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ツルとカメ20

  • 作者 ロボ氏

 いつもの如く皆で家に集まり、僕達は話し合いをしていた。していた、と過去形なのは
つい一時間程前までの話だからだ。取り敢えずの課題であった修学旅行の自由見学の場所
も決定して、今はノートと地図の代わりに酒と肴がテーブルの上に並んでいる。高校生が
こんなことをしていて良いのだろうかという疑問があるけれど、もう毎回のことなので気
にならなくなってきた。しかし忘れてはいけない、基本的に酒と煙草は二十歳から。
「ほら、飲みなさいよ」
 考えた側から、コイが酒を差し出してきた。手に持っているのは親父秘蔵の超ジョッキ、
2リットルもの容積を持つそれにビールが並々と注がれていた。流石にその量は、かなり
キツいものがある。が断ろうにもコイの目が許してくれなかった。酒が好きな癖にやたら
と弱いこの娘の目は、今や完全に座っている。もし断りでもしたら普段の暴言だけでなく、
このジョッキでの打撃を頭に打ち込まれるだろう。と言うか実際、最初に飲んだ日にそう
されてしまったのだ。二日酔い以外で頭が痛くなる日が来るとは思わなかった。
 仕方なくジョッキを受け取ると、場が沸いた。
「腐れちんこの良いところ、ちょっとあたし達見てみたい!!」
 苦笑しているツルを除き、皆が音頭に乗ってくる。続くのは一気コール、酔ったセンス
が強制的にジョッキを傾けてきて無理矢理に飲まされる。僕はザルだけれど、それでも水
が2リットルもあるのだ。しかも炭酸付きで。その量を一気に飲み下すと、かなり堪える
ものがあった。普段は親の仇が集団でやってきたのを見るように歪んでいるツルの目も、
心なしか心配しているように見えた。ありがとう、ツル。僕はそれだけでまだ戦うことが
出来る、ビア樽五杯は楽にいけそうだ。
「いや、寧ろアワビ酒を!!」
「いきなり酔ってんじゃないわよ!!」

 抱きつこうとすると、空になったジョッキで殴られた。どんな目的があるのだろうか、
象が踏んでも壊れないというキャッチコピーの超硬質なものは反則だと思う。
「酔ってねぇよ」
「だから嫌になるのよ」
 尻を触りながら言うと、ぞんざいに手を弾かれた。ツルは新作のチューハイを一口飲み、
不味そうに吐息する。僕もツルも、と言うか親戚全員だが酒に強い。なので上手い具合い
に酔いが回らずに、なんとなく寂しい気分になってくるのだ。それは酒も不味くなる。
「二人きりなら、もっと気楽なのにね」
 ツルは呟くように言った後に、頬を赤く染めてこちらを睨みつけた。
「忘れなさい、今すぐに。私としたことが、とんだ失言だわ!!」
 あまりの可愛さに再び抱きつこうとすると、
「カメさん、一緒に飲みまショウよぅ」
 背後から襟首を掴まれ、引っ張られた。独特の米国訛りが入った日本語で喋るのは、僕
の周囲には一人しか存在しない。それが誰かは分かっていたのだが、敢えて思考の外側に
置いていたのだ。ピッチが早かったのか、それとも本当に弱いのか、かなり酔いが回って
いるらしい。言葉と共に酒臭い吐息をし、一真がパック豆の袋を破り損ねただけでも爆笑
して、しまいにはアメリカ国歌まで歌いだす。
 まぁ、いいか。今のところエロくなる雰囲気はなさそうだ。流石にツルの前でエロ合体
を迫られるのは勘弁だが、こうしてうるさくされるのは許容範囲の中だろう。お隣さんが
少し気の毒だけれど、後でしっかり謝っておけば良いだろう。
『賑やかじゃのう』
 眠っていたらしいミチルが首を伸ばし、皆を見回した。
「すまん、起こしたか」
『構わんよ、こんな雰囲気は嫌いじゃないでの』

