Le souhait ツン編11(完結)
『もうあんたのこと、キライだなんて言わないから』。
ツンなりの愛の告白だったんだろうか。
ツンはからかうとすぐ怒るし、多少ひねくれてるところが可愛いんだけど、ツンはそんな自分に納得がいかないみたいだ。
素直なのがいいとは必ずしも限らな・・・いや、素直なのがダメというのは無いか。
いや、騙されやすいとかいう場合もある。
奥さん、どうですかこの包丁。従来のものと比べて、なんと入れる力が半分でも物を切れちゃう優れもの。
力が半分ですって!?わらかしてくれるわ。そのような刃物、このわしに通じるとでも思うてか。
何っ!?貴様、奥さんじゃないな。名を名乗れ。
よかろう、貴様を殺す男の名、しかと心に刻みつけよ。
っていうかまず眼科行けよセールスマン。
ハロ「な、ツン」
ツン「何?」
ハロ「変な事聞くけど、いいか?」
ツンは怪訝そうな顔をした。
ツン「ま、いいわ。言ってみなさい」
ハロ「自分のこと、好きか?」
それを聞くと、ツンは哀しげな顔をした。
ツン「キライよ」
ハロ「どうして」
ツン「どうしても何も、キライはキライ」
ツンは口をとがらせた。
ハロ「ふーん」
ツン「何よ。あんたはどうなのよ」
ハロ「俺?」
ツン「そう。あんたは自分のことが好きなの?」
ハロ「別に。かといって、嫌いでもないな」
ツン「そう?変態が嫌だとか、変態が嫌だとか、変態が嫌だとか、そういうのはないの?」
全部同じじゃねーか。昼間っから誘導尋問かよ。
ハロ「変態は嫌じゃねーよ。むしろ誇りに思う」
ツン「あんたはそれでいいの・・・」
ツンはため息をついた。
ハロ「そこじゃないって。俺はほら、ツンが好きなんだけど、ツンは自分が嫌いって言うだろ?」
ツン「まあね」
ハロ「だから、もしツンが変わってしまったら、俺はツンが好きでなくなるかもしれないぞ?」
ツン「え・・・そうなの?」
ハロ「かも」
ツンは考え込んだ。
ツン「じゃ、じゃあ。仮に、私がどういう感じになったら嫌?」
ハロ「そうだな」
ツインテールをやめるとか・・・外見じゃない。でもニーソは欲しい。許しておくれ。
なんとなく言ってみたけど、俺って結構心広いのかも。見た目が変わらないなら。
見た目で判断してるわけじゃないんだけど、なにが嫌かな。
ツン「無いの?」
ハロ「出てこないな」
ツン「何よ、つまんない」
遊びでやってるんじゃないですよ。
ツン「あ、あんたはさ、」
ハロ「?」
ツン「『ツンデレ』っていうのが好きなんでしょ?」
核心に迫る。
ツンがその意味をわかっているのといないのとで今後の展開が分かれる。
ハロ「あ、ああ。まあ」
こうなったら臨むところだ。
まさかツンが演技で今までやってたとは考えにくいが、もしそうだったらと思うとヒモ無しバンジーな気分である。
俺が悶々としている間、ツンは次の質問を投げかけた。
ツン「『妹』も好きなんでしょ?」
ハロ「え?あ、ああ、まあ」
ツン「『クール』な子もいいんでしょ?」
ハロ「どこで覚えたんだ」
ツン「『メイド』も?」
ハロ「待て待て待て待て待て」
ツン「好きなの?」
ハロ「誤解を招くような誘導尋問はよせ。俺は正常だ」
ツン「異常な人はみんなそうやって言うのよ」
ハロ「言わないだろ!あのなぁ、そういう今みたいな『』がついてるやつは飽くまで二次元の話であって、三次元の話ではない。
例えば、痴漢の疑いでつるし上げられた男が『おれは幼女にしか興味は無い』って言ったら余計面倒な事になるのと同じで、
つまり二次の話を三次に持ってくると困った事になる」
おっ、うまくまとまった。
それでもツンは不機嫌な顔をしている。
ハロ「そりゃ、天然と呼ぶに相応しいほど根底からツンデレなお前を、まったくそう見なかったってわけじゃないけど」
ツン「・・・」
ハロ「なんて言えばいいか・・・」
まずい。
