ツルとカメ-23
いつもの通りに早めに家を出て、早めに教室に入る。電車を使えば急がなくても良いし
安全だ、と普通の人ならば思うのだろうが、乗り物に弱いツルの為を考えれば電車などは
言後道断。無事に学校に着くのは物理的に不可能だ。だから早めに登校しているのだが、
今日は早めと言うよりは早すぎだったらしい。教室に誰も居ないのは普段通りだけれど、
十五分を数えても誰も入ってこない。窓の外からは野球部やサッカー部、陸上部の掛け声
が響いてくるが、予令が鳴るまで入ってこないだろう。
「暇ね」
「そうか?」
僕はツルが隣に居ればそれだけで楽しいのだが、ツルはそうでもないらしい。僕一人で
楽しむのも申し訳ないし、ここは何とかして楽しんでもらう方法を考えなければいけない。
やるからには僕は本気だ。高校生らしく健全で、しかも実用を兼ねたものがベストだろう。
何があるか、考える。勉強に関したものは真面目が過ぎると思うし、中間試験の予習時期
としても些か早いものがある。それにどちらかと言えば、ツルは体を動かす方が好きだ。
「鬼ごっこでもするか」
「脱がないわよ」
畜生、先を読まれていた。走ると暑くなるし、制服が机のフックに引っ掛かると教室が
酷いことになる。そこまで完璧に理論を組み立てていたのに、一瞬で崩された。仕方ない、
全裸鬼ごっこは後で家に帰ってから再度頼むことにしようか。
「腕相撲なんかどうだ?」
これなら断られないだろう。腕相撲なら身長差もあまり関係無いし、筋力も殆んど互角
なので良い勝負になるだろう。正確に言えば、それなりに毎日筋トレをしている僕よりも
ツルの筋力の方が何故か強いのだが。それはさておき、何よりもツルの手を握れるという
のが嬉しい。小さくて細くて柔らかい天使の掌のようなそれが、精一杯に僕の手を握って
くるのだ。これはもう堪えられないものがある、腕相撲万歳だ。
わくわくしながら腕を差し出すが、ツルは握り返してこない。
数秒。
「どうした?」
ツルは汚いものでも見るような視線を僕に向け、溜息を吐く。
「だってカメ、脂性だし」
本気で殴ろうかと思った。
チビだとかロリだとか貧乳だとか幼児体型だとか、ツルがそんな言葉に反応するように、
僕も脂性という言葉には弱いのだ。僕は確かに人よりも幾らか手汗をかきやすくウェット
ティッシュを常に持ち歩いているが、それはあまりにも残酷だ。脂性なのではなく、少し
手汗をかきやすいだけ、そんな体質なだけだ。何度でも言う、人よりも少しだけだ。
「ごめん、そんなに落ち込むなんて」
「気にするな、ツルは可愛い」
「前後の文が繋がってないわよ!?」
そうだろうか。
気を取り直して、何をするか考える。
「電車ごっこなんかどうだ? 社会に出たら頻繁に使うだろうし、いつまでも嫌々言って
られないだろ。今はイメージトレーニングだけでも良いから、少しずつ治さないと」
「珍しくまともね。でも、確かに言う通りね」
珍しくは余計だが、どうやら賛同してくれたらしい。
僕は頷くと、ツルの尻に手を伸ばした。電車の弊害は幾つかあるが、いきなり電車酔い
の想定をするのは不味いだろう。人が僕達以外に居ないのでラッシュアワーの対策をする
のも無理だと思う、強いイメージにはそれなりの素材が必要なのだ。残るものと言えば、
痴漢くらいのものだろう。乳は無いので揉まれることはないだろうが、逆にこの可愛い尻
には注意が必要だ。元に京都でもツルは被害にあっている。だから将来のことを見据えて
考えれば、こうするのが最適だ。変なことを考えている訳ではない、と言えば嘘になる。
しかし尻が触りたくなったという僕の意思は九割程しか入っていないし、あくまでもツル
の為に行っていることだ。あぁ、何て柔らかくて触りがいのある尻なんだろうか。
「ちょ、やだ、やめて」
肌に吸い付いてくるような触感といい、絹のような肌の滑らかさといい、どれを取って
も一級品だ。軽く前屈みになったことで張りが強くなった尻が押し付けられて、気合いが
余計に入ってくる。少し小さなサイズの下着を穿いてきたのだろうか、僅かに食い込んで