 亀のくせに、人間よりよっぽど人格が立派だ。僕はこの余裕を少し尊敬した、やはり亀
の甲より年の甲というやつなのだろうか。ミチルは年寄りな上に亀だけれど。
「今度は参加させてやるからな」
『期待しとるよ』
 軽い調子で言い、ミチルは首を引っ込めた。
「カメ、ペットと話なんかしてないでこっちにおいでよ」
 水樹に手招きされるままに、立ち上がる。個人的にはツルと飲んでいたかったが、視線
を向けるとつまらなそうに目を反らされた。行け、と言うように手をひらひらとさせて、
本人はコイとセンスの間に移動した。外見に似合わず、意外と気遣い上手なのだ。
 隣に座ると、超ジョッキに並々とビールが注がれた。出来ることならツルにやってほし
かったが、当のツルは自分のグラスに先程のチューハイを注いでガン飲みしている。酔い
を他の皆のペースに合わせようとしているのだろうか、飲む勢いが物凄い。
 それを眺めていると、袖を引っ張られた。
「カメ、飲んで飲んで」
 言われるままに飲み下すと、水樹が歓声をあげた。
 ここで、違和感に気付く。
「水樹、かなり酔ってないか?」
 普段から女の子のような格好をしていて、行動もそれらしい水樹だが、今は中身が完全
に女の子状態だ。過去に一度だけ体験したトラウマが再発しようとして、必死に違う筈だ
と思い込む。水樹は酔ってなどいない、今はまだ辛うじてほろ酔い状態だ。ましてや中身
が完全に女の子にシフトチェンジしている訳がない。無理矢理に心の中で叫んで、改めて
水樹を見た。きっと、普段の水樹のままだと信じて。

 後悔した。
 酒が回ったせいで頬は薄く桃色に染まり、とろけた瞳は薄く閉じられた瞼と長い前髪に
よって僅かに隠れていることにより、一層輝きが増して見えている。長い睫がその周囲を
縁取り、その二つの宝石の中心から下に真っ直ぐと延びる鼻梁は低く細い。しかしそれは
小さな輪郭の顔に驚く程似合っていて、まるで西洋の陶器人形のように見せている。暑い
のか大きくはだけられた襟口からは細い鎖骨が見え、吸い込まれそうな程の色気をかもし
出している。僕の超ジョッキに三杯目を注ごうとする手指は細く、どこまでもしなやかに
動いていた。男相手に使うのが気色悪い言葉だが、それが素直に当て嵌る程に今の水樹は
色っぽく、そして女の子らしいのだ。
 そして何より僕の目を引くのは桃色の薄い唇と、その奥で妖しく揺れているる深紅の舌。
思い出したくないけれど、見てしまった瞬間に思い出してしまった。
 僕の初チューはツルということになっているけれど、性別を考えなければ違う。初めて
の相手は、何を隠そう水樹なのだ。ツルがこの家に越してくる前の日、合格発表その日に
事件は起きた。水樹と二人で合格祝いに飲みまくっていると次第に女の子化し、不意打ち
で唇を奪われてしまった。それも一度きりではない、連続でだ。最後には舌も入れられて、
その後暫くは水樹の顔面を直視出来なかった。
 思い出せば、寒気が込み上げてくる。何か消毒出来るものはないかと視線を回し、ツル
が飲んでいるチューハイが目に入った。アルコール消毒、これしか方法は無いだろう。
「ツル、それを一口くれ」
「はい」
 まだ開けていないものを手に取ったが、それでは駄目だ。
「口つけたやつが良い!!」
「何でよ!?」