どうしよう、せっかく持ち直したのに、今頃になって俺の変態さがカウンターパンチ。
さっきは『誇りに思ってる』とか言ったけど、今なら撤回できる。エロゲもやったうちの中から半分くらいは諦めよう。
ハロ「えー・・・」
ツン「浮気しない?」
ハロ「は?」
ツン「浮気しないかって聞いてるの」
ハロ「しないよ。絶対しない」
ツン「理緒が襲ってきてもしない?」
ハロ「ぐっ・・・なんとか逃げよう」
ツン「雪花さんが襲ってきても?」
ハロ「ぐぐっ・・・あの人が相手だと半強制的に射精させられてしまうからな」
ツン「昼間っからしゃ・・・とか言うんじゃないわよ、バカ!///」
ばしっ、と肩を叩かれる。
ハロ「だって、雪花さんは怖いだろ」
ツン「ん、まあ・・・///」
ハロ「?なんで赤くなってるんだ?」
ツン「き、気のせいよ!」
ツンって雪花さんに襲われたことあったっけ?あの人ならやりかねないけどな。でも無いだろ。
ツン「そろそろ学校ね」
ハロ「ああ、そうだな」
見てみると、学校がすぐ近くに見えてきた。
今、何校時目だろう。
休み時間だったら入り込みやすいよな。うん。
でも、てんてーは俺のこと目の敵にしてる。いつも『小さい』って言うのを気にしてるんだろうか。
本人は『気にしてない』っていうけど、やっぱりツンみたいにそれなりのプライドってものがあるんだろう。
って酷い言い方だな。
俺たちは、校門に差し掛かる。
ツン「待って、ハロ」
ハロ「ん?」
校門に入ろうとする俺の袖を、ツンが引っ張った。
ツン「仲直りして」
ハロ「さっきしたじゃないか」
ツン「違うくて、その、おでこでいいから///」
ハロ「でこピンか」
ツン「潰すわよ」
ハロ「おk、俺が悪かった」
最近エロいキスしかしてなかったからな。ちゃんとできるだろうか。
俺はツンの両肩を掴む。
ツン「えっ、ちょ、おでこでいいって言ってるでしょ!?///」
ツンはそんな事を言うが、俺が顔を直前まで近づけると、大人しくそれを待った。
ツン「ん・・・///」
唇が離れる。
ハロ「じゃ、行こうか」
ツンは俯いたまま、俺の手を握った。
俺はなんだか照れくささを感じながら、学院へ戻った。
ハロ「あー、寒かった」
学院の中は、暖房が利いていて暖かかった。
授業はまだ続いているようで、とてもじゃないが教室には入れなかった。しかもてんてーの授業と来た。
ハロ「庭園にでも行くか」
今は生徒会による『サボり魔撲滅キャンペーン』の最中じゃないから、多分行っても大丈夫だ。
なんか忍者みたいなやつが来たときは死ぬかと思った。しのたと知り合いだったみたいでなんとかなったけど。
足を一歩踏み出す。
が、ツンは繋いでいた手を引いた。
ハロ「なんだよ?」
ツン「二人っきりがいい///」
ハロ「・・・」
さあどういうことでしょう。
微塵のツンツンも無く素直にこの発言。しかも不覚にも萌えた。
ハロ「でも、このまま廊下にいるわけにもいかないだろ?」
が、高鳴る胸の鼓動(≠動悸)を抑え、冷静に対応する。
ツン「部室・・・」
ハロ「え?」
ツン「あんたの部室、どうせ誰も居ないんでしょ?だから終わるまでそこに居たいって言ってるの」
ハロ「んー、じゃあ行くか」
おかしいな。ツンが相手なのになんかドキドキしてきたような。
珍しくデレデレな面を表すからいけないんだぞ、全く。あー驚いた。
ああもう顔を赤らめて俯くな手を握るな時折こっちを見るなバカなんだこれどういう事。
表情がにやけてきてしまうのは俺だけか。いや俺だけじゃないはずだなんとなく。見ないようにしないと。
部室は正直言って寒かった。
ハロ「今、ストーブ点けるから」
ツン「うん」
金が有り余ってそうな学院だけど、こういうところはやっぱり節電してるんだよな、と、寒さで実感した。
ハロ「まあ座って」
言われると、ツンは傍のソファーに座った。
ツン「これ、あんたたちが買ったの?」
とんとん、とソファーを指差す。