いるのかまた情欲をそそる。今の状態でも良いが、これから寒くなるのでストッキングも
穿くようになるだろう。それを想像して、心がまた弾む。
「駄目、駄目だって」
寒いのは駄目だが、ストッキングのことを思えば冬の辛さなど、
「駄目だって言ってるでしょ!?」
「痛ェ!?」
ツルに腕を捻り上げられ、激痛が走った。間接が本来は曲がる筈がない方向に向かって
いて、少しでも動かしてしまえば限界を容易く突破してしまうだろう。指先一つも動かす
ことが出来ず、冷たい汗が額から流れてきた。何なのだろう、この状況は。
「何をやってるんデスか?」
「カメさん、おはようございます」
「何を朝っぱらからやってんだ馬鹿」
「あ、チーちゃん、センス、一真。おはよ痛ェ!!」
声の方向に振り向くと、その振動で痛みが酷くなる。完全に極まっている腕は毎秒単位
で骨が鳴り、悲鳴をあげていた。三人は僕を不思議そうな目で見ていたが、しかしすぐに
席に向かう。僕の腕はそろそろヤバい状態なのだが、いつものことだと思ったようだ。
いや、一人だけ違う人が居る。
「離して下さいよ、カメさん涙目じゃありませんか」
チーちゃんが、そう言ってツルを睨みつける。
「腕もこんなになって」
軽く叩かれ、思わず声が出た。こんなに、と自分で言っているのに刺激をするなんて、
チーちゃんは何を考えているのだろうか。顔に浮かべているのはいつもの無表情なので、
いまいち考えが読み取り辛い。昔からそうだったし、高校生になった今でも相変わらずだ。
「ん?」
「どうしたんですか?」
あまりにも当然のようにしていたので気付くのが遅れたが、
「何でここに居るんだ?」
クラスや学年が違う以前に、チーちゃんは隣の県にある織濱女子高に通っていた筈だ。
それが何故こっちに居るのだろうか。制服も向こうセーラー服のままだし、それに自覚を
すると、こっちの制服を見慣れている僕には若干浮いて見える。
「何か文句でもあるんですか?」
軽くポニーテールを揺らし、再び腕を叩いてきた。痛さにもがけば、それでまた間接が
悲鳴をあげる。まさに悪循環、最低の永久機関がここにあった。
「あの、ツルさん。カメさんが本気でヤバいデスよ?」
「え? あ、ごめん」
漸く気が付いてくれたらしく、やっとのことて腕が解放された。痛みは残ったままだが、
それ以外の腕の感覚が戻ってこない。恐らく折れるか外れるかする寸前だったのだろう、
これ以上だった場合のことを考えると寒気がした。打撃系ならある程度は耐えられるので
まだ良いけれど、ツルはたまに容赦の欠片もない攻撃を仕掛けてくるから恐ろしい。
後悔と反省はきちんとしているらしく、ツルは心配そうに腕や肩を撫でてくる。これは
幸福だが、惜しむらくは腕の感覚が無いことだ。それさえあったならば、どれだけ気持ち
良くなっていたことか。抱き付くようにしているツルの感触の、何と良いことか。
「で、何でここに居るんだ?」
「兄さんから聞いてないですか?」
言われて一真を見ると、つい今思い出したような顔をしている。
「すまん、言うの忘れてた。チーは今日からここの生徒だ」
「は、何それ?」
ツルは露骨に嫌そうな顔をしてチーちゃんを見た。以前に文化祭で一度会っただけだが、
どうも印象が良くなかったらしい。折り合いが悪そうなのはそのときの短い会話だけでも
分かったが、これからは本格的にエラいことになるかもしれない。文化祭のときも思った
ことだけれど、二人とも僕の幼馴染みなので出来れば仲良くしてほしいところだ。
それなのに、
「何よ?」
「何ですか?」
お互いまだ何もしていないというのに険悪な空気を漂わせ、睨みあっている。最初から
こんな状態では、仲良くさせるのは難しいかもしれない。どうしたものだろうか。
「おいおい、仲良くしろよ」
あまりにも酷い空気を読んだのか一真が出てきたが、
「兄さんは黙ってて下さいよ。私はこのミニに用があるんです」
「ミニ!? ちょっと表に出なさいよ!! 一真、アンタの馬鹿妹に少し教育してあげるわ」
物凄い剣幕で二人に言われ、雨に濡れた子犬のような顔をして引き下がった。触らぬ神