 何を警戒しているのか分からないが、僕には一刻の猶予も無い。プルタブを開いて時間
をかけているなどまどろっこしい真似をしている間に、もしかしたらホモ菌が伝染って脳
が同性愛回路を作ってしまうかもしれない。だから僕は警戒を解く方法を考えて、そして
瞬時に結論した。怯えを消すべく微笑を浮かべ、なるべく愉快な発音で、
「缶チューハイで間チューしよう!!」
 大型缶の方を投げつけられた。
「それで脳を消毒しなさい!!」
 いかん、被害は既に脳に達しようとしていたのか。口だけだと危険だと悟り、なるべく
量の多いものを選んでくれたツルに感謝する。流石はツルといったところか、僕のことは
全てお見通しなのだろう。愛とは実に素晴らしいものだ、愉快な気分が止まらない。
 ともあれ、いつまでも浸っている訳にはいかない。フルタブを引き、投げられたせいで
溢れる炭酸に気を付けながら大きく一口を含む。ツルが愛情を込めて渡してくれたものだ、
汁一滴といえども無駄にする訳にはいかないだろう。
 飲み込むと、酷い苦味が口の中に残った。
「愛の味に溢れてるな、愛とは苦いものらしいし」
 愛は甘いものだと思っていたが、勘違いだったらしい。そういえば、ツルが作る食事も
色が黒く苦いことが多い。あれは焦げていたのではなく、愛に溢れていただけなのか。
「カメ、それ美味いのか?」
 失礼なことを一真が言ってくるが、実は美味いものではない。思い返してみれば、ツル
もどことなく不味そうに飲んでいたような気がする。気になりラベルを見てみれば、そこ
には苦瓜チューハイという文字がある。こんなものをどこの会社が出したのかと思えば、
やはり織濱食品だった。これは成功例に入っているのだろうか。

「織濱って言えば、僕が生徒会長に立候補したらどう思う?」
 何故か全員に目を反らされた。
「カメ、身の程を知りなさいよ」
「変態会長は嫌デスよ」
「あはは、カメ酔ってる?」
「織濱が居るだろ」
 他の連中の言葉を無視して、ツルを見た。
 ツルはいつもの邪悪な笑みを浮かべ、
「冗談も程々にしときなさいよ。でも、本気なら良いかもね」
 あまりの嬉しさに、ツルを抱き締める。僕には副音声が聞こえたからだ。「冗談も程々
にしときなさいよ。(これ以上私と二人きりの時間を減らすなんて)でも、本気なら良い
かもね(二人で生徒会も楽しそうだし、応援するわよ。カメ格好良い、愛してる。ラヴ!!)」
なんとなく、生徒会長に立候補するのも良いかもしれない。
「うざい、離れろ!!」
 照れて顔面を殴打してくるが、今の僕は無敵状態だ。痛いどころか、殴られる度に体力
が鰻登りで回復してくる。この調子なら、生徒会選も余裕で勝てるだろう。
「ところで、どんな学校にするつもりよ?」
 気味が悪いものを見るような目でコイが尋ねてくる。
「個人的にはゴミが無く、緑溢れる爽やか学校だな」
「思ってたよりまともデスね」
「で、本当は何だ?」
 一真の声に僕は頷き、
「個人的には粋があり、乳尻溢れる学校だな」
「地獄に堕ちろ」
 鈍痛。
「止めろ、これ以上は吐く」
 ツルは僕の言葉も聞かずに、無言でボディブローを打ち続けた。
 あれからかれこれ二時間、僕と水樹を除いて全員が酔い潰れてしまった。今回は珍しく
ツルもダウン、さんざん暴れまわったせいか酒が回ってしまったのだろう。時折眉を寄せ
苦しそうにしているけれど、その直後には安らかそうな表情になる。桜の花びらのような
小さな唇から漏れてくる僕の名前が嬉しくて、そっと髪を撫でた。
 全員に毛布を被せると、僕はトイレに向かった。別に催した訳ではない、ぐったりして
いる水樹の救助の為だ。皆が眠ったと思った直後、水樹は顔を青くしてトイレに向かって
歩いていった。仕方ない、水樹もかなりの量を飲んでいたから具合いが悪くなって当然だ。
雰囲気を壊したくなかったのだろう、堪えきっただけでも表彰ものだ。
 薄く明かりが漏れてくるドアを開くと、涙目でこちらを見上げてきた。
「ごめん、汚しちゃった」
 見ると溢れたゲロが僅かに床に広がり、据えた臭いを発している。しかしそれは些細な
問題だ、一番の問題は今の水樹の格好だろう。ゲロが洋服にまでかかった水樹を見ると、
なまじ外見が良いだけにより悲惨に見えてくる。肩を貸して立ち上がらせると、再び僕に
謝ってきた。酔って中身の性別が変わっても、律儀なのは相変わらずだ。
「吐くのはもう大丈夫か?」
「うん、平気。カメってやっぱ優しいね」
「普通だ」
 念の為に常備しているミネラルウォーターを飲ませると、漸く笑みを浮かべた。脱衣所
に入ると、シャツを脱がせて洗面台に投げ込んだ。マークをきちんと確認しているので、
浸け置き洗いでも大丈夫だと判断する。続いてスカートに手をかけると、恥ずかしそうに
こちらを見上げてきた。相手が男だと分かっているし、そもそも幼馴染みの顔だ。
 だけど、
「可愛いな」