ハロ「ああ。部の収入で買ったんだ」
ツン「部の収入って、あんたたち何かやってるの?」
ハロ「まあくだらない事ばっかりだよ。重要なところはやっぱり生徒には見せられないみたいで、でもパソコン使いたい
頭の固そうなおっさんにアドバイスしたりするくらい。ポスター印刷したりとか」
部の名前は超適当なんだけど、やってる事は普通なんだよ。
しのたにも言われた事だ。悪いかこんちくしょう。
ハロ「しのたも最近ではある程度機械使えるようになってきたし、あれはいいOLになれるぞ」
OLどまりっぽく聞こえるのが世知辛い。
ツン「ふーん・・・私も入ればよかった」
ハロ「え?」
ツン「な、なんでもないわよ!///」
ハロ「お前は機械ダメだろ」
ツン「だからなんでもない・・・!しかも、ダメってほどできないわけじゃないし、それにそのうちできるようになるんでしょ?」
ハロ「まあ」
ツン「あーもう!私をバカにしてる暇があったら、いいプレゼントでも考えてなさいよ!」
ハロ「あ」
そうだ、クリスマスプレゼント。
ツン「何よ、今の『あ』は。まさか忘れてたわけじゃ」
ハロ「じょ、冗談召されるな!ちゃんと考えてるさ」
ツン「何か思いついた?」
ハロ「言っちゃ面白くないだろ」
ツン「ふふ、そうね」
ご機嫌なツンを前にして、ちょっとだけ罪悪感を感じた。
いろいろ考えてみるか。いっそダイヤとか高いものにしてみようかな?理緒を味方につければ・・・いや、無いか。
ダイヤ、ダイヤねえ。多分無理だな。十数万円するだろ?無理無理。
こんなでかい炭素からこれっぽっちしかできないんだぞ。不思議にもほどがあるだろ。
何の話してたんだっけ?
キーン コーン カーン コーン(SE:チャイム)
授業が終わったようだ。
ハロ「そろそろ教室に戻ろうか」
ストーブを消す。
ツン「そうね」
ハロ「手、繋ぐか?」
ツン「べっ、別にいいわよ!人も居るし・・・まあ、あんたがどうしてもって言うなら///」
ハロ「どうしても」
ツン「あんた、本気?」
といいつつも、恐る恐る俺の手を握ろうとするツン。
ツン「や、やっぱりいい!あんたも我慢しなさい!///」
さっと手を離してしまった。
ツン「くだらない事してないで、さっさと行くわよ!」
事実上サボり扱いなのにそんな堂々とされても。
さて、プレゼントどうしよう。
毒男や蕪雲はネタしか言ってこないだろうし、真剣に聞いてくれるとしたら・・・。
ま、妥当なところで智途だな。教室も近いし。
ツン「ちょ、どこ行くのよ?」
ハロ「プレゼントの相談」
ツン「・・・なら、いいけど」
ハロ「すぐ戻るから」
ツン「は、早くしなさいよね!」
俺は智途から相談を受けることにした。
チト「なんだ、仲直りできたのか」
ハロ「『なんだ』とはなんだ」
智途は読んでいた本を閉じた。
ハロ「まあそれはそれとして、ちょっと相談に乗ってくれないか?」
チト「・・・月岡のか?」
なんだかダメそうだな。
でも取りあえず聞いてみよう。
ハロ「やっぱり女の子って、宝石とか貴金属が好きかな?よくわからないんだよ」
チト「ふむ。まあそれ自体が好きという人も居れば、そうでない人も居る」
ハロ「それ自体が好きじゃない?」
チト「印象に残るだろ?」
ハロ「ああ、なるほど」
智途はにやにやしながら俺を見ている。
ハロ「何が可笑しい」
チト「いや、学生のくせにそんなませたプレゼントをするつもりだったとは」
ハロ「飽くまで候補だよ」
チト「月岡はそういうの好きそうだからな。ダイヤとかいいんじゃないか?」
み、見抜かれている。
ハロ「友達だと思ってたのに!」
チト「・・・私に相談しに来たこと、月岡に伝えてやろう」
俺は逃げ出した。
ハロ「覚えてろ!」
そうこうしているうちに授業が始まってしまった。
智途がダメだったんだから、当然理緒もダメだな。ということは由梨かしのたに聞いてもいいかもしれないが、