に祟り無しという言葉があるが、これはそんな穏やかなものではない。下手に絡めば地獄
の戦争に巻き込まれてしまいそうな、そんな雰囲気がある。
「け、喧嘩は駄目デス」
「「黙れ乳」」
もはや名前でなく部分単位で呼ばれ、センスは力なく床に座り込んだ。瞳には力はなく、
目尻には大粒の涙が浮かんでいる。好きで大きくなった訳じゃないデス、と言いながら、
こちらに潤んだ目を向けてきた。頭を軽く撫でてやると、センスは腰にしがみ付き大きな
声で泣き始める。これは一体どんな地獄絵図なんだろう、僕も泣きたい気分だ。
「カメ、おは……教室間違えたかな?」
神は存在した。
「水樹、助けてくれ」
水樹ならきっと、エントロピー増大傾向にある今の状況を何とかしてくれる。そう願い
振り向けば、苦笑を浮かべて軽く首を振っていた。末端冷え症な為に一早くストッキング
に包まれた綺麗な足は、既に後退の一歩を踏んでいる。身内の中で数少ないフォロー役の
水樹でも、これは無理があるらしい。頭を腕で防御しているのは、金属バットのトラウマ
が蘇ってきたからだろうか。あの事件以来チーちゃんを少し苦手がっていたが、根本的な
部分がやられていたらしい。やはりここは、僕がやるしかないのだろうか。
覚悟を決めて一歩を踏み出す。
息を一つ吸い、
「喧嘩は止めろ」
尻を撫でた。
「何で尻なのよ!?」
いかん、頭を撫でるつもりだったのに間違った方向に行ってしまった。全く悪い右手だ、
今度お仕置きをしてやらないといけない。しかしツルにも過失はある、正確に言うのなら
ツルの尻だ。可愛いすぎるのが良くない。僕は悪い尻を目指してスカートに頭を入れる。
「悪い尻め!! 右の尻か!? 左の尻か!? それとも両方か!?」
「や、何してんのよ馬鹿!?」
頭部に思いきり膝を叩き込まれた。
「……もう、良いです」
ツルの尻を鷲掴みながら振り向けば、呆れたようなチーちゃんの顔があった。
「すいませんでした、これで失礼します」
どことなく寂しそうにポニーテールを揺らしながら、チーちゃんは教室を出ていった。
もしかしたら、幼い頃からの仲間を取られたと思っていたのかもしれない。ツルにばかり
かまけていたが、もう少し構ってやれば良かった。放課後にもう一度、話をしてみよう。
放課後、教室を出るとチーちゃんが居た。朝の人が少ない時間帯でもそうだったのに、
廊下に人が溢れかえる今の状況だと余計に浮いて見える。しかし浮かべているのは無表情、
周囲の視線を気にすることなくこちらに歩み寄ってくる。度胸があるというよりは、興味
の沸かないものは関係ないと思うタイプなのだ。逆にどんな形であれ、興味が沸けばそれ
に向かって一直線に突っ込んでゆく。だから一度敵対心の沸いたツルと険悪な仲になって
いるのだろう。チーちゃんは遠慮なく敵意を向けるし、ツルは敵には全力で向かう正確だ。
今朝は折り合いが悪いと思ったが、正しくは相性が悪いのかもしれない。
「カメさん、学校案内して下さい」
「クラスの連中に頼みなさいよ」
また空気が重くなる。
僕は吐息を一つ。
「ツル、お前はお姉さんだろ? それに今日はメシ当番だし、先に帰ってくれ」
何か言いたそうな顔をしていたが結局何も言わず、そっぽを向くと僕の脛を蹴ってきた。
乱暴な足取りで教室に入ると荒く鞄を掴み、周囲に睨みを効かせながら廊下を進んでゆく。
その際に僕の足を踏み付けてゆくのを忘れていない。それを心配そうな表情をしたセンス
とコイが追い掛けていった。本当にわるいことをした、後できちんと謝らなければ。
「さ、行くぞ」
取り敢えず歩き出すと、後ろからチーちゃんが着いてくる。幼かった頃は、この感じが
普通だった。何故かチーちゃんは兄である一真よりも僕に懐き、どこに出掛けるにも一緒
だったような気がする。水樹や一真とばかり遊ぶと小さな嫉妬をしていたし、思い出して
みれば遊べなかった日の翌日はむくれていたものだ。そういえばツルが来ていたのが理由
で遊べなかったときが何回かあったのだが、そのときは酷く怒っていた。もしかしたら、
その頃から今のようになるというのは決まっていたのかもしれない。