 思わず口走ってしまった言葉に、戦慄する。頬を赤く染められて、鳥肌が立った。気色
悪いからではなく、あまりにも心を刺激する表情だったからだ。
「ごめんね、迷惑かけて」
「気にするな、そんな中じゃないだろ」
 平常心を心掛けて全裸に剥くと、風呂場に放り込む。少し温めにシャワーを設定し、湯
をかけた。僕が高校に入る少し前に新しくした給湯器は瞬時にお湯を暖めて、それが細い
体に降り注いでゆく。セミロングの髪を重くし、滴り落ちた滴はきめの細かい肌を滑って
床に到達、不規則な旋律をたてた。
「ほら、座れ」
「うん」
 余計なものが見えない後ろ姿は女の子そのもので、危うく股間が反応しそうになった。
華奢な肩からお湯が滑り、今にも折れそうな腰を経て小振りの尻に到達する。普段はこの
相手がツルだから、起伏の少ない体に注目してしまったのかもしれない。
 明日は是非ツルの体を洗おうと思いながらシャンプーをして、適当に流した。リンスを
髪に馴染ませていると、なんとなく気が付いた。普段ツルが言っていることだ。
「これで良いのか、髪質的に」
「大丈夫だよ、普段も適当に安いの使ってるし」
 こんな部分は男だな、と思う。
「体、自分で洗えるか?」
 流石に男の体をなでくり回すのは勘弁したい。
「うん、大丈夫だよ。それより、さ」
 水樹はこちらに振り向くと、いきなりシャワーを浴びせかけててきた。濡れたシャツが
張り付いて気持ち悪いし、ジーンズもこわごわの状態で不愉快だ。
「何しやがる!!」
「あはは、濡れちゃったね」
 濡れたも何も、お前がやった事だ。
「脱ぎなよ、それ。良いじゃん、男同士なんだし。それとも」
 妖しく目を伏せると、軽く舌なめずりを一つ。
「あたしが脱がせてあげようか」