でも理緒は俺ともツンとも幼馴染なわけだし、いいアドバイスをくれそうなんだけどな。
ひたすらペンを回す。
理「仲直りできたみたいですわね?」
休み時間の途中、教室で理緒と再会した。
ツン「まあ、ね」
理「と、いう事は遥君も戻ってきてますのね?」
ツン「でも、ハロはもう浮気しないって言ってくれたから」
理緒は驚いたような顔をする。してやったりな気分。
ツン「だから、もう何をしても無駄なの。わかった?」
私は勝ち誇った。
理「そう」
が、理緒はそっけない態度をして見せた。
ツン「な、何よ?いつものあんたらしくないじゃない」
もうちょっと食い下がると思ったのに。
理「私が何故、熾惺に戻ってきたか知ってますわね?」
ツン「・・・ええ」
理「本当に遥君がそうだとしたら・・・」
ツン「情けでもかけて欲しいの?」
理「違いますわ!でも、大体わかってました」
ツン「え?」
理「今更、このブランクが埋まるとも思ってませんでしたし」
どういう事?今までのは遊びだったっていうのかしら?それはそれで許せない。
理「私、ここに戻ってきた時、あなたと遥君が未だに一緒に歩いてるのを見た時から、なんとなく覚悟してましたわ」
ツン「敗北宣言のつもり?」
ツン「別に応援するわけじゃないけど、そんなに張り合いの無いあんたは嫌いよ」
私の口からは、なぜかそんな言葉が出た。
『キライ』。私はいつも何かをそう言う。何が『好き』なんじゃなくて、何が『キライ』なのかを。
『好き』って言えれば一番いいのに。
そういうとき、ハロがちょっと立派に見えてくる。
理「ふふ。まさかあなたに励まされるとは思いませんでしたわ」
ツン「何よ。悪い?」
理「いえ。よきライバルですもの」
ツン「そう。それでいいのよ。あなたが遊びのつもりでハロを奪おうとしていたなら、私は許さない。だって私は、私は、
その、ハロを、本気で、いままで、えっと・・・///」
理「さらっと言ったほうが目立ちにくいと思いますわ」
言い返そうとしたが、敢えて言う事を聞くことにした。呼吸と整え、顔を上げる。
ツン「ハロを本気で好きだったから。」
数秒して、顔が一気に赤くなってしまった。
ツン「な、ななななななんか言いなさいよ!言ってこの、ほら、あとの空気なんとかしなさいよバカ!///」
私、またからかわれた!?
やっぱり許せない。この女、いけ好かないわ。あー、励ますんじゃなかった!赤い顔見られたくない・・・。
理「遥君は、あなたのそういうところが好きなんですわ、きっと」
ツン「何うまくまとめようとしてんのよ!?罪滅ぼしのつもり?そんな事しても懲役七年執行猶予五万年の有罪判決なんだから!」
理「昔から変わってませんもの」
ツン「・・・どうせ私は子供っぽいわよ」
理緒は首を振る。
理「そうですわね、子供っぽいわ」
ツン「元に戻したらそれでムカつくわね」
理「ほっほっほ・・・」
わざとらしい。もう何考えてるかわからないわ。意味不明よ。
ツンに直接聞くのはタブーだしなあ。
幼馴染のくせにわからないな、俺。
うーん、印象に残るもの、印象に残るもの。ツンが好きそうなもの。俺が好きそうなもの。
雑念が入った。
相変わらず、全く授業を聞いてない俺。
耐え切れなくなって、ツンのほうを向く。すると、ツンと目が合った。
ツンはすぐに目を逸らそうとしたが、再び向きなおし、ヒソヒソ声で話しかけてきた。
ツン「どう、決まった?」
ハロ「見てのとおり、考え中だ」
ツン「言っておくけど、私は本当に何でもいいからね。別に期待してないし」
一番困らせるセリフだぞ、それ。
ツンは再び前を向く。
ハロ「あ」
ツン「え?」
ハロ「や、なんでもない」
――クリスマス当日。
あんなに降っていた雪は無く、俺たちはいつもと変わらずに学校に来て、授業を受けていた。
なんとも空しいなあ、と。
俺なりに考えたんだけど、これで大丈夫だろうか?