そんなことを考えながら適当に歩いていると、体育館に着いた。テスト週間なので当然
部活をしている者は居らず、ただでさえ広い場所が余計に広く見えた。床を踏んで歩く音
は、寂しくすら聞こえてくる。今日は体育が無かったのか、チーちゃんは珍しそうに中を
見回していた。文化祭でも体育館を使っていた筈だけれど、中に何もない状態で見るのは
初めてだからだろう。去年建て替えたばかりなので、向こうのものとは少し違うも彼女
の興味を引いているのかもしれない。
「あれ? 開いてますよ?」
裾を引かれて目線を動かせば、用具入れの扉が開いていた。不用心だと思いながらも、
興味が沸いたらしいチーちゃんに続いて中に入る。特に珍しいものは無いが、状況だけで
考えると少し胸が弾むものがあった。人気のない用具入れというものは、何故だか楽しい
場所に思えてくる。無意味に跳び箱などで遊んでいると、不意に人の足音が聞こえてきた。
「カメさん、隠れて」
そんな必要はないと思うが、ついマットの陰に隠れた。
直後。
チーちゃんは慌てて扉を閉める。続くのは金属が噛み合う冷たい音、鍵が閉まる音だ。
僕はきちんと注意しなかったことを後悔した。ここは防犯の為に自動ロックになっている。
しかも内側に鍵は付いていないので、中からは絶対に開けることが出来ないのだ。泥棒が
閉じ込められて酷いことになったという良い話もあるし、ここに無闇に入ろうとする馬鹿
な生徒の減少にも役立っているシステムだが、今の状況は不味い。
「どうしましょう?」
チーちゃんもそれに気付いたらしく、こちらを見てうなだれた。
「取り敢えず人が来るのを待つか」
と言うか、それ以外に方法はない。
数十分。
「来ませんね」
「来ないな」
当たり前かもしれないが、物音一つ聞こえない。
「でも、良い機会かもしれません」
チーちゃんはこちらをじっと見つめ、
「カメさん」
吐息を一つ。
「私の卒業式の日、告白を断ったのはツルさんが理由ですか?」
それは違う。
その頃はまだツルの気持ちにも気付いていなかったし、僕もツルのことをただの乱暴な
従姉妹だと思っていた。彼女も居なければ、好きな人だって居なかった。それでも断った
のは、単純にチーちゃんをそんな目で見ることが出来なかったからだ。妹のように思って
いたし、適当な気持ちで付き合ってしまうのも気が引けた。それが理由だ。
説明を終えると、そうですか、と小さな呟きが聞こえる。
「私は、今でもカメさんが好きですよ」
「気持ちは嬉しいが」
腹に鈍い衝撃を受けて、僕は倒れ込んだ。しかも頭を妙な感じに打ってしまったらしく、
動かそうとしても体が動かない。更にはマウントポジションを取られ、唯一動かせた首も
固定をされてしまった。真摯な瞳が顔を覗き込んでくる。
「好きです」
唇を、重ねられた。
「好きなんです」
舌が絡み、僕の全てを絞り取ろうとでもするように強く吸ってくる。慣れていないのか
初めてなのか、恐らく後者だろう。ぎこちないながらも、それを補うかのような強い力で
貪り、ときたま逆に与えるように唾液を流し込んでくる。
は、という吐息をしながらチーちゃんが唇を離すと、僕達の唇の間に銀色の橋がかかる。
「何を」
「好きです」
三度目のキス。
今度は舌の動きに加え、体を押し付けてきた。胸に当たる二つの膨らみは意外に大きく、
思い出の外側での成長を物語っている。記憶にあるチーちゃんの裸はまだ小学校の低学年
のときのもので、膨らみどころか女性特有の曲線さえ欠片もない。当然と言えば当然だが、
チーちゃんも高校生になり、体もそれなりに立派になったものだと思う。生温かい吐息が
顔を擽り、舌の感触と共に首筋へと降りてゆく。
下方へ動いた体は一定の場所で止まり、押し付ける力を強くした。
女の感触に反応した股間は固くなり、チーちゃんは割れ目を擦るように腰を動かして、
刺激してくる。不規則なリズムで吐かれる吐息が、じわじわと僕の喉元を焼いてくる。
「チーちゃん、おかしいぞ?」
「そう、おかしいんですよ」
言いながらも、動きは止まらない。
「昔、カメさんに酷いことをされてから、お尻が気持ち良くなったんです」
尻が?