 言うなり、ベルトに指をかけてきた。手際良くベルトを外すとジッパーを下げ、パンツ
を降ろして僕のものを取り出した。洒落になっていないが、抵抗をしようとした瞬間に力
が抜けてしまう。その原因は視線を下げれば一瞬で分かる、水樹が僕の竿をくわえていた。
頭に手をかけたが抵抗にならず、目だけで微笑むと水樹は根本まで飲み込んでくる。
「なに、してんだ」
 皆を起こさないように小声で言ったが、そもそも大きな声が出せそうにない。それだけ
水樹の動きは僕のツボを捕えていた。音をたてて吸いながら頭を引き、吸盤のような音を
たてて口から引き抜くと水樹は体を震わせた。俯いているので表情は分からないが、漏れ
てくる声で笑いを堪えているのだと理解できる。
「お礼、しなきゃね」
 言っている間も股間のものを扱き、刺激を与えられる。
「いつも、こんなあたしに優しくしてくれて。女装してるのに、普通の人と同じように。
それがね、あたしは嬉しいんだよ。痴漢されるのは嫌だけど、カメなら良いよ。それ以外
の人は嫌だけど、カメが相手だったら良いんだよ」
「今の痴漢はお前だがな」
 そうだね、と言って再び僕のものにしゃぶりついてきた。柔らかく竿を甘噛みし、唇と
舌を滑らせる。豊富な唾液が唇の端から溢れ出して、細い糸を引きながらタイルに落ちた。
それは一瞬で流されるが、次々と新しいものが落ちてシャワーとは別の音をたてる。
「男の子の一番気持ち良いところは、男の子が知ってるんだよ」
 それはそうだが、これは不味い。誤魔化しが効く状況じゃない、誰か他人に見られでも
したら完全にアウトだ。その相手がもしツルなんかだったりした日には、浮気だけでなく
同姓相手ということで不味いどころの話ではなくなるだろう。

 だが止めるように言っても水樹は聞かずに、寧ろ余計に刺激を与えてくる。動きは早く
ないものの、丁寧で、じっくりと舐め、吸ってくる。例えるのなら温いカスタードに包み
込まれているような感触、それがゆっくりとした速度で這い擦り回っているようなものだ。
「えへへ、気持ち良い?」
 気持ち良いとは言えずに、黙ってそっぽを向いた。しかし股間の息子は欲望に忠実で、
我慢出来ずに水樹の口の中に放出する。それを受け止めると涙目で咳き込んだが、直後、
音をたてて飲み下していった。挙げ句の果てには唇の周りに着いたものを指先で拭って、
綺麗に舐め取ってゆく。とても男とは思えない仕草に、心臓が高鳴った。
「ね、カメ。あたしの初めて、貰ってくれる?」
 嫌だ。
 そればかりは無理だと言おうと思ったが、何故か言葉が出てこない。暫くの無言に瞳に
涙が浮かび、悲しそうな目で僕を見つめてくる。捨てられた子犬のような無差別に救いを
求める瞳、愛されることに飢えているものの目だ。それが直視出来なくて、気が付けば僕
は水樹の体を抱き締めていた。そして水樹には悪いが、酒のせいにして唇を重ねる。
「ちょっと、苦しいよ」
「あ、すまん」
 腕を離すと、まだ酒のせいで脱力している水樹は仰向けに倒れた。立ち膝だったせいで、
腰を自然とこちらに突き出す姿勢になっている。股間のものが強調されていて、やはり男
を相手にしているんだと、妙な実感が沸いてきた。
 僕の視線に気付いたのか、慌てて股間にタオルを被せてこちらを睨んでくる。愛らしい
顔なのにツルと違い全く迫力がが無い、と言うより可愛く見えてくるのは性格の違いから
だろうか。体を飾るように滑る雫が色っぽく見せているのも原因の一つかもしれない。
「や、見ないでよ。それより、お願いだから、こっち」