もうすぐ、授業が終わる。
胸の鼓動が早まる(≠動悸)のがわかる。俺ってこんなに純情だったっけ?『ド』がつくほどの変態だった筈。
ツンに感化されたかな。
キーン コーン カーン コーン(SE:チャイム)
終わってしまった。皆一斉に席を立ち始める。
心なしかよそよそしい雰囲気に包まれる。毒男や蕪雲は自然体だが。
ハロ「ツン」
ツン「そうね。私たちも行きましょ」
ハロ「その前に、ちょっと渡したいものがあるから」
ツンの動きが止まる?
ツン「・・・え?早すぎない?」
といいつつ、期待に満ち溢れた顔を向ける。
ハロ「いや、今のうちに渡しておきたいんだ」
ツン「しょ、しょーがないわね。あんたがそこまで言うんだったら、行ってあげるわよ///」
その虚勢からの声も、すこし震えて聞こえた。
ツン「な、何で屋上なのよ」
ハロ「人が居ないから。雪が降ってたらどうしようと思ってたよ」
どこに行っても誰かが張り込んでいるだろうから、ここでプレゼントして一気に街に繰り出すしかないと思った。
ツン「だったらあんたの家で・・・?」
ハロ「はい、メリークリスマス」
俺は平静を装いつつ、小奇麗にラッピングされた箱をツンに渡した。
ツンは俺の表情を伺いながら、そっとそれを受け取り、開けた。
ツン「・・・」
ツンは箱から取り出した二組のリボンをまじまじと見ている。
うう。何か言ってくれ。
ツン「こんな高いの、もらっていいの?」
ハロ「よくわかったな」
ツン「バカにしないで。あんたよりわかるんだから」
確蟹。
ハロ「街に行った後だと、着ける必要が無いだろ?だから、今渡そうと思って」
ツン「・・・あ、ありがと///」
ツンはそう言うと、早速髪を解き、そのリボンで結びなおした。鏡が無くても出来るんだなと、すこし感心。
ハロ「ツンは何が欲しいのかわからなくてさ。俺がいつも見てるそのツインテールに気付いて、それでそのリボンにして
みたんだけどいかがでございましょうか」
ツン「悪くないわ・・・じゃなくて、どうも、ありがとう///」
ぺこ、とツンが頭を下げる。
ハロ「なんか気持ち悪いな」
ツン「どうすりゃいいのよ!?」
ハロ「さ、そろそろ行こう」
ツン「何よ、またごまかして!ふん・・・」
そう言いつつ、ツンは俺の手を握った。
俺たちが街に入ると、ちょうど雪が降り始めた。
ツン「制服じゃ寒いわね。ハロ」
ハロ「そうだな、いったん帰ろうか」
ツン「何か買ってよ」
ハロ「・・・飛ばしすぎだろ」
雪はその後も降り続き、街のツリーも、店頭のイルミネーションも、照明も石畳もあちこちが白く染まった。
俺たちは一度帰って着替えてきた。
ツン「まだお金ある?」
ハロ「どうして割り勘という発想が出てこないのかね君は」
そんな時、由梨としのたに出会った。
ハロ「あっ、いいところに」
俺は二人を手招きした。
し「なんですか?」
ハロ「お金を」
し「嫌です。さ、いきましょう由梨ちゃん」
ユリ「ごめんね、おにいちゃん」
ハロ「・・・なんと薄情な」
ツン「随分と早かったわね」
買い物袋が重い。笑ってくれ。俺の所持金が皆これらに化けたのだ。プレゼントは済んだ筈なのに、これは別腹とか。
別腹も何も全部自腹だぞ。この腹黒。
ハロ「そういえば、あいつらはあいつらのクラスでパーティーやるんだったっけ」
ツン「じゃ、帰りましょう」
やっとか、と思ったが口には出せない。
ハロ「お前な、何のためらいも無く俺の家なんかに来ちゃってどうするの」
重たい荷物を置きながら言う。
ツン「泊まるんだけど」
ストーブの電源を入れる。俺の部屋はまだ寒く、上着が無くては居られない状態だ。
ハロ「無理にしなくてもいいんだぞ」
ツン「じゃあ、あんたはどっちがいいのよ」
ハロ「・・・そりゃ、一緒に居たいけど」
ツン「ならいいじゃない。私も、嫌じゃな・・・一緒に居たいし・・・///」
ツンは正座のまま顔を俯かせ、その膝の上で拳を作った。またもや危険な状態だ。
ツン「どうせ、やらしいことしたいんでしょ?変態」
聞こえるような聞こえないような、そんな小さな声で言う。