「一人でするときも、いつも後ろの方で。それに思い出すのは、いつもいつもカメさんに
指を突き立てられた思い出で、そればっかりになって、でも気持ち良くて」
僕の、せいか。
「今日もお尻を触られたとき、本当に気持ち良くて」
テントの先端に尻を当て、チーちゃんは気持ち良さそうに声を漏らす。激しいテンポで
腰を動かし、ごじるようにする度に身を震わせた。表情は既にとろけたものになっていて、
普段とのギャップで息子がますます反応をする。
「ツルさんを触っているときなんか、羨ましくて」
顔を動かせないので見ることは出来ないが、どうなっているのかは分かる。
「濡れちゃって」
溢れ出た愛液が、股間を濡らしていた。スラックスや下着を通り越し、染み込んできた
蜜が僕の竿をも濡らしていた。その為に中で下着の生地と擦れ、ぬめりを帯びたそれは、
ざらついた木綿の表面を刺激の材料に加えてくる。敏感な先端やカリ首をえぐられるよう
に擦られ、思わず声が漏れた。部屋に二人分の声が響き、脳を融かしてくる。
「も、駄目だ」
「駄目ですよ」
根元を強く握られ、声が詰まる。
「出すのは、こっちで」
チーちゃんはジッパーを下げると、僕のものを取り出した。そして顔を抱き上げ、下着
に指をかけてずらし、局部を露出させる。視界に入ってくるのは愛液に濡れそぼり、赤く
充血した綺麗な割れ目。だが僕が注目したのは、その下にある尻の穴だ。今まで何人かと
そっちの方で行為をしたが、ツルのものよりも、水樹のものよりもいやらしい外見だ。
前から垂れてきた愛液で夕日の光を反射している尻穴は、まるで口のようだ。餌を待つ
動物の子供の口のように小さく動き、痙攣して、好物が入ってくるのを待ち構えている。
入ってしまったら、二度と出られないのではないかとさえ思える程だ。
「こんなにした責任、取ってくれますよね?」
僕の返答を待たず、チーちゃんはゆっくりと腰を下ろした。だが元はと言えば排泄する
為の機関で、しかも穴は小さいものだ。なかなか入らず、抵抗も強いのか、チーちゃんの
顔に苦痛の色が浮かんだ。口の端から垂れた唾液が、軽い音をたててシャツに落ちる。
「無理しなくても」
「大丈夫、です」
瞬間。
何かを突き破る感触と共に、一気に根元まで飲み込まれた。
「入り、ましたよ」
再度頭を抱えられ見てみれば、血に染まった息子が見えた。
「動き、ますよ」
言うなり、チーちゃんは腰を激しく動かしてくる。痛みが激しいのだろう、口から出る
息は相変わらず苦しそうなものだ。それなのに強引に身を振り、強引にストロークをして
僕のものを扱きにかかる。強い締め付けに加えて、異物を排出しようと内部が巧みに僕の
ものを絡め取り、刺激してきた。先程から限界が近かったので、気を抜けば今にも出して
しまいそうだ。痙攣される度に、我慢が効かなくなってくる。
「やっぱり、本物は、凄い、ですね」
血が潤滑材になっているのか慣れてきたのか、次第にチーちゃんの声に喜色が混じって
きた。腰の動きも無理にしている感じがなくなり、一定のテンポで滑らかに上下してくる。
初めてだというのにチーちゃんも限界が近いらしく、奥を突く度に締め付けが強いものに
なってきた。前の穴からは蜜が大量に滴り落ち、僕の腹を大きく濡らしている。
「ほら、出して、下さい」
声と共に力が込められ、食い千切られそうになる程強烈に絞められた。
「ごめ、チーちゃん」
中に放出すると同時、チーちゃんも達したらしい。一瞬だけ体を弓なりに反らし、僕の
胸の上に倒れ込んできた。肩で息をする振動が、体温と一緒に伝わってくる。
「どう、でしたか?」
「それは……」
電子音。
聞き慣れたシンプルなメロディは、携帯の着信音だ。
「そうか、携帯使えば良かった」
「今頃気付いたんですか?」
思い付いていたのなら、早く言ってほしかった。
自分の馬鹿さ加減に呆れ、僕は吐息した。
最終更新:2007年08月04日 11:42