 言って、尻の肉を開いてきた。肉質が柔らかいからだろう。五指が食い込むように歪み、
独特のいやらしい雰囲気を持っている。その中心にある色素の薄い尻穴は、今にも獲物を
飲み込もうと僅かに収縮していた。
 僕は念の為にボディシャンプーを手に取ると、菊門の周囲に塗り付ける。手指を動かす
度に高い声が漏れ、その体をくねらせた。中にも馴染ませるように軽く指を入れて混ぜる
と、更に大きな反応が返ってくる。声を聞かれては不味いと思い口に手を当てると、指を
熱心にしゃぶってくる。どうやらかなりキマっているらしい。ちょっとした好奇心が沸き、
僅かに掌に残ったものを平たい胸の先や股間の竿に塗り付けると尻程ではないにしろ反応
が返ってきた。どうやら一番弱い部分は尻の穴らしい、男としてそれで良いのだろうか。
 疑問に思いながら、先端を穴の入口に当てた。
「大丈夫か? 力抜けよ」
 男相手に言うセリフではないし、言う日が来るとは夢にも思わなかった。だがここまで
来たからには、そんな野暮な突っ込みは無しだろう。吐息して頷いたことを確認すると、
腰に力を入れた。すると、それは大した抵抗もなく奥へと飲み込まれてゆく。幾らもせず
竿は根本まで飲み込まれ、股間にとろけそうな快感が走る。
「全部、入ったけど……やけにあっさりだな」
「うん……一人でするとき、こっちもいじってたから」
 通りで尻での反応が良すぎる筈だ。
 なるべく負担を与えないように軽く動かすと、恥ずかしそうに顔を両手で覆ってそっぽ
を向いた。だがもう一度動かすと、今度は薄く開かれた唇から甘い声が漏れてくる。
「や、駄目。そんなに動かしちゃ」
「お前から誘った癖に」

 言いながら水樹の竿を擦ると、一際大きな声が出た。泡を着けているとはいえ、タオル
のざらついた生地では少し刺激が強いのだろう。悶えながら、しかし溺れるように水樹は
腰を動かし始めた。腰をくねらせ、快感を貪欲に得ようと激しく動かしてくる。初めてと
言っていたけれど、それがまるで嘘のような動きだ。ぬめる内部が断続的に収縮して亀頭
を締め付け、扱きあげてくる。途切れ途切れに聞こえる呼吸は強い熱を持っていて、奥を
突く度に僕の胸板を焼いてくる。腰に捻りを加えると、掻き回す度に背中に爪をたてた。
目尻に涙が浮かんでいるが、それは痛みではなく快感によるものだと表情が教えてくれた。
 限界が近いのか締め付けが強くなり、腹に擦れている水樹の竿が小さく脈打っている。
僕も限界が近く、今まで気遣って押さえていた速度を上げると腰に脚が絡んできた。
「中に、出して。あたしは、大丈夫、だから」
 そりゃ大丈夫だろう、男だし。
 そう言おうと思ったが、唇を重ねられて叶わなかった。舌が絡み、お互いに吸いあう。
全身が溶け合うような錯覚に陥った直後、僕は水樹の奥に射精した。
 は、と吐息をしながら唇を離すと、二人の顔の間に銀色の糸が引く。一瞬残ったそれは
すぐに細くなり、やがてシャワーのお湯によって完全に切れた。それを水樹は名残惜しい
と感じたのか舌で舐め取り、悪戯した子供のように唇を三日月の形にした。
 それを見ながらゆっくりと引き抜くと、広がった尻の穴から白濁した液が溢れてくる。
タイルの上に白い水溜まりが出来たが、これもシャワーの勢いでかき消されて、横たわる
水樹の側を通り過ぎて排水溝に流れていった。暫くそれを眺めていたが、恥ずかしそうに
身を起こした水樹によって遮られた。
 苦笑を浮かべて、水樹が僕の胸に頭を預けてくる。
「あのね、あのときはノリで言っちゃったけど、本当はカメが生徒会長でも良いと思うよ。
いつもふざけてるし、エロいし、馬鹿だし、どうしようもないなって思うときもあるけど」
 一拍。
「心の奥では、いつも他の人のことを考えていられる人だから」
 何だか、嬉しかった。
 やはり持つべきものは親友だと、そう思う。
「ありがとうな」
「どういたしまして」
 そう言って、水樹は小さく笑った。

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最終更新:2007年08月04日 11:31