それはまだいい。でもいつもなら俺を変態呼ばわりする時は責めなのに、なぜか今回は責めてきそうにも無い。
それどころか俺を挑発するようにずっともじもじしている。
俺は知らない間に、座っているツンの両肩に手を付いていた。
そのまま押し倒したツンの顔は、紅潮しているのがよくわかった。
ハロ「可愛い」
ツン「な、何言ってんのよ?///」
ハロ「今日のツンは可愛い」
ツン「わ、わかったから早く何かしなさいよ。今日は、好きにさせてあげるから///」
ツンのコートを脱がせ、服も順番に脱がせていく。ツンは全く抵抗することなく、視線を横に向けている。
ツン「寒い」
ハロ「え?」
ツン「あんたも脱げばわかるわよ。布団に入りましょう」
言われたとおりに脱ぐと、まだ暖まりきっていない部屋に裸では寒かった。
布団にくるまれていると体が見えにくいが、それが体の近さと助長して、かえって俺たちを興奮させた。
布団にもぐりこみ、ツンの胸の辺りから、その柔らかな体を舐めていく。自分の鼻息が体に当たって跳ね返るほど、その中は
暗く窮屈だった。
ツン「ん、んん・・・ハロ、ハロぉ・・・///」
布団の外から、ツンの喘ぎ声が聞こえる。
中の俺には聞こえないと思ったのだろうか、いつもより多く俺の名前を呼んでいるようだ。
快感に、時折体をくねらせるツン。俺はその空間の中で、だんだん理性を奪われていった。
起き上がり、勃起したそれを割れ目にあてがう。
俺はそのとき興奮のあまりツンを伺ったりしかったが、ツンはそのまま俺を受け入れた。
ツンはシーツを掴んで、俺の挿入に耐えた。それでも挿し込んだ後は、また俺を呼ぶのだった。
もっと近くに、もっと一緒に、そう思って、お互いにこの体を離したくないと、幾度も体を近づけあう。
互いの存在を、互いの気持ちを確かめ合うように。
好きだ。
俺からさびしさを奪ってくれたお前が、ずっとそばに居てくれたお前が、何より大切なものだってわかった。
離したくない。離れたくない。
その気持ちを言葉にすることができず、不器用に肌を重ね続ける。
そこになにがあったのかはわからないが、取りあえず、俺はお前を離さない。
離せばまた刺すような冷気が襲ってきて、離れた事を俺たちにわからせ、さびしさを感じさせるだろう。
いやらしい音が響く。
ツン「は、ハロぉ・・・私、あ、ああ・・・」
ハロ「俺も、もう・・・」
――俺は微塵も体を離すことなく、ツンと深く抱き合ったままその中に射精した。
体から力が抜けていくのを感じたが、脱力してもなお、俺はその体を抱き続けた。
…。
翌日。
クリスマスが過ぎた次の日。
俺たちは何の変わりも無く、学院に来て、また授業を受けている。
そして今、また一日の授業が終わった。
ツン「ハロ」
俺はツンに呼ばれ、屋上に向かった。
屋上の隅には昨日降った雪がまだ多く残っていた。
冷たく乾いた風が、優しく頬を撫でた。
ツン「あのね、ハロ」
ツンは俺の顔をまっすぐ見て、話しはじめた。
ツン「私ね、このリボンもらった時、凄く嬉しかった」
ハロ「どうも」
ツンは二、三回深呼吸した。
ツン「私、ハロの事がずっと前から好きだった」
ハロ「え・・・」
数秒して、ツンの顔がみるみる赤くなった。
ツン「な、なななな何よ!早くなんとか言いなさいよ!///」
ハロ「よく言った」
ツン「ふん、また子ども扱いして。そんなに面白い?」
ハロ「いや。ツンの口からそうやってまっすぐ聞けるとは思わなかったからさ。ちょっと驚いただけだ」
ツン「・・・」
ハロ「・・・」
ツンは目を閉じた。
長いようで短く、大きな隔たりがあった。
風の音は俺の中で止み、肌寒さはどこかへ消えてしまった。
一歩、ツンに近付く。その唇に軽くキスをしてから、俺はツンを抱きしめた。
ハロ「ツン、好きだ。・・・で、ありがとう」
不安だったのは、俺のほうだったのかもしれない。
ツン「うん・・・」
体を離す。
風に、ツインテールがさわさわと揺れた。
-Le souhait-
最終更新:2007年08月04日 11:03