のことは空気だと思って、遠慮なく遊べ」
「そんな変態じみた空気は地球上には存在しないわよ!!」
 宇宙にも目を向けようということか、乳は小さいがスケールは巨大だ。
「空気だったら、吸っても良いのかしら?」
「あら、良いですわね」
 どこを見て言っているのだろう、この痴女コンビは。
 僕は敢えてホウ先輩をエニシ先生を無視して、センスとコイの方向を向いた。オウ先輩
は気持ち良さそうに、アズサ先生は関わりたくないという表情で離れたところに居るので
僕も関わっていかない方が良いのだろう。そうして消去法で選ばれた二人だが、まだ恥ず
かしいらしく鼻の下まで潜っている。
「センスもコイも、僕のことは気にしないで乳揉み式サイズ比べでもしろよ」
「する訳ないでしょ!?」
 なら僕が参加するまでだ。

 一歩踏み出し、
「カメ?」
 ツルの声に、一歩後退した。
「黒? 白?」
「灰色」
 疑った瞬間に罰する精神の持ち主のツルだから、白と言われない時点で黒と変わらない。
しかしツルはこちらを見て唇を笑みの形に歪めると、
「これからの行動で変わるわよ?」
 つまりは、挽回のチャンスを与えられたということか。
 僕はこの機会を活かす為に思考すること数秒、結論してツルを手招きした。不機嫌そう
に眉根を寄せながらも素直に寄ってきたツルの肩を掴み、捻って僕に背中を向けさせた。
そして背後から両乳を掌で押さえ、
「わー、ツルの大っきいー」
「嫌味かぁッ!!」
 顔を固定され、飛び上がるような状態で頭突きされた。
 何がいけなかったんだろうか。乳揉みの部分は掴める程存在しないので擦るような状態
になったがこれは物理的な問題なので仕方がない、ツルもそれは分かる筈だ。それ以外の
こととはつまり、某読みだったのがいけなかったのか。
 あまり言いたくないが仕方ない。僕は吐息で一拍開けると先程と同じようにツルの乳に
手を当て、出来るだけ感情を込めながら、
「わー、ツルの小っさーい」
「黙れ」
 激痛。
 低く押し殺した声と共に、僕の両脇腹に肘が叩き込まれた。
「ツル、どこでこんな技を」
「中学のとき、通信教育のバヌツを習ったのよ」
 成程、こんなことをされては流石のモリアーティ教授もやられてしまうだろう。
 僕はツルの綺麗な尻を見ながら、崩れ落ちていった。
 夕食を終え、僕は再び風呂に来ていた。一回目はお湯に入ったもののそれは股間から下
のみだったし、そもそも三分も入っていなかったからだ。せっかく温泉旅館に来たという
のに、これでは意味がないだろう。三泊四日なので時間的な余裕はまだまだあるものの、
1日目はやはりここの醍醐味である浴場を楽しみたい。
 そんな訳で独りお湯の中のんびりしている。
「極楽だぁ」
 ホウ先輩が自信を持っていただけあって、本当に気持ちが良い。アズサ先生も入浴の後
はやけに気分が良さそうだったし、他の面子も嬉しそうにしていた。ツルも心なしか僕に
優しくなっていたような気がする。肌に染み入ってくるこのお湯は、心の垢も落とすのだ。
 軽音。
「あ、やっぱりここに居た」
 バスタオルを巻いているのが残念だが、それでも目に優しい姿のツルが居た。掛け流し
であるせいで浴槽から溢れ出ているお湯を跳ねさせながら、ゆっくりとした足取りで僕に
向かって歩いてくる。一歩踏み出す度に聞こえる水音が、何とも耳に心地良い。
 ツルは僕の隣の縁に腰掛けると、覗き込むように体を見てきた。
「さっきはごめんね、まだ痛い?」
「平気だよ」
 目を細めて僕の顔を見ると、爪先で脇腹を突いてきた。
「何しやがる!!」
 本人は軽く蹴ったつもりなのだろうが、僕は本気で痛かった。
「うわ、ごめん。つい」
 お前はつい青痣を蹴ってしまうのか。
 苦笑を浮かべながらお湯に入り、ツルはもたれるように身を寄せてきた。水分を含んで
照明の光を強く反射する黒髪が綺麗で、つい見とれてしまいそうになる。
「久し振りだね」
 呟くような小さな声は、多分安心しているからなのだろう。
「二人でお風呂に入るの、十年ぶりじゃない?」
 もうそんなになるのか、時間の経過というのは早いものだ。
「その頃はこんな風になるとは思ってなかったし」
「七歳の頃から浴場プレイを考えてたとしたら、そいつは本物の変態だ」

 僕は考えていたような気がするが、きっと気のせいだろう。子供の頃から常識人だった
僕に限って、そんなエロい馬鹿のような思考をする筈がない。親戚のお姉さんと風呂に
入ったときに興奮して、更には思わず乳を揉んでしまい殴られた記憶があるだけだ。
「何で遠い目をしてるの?」
「いや、そう言えば隣のお姉さんに似てたなと思って」
 脳内合成をしながら、不審そんな目で見てくるツルの頭を撫でた。
 数秒。
「ね、カメ」
 声に振り向くと、唇を重ねられた。
 あまりの可愛さに思わず抱き締める。父親がするように膝の上に載せると、目を閉じて
僕に体重を預けてくる。その重みと体の柔らかさが気持ち良い。
「カメ? 当たってるんだけど?」
「すまん、つい」
 ふと思い付いた。
「浴場で欲情」
「うるさい!!」
 どうやら気に入らなかったらしい。仕方ないだろう、僕も他人の発言だったらば間違い
なく死罪の判決を下しているところだ。しかし和ませようとして言ったのを直接的に否定
されるというのは、思っていたよりも辛いものがある。
「それに私の前ならともかく、皆の前でこんなの出して」
「いや、仮性人じゃないからつい油断してた」
「脳は真性なのにね」
 随分と酷いことを言う娘だ。
「で、どうするの?」
「頼む」
 仕方ないわね、と言いながら僕のものを太股で挟んできた。割れ目に当てるようにして
体を上下に動かす、素股というものだ。いつになく積極的なのは嬉しいが、個人的な意見
としてはいつもの半マグロ状態の方が好きなのでツルの胸に手を伸ばす。少し邪魔だった
バスタオルを外していつものように両手で乳を擦ると、それだけで股間に温いものが絡み
ついてきた。ツルは息を荒くしながら、こちらを見上げてくる。いつもより頑張って耐え
ているせいか瞳はやけに潤み、首に回された手には強く力が篭っている。腰の動きは弱く
なったものの、まだ続けていた。

 僕は右手を胸元からずらして股間に這わせ、とろけた穴へと指を滑り込ませた。擦る、
と言うよりも掻くような動きで指を動かせば、それに呼応してツルの動きが止み、背中を
丸めて大きな声を漏らす。二人きりとはいえ、少し問題がある程の音量だ。
 しかし残念なことが一つ、ここでは悶えるツルの体が見えない。
「これ程濁り湯が嫌だと思わなかった」
「私は、そっちの方が、良いん、だけど」
 途切れ途切れではあるが、こちらを睨みながら反論してくる。普段も灯りを点けること
を嫌がるツルらしい答えだ、鋭さを失わない目がかわいらしい。
 しかしそれに応えることは出来ない。僕はツルを抱えると、縁に腰掛けさせた。そして
外しておいたバスタオルを床に敷くと、その上に横たわらせる。光がある場所でツルの体
をちゃんと見るのは初めてだが、満偏なく僕好みだ。
「や、見ないでよ」
「見えるものは仕方がない」
「お湯に戻して」
「馬鹿、これ以上お湯に体液とか出したら有害だろうが」
 反論出来ないらしく、ツルはそっぽを向いた。
「それじゃ、遠慮なく」
 言って割れ目に息子を当てがうと、殆んど抵抗なく飲み込まれた。先程の素股で興奮を
していたせいか、意識していないのに腰が勝手に動き出す。奥を突く度に小さな体が揺れ、
切なく合わせてくる目線は心を強く掻き立てる。僕自身のせいだが一度中断された刺激が
再び与えられたことに加え、この特殊なシチュエーションのせいで今にも射精しそうだ。
僕は物理的な快感よりも寧ろそちらの方に弱いので、肉を打ち擦る音や、ツルの喘ぎ声に
よって出したくなってくる。声や音がよく響く大浴場なら、それは尚のことだ。しかし皆
にバレるのも問題なのでキスをしてツルの口を塞ぐ。舌を絡める音が脳に響いてきて、腰
の動きが一層激しくなった。
「もう、限界、なの? ビクビク、してる」
 本当に限界だ。
 僕は奥深くまで突き、ツルの中に放出する。引き抜くと普段よりも多い量が溢れてきて、
お湯の中でしなくて本当に良かったと思った。後に入る人の気持ちになってみれば、複雑
なものが込み上げてくる。
 取り敢えずツルや床を綺麗にしようと振り替えれば、
「あ」
「「「「「「あ」」」」」」
 調度戸を開いて入ってきたコイ達と目が合った。

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最終更新:2007年08月04日 10:34